【書籍第一巻発売中!】公女様の義腕騎士-元官僚、異世界でホームレスから成り上がる- 作:笹木ハルカ
「ん――――っ! 無事終わりましたぁ!」
そう言って伸びをするポーレットさん。オーストレス市内中央にある教会の聖堂を貸してもらっていたのだが、人がはけてしまうと、案外声が響く。
ポーレットさんの言うとおり、オーストレス広域水利連絡会の初回会合は無事に終了してしまった。長丁場になったものの、無事に規約が発効し、役員の選出が行われた。賛成多数でフィッツロイ男爵領で農家をされている痩せぎすのバードンさんが代表に選ばれ、ポーレットさんが副代表兼事務局長となる。事務局員としてジャンさんがいるので、この後はきっと大丈夫だろう。
僕にとっては、結構気が気じゃない三時間ちょっとだった。なにせ、僕が作った会則や水資源分配計画素案はほぼ初稿のままジャンさんとポーレットさんのチェックを通過したので、今日の会議で公開処刑される可能性があったからだ。しかも今日の連絡会議長を務めたジャンさんには、素案作成者として僕の名前を出されるし、質疑応答では僕が直接対応することになる。致命的な見落としがあったら恥をかくのはポーレットさんだ。胃がひっくり返る。
それが無くても、今日は初回会議で、事務局を担うポーレット子爵家使用人の皆さんプラス僕の組み合わせでの会議運営は初めてだ。タイムコントロール用の懐中時計が壊れる等のトラブルは実際あったし、公爵閣下の代理として来賓挨拶をするリコッタの
もっとも実際のところは身構えていた会則についての質問は皆無となり、水資源分配計画の素案についても、振り分けの比率等は想定通り荒れたけれども、決め方や方針については受け入れられたのでそれでよし。もとから具体的な数値は次回の議題だから、何とかなってしまった。
質疑応答で質問がないのはいいとは言えないが、運用しながらブラッシュアップしていくしかないだろう。
なにはともあれ、乗り切ってしまったのである。
「無事に終わっちゃいましたね……」
「なんですか。そのトラブルがあった方が良かったみたいな感想は」
頬をわざとらしく膨らませてそう言われるも、すぐにポーレットさんは笑顔になる。本当にわざとだったらしい。
「それでも、そうですね。なんだか肩透かしです。でも今はそれを喜びましょう。今日もヒーローはアオでしたね」
「ジタバタあがいた甲斐がありました。……次から質疑応答はジャンさんに投げたいと思います」
「はっはっはっ。ご冗談を」
「冗談で言えるわけないでしょう。……実際、僕よりジャンさんの方が折衝向きなんですし、僕ができることならできるでしょう?」
実際自分は事務局の裏方向きだと思う。制度とプレゼン資料をこつこつ作るほうが性に合っているし、実際官僚は天職だったのだろう。……まあ、過労死したんだけど。
ともかく、議員的な動き方をするなら、僕よりもジャンさん、さらに言えばポーレットさんが適任だ。そう思うのだが、くだんのポーレットさんは顎に指を当てて思案するポーズ。
「んー……ジャンさんとアオのタッグならできるでしょうけど、多分現状、ちゃんと議論ができる素案を出せる人材って、公爵領でみてもアオだけだと思いますよ?」
……それはそれでどうなんだバリナード公爵領。詳しい人口統計は知らないけれど、数十万はいるだろう。それだけの人口抱えていてなんで他にいない。議会制民主主義ベースと君主制ベースの政治スタンスの差こそあれ、ギルドのような互助会があるのだから十分な制度があるはずだ。絶対もっといい人がいるはずである。
「ただ、アオが頑張りすぎるのが一番だめなので、次回からジャンさんメインで進めましょうか。会則が発効した以上そうそうひどいことにはなりません」
「かしこまりました」
「アオの仕事もこれで一段落ですね。……もうこれで、アオのことをどうこう言ってくる人はいません」
いい笑顔のポーレットさん。そう言われて気がつく。
(そうか、僕にやらせたのはお目通しと実績作りのためか)
ポーレット家の養子になるということは、当然、将来的に家督を継ぐことを期待される。そうなると、子に求められるのは家格か才覚だ。僕は家格がゼロを振り切ってマイナスなので、相応の才覚を示す必要がある。そうなれば、今回の水資源の管理について僕にやたらと華を持たせたがったのはその資質を示すため。
(……僕はポーレットさんに正式な返事ができてないんだけど)
ポーレットさんには『ポーレット家の子になるかは、今決めなくていい』と言われたままだ。そろそろいい加減、返事を考えないといけない。
「おまたせしました-」
そんな事を考えている間にも、ヴィクトリアさんに連れられて離席していたリコッタが戻ってくる。三時間以上の長丁場だし、離席が許されないのは結構酷だっただろう。僕は開始前に基本ノーマークだったが、リコッタにはいろんな人がかわるがわる挨拶に来るので、お手洗いすら気を遣う状況だ。
「アオはお手洗い大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「それじゃあ、屋敷に帰りましょうか」
「え、ここの撤収は……」
僕がそう聞くとジャンさんがニッコリ笑った。
「こちらはお任せください。リコッタ様とレナ様に甘えるのも君の仕事ですよ」
「そうです。甘えてくださいな」
「くださいな!」
両脇からステレオでそう言われ、わざとらしくため息をついてみせる。仕事とまで言われてしまっては仕方が無い。自分でも否定できないが、おそらくワーカーホリックだと思われている。いろいろと加減を覚えないといけないなぁと考える。前世で過労死しているのだし、こういうところから改善せねば。
「……それでは、お言葉に甘えます」
「それじゃあ帰りましょう。今日は頂き物で牛乳とチーズがたっぷりあるので、リゾットでも作りましょうか」
「楽しみです」
「アオ様はクリーム煮とかもお好きですもんね」
晩ご飯の話をしながら、大聖堂を出る。リコッタの護衛で、メイド隊の人も同行してくれている。
外はまだ夕暮れには早い時間で、若干傾きかけた太陽が僕たちの目を突く。教会は構造上外との明暗が激しい、目を細める。
「ポーレット様!」
「わぁっ!」
外に出たタイミングでいろんな人に囲まれた。
「これでようやく休ませてた畑でもソバが植えられます……! 本当にありがとうございます……!」
ポーレットさんの手を取って泣きだすおばあさん。それだけ水の確保は大変だということだ。男爵の喧嘩を買ってしまったことがきっかけだとはいえども、地域の為になったならよかった。
他にも何人もやってきて、ポーレットさんの手を次々にとっていく。ポーレットさんも結構タジタジだ。あまりの勢いに置いていかれている僕とリコッタはヴィクトリアさんに守られる形となってしまった。
「まだ話し合いをすることが決まっただけですから。でもみんなでみんなが納得できる決定をするように頑張りましょう」
「はい! ポーレット様……!」
ポーレットさんが言うとおりこれからが本番だ。各男爵領や子爵直轄領それぞれでの調整がすぐに始まるのだ。民主主義のめんどくさいところだが、少しずつ根付いていけば良い。
「それでは皆さんもあまり遅くならないようにしましょうね。私もこれで。リコッタ様、アオ、行きましょう」
ポーレットさんが話を畳んで歩き出す。広場には案外人が居て、広場の奥には馬車が待機していた。普段の御者をしてくれている軍人の他にも護衛の人が数人待っていてくれた。この時間にしてはかなりの人数がいる状況だ。
ポーレットさんと僕でリコッタの両脇を固めるようにして歩き出したその刹那、ほんの一瞬だけ、チリリとした感覚があった。
(……魔力反応、か?)
フィッツロイ男爵と始めて話した時の感覚に似ている。おそらく方向は左前方。街の外、郊外にあるポーレットさんのお屋敷への帰り道はそちらの方向だ。
一歩分だけ前に出る。ポーレットさんとリコッタと僕、一番相手から遠い場所にいたのは僕だ。念のため左にずれる。リコッタとポーレットさんの前を横切る形になる。
「アオ……?」
ポーレットさんが声を掛けてくる。振り返れない。一瞬で魔力を追えなくなった。逃げた? それならいい。そうであってほしい。
それでもそうでなければ。
「ポーレ――――」
「あ、あのっ!」
甲高い、ひっくり返った声が掛けられる。方向は横。町娘風の女の子だった。多分十歳ぐらいだろうか、それぐらいの子だった。痛んでこそいるが、おそらく質は良かったであろう服、ジャンパースカートのような胸元まで布地のあるスカートの下には生成り地のブラウスを着ている。貧しいながらも目一杯おしゃれをしてきたというのがわかるような格好だ。
「獣耳……北方部族の子でしょうか」
僕が呟く様に口にする。ポーレットさんの視線がざっと広場を撫でるように見る。おそらくは親を探したのだろう。
この大陸の中央に鎮座する大山脈北部には少数民族が複数いて、その中には獣の特徴を継いだ人達もいる。目の前の子のようにネコミミと尻尾をもっていたり、翼を持って生まれる子もいるとか聞いたことがある。僕も知識としては知っていても実際直接見るのは初めてだ。元々いたファイフ公爵領もバリナード公爵領も比較的南方であり北部と縁があったわけではない。それに歴史的にもこの国はそのような特徴を持った人を『亜人』や『悪魔族』と蔑み、迫害してきた歴史がある。
それもあってかなんとなく周囲がざわついている。それに気圧されたように腕に力を入れて縮こまるような仕草をするそのネコミミの子。その前で小さい花束を持っている。ボサボサの茶髪にヘーゼルの瞳。小さい首輪のようなチョーカーを首に巻いている。
「……どうしました?」
まだ距離があるが、しゃがみ込むようにして視線を合わせるポーレットさん。彼我の距離はおおよそ十五メートル。
「あの……これ、わたし、たくて……」
あまりにうわずった声。周囲の視線で緊張しているようにも見える。
「ありがとうございます。緊張しなくていいですよ。おいで」
ポーレットさんがしゃがんだまま両手を広げる。何かに怯えるような視線の様子、何かを見るではなく、焦点が合っていないように思えた。
この反応は、見覚えがある。
そして、気がついた。彼女は花束を抱える姿勢だが、左手だけで持っている。
(右手は花束の裏か!)
見覚えがあるはずだ。路地裏で同じような目をした子どもに殴られたことがある。
あれは……言われて仕方なく誰かを傷つける時の、ギャングとしての
女の子が駆け出すのと僕がポーレットさんの前に飛び出すのは、ほぼ同時。地面に花束が落ちる。太陽光に何かが反射した。刃物か。
(速いっ!?)
一瞬でぐんとその子の影が大きくなる。常人では出せない速度だ。魔法か、もしくは北方部族の身体的特徴か。わからないが気にしている余裕もない。攻撃が来る。
「伏せて!」
魔導義肢に魔力を叩き込む。常用セーフティが壊れるバチン!という鋭い音が聞こえる。オーバーロード。刃物は逆手。振り下ろす構え。彼我の距離が二メートルを割った。大股で踏み込んだのもあるが、そもそも相手の方が体格がいい。わずかに見上げる姿勢になる。
「うわああああああっ!」
その子は半狂乱で振り下ろしてくる。義肢の左肩で刃物を受ける。触覚がないというのは便利だ。腕で受けるという選択肢がある。
「うおっ!」
「アオ!」
金属の腕だから刺さるまではいかない。いかないが、相手の運動エネルギーそのものが凶器だ。危なかった。もう少し重心から離れた位置を叩かれていたら僕ごと吹っ飛ばされていた。
(く……っパワーだと押し負ける!)
魔導義肢がいくら強力でもそこ以外、僕の場合は両腕以外は生身だ。カタログスペック通り魔導義肢を扱えるわけではない。
たとえ話として、僕の義肢が一トンの岩塊を支えられるだけの出力が出せるとしよう。僕がそれを信じてその岩塊を受け止めようとしたら、どうなるか。当然、ぺしゃんこになる。同じことだ。パワーを出せば良いという状態でもない。
裏拳の要領で相手の上腕の内側に手の甲を叩き込む。目算がずれて、手の甲で広く相手を打ってしまった。こんなところで左目がまともじゃないことが脚を引っ張る。
それでも相手は僕が攻撃したことを認識する。これで彼女は僕以外に注力できない。リコッタやポーレットさんを狙うなら僕を大きく迂回するしかなく、初動が失敗した以上は僕をターゲットに据えるだろう。
考えられる反応は二択、逃げるか、攻撃するか。
(こっちから踏み込むしか、ないっ!)
相手は下がろうとしたが、その前に相手の足の甲を踏みにいく。ここで距離を取られたら勝ち目はない。足の甲は案外急所だ。しっかり踏めば動きが鈍る。
横薙ぎに跳んでくる拳。逆刃で握り込んだままだから僕を切るには向かない刃の位置だ。多分殴って退かすつもりか。
運動エネルギーがないとはいえ、当たったら逃げられる。力比べになったら勝てない。ならばどうするべきか。力比べをしないことだ。
当たる前に相手の足を開放。相手の腕をこちらから迎えに行く。左手をつっかえ棒のようにして動きを封じつつ身体を倒し、相手を下から突き上げるように、タックル。
原則として、刃物を持った相手に組み付くのは得策ではない。特にタックルをするように相手の胴体を正面から取りに行くなんて、刃物を背中に突き立ててくださいとお願いしに行くようなものだ。特に訓練を受けていない相手は、でたらめにかつ小刻みに何度も刃物を振るおうとするので、背中に浅い刺傷がいくつもできることになる。
だが、魔導義肢の関節可動域なら、相手の腕を押さえたまま態勢の低いタックルを決めることができる。手首は三六〇度無限に回るし、肘も然り、肩も然りだ。日常生活では使うことのない動作だから意識して動かさないとできないし、普段はリミッターを掛けてそこまで関節が動かないようにしている。
だがこの状況でそんなことも言っていられない。
体当たりをして相手をそのまま石畳へ引き倒す。ゴッ、と鈍い音がした。おそらく石畳で後頭部をぶつけた音だ。抑えたままの相手の手首をたぐり、ナイフを掴む。刃の部分を握り、そのままへし折る。魔導義肢様々だなどどこか冷静に考えた。
「ナイフは壊した。もう暴れるな。……誰に雇われた? 君の意志じゃないな?」
そう問いかけながら自分の脚を相手の肩の上にのせ、上体を押さえ込む。ナイフをそれでも握りしめている彼女の指を無理矢理開き、武器を手放させた。
「アオ様!」
「リコ様のそばを離れないで!」
ヴィクトリアさんに叫び返す。振り返らない。目の前の少女の動きを見逃したら文字通り命取りになる。一番怖いのはこれが陽動である可能性だ。魔力反応はどこにいった。今この状況で彼女一人が刺客である保証はない。
「狙いはポーレット子爵か? 領主殺しは未遂であっても死罪になり得る重罪だ。そんなことをしそうな顔には見えないが」
声を掛けている間にようやく馬車の警備をしていた衛兵が駆けてくる。遅い。
「……ぁ」
馬の蹄が石畳を蹴る音が聞こえる。音からして四頭立ての馬車に従者がいる。彼女の瞳孔がきゅっと細くなったのが見える。なにに怯えた?
その子が口を大きく開ける。僕の手が出たのは、ほとんど勘だった。口が閉じられる前に、義肢の指を口に突っ込む。魔力を彼女の喉元に感じる。
「魔道具を飲み込んでんのか!?」
口を大きく開いたということは、口の中に起爆用の何かがある。組み付いたのが僕でよかった。義肢だから噛みつかれたままでも痛みはない。
「手伝ってください! 多分魔道具か何かを飲み込んでます。口を閉じられないように顎押さえて!」
「わ、わかった」
口を開かせると、口の中はボロボロだった。歯が欠けていたり虫歯があったりとまともな環境に置かれてなかったことがわかる。そんな状況の口を覗き込むと、奥歯にナニカが埋め込まれ、そこから細い糸が伸びているのが見えた。その先は喉の奥に落ち込んでいる。糸に魔力が通っているということは、これが導線か。
「自爆しろとでも言われたかい」
喉元の糸をたぐり寄せ、取り出したのは、淡く緑色に色づいた結晶だった。
「なるほど……オーバーフロー寸前の封魔結晶に、追加で魔力をつぎ込むことで破壊させるのか。取り押さえられたところで、盛大に自爆するつもりだったな? となると狙いはポーレット子爵だけじゃなくリコッタ様もか」
わざわざ口に出すのはポーレットさんとリコッタ、そしてリコッタを保護しているであろうヴィクトリアさんに聞かせるためだ。
これを埋め込まれたということは、この子は文字通り使い捨て前提で用意された鉄砲玉だ。雇い主のところに逃げ帰ったところで殺されるだけだろう。こんな鉱石に金具を無理矢理接着したような作りの道具を喉に入れるなんて、とんでもない痛みだっただろう。気道や食道は血まみれだ。喋るのに苦労していたはずだ。こんな物を喉に落とし込んでまともに話せるはずがない。
引き出した魔導具は飲み込むようにはできていないように見えた。酸化して黒ずんだ銀製の台座には小さくフクロウの紋章が描かれている。
同情がないかと聞かれれば嘘になる。これはリスクだ。だが、リスクを踏まずに問題を解決できる段階は、とうに過ぎてしまった。
「……僕ならこれを外せる。僕にはバリナード公爵トマス・バリナード閣下とポーレット子爵レナ様とのコネクションがある。君が死罪にならないよう交渉できる。……君が誰に雇われたのか教えてくれるなら、君を助けるよう動きたい。君を無罪にはできなくても、死罪は回避できるかもしれない」
「アオ様!?」
兵士に驚かれる。そりゃあ認めがたいだろう。彼らが忠誠を誓うポーレット子爵に刃を向けたのだ。その場で切り捨てられても文句は言えない。平民の命はそれだけの軽さしかない。それは僕も身に染みている。
「今ここで彼女を殺しても問題は解決しません。第一、こんな魔道具、彼女だけでは用意できませんから、ポーレット子爵やリコ様を殺そうとした誰かが必ず他にいる。そこを潰すためなら、未成年の犯罪者の一人ぐらい、恩赦にかけてもお釣りがくるでしょう」
その恩赦が死刑から無期拘禁に変わるだけかもしれない。それでも、ここでむざむざ情報を失うわけにはいくまい。ミスをしても、僕一人吹き飛べばいいだけの話だ。
「しかし……!」
「アオ」
食い下がる兵士の声を遮るように、ポーレットさんが声を掛けてくる。
「はい」
「守ってくれてありがとう。でも、魔道具の解除には知識が必要です。……ここは、私に任せてください」
それは、きっと領主としての言葉ではないのだろう。狙いはおそらくポーレットさんとリコッタだ。そのターゲットが近づくこと自体、避けなければいけないことだ。
「大丈夫。こうなったのは、私のせいでもあるんだから」
僕の隣で、膝をつくポーレットさん。
「アオ一人で背負おうとしないで。これぐらい、大人に任せてくれてもいいじゃないですか」
ちらりとポーレットさんの目を見て、取り押さえている子を見る。きっと僕もポーレットさんも大馬鹿だ。領主が殺そうとしてきた子どもに近づくのも、それを救おうとしているのも。きっと、間違っている。僕だけのリスクでは済まなくなった。
「……万が一のときは、無理にでも引き剥がしますよ」
「うん。その時はお願いします」
兵士の一人とポジションを交代。僕が口を押さえる側に回る。
「大丈夫だからね。怖いだろうけど、大丈夫だから」
ポーレットさんの声。それを聞いた女の子の目に雫が浮かぶ。僕の指が突っ込まれ、閉じることができなくなった口がかすかに動いた。
「たす……けて……」
ポーレットさんは、それを聞いて笑ったのだ。ポーレットさんはポケットから小さな箱を取り出していた。中には、封魔結晶が入っている。
「任せて。今、助けてあげる」
戦闘シーンはやはり文字数がかさみますね……なんとかテンポ良くいけるよう頑張ります。
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次回 ポーレットの本気