ロウリア王国王都防衛騎士団の面々は、一人の蛮勇に勇気付けられたのか、次々と敵に向かって行く。
四方八方から敵を追い込むように接近することで、敵の攻撃を分散させることに成功している。
正面から向かってくる光弾、魔法陣から放たれる爆炎魔法によって何人もの味方が倒れ、焼かれた。
だが、その犠牲のお陰で、なんとか敵との距離を縮めることに成功していた。
このまま行ければ、我々が有利となる白兵戦に持ち込めるのではないか。そうパタジンは思った。だが、その希望は一瞬で絶望に変わった。
突如として、猛烈な爆発が戦場を覆い尽くし、至るところで噴火したかのような爆発が連続して続いた。上空にてホバリングするヘリ部隊が攻撃を開始したのだ。
一機につき19発装填されたロケットポッドを4つ装備したAHM34-狗鷲から雨のように大量のロケット弾が放たれ、騎士たちはいとも簡単に吹き飛ばされていく。
上空を飛び回る見たこともない謎の飛行物体に、ロウリア軍は弓やバリスタで応戦しようとするが何も効果はなく、成すすべもなく蹂躙されていく。
そして、その中でもロウリア軍の士気向上の一番の要因である、あの盾を持った重装歩兵に対し対戦車ミサイルが放たれた。ミサイルはスワウロの少し手前に着弾し、直撃は免れたが、爆発の爆風によってついに後方に飛ばされ、地面に倒れた。
自身達の精神的支えだったスワウロが倒された事で、ロウリア王都防衛騎士団を包んでいた異常な高揚感が、急速に冷めていく。
そこを、AHM34-狗鷲の20mmバルカン砲による機銃掃射攻撃、強力な機関砲の嵐がロウリア軍に降り注いだ。
「て、ッ撤退だ!直ちに生き残っている友軍を王都に引き上げさせろ!」
パタジンは顔を青くしながら吠えた。まるで人間の巨大な足から逃れる蟻のように、兵たちは一直線に王都の入り口に逃げ帰ってくる。
その間にも、大日本皇国軍は攻撃を続け、敵の戦力を削り続けた。流石に城壁内に逃げ込んだ者には手を出さなかったが、城壁外の敵に対しては容赦なく機関砲やロケット弾による攻撃を繰り返した。
結果、
ロウリア王都防衛騎士団は出撃した兵力の約半分を損失、特に重装歩兵に関しては全滅に等しかった。数字だけ見れば大きな損害だが、皇国軍の期待値からすればなお不十分と言わざるをえない。
技術と装備の差を考えれば、戦闘はより短期間で、かつ一方的に終結して然るべきだった。だが、もともと高かった士気に加え、スワウロの奮闘がそれに拍車をかけたことで、戦車隊は想定外に弾薬を消費してしまった。
また、ターナケイン騎の奇襲によりAHF14-隼1機が戦闘不能になった。機体は味方勢力圏に不時着したことで乗員は軽症で救助されたが、少なくともエンジンは全損だった。
総合的に見て、この戦闘は戦術的勝利ではあったものの、消費した戦力を考えれば、手放しで喜べるかといわれれば疑問に思う結果に終わった。
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月明かりが王都を照らす時刻。
城壁の中ではあちこちで負傷した兵達の治療が行われ、残った兵士達が敵軍の動きを警戒しながら疲れを癒やしていた。
備蓄されていた食料が配られるが、兵たちの一部は敵のあまりの強さに恐怖し、食事が喉を通らなかった。
そんな中、パタジンは塩漬け肉を齧りながら、城壁の外で蠢く何かの集団に対して期待の眼差しを向けていた。
「頼んだぞ....カルシオ....」
王国の拡大期にパタジンを支え、多大な功績を上げてきた有能な将軍の1人である知将カルシオ。日が沈むころまでに行われていた会議で、彼を大将とした夜襲が決定した。
夜目が効く彼等の部隊は、過去いくつもの作戦でも夜襲を成功させていた。だからこそ、今回も作戦が成功することを祈った。
「いかに兵が強くとも、人の子である以上休息は必要不可欠。それに、これほどの大勝利ならば、敵も気が緩むはずだ。我々はそこを突く!」
すっかり日が落ちて周囲が闇に包まれる頃、王都西門から出撃したカルシオは部下たちにそう語りながら敵にばれないようゆっくりと野営地に近づいていく。
「足音を立てるな。慌てず静かに」
忍び声で命令が伝達される。
「やけに静かですね。焚き火の1つも見当たりません」
「気をつけろ。あれだけの大勝利で浮かれた声一つないとは、気味の悪い連中よ」
草藪に見を隠しながら、ゆっくりと敵に近づいていく。ついに敵との距離が300mほどにまで近づいたその時__
「なんだ!?」
不意に敵陣から何かが複数、夜空に向けて打ち上げられた。
それはカルシオ達の上空に到達すると、パッと、周囲を明るく照らした。
「なッ、まずい!」
闇の中にある光はよく目立ち、光の中にいる騎兵達の姿は更にはっきりとよく浮かび上がった。
「圧倒的戦力差で敗れたなら、次の手は夜戦。当たり前だよなぁ」
彼等が夜襲を行おうとしているなど、大日本皇国軍はお見通しだった。
そもそも、サーモグラフィーには彼等の姿がばっちりと映っているので、夜襲など無理な話だったのだ。
安定の機関銃による一斉射撃で、カルシオ達は瞬く間にその数を減らしていく。
「作戦は失敗だ!!退け!退くのだぁ!!」
カルシオは必死に叫びながら、自身も急いで安全な場所に避難しようとする。だがその直後に頭上から降ってきた迫撃砲弾が直撃し、自らの身体が吹き飛ばされるのを感じながら意識を喪失した。
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何度にも及ぶロウリア軍の攻勢は全て失敗に終わり、兵士の数は開戦時から比べ物にならないほどに激減していた。
作戦の転換をしたのか、それほどまでの兵力が残ってないのかはわからないが、ロウリア側から攻めてくることはなくなり、展開する日本軍と対局にある門に兵が集結されている。門の入口を塞ぐように、木材や近くの民家や商店からかき集めた家具や荷台を積み重ねた簡易バリケードが構築され、防戦に備えようとしていた。
大内田は時刻を確認し、作戦の最終段階に向けて全部隊に作戦実行の指示を出した。
「これより、作戦最終段階に移る!全戦車隊前進!敵門に大穴を開けてやれ!!」
これが最後の戦いになるのだと胸に刻み、各々が手を上げ雄叫びを上げた。悲壮感漂うロウリアとは裏腹に、こちら側の士気は抜群に高かった。
最早隠す気もないというばかりに、装甲車郡はヘッドライトを点灯させ、土煙を上げながら前進する。
「目標!ジン・ハーク城塞正門!!」
「距離よし、撃てぇ!!」
展開した3両の50式戦車から砲撃が放たれ、飛翔した130mm砲弾はバリケードをいとも簡単に吹き飛ばした。更に、破壊の衝撃が門本体にまで届いたのか、石積みの門は壊れ、崩壊した。
難攻不落の牙城だと謳われるジン・ハークを守護する正門があっさりと残骸と化したことに、誰もが驚愕し唖然としてしまう。
「そんな.....門が...鉄壁の正門が....」
泡を食っているマオスを横目に、パタジンは頭を回し、計算する。
(大日本皇国軍は今日で全て決着をつけるつもりなのか....)
「将軍!!敵の魔獣の軍団が、どんどんとこちらに近づいています!!」
慌てる兵士の声を聞いて、咄嗟にパタジンは意識を切り替え、付近にいる兵士たちに命ずる。
「休んでいる兵を起こし、各門に集結させよ!!一人として敵の侵入を許すな!」
パタジンの指示を聞いた兵士は速やかに行動し、まだ何とか生き残っている騎士を連れて各四方の門へと向かい、待機してた兵達と合流して進軍してくる日本軍を待ち構える。
その間、パタジンは携帯魔信機を使用し、近衛騎士団団長であるランドを呼びかける。
『ランド聞こえるか、応答しろ』
『こちらランド。聞こえてる。正門が破られたそうだな』
『よく分かったな』
『衝撃がこっちまで響いたからな』
『そうか。まあそれは良い。私は正面から大日本皇国軍を迎え撃つ。お前はどんな手段を使ってでも大王様を守れ。だが死ぬことは許さん』
『ああ、わかった。健闘を祈る』
ランドは、先程の衝撃を確認しようと出ていた正面のバルコニーから、城内へと入ろうとする。
「どんな手段を使ってでも......か...」
ランドは呟く。飄々としているように見えるが、彼はパタジンの決断に気付いていた。彼はこの戦いで、玉砕しようとしているのかもしれない。
で、あるならば、自分も覚悟の決め時なのだろう。
「貴様らは敵の侵入に備えよ、規格外の兵器を持つ奴らだ。どこからやってくるか検討もつかん。地の果て、空の果てまで警戒を怠るな」
「「「はッ!!」」」
ランドは整列する己の部下達にそう命じると、携える剣を一撫でし、王城内に入っていった。
場面戻ってパタジン方面。
今現在ロウリア王都防衛騎士団の戦力は大きく削られている。である以上、生半可な将に指揮を執らせ、先程のような一方的蹂躙をされるわけにはいかない。
ならば、自らが指揮を取るべきである。
「マオス殿よ、兵の集まり具合はどうだ」
パタジンは持てるだけの装備を抱えながら王都正門があった場所へと向かい、兵を招集していたマオスに声をかけた。
「うむ.....戦えるものは根こそぎかき集めたが、数は知れてる、といったところか.....」
「そうか....猫の手も借りたいとは、こういうものだな」
「亜人を否定してきた我々が猫の手に頼る、か...皮肉なものだ。人員の数が取り柄だった我々が、今や一兵一兵を大切にせねばならんとは」
こう話している間にも、二人の顔には不安から汗が流れを落ちる。予備役の兵や元騎士団などもできるだけ集めたが、彼等もまた全滅してしまうのではないかと、どれだけ気を引き締めてもそう危惧して止まない。
「パタジン将軍......死に急いではならんぞ。そなたがいなくなくなったら誰がロウリアを守れるというのだ」
「....大日本皇国軍に対して唯一有効だったのが多方向からの同時肉薄攻撃だった。事ここに至っては、最早肉弾戦法以外に大日本皇国軍を止める手段はない。だが、兵だけを突撃させるのは将としてできぬ......死んでいった者達のためにも」
マオスにそう告げるパタジンだったが、その表情はどこか清々しそうでもあった。
「しかし...」
「心配無用だ、マオス殿」
尚もいい止めようとしたマオスの背後から、別の声がかけられた。
「わしが死なせはせん。宮廷魔導士ヤミレイ、パタジン将軍の背をお守りする」
「ヤミレイ殿......」
「___ありがとう。私は貴殿らが友であることを誇りに思う」
感極まった様子で言いながら、パタジンは後方に集結した兵に向きかえる。抱えていた兜をかぶり、剣を振り上げる。
「聞け!!我がロウリアに生きる全ての者達よ!!只今より我ら王都防衛騎士団は、最期の全力出撃をかける!この戦いの結果が、これからのロウリアの未来を決定する!強要はしない。恐怖に抗えぬ者、剣を握れぬ者がいても責めはせん。どうしても引き返したい者は、今すぐ武器を置いて退け。それを、私は臆病だとは決して呼ばない。しかし__それでもなお、この地に立つことを選ぶ者よ。ロウリアを守ると誓い、剣を抜く覚悟のある者よ。共に逝こう。我らがここで倒れようとも、この一撃、この一歩が、必ずや王国の未来を繋ぐ!!」
「「「「ウオォォォォォォ!!」」」」
亡国の危機に対して、怯える者は一人もいなかった。誰もが武器を取り、パタジンの前に集う。
「__諸君らの勇気に感謝する。全軍出るぞ!我が後に続けぇえェェェッ!!」
パタジン自らが先頭に立ち、こちらに刻一刻と迫っていくる敵軍、大日本皇国軍に向かって突撃を開始した。
「まずいな、これは」
指揮通信車に乗る大内田は苦々しく呟く。多数の松明や馬に乗ったロウリア兵が、破壊された門から止まることなく姿を現し戦車隊に向かっている。
ドローンから確認した城壁内の様子から、これはロウリアの残存する全ての王都防衛戦力に等しい。
「このままでは総力戦になるぞ」
戦後の統治の事を考えると、あまりにも大量の敵兵を殲滅することはできるだけ避けたい。不用意に向かってくる敵兵を殲滅しすぎてしまっては、復興の為の人員が不足することになるし、なにより、反日精神でも与えてしまえば、中長期的な国家戦略としては逆効果になってしまう。
それに、もっと現実的な問題がある。想定より敵の戦力が多いことで残弾が不足している車両が出始めていた。
短期的で電撃的に侵攻を行うのを見越しての戦力であるので、持久戦を行えるほどの兵站を持ってきていないのだ。
「空挺部隊の突入はまだなのか」
大内田が焦った表情で焦燥と判断をし兼ねていた丁度その時、空の彼方から空気を切り裂くような羽音が聞こえてきた。
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ロウリア王国騎士団が決死の思いで大日本皇国軍に向けて突撃を実行している最中、ジン・ハークの遥か東の方面から夜の闇に紛れ幾つもの飛行物体が接近していた。
「作戦通り、敵は第七師団に釘付けだな」
「王国の存続をかけた戦いですからね、敵も必死なのでしょう」
チヌークによく似た姿を持つ大日本皇国陸軍が所有する大型ヘリ『CH72-明空』に搭乗しているのは、作戦の最終段階にして、今作戦で最も重要な作戦を担う第一空挺団の部隊だった。王城にいるであろうハーク・ロウリアを捕縛するための部隊であり、正門への攻撃はこの部隊の存在を敵に察知されないための陽動であった。事実、敵の意識は眼の前にいる第7師団に向けられていて、鳴り響く砲声やら掛け声でこの部隊に気づくものはいなかった。
「王城の見取り図は頭に入っているか」
「はい」
「よし。王城では一般兵士以外にも近衛隊との戦闘も予想される。国家に命を捧げる精鋭だろうから、細心の注意を払うように」
CH-72に搭乗する第一空挺団の分隊。その分隊長を務める嶋田海が声をかけ、部隊の中にほんのりと漂っていた慢心の心を無くす。
隊員達は自身の装備する武器である、サプレッサーやレーザーサイトが取り付けられた40式小銃や37式短機関銃の作動確認をする。銃のマガジンを抜き、弾が装填されていることを確かめると、マガジンを戻し、コッキングレバーを引いて薬室内に5.56mm NATO弾を装填する。
「分隊長、間もなく降下地点です!」
「よし!各員、降下用意!」
機内に居た隊員達は席から立ち上がる。同時に機体後方のランプドアが開き、外からの外気と風が入ってくる。全員が暗視スコープや紫外線装置を取り付けたヘルメットを装備し、合図をまつ。
「降下目標の中庭に敵兵を確認、排除せよ」
「はっ!」
中庭に待機していたロウリア兵は、突如として空から現れた存在に腰を抜かすが、何とか気を取り直して弓を構える。だが、彼等が攻撃するよりも早く12.7mm機関銃を取り付けたドアガンが唸り、敵兵をミンチにした。
「降下地点クリア!!これより作戦を開始する!降下用意!」
CH-72が降下地点のハーク城の中庭の上空にホバリングを開始すると、機体後部からロープが垂らされる。
「降下!!降下!!降下!!」
隊員達は素早く、次々とロープを伝い中庭に降りていく。
降下した部隊は中庭を確保すると、城の内部に入るために複数の部隊に分かれて制圧を開始する。物音に気づいた衛兵が剣を構えて駆けつけるが、空挺団員は40式小銃を発砲し即座に撃破し、瞬く間に王城内を制圧していく。
『こちらルージュ1、1階部クリア。これより2階退路確保に着く』
『こちらブルー5、裏門の制圧を確認。これより詰所を制圧する』
『こちらブラン3、2階制圧を確認。3階の制圧に向かう』
ロウリア側が対応するよりも早く、そして場内の異変に気づかれる前に、とてつもない速度で王城内を制圧していく。途中途中でロウリア兵が突撃を仕掛けてきたが、圧倒的な装備の前に一太刀も浴びせる事のできぬまま始末される。
制圧した箇所から、敵を排除しつつ前進する。
兵たちが待機する詰所にまでたどり着くと、隊員の一人が扉を蹴破り、同時に中にスタングレネードを投擲させる。近衛騎士達は一瞬で視界が奪われ、耳が鳴る。残響が続く間に、兵たちは機関銃による掃射で成すすべもなく倒れていく。
『ブルー5、詰所の制圧を確認』
『ノワール2、了解、これより玉座の間がある4階へ突入する』
嶋田率いる部隊は梯子で三階に侵入し、廊下を抜けながら一直線に玉座の間がある最上階を目指す。やはり王を守るためなのか、段々と接敵する兵士の数が増えてくる。しかし、接敵した敵は瞬きする間もなく脳天を撃ち抜かれるか蜂の巣になり、複数人で突入してきた時には手榴弾を投げられ木っ端微塵に粉砕される。
ロウリアの残存する戦力では、大日本皇国軍の驀進を止めることは不可能だった。
その後、ランド率いる近衛部隊が玉座の間の前で最後の抵抗を見せた。奇襲が見破られると、彼等は剣と盾を構え声を張り上げて突撃を敢行したが、即座に反応した空挺団員は的確に向かってくる騎士に対し銃弾を叩き込み、撃破された。
かつて、クワ・トイネとクイラ王国に対する戦争を許可した、最奥に玉座が鎮座する謁見の間。
その玉座にどっしりと座る一人の男、ハーク・ロウリア34世は絶望していた。
6年もの時間と、もはや服従といってもいいほどの屈辱的な条件、そして国家の収入数年分にも及ぶ大金と引き換えに、列強パーパルディア皇国から手に入れた軍事支援。数万人規模の兵士や、大量の軍船やワイバーン。練度も列強式兵隊教育により徹底的に引き上げてきた。
約束された絶対的勝利、ましてや負ける方が難しいと言えるほどの圧倒的な戦力。祖父から託された亜人殲滅を達成できることに歓喜した。
しかし、現実はどうだ。
大日本皇国などという理不尽を絵に書いたような出鱈目な力を持つ国家が参戦したことにより、全ての歯車が狂った。400騎以上のワイバーンも4400隻をこえる大船隊も、そのほとんどを失ってしまった。それどころか、敵は今このジン・ハークの内部にまで迫ってきている。
一体、どうしてこうなってしまったのだろうか。
国交を結ぶためにやってきた使者を、もっと丁重に扱うべきだったのだろうか。いや、それ以前にクワ・トイネに日本の息がかかっていることを調べ上げ、最近の2カ国の状況を知っておけば、こうはならなかったのではないか。
「余は.....選択を誤った......」
今更悔やんだところで、悔やんでも悔やみきれない。
先程から、城のあちこちで誰かが戦っているような音が聞こえる。剣がぶつかり合う音、兵士の叫び声、そして聞いたことのない乾いた音が聞こえる。
もう敵は、すぐそこまで来ている....
ドン!
部屋の扉が乱暴に蹴破られ、くすんだ緑色の妙な服を着た軍人達がなだれ込んでくる。鎧は着ていない。頭に、兜には似つかない変な御椀のようなものを被っている。
そして、彼等は皆、手に黒く長い棒のようなものを持っている。魔法の杖だろうか。ということは、この者たち全員が魔導士なのだろうか。それを見て、大王の脳裏に古の魔法帝国、魔帝軍のおとぎ話が浮かぶ。
「ま、まさか......魔帝軍....なのか....?」
「マテイグン....が何かは分かりかねますが、我々は大日本皇国軍です。ハーク・ロウリア34世、貴方をクワ・トイネ公国及びクイラ王国へ侵攻の首謀者として、身柄を拘束させてもらいます」
その嶋田の言葉に何を思ったのか、ハーク・ロウリアは力が抜けたように玉座にもたれかかった。
「ああ.....勝者はお前たちだ....好きにするがいい。」
ハーク・ロウリアは何ら抵抗する素振りも見せず嶋田の言うことに従った。
彼の手に、カチャリと手錠がかけられた。
この1時間ほど後、皇国軍から国王を拘束したとロウリア軍に対し伝えられた。これを受けた残存ロウリア軍は、パタジンとマオスの名の元に降伏を宣言し、武装解除のうえ大日本皇国軍に投降した。
中央暦1639年6月25日
ロデニウス大陸の3国を巻き込んだ戦争は、ロウリア王国の敗北で終結した____
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「亜人風情がッ......誰が支援なんてバカな真似をッ!」
ロデニウスの地の彼方に、大地を駆ける音が響いていた。