本編後主人公のヒロインと始めるハイスピードメカアクション   作:文才の無い本の虫

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第一話/騒動の始まり

 

 

 

「迅!!無事?!其処の陰険クソ眼鏡に何かされてないわよね?!」

「ぐぇ・・・・・か、香織さん・・・・・首、締まってる」

「あ、ごめんなさい」

 

何が何だかわからない内に眼鏡の女性に検査場から連れ出されてやって来たのは馴染み深い速水鉄工の本社ビルだった。

ため息をつきながら眼鏡の女性は香織さんに言った。

 

「はぁ・・・・・いくら私個人が男嫌いであろうとも我が社の重要な取引相手である貴方を敵に回す様な行動を取るわけがありません。私はアーキバスである事に誇りをもっているのです」

「あーはいはい。スネイル、迅を真っ先に此方に送り届けてくれたのは感謝するけど、貴方の自社自慢は後でにして頂戴。で、アーキバスの社長である貴方が直々に来るってことは何か話があるんでしょう?」

「ええ、話が速くて助かります。流石は速水鉄工の社長といった所でしょう。貴方方もアーキバスグループに入りませんか?」

「結構よ。もう少し福利厚生をしっかりとしてから出直して来なさい」

「ふぅ・・・・・残念です」

 

何がどうなっているのやら。

俺は香織さんにスネイルと呼ばれていた眼鏡の女性を改めて見る。

腰まである銀のストレートヘアと紫の瞳に銀縁眼鏡、不機嫌そうな鉄面皮、きっちりと着こなしたビジネススーツ。

香織さんとは別のベクトルでの美女。

今気づいたが持ち物の至る所にアーキバスグループのロゴが刻まれている。

この調子ならば身に付けているビジネススーツもアーキバスグループの商品なのではないだろうか。

・・・・・もしかしたら思ったよりも親しみやすい人なのかもしれない。

 

「では、其処の『二人目(セカンドマン)』」

「「『二人目(セカンドマン)』?」」

「ええ。織斑一夏に次ぐ二人目の男性操縦者、貴方のことです」

 

安直な・・・・・わかりやすい呼び名だと思おう。

きっとこれから言い続けられるだろうから。

 

「改めて自己紹介といきましょう。この私の自己紹介を聞けること、光栄に思いなさい」

「・・・・・(香織さん、この人って何時もこの調子なのか?)」

「(そうよ。悪い奴では無いんだけどね。何時かくっ殺しなさい!とか言ってそうで心配なのよね)」

「そこ!私語は慎みなさい」

 

先生か??

最初は典型的な女尊男卑かと思ったが・・・・・違うみたいだ。

言うなれば、自尊他卑?

アーキバスについて話しているときは心做しか機嫌が良さそうに見える。

 

「私の名前はスネイル・アーキバス。栄えあるアーキバスコーポレーションの社長であり、アーキバスグループの代表取締役です。速水迅、この私と知己を得られる事を光栄に思いなさい」

「・・・・・」

 

思わず閉口する。

これはどう反応したら良いのだろうか。

涙ぐめば良いのだろうか?

 

「ふ、感涙で言葉も出ませんか。無駄な事を言わない分、凡夫にしては良い姿勢です」

 

これで良いのか・・・・・。

 

「速水 迅。()()()()()()()()()()()()テストパイロットになりなさい。貴方に拒否権はありません」

「んなっ?!スネイル!!」

「香織、貴方もわかっている筈です。貴方の会社では其処の『二人目(セカンドマン)』を守り切ることは出来ないと」

 

スネイルさんは中指でカチャリと眼鏡を上げて言った。

 

「・・・・・そうね、速水鉄工じゃ国に対抗するには小さ過ぎる。だけどアンタの所なら守り切れる」

「その通りです。それに貴方の会社にも利益のある話です。今現在、アーキバスグループは同盟企業を探しています。アーキバスには無い製鉄業や航空業に強い技術を持つ、速水鉄工の様な企業を」

「・・・・・なる程ね」

「此方には技術交流と優先取引権の付与に加え、()()()()()()()()()()()()()()()を貴社に派遣する用意があります」

 

スネイル・・・・・さんは香織さんにそう提案する。

提案というよりも決定事項を通達する様な言い草だが。

香織は少し考える素振りを見せたあと、スネイルさんの目を見た。

 

「そ、嘘は無いみたいね。良いわ。取り敢えずアーキバスグループに入ってあげる。此方としても悪い話じゃ無いしね・・・・・」

「良い判断です」

「スネイル、一つ追加条件よ。同盟っていうんならアーキバスの株、()()3%よこしなさい」

「・・・・・チッ。良いでしょう。条件を詰め、正式な書面は後日持ってこさせます」

「ふん。じゃあ、これからよろしく頼むわ。スネイル代表取締役殿?」

 

香織さんがニヤニヤとした顔でスネイルさんに右手を差し出す。

スネイルさんは苦虫を噛み潰したような表情でその手を取った。

 

「さて、行きますよ駄犬」

「駄犬?」

「ええ。今から貴方はアーキバスコーポレーションのテストパイロット。この私直属の部下(奴隷)と言うことです」

 

・・・・・今、部下と言われたはずなのにそう感じない。

絶対に奴隷とか思ってるだろこの女。

 

「私の事はスネイル様と呼びなさい」

 

これまでのやり取りで香織さんがこの女の事を陰険クソ眼鏡と呼んでいた理由を理解した。

 

「・・・・・了解した、スネイル様(陰険クソ眼鏡)

「ええ、それで結構。本日の貴方の業務を通達します」

 

さて、どんな苦行が待っているのだろうか??

 

「まずは社員証の発行と諸々の事務手続き。それからアーキバス本社の構造と歴史を憶える事です」

 

ん?

構造はわかるが歴史??

 

「社長である私の案内を受けられる事、光栄に思いなさい」

 

・・・・・まあ、なるようになるか。

 

 

 

〜~

 

 

 

私が病院で目覚めてから数年が経った。

世界はISと言うのが各国のパワーバランスを左右しており、そのISが女性にしか操縦出来ない事で女尊男卑の考えが広がっていた。

女性が生きやすい社会とはよく言ったものだと思うけど、私には破綻する未来しか見えない。

 

「IS・・・・・ACみたいなものなのかな」

 

気になる。

コーラルが本当に地球にあるかの調査には足が必要だし、もしコーラルがあったら焼き払うには力が必要だ。

だから。

 

「IS適性・・・・・Sですって?!」

「研究者を!!」

「・・・・・えっと、私、ISに乗れるんですか?」

「乗れるわ!!もちろんよ!!」

 

私はIS操縦者になる道を選んだ。

見ててね、ウォルター。

私、頑張るよ。

 

 

 

〜~

 

 

 

「おや?」

 

とあるオフィスで女性がタブレットで記事を読んでいた。

見ているのは『【IS】適性S現る!!』との見出し、ではなく。

その下についていた写真。

 

「ふうん・・・・・似ているね」

 

白い髪に赤い目の儚げな少女。

女性は近くに置いてあったパソコンを起動し、その少女に関する情報を収集する。

 

「8年前に原因不明の昏睡・・・・・で、目覚めたのは2年前。私が漂着した時期と被ってる」

 

そしてしばらくしてから、何かを確信した表情でニヤリと笑う。

 

「成程。随分と寝てた様だね・・・・・改めて、歓迎しようじゃないか()()()()。この、シンダー・カーラがね」

 

 

 







アーキバスコーポレーション
長い歴史を持つ軍需企業。傘下に多数の企業を抱えており、世界経済を左右するほどの影響力を持っている。給料はとても高いが、残業代は出ないなど福利厚生は杜撰。でも基本的にエリートが多いので残業はほぼ発生しない。

速水鉄工
ここ数年で急成長した製鉄業と航空機産業ではトップクラスとされる大企業。社員の大半は職人と技術者、研究者であり、母体になった町工場の側面を強く受け継いでいる為、連帯感が強い。勿論福利厚生は手厚い。


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