Puriφ's 方舟の花々   作:ばりるべい

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またしてもオリキャラが出ます。


Eye Of The Tiger

 

「待てやゴラァ!」

 

「ひぃぃぃ!?もう許してくださぁぁい!」

 

阿慈谷ヒフミは薄汚れた細い路地を走っていた。

後ろから追いかけてくる不良達から逃れるためである。

銃弾がヒフミの衣服を掠めて繊維が切れたり、銃創による穴が開いたりした。

ヒフミは何よりも大事なグッズ物のリュックサックを抱えて、自分自身よりもそのリュックサックを守る様にしながら逃げていた。

 

別に不良に喧嘩をふっかけた訳ではない。

その辺を歩いていたら突然狙われたのだ。

何故ただ歩いていただけでヒフミが狙われたのかと言うと、ヒフミが彼女達と出会した場所がブラックマーケットの中でも治安の悪い場所で、尚且つヒフミがキヴォトスでも有数のお嬢様学校であるトリニティ総合学園の生徒だからである。

 

細い裏路地に逃げ込んだが、一本道が続いているために寧ろ狙われやすくなってしまった。

 

うわわぁ、どうしましょう!?

 

ヒフミは混乱と急激な運動による酸素の供給不足で頭が回らなくなっていた。

迫り来る弾丸を屈んでなるべく躱しながら進んでいくが、どんどん追い詰められている様な感覚がするのは気の所為ではないだろう。

 

このままだと捕まってしまいますっ!どうすれば…!?

 

ヒフミの息も持たなくなって来ており、いよいよ最悪の未来が近づきつつある。

 

もし、彼女達に捕まってしまいトリニティにヒフミの身代金が要求される事となれば、ヒフミ自身への厳粛な処罰は勿論、ヒフミに目をかけているティーパーティー代表たる桐藤ナギサの立場も危うくなるだろう。

ここでヒフミが捕まってしまうのは非常に不味いのだ。

 

元はと言えば、トリニティ学園の制服のままブラックマーケットを訪れたヒフミが悪いのだが。

 

あぁぁ、もうおしまいですぅ!?

 

ヒフミが絶望しかけたその時、曲がり角から筋肉質な手がヒフミを手招きしていた。

 

「こっちだ!」

 

声の主は若い女性だった。

恐らくヒフミと同世代だ。

 

ヒフミは声の主が仲間にかけた声なのか、自分にかけられたものなのか判断がつかず立ち止まってしまった。

声の主は立ち止まったヒフミを掴んで暗がりに引きづり込んだ。

 

「この先を曲がった…!?あいつどこ行きやがった!?」

 

思わず声を出してしまいそうになったヒフミの口を力強い手が塞いだ。

ヒフミは自身よりも一回り背の高い相手の顔を見上げた。

 

青い瞳をした褐色肌の少女はヒフミにウィンクした。

ヒフミはその様子に安心して力が抜け、その場にへたり込んだ。

 

「クソっ!どこ行きやがったんだよっ!」

 

ヒフミを追いかけていたチンピラ達は何処かへ走っていった。

 

「ふぅ…危ない所だったなぁ!」

 

元気の良いハキハキとした声で褐色の少女は言った。

 

「あ、あの…た、助けていただいて…本当にありがとう、ございますっ」

 

ヒフミは息を切らしながら何とか言葉を紡いだ。

 

「良いってことよ!それにしてもアンタ、トリニティの生徒でしょう!?こんな所に何しに来たのよ?」

 

褐色の少女の声は余りにも大きく、先の不良達が戻ってきてしまうのではないかとヒフミは心配した。

 

「え、えっと…ペロロ様のグッズを探していたんです…」

 

「ペロロ様?」

 

「は、はい!あ、このリュックと似た様な物なんですが!どこかでお見かけしませんでしたか!?」

 

「いや…見てないけど。それにしても…その鳥…」

 

「あ、はい…何ですか…?」

 

ヒフミはこれまでの同世代の反応を思い出して少し陰鬱な気分になった。

 

「すごく可愛いじゃない!?」

 

「分かりますか!?この良さが!?」

 

ヒフミはこの人とは仲良くなれそうだと感じた。

 

「そう言えばアンタ、名前は?」

 

「あ、えっと私は…」

 

「あっ!ごめん!先に名乗るのがスジだったね」

 

「へっ!?いえ、お気になさらず…」

 

「アタシは大河レオ!宜しくね!」

 

獣耳を動かしながら少女はそう言った。

 

 

 

「へぇ〜!じゃあ、レオさんはここで格闘技をやっているんですか」

 

「そ!アタシの仕事はアンタみたいなこう言う場所で直ぐ食い物にされちまう女の子に対抗する術を教える事さ!」

 

お互いに名乗った後、ヒフミはレオに連れられてグッズがありそうな場所をしらみ潰しに探していた。

その間、世間話にお互いの境遇などを話していたのだ。

 

「へぇ!じゃあその偉い娘にアンタは認められたワケだ!」

 

レオのイントネーションは微妙に標準的な感覚からズレていたが会話がしにくい程では無かった。

 

「え、まぁ…そうなんでしょうか…?」

 

「自覚ナシ?…まぁ、そうでもなきゃそんな格好でこんな所に来ないか」

 

「あぅぅぅ」

 

痛いところを突かれヒフミは困った様に声を出した。

 

「アタシがいたから良かったものの…そうでなきゃ今頃アンタを信頼してくれている人に迷惑をかけてたんだから」

 

「はいぃ…」

 

だが、会ったばかりの自分にここまで世話を焼いてくれるこの人はとても良い人だ。

 

ヒフミは腕を組んで歩くレオを横目にそう思った。

 

「いたぞ!あっちだ!」

 

ヒフミを追いかけていた連中の声が響いた。

 

 

 

「うわぁ…ブラックマーケットって広いのねぇ」

 

物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回しながらセリカは感嘆の声を上げた。

 

「それにすっごく賑わってますね?」

 

勇介の隣を歩きながら立ち並ぶ店を眺めていたノノミも同じ様に感心している。

 

ブラックマーケットの街並みは、サイバーパンク作品に登場する下町の様な雑然とした雰囲気を醸し出し、度重なる人の往来によって薄汚れた路地や脇道が後ろ暗いこの街そのものを表しているかの様になっていた。

 

「ん。ブラックマーケットってもっと小さいかと思ってた」

 

「おじさん達は普段アビドスの外に出ないからねー。ここ以外にも他所には変わったものがいっぱいあるみたいだよ?デッカい水族館とか!」

 

「シャーレの近くにもあったな…今度、暇が出来たら皆で行ってみる?」

 

「いいの!?」

 

ホシノの予想外の食いつきに勇介はたじろいだ。

 

「い、いや勿論だけど…そんなに?」

 

「それこそ勿論だよ!うへぇ…楽しみだなぁ」

 

ホシノは目を輝かせながらスキップを踏むかの様に歩き出した。

勇介はホシノを親指で指差しながら翔一に目配せした。

翔一は子供の様にるんるんと歩くホシノを見て小さく頷いた。

 

『皆さん、油断しないでください。そこは非合法の武器などが取引されている場所なんですから…もっと気を引き締めてですね』

 

アヤネの台詞を遮る様に銃声が響いた。

 

「銃声…」

 

全員が自身の愛銃に手を伸ばした。

緊張によって感覚が研ぎ澄まされていく。

 

「待てやゴルァ!」

 

「ひぃぃ!?つ、ついてこないでくださぁいっ!」

 

「とにかく走れっ!」

 

褐色肌のラフな格好をした少女と純白の高価な制服を身に纏った少女の二人組が、武装した不良生徒の集団に追われていた。

 

『あれ…あの制服って』

 

アヤネの呟きに気を取られたシロコは追いかけられている二人の片割れとぶつかってしまった。

 

「大丈夫…な訳ないか。追われてるみたいだし」

 

「イタタ…すみません…」

 

「ヒフミもアンタも大丈夫?」

 

レオは尻餅をついた二人に手を差し出しながら言った。

 

「何だお前らは!?どけ!アタシ達はそのトリニティの生徒に用があるんだよ!」

 

額に青筋を浮かべながら不良集団の一人がそう言った。

 

『!…思い出しました!その制服はトリニティ総合学園のものでしたね』

 

「トリニティ…確かキヴォトスでも有数のマンモス校だったか」

 

「ってことはコイツらの目的は…身代金か?」

 

勇介の発言を元に翔一は推測を立てた。

 

「そうだとも!…さ、痛い目を見たくなきゃとっととその娘をこっちに渡しな!」

 

「それともお前らも一つ、この計画に乗るか?…ん?」

 

音も無く不良の背後に回ったノノミとシロコが彼女の首筋を銃床で殴った。

集団の先頭にいた二人組は気を失って倒れた。

 

「テメェら!どうやらボコされねぇとわかんねぇ様だな!」

 

仲間を倒された不良達は熱り立った。

 

『先生!指示をお願いします!』

 

アヤネの台詞に勇介は力強く頷いた。

ぴくりとレオの耳が先生という単語に反応したかの様に動いた。

勇介は深呼吸して眼前の敵対集団を見据えた。

 

「よし!皆、回れ右!逃げろッ!」

 

「…は?」

 

『え?』

 

アヤネと不良達は奇しくも反応を同じくして戸惑った。

 

「聞いたね!?皆、撤収!」

 

ホシノの号令によって全員が踵を返して走り出した。

 

「…っ!おい、待てやゴラァァァ!」

 

『えぇぇぇぇぇ!?』

 

アヤネの叫び声がブラックマーケットの一角に木霊した。

 




今回のオリキャラはいいやつです(ホントだよ)
それはそうと、ようやくキャラが掴めてきたぞ(遅い)

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