本編後主人公のヒロインと始めるハイスピードメカアクション 作:文才の無い本の虫
「・・・・・う、ぅ・・・・・あれ?」
目を覚ます。
知らない天井に、真新しいシーツの匂い。
私は急いで飛び起きる。
「起きたか」
「ぴっ・・・・・だ、誰・・・・・?」
ベッドの近くに置かれた椅子にIS学園の制服――ジャケット風にカスタマイズされている――を着た男の人が座っていた。
短く切り揃えられた深い紺にも見える黒髪に、晴れた空の様に青い目。
彼は私を心配する優しげな声色で言う。
「いきなり倒れてしまったから使っていない方のベットに寝かせたんだが・・・・・大丈夫か?」
「え、ぅ・・・・・うん。ありがとう、ございます・・・・・」
「礼は良い。当然の事をしたまでだ」
次の瞬間、彼の纏う雰囲気が切り替わった。
「さて・・・・・何故この部屋に来た?目的は稼働データか?それとも・・・・・」
「え?」
「・・・・・ん?」
稼働データ?どういう事だろうか?
二人揃って首を傾げる。
暫くして、彼が肩透かしを食らったような表情で言った。
「まさか・・・・・君が俺の同居人、か?」
「た、多分・・・・・そう、だと思う・・・・・」
「はぁ・・・・・織斑女史め・・・・・」
彼は眉間を押さえてため息をつく。
とても申し訳無い気持ちになる。
「ご、ごめんね・・・・・」
「ん?何故君が謝る?」
「だ、だって・・・・・私みたいなのと生活する事は嫌だろうし・・・・・きっと彼女さんとかも居るかもしれないし・・・・・申し訳無いな、って・・・・・思って・・・・・」
言葉が尻すぼみになってしまう。
人と喋るのは、やっぱり苦手だ。
だけど、親切にしてくれた彼に対しても、ハキハキとお礼を言えない事は嫌だ。
そうして私が一人で勝手に自己嫌悪に陥っていると、彼は言った。
「ふむ・・・・・先ずは俺が謝罪するのが筋だ。疑ってしまって悪かった。君が間者の類でないのは少し考えれば分かったことだ」
「そ、そんな・・・・・」
「そしてコレは俺のお節介だが・・・・・俺からすれば君は充分魅力的な女性だ。あんまり自分を卑下し過ぎるなよ」
「え、う・・・・・うん」
不思議だった。
何故彼は会ったばかりの私にそんな優しい言葉を掛けてくれるのだろうか。
・・・・・少し、ウォルターを思い出す。
彼は続けて言う。
「改めて自己紹介といこう。俺は速水 迅。外ではV.Ⅰだの何だの言われてるが今は君と同じ一生徒だ。これからよろしく頼む」
眼の前に彼の右手が差し出される。
私はおずおずとその手を握る。
ごつごつとした、鍛えられた手。
あれ?
私、初めて男の人の手を握ってるんじゃ・・・・・。
「さ・・・・・更識 簪、です。よ、よろしくお願い・・・・・します」
そうして私は彼――速水迅と同居人の関係になった。
まさか同居人がアリーナで会った人で、男の人だなんて思わなかったけど。
私を魅力的な女性だと褒めてくれたのはお世辞でも嬉しかった。
〜~
「簪、ヤらないか?」
「んっ・・・・・今やってる調整が・・・・・終わったら、良いよ」
あの時アリーナであった白髪赤眼の少女――簪と同居人の関係になってから一週間程。
この一週間で俺と彼女はお互いに名前で呼び合い、アリーナで
スネイルには先日の定期報告でアリーナの使用許可は貰っている。
条件としてアリーナを使っている間は稼働データの提出が求められるが、簪はそれを快諾し、今に至る。
「迅、もう少し無駄を削って」
「無茶を言う!!だが、手本が眼の前にあるならやれるはずだ!!」
「迅、ジャンプがちょっと多い」
「ふむ?・・・・・こうか?」
「そう。ジャンプが多過ぎると狩られる。こんな風に」
「がっ」
「迅、マニュアルエイムの練習量を二倍にしよう。1週間後には足し算以外も出来るようになる」
「・・・・・」
「あれ?気絶してる・・・・・」
簪はISを動かす事――特に戦闘機動に関してはスネイルが霞む程優秀だった。
スネイルが使うのが重量機で簪が使うのが軽量寄りの中量だという事もある。
だが、簪よりも稼働時間が多い筈のスネイルが簪に勝つビジョンが見えない。
そう感じたのは俺の経験が足りないのか、それとも・・・・・簪がイレギュラーなのか。
まあ、今考えても意味は無いだろう。
「迅、お疲れ様・・・・・あ、これ・・・・・」
「ああ、タオルか。ありがとう、簪」
「う、うん・・・・・どういたしまして」
俺は簪の自己肯定感を上げられているだろうか?
はじめに会った時よりも言葉が詰まることや、自身を卑下する発言も減った。
些細なことでも礼を言う、感謝を伝えるという当たり前のことだが・・・・・彼女の為になっていると良いと思う。
「?・・・・・私の顔を見つめてるけど・・・・・どうしたの?」
「改めて君は魅力的な女性だと思っていただけだ」
「~~ばかっ」
「む・・・・・思った事を言っただけなんだが、口に出さないほうが良かったか?」
「そう言う・・・・・問題じゃ無い」
「す、済まん・・・・・」
こんな感じの他愛のない会話をよくしている気がする。
少し前までは年上としか喋っていなかったから同年代と喋るのは新鮮に感じる。
「じゃあ、今日はコレぐらいにしておこう。明日は入学式だからな」
「・・・・・そっか、入学式。迅との訓練が楽しくて忘れてた」
「ははは。嬉しい事を言ってくれるな、簪」
「ふふ。思った事を言っただけ・・・・・お返し」
二人揃って笑う。
春休みが、明けようとしていた。
〜~
「貴方達!!ちょっと待ちなさい!!」
「ん?・・・・・誰だ?」
「えっと・・・・・私の、お姉ちゃん。此処の、生徒会長」
「ほう・・・・・と言うことは貴女がロシアの国家代表か」
「その通りよ」
水色の髪の少女は『IS学園最強』との文字が描かれている扇子を手元で広げた。
「はじめまして、V.Ⅰ速水迅。私はIS学園生徒会長の更識楯無よ」
「ふむ・・・・・生徒会長が俺に何の用だ?」
そう言うと彼女はビシッという効果音が聞こえてきそうな速度で俺と簪の間を指差した。
「毎日遅くまでかんちゃんと何をしているのか問い詰めに来たのよ!!」
「かんちゃん?・・・・・簪の事か」
「うん」
「呼び捨て?!」
少し考える。
いや別に何か不都合は無かったな。
「ただ単に簪と朝から晩までやり合っているだけだが」
「ぶふぅっ?!かんちゃぁーん?!やり合ってるって身体を・・・・・?」
「え?うん。
簪は近接主体だからな。
よく蹴り飛ばされる。
「そ、そんな・・・・・」
「何か問題でもあるか?」
「う・・・・・お、織斑先生に・・・・・許可は取ってるの・・・・・?」
「ああ。許可は取っているぞ」
そう言うと彼女は膝から崩れ落ちた。
大丈夫だろうか?
ツンツンと袖を引かれてそちらを向くと簪が時計を指差して言った。
「迅、寮の門限が・・・・・」
「ふむ、そうだな。急ごうか」
「あ、ちょっと?!」
「生徒会長、話はまたの機会に」
「またね、お姉ちゃん」
俺と簪は寮に急いだ。
織斑先生は門限に厳しいからな。
その夜は明日の準備の確認をして、スネイルへの定期報告を済ませてから眠りに就いた。
「おやすみ」
「うん・・・・・おやすみ」
一週間前の定期報告のざっくりとした内容
「スネイル、ヤりたい奴が出来た。アリーナの使用許可をくれ。早く」
「・・・・・はぁ、わかりました。向こうとは話を付けておきますので稼働データは此方に送ること。そうすれば自由に使って構いません。ですが実戦形式は程々にしなさい。相手の身体が心配です」
「了解した。ありがとう、スネイル」
「ふん、当然です」
主人公
戦闘中や戦闘関連になると口調が荒く雑になる。バトルジャンキー入っているのでそこら辺の言葉は最低限である。鈍感では無いが香織やスネイルの教育により素で女性を褒める。
かんちゃん
元から高かった主人公の株が急上昇中。第四世代強化人間だった為、機体=もう一つの身体の認識。それがたっちゃんの誤解を招く事に・・・・・。
たっちゃん
そんな・・・・・私のかんちゃんが・・・・・。
スネイルちゃん
後日、朝から晩まで稼働データが送られてきて相手の心配をしたが、データを見たら主人公がボコボコにされていて絶句した。「IS側のアシスト無しで射撃とパイルバンカーを使用している・・・・・?どんな化物ですか・・・・・」でも自身が教えられない立ち回り等を簪から学んで主人公が成長している様子も見れたので満足。
ちっふー
後日楯無から話を聞いて・・・・・面白そうだから誤解をそのままにした。
ごす
621・・・・・そうか・・・・・お前にも友人が・・・・・