Puriφ's 方舟の花々   作:ばりるべい

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変身 metamorfose

 

翔一は少女に突き飛ばされた時、何が起きたか理解できなかった。

次の瞬間、自分が立っていた場所に鋭い鉤爪が振り下ろされた。

漸くなぜ少女がいきなり自分の肩を押したか理解できた。

オルフェノクだ。

 

「逃げて!」

 

少女は翔一に向かって叫んだ。

反論する間もなくオルフェノクに次の攻撃を繰り出された。

翔一はそれをなんとか回避して愛車の元へ走った。

 

少女はロードバイクに携帯していたケースの中からなんとアサルトライフルを取り出してオルフェノクに向けて発射した。

オルフェノクは素早く跳躍して銃弾を躱し、少女に向かって鉤爪を振り下ろそうとした。

翔一はバイクのリアシートに縛り付けていたケースを開いた。

敷き詰められている様々なツールの中から、携帯電話型のツールファイズフォンを取り出した。

説明書を読まずとも画面に使い方が表示されている。

 

…これか!

 

慌てず、急いで、そして正確にコードを入力した。

 

1・0・3・ENTER

 

『Single mode』

 

ファイズフォンから流暢な英語のシステム音声が流れた。

ファイズフォンの上半分を斜めに倒し、拳銃を模した形状に変化させる。

まさに今、少女に凶器を振り下ろそうとしている怪人に向けて引き金を引いた。

 

一瞬前まで電話のアンテナだったマズルから真紅の光弾が発射された。

 

光弾がオルフェノクの背中に命中し、オルフェノクは地面に叩き落とされた。

銀髪の少女は何が起きたのか分からないといった表情で呆けている。

 

タイガーオルフェノクは立ち上がり再び少女に襲いかかった。

彼女は先の出来事が理解できずに未だ呆然としている。

 

翔一は再び光弾を発射した。

命中と同時に真っ赤な血が宙に散って、オルフェノクは苦悶の声を上げながら後ずさった。

少女とオルフェノクの間に十分な距離が空いた。

 

今だ!

 

ファイズフォンを元の携帯の状態に戻し、今使うべきコードを入力する。

 

5・5・5・ENTER

 

『Standing by』

 

ファイズフォンのシステム音声と共にアラートの様な音がケース内のベルトから鳴り響いた。

翔一は機械仕掛けのベルトファイズドライバーを装着した。

ファイズフォンを折りたたみ、ドライバーにセットする。

 

「変身」

 

ファイズフォンをバックルの構造に合わせて倒した。

 

『COMPLETE』

 

赤く輝く流動エネルギー「フォトンブラッド」の経路が形成され、翔一の肉体は閃光に包まれた。

閃光が止んだ時、翔一は超金属ソルメタルの騎士ファイズに変身していた。

 

ファイズの視界「アルティメットファインダー」の左上に、人工衛星ホークアイとイーグルサットとの接続が不可能とのメッセージが表示された。

それはファイズの頭部に備わった二本のブレードアンテナ「グローバルフィーラー」が無用の長物と化した事を示していた。

 

ファイズはケースから武器のファイズエッジを取り出した。

ベルトのファイズフォンからミッションメモリーを引き抜いてファイズエッジに差し込んだ。

 

『Ready』

 

真紅に光り輝く刀身が形成され、ヴォンヴォンと唸りを上げた。

オルフェノクはもはや足元の少女には目もくれずファイズに向かって突進した。

ファイズもオルフェノクに向かって走り出した。

 

ファイズエッジと鉤爪がぶつかって火花が散った。

オルフェノクの鉤爪が根本からへし折れた。

ファイズは光剣を何度もオルフェノクに斬りつけた。

刀身がオルフェノクの体を傷つける度に鮮血が宙を舞った。

 

タイガーオルフェノクは怒りの雄叫びを上げると四足歩行になってファイズの周りを高速で走り出した。

ファイズはタイガーオルフェノクの行動を観察し攻撃に備えている。

 

凄まじき速度でオルフェノクがファイズに突進した。

すれ違いざまに修復した鉤爪でファイズの鎧を斬りつけていく。

ファイズの銀の装甲から火花が散ったが、見た目に変化はない。

超合金ソルメタルによって形成された鎧は頑強そのものだ。

だが衝撃は消しきれず、ファイズは攻撃を受けるたびによろめいた。

 

ファイズは次の行動を決めあぐねていた。

オルフェノクの攻撃は何度も繰り返され、次第にファイズの足がふらついてきた。

 

小気味の良い銃声が響いた。

少女がアサルトライフルをオルフェノクに向けて発射した。

高速で移動するオルフェノクには当たらないが、それでも気を逸らす事はできた。

 

再びタイガーオルフェノクがすれ違いざまの引っ掻き攻撃を繰り出そうとした。

ファイズはミッションメモリーを引き抜きながら、ファイズエッジの柄頭でオルフェノクの顔を殴りつけた。

ベルトの左側に携行していたデジタルカメラ型のパンチングユニット【ファイズショット】を取り出して、ミッションメモリーを挿入した。

 

『Ready』

 

ドライバーにセットされたファイズフォンを開いてENTERボタンを押す。

 

『Exceed charge』

 

ファイズのスーツの上に走る赤いエネルギー経路「フォトンストリーム」が輝き、ベルトからファイズショットを握った右拳へとエネルギーが流れていく。

 

「シャッ!」

 

掛け声と共に繰り出された必殺の拳「グランインパクト」がオルフェノクの腹へと打ち込まれた。

オルフェノクは青白い炎に自らを焼きながら灰と化した。

 

 

 

 

変身を解除した翔一は少女の元へ駆け寄った。

 

「大丈夫か?」

 

気づかぬ内に敬語が抜けていた。

 

「ん…大丈夫。助けてくれてありがとう」

 

「例を言うのは俺の方だ。ありがとう、お陰で助かった」

 

二人は自然と握手していた。

死線を共に潜り抜けた一体感と共に友情が芽生えていた。

 

「そう言えば、まだ名乗ってなかったな。俺は巽翔一だ」

 

「ん。砂狼シロコ」

 

「変わった苗字だな、この辺に住んでるのか?」

 

「そう…言いそびれたけど、行く所がないなら私達の学校に来る?」

 

「学校…?学校って寝泊まり出来るのか?」

 

「出来る。多分」

 

「その…良いのか?見ず知らずの人間を泊めて」

 

「ん…助けてくれたから。この位当然」

 

「そうか…ありがとう」

 

「ところで、君の頭の…“それ”。つけ耳…なのか?」

 

翔一は躊躇うように聞いた。

 

「ん、違う…れっきとした私の耳」

 

シロコは何故そんな事を聞くのかと首を傾げた。

 

「そっか…」

 

翔一は遠い目をして空を見上げた。

 

コスプレって可能性に賭けてたんだがな…

 

時々、耳がぴょこぴょこ動いているのを見てまさかとは思った。

しかしファイズに変身した時、アルティメットファインダーにシロコの頭上に光る輪っかが映っているのを見て、いよいよ疑惑は確信へと傾いていった。

恐らく、ここは翔一の知る世界とは違う場所だ。

さもなくば、彼女はオルフェノクに続く新人類か…

だがそんな話は聞いた事もない。

 

「ん…私からも聞いていい?」

 

「え?あぁ、どうぞ」

 

「さっきの姿は何?どうしてオルフェノクと一人で戦えるの?」

 

「あれはとある組織によって対オルフェノク様に作られた兵器なんだ。俺はそれを…その、パクったんだよ」

 

翔一は気まずそうに頭をかいた。

困った時や気まずい時、頭をかくのが彼の癖だった。

 

「へぇ…やるね」

 

そう言ってシロコは翔一にサムズアップした。

 

「え?」

 

肯定的な反応をされると思っていなかった翔一は思わず聞き間違いかと疑った。

 

「ん。じゃあ行こうか。ついてきて」

 

シロコはそう言うとヘルメットを被り直し、ロードバイクに跨った。

翔一は慌ててファイズ専用のツール一式【ファイズギア】を収納し、バイクのキーを回した。

 

「私が先導する。100キロ出せる?」

 

当たり前の様に自転車で法定速度オーバーの速度を出そうとしている彼女に対し、ヘルメットの中で苦笑しながら翔一は頷いた。

 

アビドス砂漠を二つの影が高速で走り抜けていった。

 




素人でも書ける内容にはしたくないけど、用語ばかりだと知らない人が置いてけぼりになっていくジレンマは終わらないorz
なのでそこのバランスは試行錯誤してみます。

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