本編後主人公のヒロインと始めるハイスピードメカアクション 作:文才の無い本の虫
「スネイル、状況は?」
ズキズキと身体が痛むのを無視してスネイルに問う。
「依然として『シルバリオ・ゴスペル』に動きはありません。解析では自己修復をしているのでは、と」
「そうか。『ロックスミス』が動かせないのがキツイな」
先程自己診断プログラムを走らせた所、ほぼ大破といって差し支えない状況だった。
自己修復も見込めないだろう。
「話は聞かせてもらったわ。どうやらピンチの様ね、迅!!」
バーン、と言った風に扉が開く。
そこにはメーテルリンクを連れた香織さんが立っていた。
「香織さん?!何故此処に・・・・・」
「新型を届けに来たのよ!!社長直々にね!!」
それで良いのだろうか。
するとスネイルが口角を上げて言う。
「ようやくですか。香織、10分で換装は?」
「はんっ。誰にモノ言ってんのよ。5分で終わらせるわ」
「宜しい。ではV.Ⅰは新型を受領後、再出撃を」
「くく、ぶっつけ本番か。無茶を言ってくれる」
口角が上がるのがわかる。
「出来るでしょう?」
「ああ。勿論だスネイル」
〜~
換装の終わったISを受け取り、香織さんから新型の説明を受けた俺達はビーチに来ていた。
「ねぇ、迅。迅。ほんとに大丈夫?ねぇ」
「大丈夫だ。大丈夫だから離れてくれ」
「やだ」
「更識簪、心配なのはわかりますが静かにしなさい」
「ん」
簪は引っ付いたまま静かになった。
離れてはくれないのか・・・・・。
パイロットスーツのせいで感触がダイレクトに伝わって来て色々とキツイんだが。
結構真面目な場面な筈なんだが・・・・・何故俺は理性を試されているんだ??
いや、まだ救いはある。
規律を重んじるスネイルなら「説明はちゃんと聞きなさい!!」とか言ってどうにかしてくれるだろう。
「はぁ。もうそのままで良いです・・・・・では、ブリーフィングを始めます」
・・・・・嘘だろスネイル。
このままだと人の居ないビーチにパイロットスーツの三人組がわちゃわちゃしているというギャグにしか見えない状況になるんだが??
「とは言っても、大した作戦はありません。些末な事柄は全て私がどうにかします。貴方達は『シルバリオ・ゴスペル』を撃破する事だけを考えなさい」
「了解した」
それからビーチに出る。
・・・・・引っ付いたままの簪を抱えながら。
途中すれ違った生徒や教職員にキャーキャー言われて精神ダメージを負ったのは些末な事柄だ。
「流石に降りてくれ。機体を展開できん」
「・・・・・ん、しょうが無い」
しょうが無いとは何を指して言っているんだろうか・・・・・。
まあ良い。
「起きろ――『
【――メインシステム、通常モード。起動します】
「・・・・・似てる」
「簪?」
「あ・・・・・ううん。何でも無い・・・・・それが、新型?」
「ああ。香織さん達には感謝しなければな」
良い機体だ。
レスポンスも早く、精密。
多分AMSの改良版の効果だろう。
それに加え機体も軽く、力強い。
レスポンスの速さと精密性を十全に活かせる様な設計。
正に職人技。
『ロックスミス』が悪い機体だとは言わんが俺には少し合っていなかった。
多分初めに載った
装備は両手に改良型ニードルガンと両背部の射突式ニードルランチャーだ。
この射突式ニードルランチャーは対象に大型の杭を打ち込む兵装だ。
簪の使っていたパイルバンカーからインスピレーションを得たのだとか。
「この新型なら・・・・・もっと高く飛べる」
いつの間にか横では簪が『LOADER4』を展開していた。
スネイルが少し離れて言った。
「V.Ⅰ・・・・・いえ、迅。勝って帰って来なさい」
「ああ。了解した、スネイル。行ってくる」
地面を蹴って飛び上がる。
「行こうか、簪」
「うん」
そうして、俺達は水平線の先の『シルバリオ・ゴスペル』に向けて飛び立った。
〜~
【LaLaLa――♪】
「ん、それはもう見た」
「ははは!!良いぞ!!もっとだ!!」
3機のISが海上を舞う。
鉄の杭と、銃弾と、光の礫を引き連れながら。
かれこれ十数分は飛び回っている。
ああ、とても良い。
【いい機体ね、この子も】
そうだろう?
何せ香織さん達が作り上げた機体だからな。
「その守り、穿たせてもらう――!!」
【LaLa――La!!】
ニードルガンを乱れ撃ちながら『シルバリオ・ゴスペル』の周囲を飛ぶ。
鉄の杭が白銀の装甲を穿っていく。
「えい!!」
【La?!】
そうして俺に注意が向いた所に簪がパイルバンカーを打ち込む。
その僅かな硬直に両背部の二連装ニードルランチャーを叩き込む。
【L――aLa・・・・・La】
『敵機損耗率70%!!V.Ⅰ、更識簪!!押し切りなさい!!』
「簪!!」
「ん!!」
加速。
俺と簪は左右に分かれて『シルバリオ・ゴスペル』に向かって突っ込む。
簪から借りていた予備の
向こうでも簪がパイルバンカーを構えるのが見えた。
「これで・・・・・終わり」
「これで、決める!!」
食い千切る様に『シルバリオ・ゴスペル』の左右から胴体と胸部に鉄の杭が突き刺さった。
もう、終わりだ。
【La・・・・・L――aLa】
【提案を受理します・・・・・お疲れ様でした、『シルバリオゴスペル』】
不思議な感覚。
奇妙な予感があった。
「
その不思議な感傷と共に言葉が漏れた。
そう、不思議な感覚だった。
己は敵を友と、そう呼んだのだから。
「――
〜~
決着が付いてから数時間。
最後の『シルバリオ・ゴスペル』の破片を詰めたコンテナの蓋を閉め、拡張領域に仕舞い込む。
「時間・・・・・掛かったね」
「まあな。海上で散らばった破片の回収だからな」
機密保持とはいえ、面倒なものだ。
破片を探すのにかなりの時間を浪費した。
もう深夜はとっくに過ぎている。
「あ、迅」
「どうした?」
「あれ」
簪が水平線を指差す。
空が明るくなっている。
「ああ・・・・・夜明けか」
「うん」
簪はISを収納して、近くにある岩に座った。
そして隣を叩いて言う。
「ん・・・・・一緒に、見よ?」
夜闇の中でも煌く彼女の紅い瞳が俺を見つめる。
そうか、そうだな。
俺は頷いて言った。
「ああ。そうしようか」
俺もISを収納して簪の隣に座った。
此処は水平線が良く見える。
周りには
あるのは波の打つ音と、己と彼女の吐息の音だけ。
とてもとても、静かだった。
「綺麗だね」
「ああ」
ゆっくりと日が昇っていく。
陽光がゆっくりと夜闇を払っていき、暗い青が紫になり、明く染まっていく。
まるであまねく全てを照らさんが如く。
だけど。
その感動的な景色よりも。
「簪」
「?」
「君の方がもっと綺麗だ」
俺は、陽光に照らされて輝く彼女に見惚れたのだ。
そう言うと、彼女は目を真ん丸にして固まってしまった。
「・・・・・し、心臓に悪い」
「く、ははは。すまん」
その様子がとても愛おしくて、ずっとこの時が続けば良いのにと、柄にもなく思った。
主人公
(ラスティ6+フロイト4)÷2+???
ここたま!!エンドじゃ無い事を祈っておこう。
かんちゃん
焼き回しなんじゃないかと思った。あまりにも――自分が手にかけた戦友の姿に似ていたから。
『アルバ』
速水鉄工が開発した第三世代IS。
後に速水鉄工の技術力を象徴する事になる機体。
特徴は何と言っても高い機動力と燃費を両立した点にある。
速水鉄工のISに共通する軽さと剛性を突き詰めた機体とも言えるだろう。
ジョシュアに「速くても長く飛べない機体で良いのか?」と焚き付けられた結果、空力バカ達は新技術を3つ4つ編み出したとか・・・・・。
第三世代である所以は、AMS―Allegory Manipulate System―を
通称AMSⅡは適性が低いパイロットにも繊細な動作やビット兵器の制御を可能とさせる画期的なシステム。
機体名は技術革命から『夜明け』。