本編後主人公のヒロインと始めるハイスピードメカアクション   作:文才の無い本の虫

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分岐点なのでちょっと短め


第二十話/分岐点Ⅰ

 

 

 

「ん・・・・・起きた?」

 

起きたら目の前に簪の顔があった。

????

・・・・・ああ、思い出した。

旅館に帰ってきた後に布団に倒れ込んでそのまま寝てしまったんだった。

 

「あー・・・・・おはよう、簪」

「うん、おはよう」

 

・・・・・うん?

 

「簪、今何時だ?」

「10時、だよ」

「・・・・・寝過ぎたな。起きるか」

 

布団から起き上がる。

強い疲労感に布団に戻りたくなる。

無茶をしすぎたか。

 

「二度寝、しないの?」

 

上目遣いで簪が言った言葉に同意したくなる。

だが、そのまま倒れ込んだからパイロットスーツのままなんだよなぁ。

 

「ああ。流石に風呂に入りたいからな」

「ん、わかった」

 

そうして旅館の風呂でさっぱりした後。

俺達は部屋で駄弁っていた。

外では同級生達が炎天下のビーチで走り込みやら訓練をしているというのに。

 

「・・・・・暇だな」

「うん」

 

贅沢な悩みだとは思うのだが、何もやることが無いと言うのはかなり退屈なのだ。

それにスネイルに「良いですか?貴方達は戦闘を終えた後に夜を徹して破片回収等の作業を行ったのです。休養が必要なのは当たり前でしょう。訓練は禁止です。部屋で大人しくしていなさい」と言われてしまっては安静にしているしか無い。

実際身体中が筋肉痛だし。

 

「じゃあ、二度寝・・・・・する?」

 

簪が広げたままの布団を持ち上げて言う。

魅力的な提案だ。

だが・・・・・。

 

「やめておこう。今寝ると夜に眠れなくなりそうだ」

「・・・・・迅の、いけず」

「いや、至極真っ当な事しか言ってないと思うんだが」

「とーへんぼく。迅の朴念仁・・・・・あ、ダジャレじゃ、無いよ?」

「・・・・・」

 

最後のは聞かなかったことにして。

簪から言葉と共に批難するような視線が飛んでくる。

・・・・・まあ、彼女の言わんとする事はわかる。

 

「俺も男なんだが?」

「別に、いいよ?」

「そういう事じゃなくてだな・・・・・」

 

少しドキリとする。

 

「全く・・・・・心臓に悪い」

「ふふ、じゃあ・・・・・お互いさまだね」

 

にへり、と彼女は可愛らしく笑う。

ああ、そういう所も心臓に悪いと言えるだろう。

 

「・・・・・今更か」

「?」

「二度寝はしないが、寛ぐぐらいは良いだろう」

 

そう言って俺は簪の横に寝転ぶ。

 

「・・・・・偶にはこうして過ごすのも悪く無い」

「迅はもっとゆっくり生きても良いと思うよ?」

「そうか?」

「うん。ちょっと前は分からないけど・・・・・少し休憩したからって迅を怒るような人は居ないと思うよ?」

「・・・・・」

 

言葉に詰まる。

確に今(・)は(・)そうだろう。

でもそれは実力から身嗜みまで、隙を出来る限り無くしたからに他ならない。

 

「本当に・・・・・そうか?」

「うん。私が見た範囲では、ね。迅はV(・).(・)Ⅰ(・)と(・)し(・)て(・)色(・)々(・)頑(・)張(・)っ(・)て(・)る(・)から」

 

簪が言った。

 

「でも・・・・・息が詰まる、よね?」

「・・・・・ああ」

 

『V.Ⅰ』であるということは、非の打ち所はあってはならないし、強くなくてはいけない。

でなければ俺に価値は無く、利用され尽くすだけなのだから。

 

「じゃあ、逃げよう」

 

 

 

〜~

 

 

「じゃあ、逃げよう」

 

そう、私は言った。

 

――理由なき強さほど 危ういものはないぞ・・・!

 

聞いてしまったからか。

知ってしまったからか。

 

「逃げる?」

 

困惑気味に返してきた彼に私は頷く。

 

迅は、強くなった。

私でもヒヤリとする時が出てきた程に。

でもその強さは、危うい。

身を守るためには攻撃的過ぎて、何かを目指すには向いていない。

その強さは、私(・)と(・)同(・)じ(・)何かを焼き尽くすものに近い。

 

「うん。誰も私達を知らない場所に。探せば・・・・・きっとある」

 

カーラに頼めばどうにかなると思う。

 

「そこで・・・・・スローライフとか、どう?」

「・・・・・魅力的な提案だな」

 

でも、きっと迅は頷かない。

立場上の責任とか、偽(・)物(・)の(・)プライドとか、そういったものがあるから。

 

「だが、その提案は受けられない」

「うん」

「一応、俺はV.Ⅰだからな」

「迅のままで居られないのに?」

「ああ。責任・・・・・と言うのはあれだがな」

 

――全(・)部(・)焼(・)け(・)ば(・)、(・)頷(・)い(・)て(・)く(・)れ(・)る(・)の(・)か(・)な(・)?

とか考えたり。

 

「じゃあ・・・・・今は諦める」

「すまん」

 

申し訳無さそうに迅は言った。

でもその後に・・・・・。

 

「代わりと言うか、前々から言おうと思っていたんだが・・・・・夏休みに何処か行かないか?」

「行く!!」

 

その言葉に考えていた事は一旦放り投げて彼に抱き着く。

スキンシップは重要だってカーラも言ってたし、くっつくのは迅が生(・)き(・)て(・)る(・)の(・)を(・)感(・)じ(・)る(・)か(・)ら(・)むしろ好きだ。

そうして暫くごろごろしていたら、迅が寝てしまった。

安心したのかな?

 

「・・・・・ふふ。可愛い」

 

寝顔、写真取っておこう。

私は起き上がって迅の頭を膝に乗せて優しく撫ぜる。

最近はあんまり寝れてなかったみたいだし、少しぐらい気が楽になってくれると良いな。

 

「迅は、偉いね・・・・・口調も、身嗜みも、色んな事に気を使って、V.Ⅰであろうとしてる。皆(・)わ(・)か(・)っ(・)て(・)な(・)い(・)の(・)に(・)」

 

そうして撫ぜていると、出さない様にしていた言葉が口から溢れた。

 

「迅は私から離れていかないでね」

 

言わない様にしていた言葉。

言ったら、思い出してしまうから。

ウォルターやエア、▓▓▓▓(戦友)を。

ああ、でも・・・・・障害は排除すれば良いし、煩わしいものも全部壊してしまえば・・・・・。

 

「ねぇ、迅――」

 

寝ている彼に問い掛けても、意味は無いのに。

 

「――私が全部を焼き尽くしても、迅は私を好きで居てくれる?」

 

 

 







主人公
素が出てくるのは香織と簪の前だけ。他は『V.Ⅰ』か『▓▓▓▓』の顔が出てきている。

かんちゃん
主人公は軽く2−3日の旅行のつもりだったけど長期旅行に行く気まんまん。ちょっと黒い鳥√(ヤンデレ√)のフラグが立った。

『▓▓▓▓』
向こう側から流れ着いた残滓のようなもの。主人公の言動に影響を与えている。



メノ・ルー
最後の場面だけ通りすがりののほほんと覗いてた。絵面は微笑ましいのにじっと主人公を見つめる簪の目が怖くてのほほんと抱き合って震えてた。

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