本編後主人公のヒロインと始めるハイスピードメカアクション 作:文才の無い本の虫
――621・・・・・火を点けろ、燃え残った全てに
私は、全てを燃やした。
〜~
「仕事の時間だ・・・・・お前に意味を与えてやる」
私が始めて聞いたのは壮年の男性の声。
それから理解したのは新しい身体『LOADER4』の事。
私を買い取った人の名前はうぉるたー。
はんどらーは名前じゃ無いらしい。
「コーラルを見つければ、お前のような脳を焼かれた傭兵も人生を買い戻すだけの大金を得られるだろう」
じんせい・・・・・。
ねえ、うぉるたー。
じんせいってなあに?
「・・・・・レイヴン。それがこのルビコンでの名義だ。覚えておけ」
そして私は新しい名前をもらった。
人生についてはまだわからないけど、ウォルたーの為に頑張ってみようと思う。
「共に壁越えといこうじゃないか」
それからそれからラスティっていう戦友とあった。
なあに?ウォルター?
戦友の使い方?が違う?
戦友は私の憧れになった。
あんなに速く動けたら、もっとウォルターの役に立たてるから。
ハキハキ喋れたら、もっとウォルターとお話ができるから。
『起きてください、レイヴン。貴方の意識が・・・・・コーラルの流れに散逸する、その前に』
私が次に聞いたのは少し違う女性の声。
ルビコニアンだという彼女は私をサポートしてくれるらしい。
『さあ、レイヴン。仕事をはじめましょう』
彼女はエアと名乗った。
私の思い込みでなければ、エアと私は友達、のようなものだったんだろう。
「ビジター!好き勝手してくれているようじゃないか!!」
その次に、私はカーラと出会った。
初めてあったときはちょっと喧嘩?したけど『すまーとくりーなー』っていう玩具と遊んであげたら仲良くなれた。
「おいおいビジター・・・・・頭部位はしっかりとしたのを使いな。ん?改造?良いね、やってやろうじゃないか。ウォルターの飼い犬だろうと高く付くよ?」
それからはちょくちょく機体のことでお世話になっているうちにカーラは私のおねえさん?みたいなものになった。
「ビジター!!そんな格好だと強化人間でも風引くよ!!私のお古をやるから服を着な!!」
『ビジター、お前が来てからボスは楽しそうだ。要件はそれだけだ。じゃあな・・・・・どうした、ビジター。おしゃべり?・・・・・少しなら付き合おう』
チャティはおにいちゃん?ってカーラに聞いたら爆笑してた。
私はチャティと一緒に首を傾げていた。
「621、幻聴は治まったか?」
今日はね、エアとお茶会?したんだよ、ウォルター。
「・・・・・仕事に差し支えるなら言え。調整しよう」
それからだったと思う。
私が、少しずつ『私』を取り戻していったのは。
好きだけど苦手だった“お姉ちゃん”のこと。
嫌いな“お父さん”のこと。
幼馴染?の“ほんね”のこと。
他は、思い出せなかった。
ウォルターに聞いたら、ウォルターは
「そうか・・・・・お前は・・・・・」
って言いながら優しく頭を撫でてくれた。
カーラの言う通り、きっとお父さんっていうのはウォルターみたいな不器用だけど優しい人の事を言うんだと思う。
ねえ、ウォルター。
仕事が全部終わって、人生を買い戻したら、お父さんって呼んでも良いかな?
『残念です、レイヴン』
それから、色々あってウォルターの最後の依頼を達成する為にエアと敵になった。
ウォルターは居ない。
悲しいけど、しょうがなかった。
チャティも、死んでしまった。
私の知り合いは、カーラと戦友だけになった。
「ビジター、決着を付けるんだ」
「戦友・・・・・より高く飛ぶのは、私だ!!」
それからそれから戦友と戦った。
ハンドガンでスタッガーに追い込んで、パイルバンカーで戦友――ラスティを殺した。
「やはり、強いな・・・・・戦友・・・・・」
「・・・・・戦友、か。ビジター。憶えておいてやりな」
忘れない。
きっと。
忘れられないと思った。
「頼んだよ・・・・・ビジター」
エアと決着をつける時が来た。
『レイヴン・・・・・貴方こそが!!ルビコンの戦火そのものだった!!』
悲しい。
ごめんね、エア。
また、私はパイルバンカーで友達を殺した。
『レイ、ヴン・・・・・あなた、だけが・・・・・』
憶えておく。
忘れない。
けど、ブースターが動かない。
脱出は無理かも。
死んだら、会えるかな・・・・・ウォル、ター・・・・・
〜~
【解除条件を達成。メッセージを再生します】
いしき、が
「621・・・・・仕事は終わったようだな」
ウォル、ター?
「お前は自ら選び、俺たちの背負った遺産を清算した・・・・・すまない、そして感謝しよう」
・・・・・あ、あ・・・・・
「621、お前を縛るものはもう何もない。これからのお前の選択が・・・・・お前自身の可能性を広げることを祈る」
ウ、・・・・・ル、ター・・・・・・・・・・お、とう・・・・・さ・・・・・
〜~
――ピッ・・・・・ピッ・・・・・ピッ・・・・・
ここ、は?
私は死んだ筈じゃ・・・・・
ベッドの上?
「う、ぉる・・・・・たー・・・・・」
喉がある?
手も、ある。
『LOADER4』程じゃないけど足も、動く。
私は力を振り絞って、見慣れた医療用具を外して、なんか音がなってるけど、ベッドから立ち上がる。
体中が悲鳴を上げているけど無視する。
脳深部コーラル管理デバイスが無い。
窓から、青い空が見えた。
「るび、こん・・・・・じゃ、ない」
地球。
思い出して、来た。
私――『私』は更識の御屋敷で外を見ていたら、赤い光が見えて、意識を失ったんだ。
アレはきっと、コーラルの光だった。
じゃあ、コーラルは燃え尽きてない?
ここまで来てる?
・・・・・やら、なくちゃ。
一人でも。
更識を、利用すれば、できる。
それが、エアを、ラスティを殺した私の責任。
私の選択。
火を点けるんだ。
燃え残った全てに。
「みて、て、ね・・・・・ウォル、ター・・・・・」
次の瞬間、後ろの扉が開いて、水色の髪に赤い目の女の人が飛び込んできた。
「簪ちゃん?!」
その人は、『私』を知っているみたいだった。
そして、私もその人をぼんやりと憶えていた。
『私』の好きだけど、苦手な人。
「お、ねえ、ちゃん?」
「!!」
それからお姉ちゃんは看護師さんが来るまで、簪ちゃんの目が覚めてよかったと、私の事を抱きしめて泣いていた。
私は、ウォルターがエアがカーラがチャティがラスティが死んだ事を実感して、初めて涙を流した。
そして、これから
それが私――更識 簪の始まりだった。