本編後主人公のヒロインと始めるハイスピードメカアクション 作:文才の無い本の虫
「スロースロー・・・・・クイッククイック、スロー・・・・・おや、ご友人が困っている・・・・・不憫だ」
「うわぁ・・・・・きも」
「さあ、パーティー会場に向かいましょう、ご友人」
「話通じないし、束さんは毎回お前のご友人じゃねえって言ってるよね?!」
〜~
「エア・・・・・!!」
《レイヴン・・・・・!!》
誰かが闘っている。
紅い天使と、黒い靄がかかったナニカが。
「んっ!!」
《くっ・・・・・貴女は強く、そして危険です。私も、本気でお相手します!!》
黒いナニカが鳥のように舞い、紅い天使へと肉薄する。
あれは、パイルバンカーだろうか。
その杭が、紅い壁に逸らされた。
「当たらない?!コーラルシールド?!」
《私は、この世界のコーラルそのもの。盾にする同胞には申し訳ありませんが、貴女を倒せるならば無駄にはなりません!!》
それらのやけに遠くに聞こえる。
揺蕩う様な気分だ。
【▓!!目を▓▓▓て!!】
ああ、
【バイタルが下がり続けてる・・・・・ISの生▓▓持機能じゃ足りな▓っていうの?】
俺は・・・・・俺?
「俺」って何だったろうか?
【何か・・・・・外▓からの▓▓があれば】
ああ・・・・・頭が痛い。
【ハハハ!!ちょーっとお手伝いをね?】
〜~
「?!」
アラームが鳴る前に
次の瞬間、眼の前を青白い光が通り過ぎて、エアに当たった。
《攻撃?!何処から》
【あーあーもすもすひねもす?聞こえてるかな?博士から君達に、プレゼントがあってね。これはそのオマケってやつさ】
何がどうなってる?
この声は前のトーナメントで襲撃して来た無人機の?
うん?
高速接近反応。
このシグナル、何処かで見た気が・・・・・。
『お久しぶりです、ご友人♡』
・・・・・・・・・・かえる。
『さあ!!踊りましょう!!』
『ジェネレータの甘美な調べ・・・・・新しいご友人に頂いたミルクトゥースも喜んでいる!!』
『スロースロー、クイッククイック、スロー・・・・・素敵なステップです、ご友人!!』
たすけて、じん。
〜~
《くっ・・・・・こうなっては仕方ありません。オールマインド、アレをやります。コレはもう持ちません》
「オールマインド?!一体何を?!」
『サプライズをしていただけるのですね?素敵だ・・・・・』
戦闘開始から十分。
そうして、紅い機体が膝を付き、そこからコーラルが抜けていく。
《レイヴン・・・・・文字通り、私の全てを以って貴女を殺します!!》
『美しいコーラルの本流、まるで可憐な薔薇のようだ・・・・・心が躍ります』
抜けたコーラルが人型を取る。
コーラルの怪獣みたい。
「ん・・・・・なら燃やすだけ!!」
オーバードブーストで距離を詰め――衝撃。
「がっ?!」
何が起きた?
視界の端に流れる情報から攻撃を受けたのだと理解る。
身体中が痛い。
一気に削られた。
《コーラルは情報導体特性を持つ粒子です。それを集めて身体とした私は
「ん・・・・・やってみないとわからない」
無理矢理立ち上がる。
自己診断プログラムを走らせて『LOADER4』の状況を確認する。
損傷率48%・・・・・まだ行ける。
『傷付き、それでも尚折れない高潔さ・・・・・思わず胸が高鳴ってしまいます♡』
《ならば・・・・・レイヴン!!決着を!!》
勘でエアの突進を躱す。
彼女の癖は憶えてる。
それに、考えると同時に動くなら私が躱せた事に説明が付かない。
追い付いてないなら。
「こ、こ!!」
次にエアが攻撃するであろう瞬間に合わせてパイルバンカー。
《な?!》
エアが体の一部を散らしながら吹き飛ぶ。
「やっぱり・・・・・エア、その速度に追い付いてない、ね」
『あ、あ・・・・・また、贈り物をくれるのですね・・・・・素敵、だぁ・・・・・・・・・・』
《なら、どうしたと言うのです?貴女は瀕死ですが、私は無傷と言って良い》
「エアが、慣れる前に――殺す」
そこからはドッグファイトじみた闘いになった。
エアを追い掛けながら突進を躱し、合間にパイルバンカーを決める。
確実に削れてる。
だけど、意識が朦朧として来た。
多分、コーラルを浴びすぎたんだろうと思う。
本来そういったものから守ってくれるはずの
・・・・・時間との勝負。
いや、もう無理かもしれない。
ISにリペアキットは無いから、仕切り直しは出来ないし、今の私は
強化人間だったら、確実にとは言わないけど勝てたと思う。
だけど今の私はコーラルの中毒症状で1分・・・・・いや、30秒で動けなくなる。
そしたら、死ぬ。
死んだら次なんてない。
「・・・・・まだ、やりたい事・・・・・いっぱい、あったのになぁ」
迅とゴロゴロしたり、二人で出かけたり、些細なことで笑い合ったりして・・・・・そっか、そういうのが“普通の生活”って言うんだ。
あぁ・・・・・・・・・・死にたくないなあ。
《これで最後です、レイヴン!!》
紅い光が視界を埋め尽くす。
妙にゆっくり感じた。
これが走馬灯って言うのかな?
「させるか!!」
やけにはっきりと――声が、聞こえた。
《再起動?!・・・・・そんな、有り得ない!!致死量のコーラルを浴びて、心肺も停止していた筈です!!》
気付けば、私は白いISに抱えられていた。
隅から隅まで真っ白な、青い複眼のIS。
キラキラと舞う緑がかった粒子が相まって幻想的にすら見える。
だけど、そんな事どうでも良かった。
「――遅くなったな、簪」
「ばか、遅いよ」
「すまん。帰ったら幾らでも叱責は受けるし、埋め合わせもする。だから、少し待っててくれ。終わらせてくる」
迅が、帰ってきたから。