言うても個人的にはそこそこですが…
「かはっ」
セリカは激しく喀血した。
触手は背後からセリカの心臓を貫いていた。
流れ出した血が制服を赤く染めていく。
セリカのヘイローに青い火が灯りめらめらと燃え出した。
瞳から光が消え、手足が力無くだらんと垂れた。
誰もが口を開けたまま一言も発せずにいた。
「セリカちゃんオワターww
いやぁ申し訳ない。こう言う空気って水を差さなきゃ気が済まないんでねぇ」
やけに間延びした聞き覚えのある声がした。
セリカの心臓を貫いた触手はトラックの影から現れたミツコの指先から伸びていた。
「な…んで…?」
ノノミがかろうじて声を絞り出した。
「なんでって…決まってるじゃないっすかぁ。自分以外の人間が幸せそうにしてたらムカつくからっすよぉ」
ミツコはけらけらと笑いながら言った。
「たったそれだけで?」
先生は冷静に、しかし険しい顔で尋ねた。
「…それだけ?はぁ…いやっすねぇ、満たされてる人間って奴は」
一瞬、ミツコの顔が醜く歪んだ。
「本当にそれだけの理由で殺したのか…?」
「そっすよ。いやぁ、前々からウザかったんすよねぇこの人。一週間前くらいから狙いを付けてたんすけど、バイト先を覗いてみたらカッコいいお兄さんといい感じになってたじゃないっすか!だから略奪してやろうと思ったんすけど…お兄さん手強かったから、こう言う手段に出るしか無かったんす。だから、ある意味で言えばお兄さんの所為でもあるっす」
「何を言っているんだ…?」
「お兄さん、チョロそうなのにガード固くってぇ…
もしかしてセリカちゃんとヤル事ヤっちゃってたんすか?
…あ!いい事思いついたっす!
返答次第でセリカちゃんの胴体を上に切り裂くか、もしくは下に切り裂くっす。
さぁ、私の望む答えをお願いしまーす!」
何を言っているのかわからない…頭がぐるぐると渦巻いて思考が纏まらない
「違う…俺とセリカはそんなんじゃ…」
「ふーん…まぁ、及第点かな」
ミツコはセリカの胸から触手になった指を引き抜いた。
セリカは地面に膝をつきそのまま…
「なーんちゃって!」
セリカが地面に倒れるよりも早く、ミツコは左腕を伸ばしてセリカの股下で拳を作った。
ミツコが立てた左手の中指がセリカの股下から頭頂部まで貫通した。
ぶしゅぶしゅと音を立てて血が噴水の様に噴き上がっている。
「ぷっぷっぷ!セリカちゃんの処女を頂いちゃったっす!あ。でもこれセックスって言うより手マンか…でもこれ、文字通りのファックじゃないっすか!?」
ノノミが耐え切れずに嘔吐した。
吐き出された内容物が地面に溢れたセリカの血と混ざっていく。
「あ…拳のままだったらフィストファックだったのかぁ。惜しいことしたなぁ」
「黙れ…頼むから黙ってくれ!」
翔一はファイズフォンを掴んだ。
「お!やっとやる気になったんすか!も〜う!遅いっすよぉ♡」
ミツコの顔に灰色の紋様が浮かび上がり、ワイルドキャットオルフェノクの姿へ変化した。
5・5・5・ENTER
『Standing by』
「スタンディングバーイww」
『Complete』
「コンプリートww」
「死ねッ!」
「カモーンww」
ファイズは全力で地を蹴って殴りかかった。
「セリカちゃん…セリカちゃん…起きてくださいよ…ねぇ」
ノノミは血溜まりの中で倒れているセリカの肩を揺さぶっていた。
「セリカちゃん…なんで…?…それに…なんで人がオルフェノクに…」
アヤネはへたり込んだまま呆然とした表情で呟いている。
「ノノミもアヤネも…ショックが大きい様だね」
「…二人とも…初めてだからね」
まるで自らは初めてではないかの様なホシノの発言に先生は眉を顰めた。
「ん…ホシノ先輩、この後の事は…二人には」
「…そうだね。先生、アヤネちゃんとノノミちゃんをお願いできる?」
「二人は…知ってるんだね」
ホシノとシロコは黙って頷いた。
先生はセリカの死体の元で虚な表情を浮かべている二人の元へ踏み出した。
突如、セリカの死体がゆっくりと起き上がった。
「不味いッ!」
「ヘーイ!パイセン、その程度っすかぁ?」
ファイズは俊敏なワイルドキャットオルフェノクの動きに翻弄されていた。
放棄された立体駐車場の中で怪物と超人の追跡劇が始まって数分が経過している。
「出てこい!地獄に送ってやる!」
「おぉコワwそんなに言うなら自分で見つけ出せば良いじゃないっすかぁ?ほらほら、ここっすよぉ」
ワイルドキャットオルフェノクは廃棄された車体の陰から現れ、ファイズに一瞬姿を晒すと高速で消え去った。
これが何度か繰り返され、痺れを切らしたファイズは片っ端から車両を破壊し出した。
「クソッ!ふざけやがって!」
ファイズはミッションメモリーをファイズエッジに挿入した。
『Ready』
「レディww」
真紅の刀身が生成され、薄暗い駐車場を赤く照らした。
「どこだ!?卑怯者め!」
「こっちっす!」
6本の鞭の様なものがファイズへと殺到した。
咄嗟の事で躱しきれず、もんどりうって吹っ飛びフェンスにぶつかった。
「クソ!なんなんだ今のは!?」
「見てください!ホラ、チャーミングなお、ひ、げ」
ワイルドキャットオルフェノクはふらふらと立ち上がるファイズの前に姿を晒すと口元の髭をいじりながら戯けた。
「女のくせに髭を伸ばす癖があるのか?悪いが俺は異常性愛者じゃ無いんでな。お前の愛には応えられん」
「せんぱ〜い…それで煽ってるつもりですかぁ?あんたなんか最初から興味ねぇんだよヴォケ!
はぁ…先輩ってもうちょっと強いのかと思ってましたけどぉ、期待外れですねぇ」
ワイルドキャットオルフェノクはファイズの鳩尾に蹴りを入れた。
フェンスが壊れてファイズは宙に投げ出され地面に叩きつけられた。
「せんぱいってぇ道具に頼ってばかりじゃないですかぁ…そんなんでぇアタシを倒せると思ってんすかぁ?ひぃぃウケるwww」
ワイルドキャットオルフェノクは腹を押さえるジェスチャーをしながら嘲笑した。
「殺してやる!殺してやるぞ!絶対にだ!」
ファイズの中の翔一は呪詛の言葉を吐き続けた。
「そうですか。シャーレの先生が…クックック、それは楽しめそうです」
薄暗い部屋で異形の怪人「黒服」が機械の兵士と話し込んでいた。
黒服はゲマトリアなる組織に所属しているが、現在はカイザーPMCの協力者というポストに収まっている。
『…』
「成程。もう一人いるのですか…そちらの方は…?」
機械兵士は一言も発していないが、黒服には何かが聞き取れているらしく会話は進んでいった。
「しかし、もう一方はいかなる手段を用いてこの世界にやって来たのか…」
『…』
「えぇ…勿論、こちらの方でも調査させて頂きますよ。例のゲート以外に外の世界と繋がる手段があるのであれば、これまでの全てが水の泡…という可能性も捨てきれませんから…」
『…』
「えぇ、ではまた」
機械の兵士は一礼すると部屋を立ち去った。
「神と人の子…ネフィリム…いえ、アギトですか…」
ファイズはワイルドキャットオルフェノクの顔面に拳を打ち込んだ。
「ぐぉっ、ちっ…やる様になったじゃないっすかぁ、パイセン」
「だまれ…おまえをころしてやる…」
息も絶え絶えになりながらファイズは言った。
既に戦闘開始が数十分が経過していた。
それだけ長い戦闘は経験した事が無い。
「そんなにセリカちゃんの処女が羨ましかったんっすかぁ」
「黙れ!その減らず口を二度ときけなくしてやる…!」
ふらふらと足がもつれながらもファイズはワイルドキャットオルフェノクに近づいた。
ミッションメモリーを装填したファイズショットを振り抜いた。
「甘いっすよッ!」
ワイルドキャットオルフェノクの鋭い爪がファイズの左腕を引っ掻いて火花が散った。
ファイズショットが左手から外れてあらぬ方向に飛んでいった。
ワイルドキャットオルフェノクはファイズの胸部装甲を蹴り込んで馬乗りになった。
爪をファイズの首元に突きつけて掻っ切る時の様にスッと沿わせる。
「遺言は何が良いですかぁ?」
「…クソ食らえだ」
「へっ…あの世でセリカちゅぁんと仲良くしな!」
ワイルドキャットオルフェノクはファイズの首に沿わせた腕に力を込めた。
突如、ワイルドキャットオルフェノクは疾風の如く突っ込んできた白い影に吹き飛ばされた。
「セリカ…?」
ブラックキャットオルフェノクはファイズを守るかの様に仇の前に立ち塞がった。
なんだこの女は…たまげたなぁ。
原作にいないキャラは薄汚いオルフェノクってはっきりわかんだね。
所で、今更なんですが原作キャラ死亡ってタグつけた方が良いですかね?
個人的には死に別れでは無いのでセーフかと思うのですが…
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