本編後主人公のヒロインと始めるハイスピードメカアクション   作:文才の無い本の虫

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大き過ぎる・・・・・(ガバの影響が)


第三話/実績作り

 

 

 

「迅!!無事?!無事よね?!」

「久し振り、香織さん」

 

一ヶ月と数日振りに会う香織さんは少しも変わっていなくて安心する。

 

「ていうか何か垢抜けた感じがするし筋肉質になってるわね・・・・・」

「ええ。私のアーキバスに名を連ねるのです。最低限の体裁を整えるのは当然でしょう」

「スネイル・・・・・何でアンタが此処に??」

「我が社のテストパイロットへの機体の受け渡しに責任者が同席するのは常識でしょう」

「・・・・・ふ~ん。成程成程。ねぇ、スネイル。ウチの息子、良い男でしょ?」

「い、いきなり何を言うのですか?!そのにやけた表情を即刻止めなさい!!」

 

今日俺が速水鉄工に来たのは、専用機の受領の為だ。

スネイルからは「貴方に相応しい機体です」としか聞いていない為、楽しみだ。

 

「積もる話は後にして・・・・・専用機はアリーナに用意してあるわ。付いてきなさい」

 

香織さんの後ろを付いて歩く。

一ヶ月もアーキバス本社で生活していたからか、唯の廊下が妙に新鮮に感じる。

暫くして、速水鉄工の地下にあるアリーナに着いた。

 

「さ、ご対面よ」

 

香織さんはアリーナの扉を開き、スイッチを押す。

そして、ソレはアリーナの中心に佇んでいた。

滑らかな直線が多い必要最低限の装甲。

空力だけを追い求めたであろう異形の四脚。

 

「香織さん、コイツの名前は?」

「『ラマーガイアー』。ヒゲワシって意味よ。どう?気に入ったかしら?」

「ああ。気に入った」

 

俺は中央に佇む『ラマーガイアー』の前に行き、その装甲に触れる。

装着は瞬く間に終わる。

そして。

 

【メインシステム 通常モード起動】

 

パワーアシストは充分。

機体のレスポンスも早い。

 

「良いぞ、『ラマーガイアー』。お前とならもっと面白くなりそうだ」

 

・・・・・スネイルとの生活で、少し戦闘狂い(バトルジャンキー)になってしまった気がするが。

まあ、良いか。

 

 

 

〜~

 

 

 

「どうだい、ビジター。『打鉄弐式』改め、『LOADER4』は」

「うん、良い感じ」

「なら良かった。でも本当に良いのかい?ISはACと違ってもっと武器を積めるんだが」

「いいの。多くても土壇場でこんがらがる。それならシンプルな方が良い」

「そうかい。なら私は何も言わないよ」

 

機体の反応を確かめる。

外見はルビコンで使っていた(ウォルターから貰った)機体に寄せてもらったが、結構しっくりくる。

装備は汎用のハンドガンを両手に二丁。

そしてカーラに再現してもらった大型パイルバンカーを左背部に担ぐ。

 

「ビジター、慣らし運転といこうじゃないか」

 

カーラが端末を操作する。

アリーナの壁面の一部が開き、カラフルなドローンが現れる。

私は、機動戦闘用の複眼バイザーを下ろした。

 

「先ずはドローン10機からだ。行けるね?」

「ん、勿論」

【メインシステム 戦闘モード起動】

 

先ずはアサルトブーストで距離を詰める。

回避は最小限に。

両手のハンドガンで2機落として、1機を蹴り壊す。

 

「まず3」

 

次の瞬間には方向転換をしてクイックブースト(横移動)

さっきまで私が居た場所を弾丸やレーザーが通り過ぎる。

今度はジャンプやクイックブースト(横移動)を織り交ぜながらハンドガンでドローンを落としていく。

 

「4、5、6、7」

 

リロードを挟む。

結構ハンドガンを外してしまったみたい。

無駄弾・・・・・弾薬費が・・・・・勿体無い。

クイックブースト(横移動)からアサルトブーストに繋げて近くに居たドローンを1機落としておく。

リロードが終わる。

 

「8、9」

 

あと1機。

最後は弾代が勿体無いので。

左手のハンドガンを左背部のパイルバンカーと入れ替え――

 

「えいっ」

――ズドンッ

 

チャージパイル。

うん、やっぱりパイルバンカーは良い。

コレを勧めてくれたミシガン総長には感謝しか無い。

そんな事を考えながら私はカーラの所に戻る。

 

「ブランクがあるにしてはやるじゃないかビジター」

「ううん。まだまだだよ、カーラ。距離感が甘い」

「そうかい。で、何か調整が必要か?」

「うん、少しだけ。通常推力が高いから少し下げてもらうのと、縮められるなら脚部の反応速度を上げて欲しい。0,1秒ぐらいタイムラグがあったから」

「ふむ、推力の方は任せな。脚部の反応速度は・・・・・そうだね、IS側のアンタへの理解が足りてないだけかね」

 

カーラの物言いに少し頭を捻る。

反応速度って理解度でどうにかなる問題なのかな。

 

「どういうこと?」

「おや、ISに対する勉強が足りてない様だね、ビジター。ISは学習機能があるのさ。最初にやったフィッティングもその一環だね」

「へぇ。だったら私が反応速度が足りないってISに入力したら改善されるの?」

「その通り。それに加えて、自己進化と自己修復機能まであると来た。こいつらを創った束博士は正真正銘の天才ってやつだったんだろうね」

 

カーラの話の中に聞き捨て出来ない事があった。

それって・・・・・!!

 

「カーラ、それって・・・・・修理費がタダってこと?!」

「あー・・・・・そういやビジターは傭兵だったか。タダってわけじゃ無いが、被弾や装甲の変形とかの軽い損傷なら放置しときゃ直るのさ。元は宇宙探査用だったみたいなんだが・・・・・今は関係無い話だね」

 

IS・・・・・凄い。

これからは修理費に頭を悩ませることも少なくなる。

 

「一旦休憩にしようか。アンタは体作りもまだまだみたいだしね。食事にするよ。付いて来な」

「うん!」

 

私は『LOADER4』を待機状態にしてカーラの後について行った。

今日はどんな料理何だろう?

少し楽しみだ。

 

「凄い・・・・・いっぱいある」

「コレは満漢全席っていうメニューでね、山盛りにしたフルコースみたいなもんさ。食いきれなかった分は持ち帰れるから安心して食べな」

「(もぐもぐ)」

「おいおい・・・・・口にソースが付いてるよ、ビジター」

 

そうして腹ごしらえが終わって。

 

「さて、ビジター。楽しい試験勉強の時間だ」

 

う・・・・・勉強、嫌い。

 

 

 

〜~

 

 

 

「・・・・・スネイル、一つ聞いて良いか?」

「ええ、どうぞ」

「実績作りというのは・・・・・自殺の隠語か何かか?」

 

背部に16本の追加ブースターを装着した『ラマーガイアー』の中でプライベートチャンネルの繋がっているスネイルに言う。

 

「このVOBだったかがカタログスペック通りの速度を叩き出すなら、俺はミンチになると思うんだが」

「安心しなさい、V.Ⅰ()。貴方の『ラマーガイアー』(IS)の生命維持機能がある限り即死は免れる筈です」

「要するに瀕死にはなるんだな?」

「ええ、82%程の確率ですが」

「・・・・・やはり実績作りというのは自殺の隠語か何かじゃないか?」

 

ため息をつく。

この数週間の事を振り返るとこんな事ばっかりだった気がする。

まず、アーキバスグループ専属IS部隊『ヴェスパー』が設立され、その隊長に任命された。

V.Ⅰ(ヴェスパーワン)というコールサインを貰ったは良いが、つい数ヶ月前までは平凡な学生だった俺がアーキバスに所属しているIS操縦者というエリート達をまとめ上げる隊長・・・・・胃が痛い。

次に世間への顔見せだ。

スネイルとお揃いのスーツを着て臨んだ記者会見。

スネイルがカンペやスーツを用意してくれたが、勿論『二人目(セカンドマン)』ということで質問の雨霰。

本当にキツかった

その次は至って真面目な書類仕事。

俺は社畜にでもなったのだろうかと思う量だったが、スネイルが手伝ってくれたお陰で二徹で済んだ。

あの時の仕事明けにスネイルと飲んだ安物の缶コーヒーが今まで飲んだどのコーヒーよりも美味く感じたのが印象的だった。

そして今、“ISによる大気圏突破及び再突入実験”の為に俺と『ラマーガイアー』はアーキバスが所有する土地に建設された大陸間物資輸送用カーゴランチャーで宇宙に向けて射出されようとしている。

射出って有人機に使う言葉では無いと思うんだがなぁ・・・・・。

 

「そろそろ実験の開始時刻です」

「ふぅ・・・・・彼奴等(空力バカ共)が作った高速巡航モードが無事に動いてくれる事を祈っておこうか」

 

実験のフェーズは全部で5つ。

フェーズ1はカーマンラインの突破。

フェーズ2は宇宙空間への到達。

フェーズ3は宇宙空間での動作確認。

フェーズ4は大気圏への再突入。

そして最後のフェーズ5は発射場への着陸。

何かあった時のためにスネイルが中空で待機しているが、宇宙空間でトラブルが起きた時は俺とコイツ(『ラマーガイアー』)でどうにかするしか無い。

まあ、ISは元々宇宙探査用だったらしいから・・・・・大丈夫だと信じたい。

 

「・・・・・V.Ⅰ。無事の成功を」

 

プライベートチャンネルからの一言。

少し口元が緩む。

心做しか不安も減った。

 

「はは。了解した、スネイル。無事に帰ってきたらコーヒーを淹れてくれ」

「ええ、それぐらいなら」

 

【メインシステム 高速巡航モード 起動】

 

「じゃあ、行ってくる」

 

そして俺は一条の流星となった。

 

 

 

〜~

 

 

 

その日、IS業界に――いや、世界に激震が走った。

原因はアーキバスグループが発表したある実験の成功。

 

「へぇ。凡人にしてはやるじゃん」

「束様、どうしたのですか?」

「ん~~凡人の中にもすっごい気狂いがいたって話だよん」

「気狂い・・・・・でも、束様」

「なーに?」

「笑っておられますが」

 

内容は“ISによる大気圏突破及び再突入実験”。

アーキバスは同社専属テストパイロットが搭乗するISを追加ブースターと大陸間物資輸送用カーゴランチャーによって宇宙空間まで射出、そこから地上に帰還するまでを公開した。

そのテストパイロットが数多のスペースデブリの間を縫って飛行する映像と共に。

それはISのさらなる可能性を示唆すると共に、ある一人の男性操縦者の名前を世間に知らしめる。

 

「・・・・・んふ、そう見える?そう見えちゃう?」

「はい。とても上機嫌に見えます」

 

アーキバスグループ専属IS部隊、『ヴェスパー』。

その部隊長、V.Ⅰ速水 迅の名前を。

 

「楽しみだなぁ・・・・・速水迅。君はこのつまらない世界をどうするのかな?ねえ。教えてくれよ、凡人

 

 

 

 

 

 

 

 







主人公
(ラスティ+フロイト)÷4=0.6レイヴンぐらい(成長途中)
主にスネイルちゃんのせいでフロイトの片鱗を魅せる。尚、操縦技術、とりわけ機体制御に関しては世界最高峰に片足を突っ込んでいる。フロンタルみたいにデブリを蹴って加速とかもしてた。本人曰く「出来そうだからやった」。後でスネイルちゃんに「実験中に不確定要素増やすなんて馬鹿なのですか貴方は?!」と正論でこっ酷く叱られたそうな。

スネイルちゃん
0.9レイヴンぐらい。地味にというか伊達に「私こそが企業だ!!」してないレベルで強い。実は香織とは大学の同期であり、以前から交友があった。典型的な身内になったら甘くなるタイプ。何処かの同僚を捨て駒に使っていた名前が同じ強化人間とは別物。しかも口調が尊大で自己肯定感の塊なだけで割と常識人。
作者コメント:どうしてこうなった??

かんちゃん
ブランクなしで3レイヴン+αぐらい(完成した傭兵)
今はブランクがあるので1.6レイヴンぐらい。
レイヴンの火ルートを頭部を変更しただけの初期機+ハンドガン2丁とパイルバンカーで初見ノーコンクリアした猛者。マジモンのイレギュラーである。
(アセンは作者がレイヴンの火をクリアした時に使った奴。要するに趣味である)因みに作者は初見ノーコンは無理だった。

カーラの姉御
0.9レイヴンぐらい。フルコースは伊達じゃない。コーラルは今のところ無いし、日本は比較的平和だし、ビジターの世話を見てあげようかね・・・・・唯の気の良い姉御である。

ちっふー
2レイヴンぐらい(現世界最強)。

たばねん
5レイヴンぐらい(?!)。細胞単位でオーバースペックな人。しかも努力すれば成長も可能。主人公に興味を持った為、今後が大変。

単位:レイヴン
1レイヴンでAC6の真レイヴンと同じぐらいの戦闘能力とする


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