【書籍第一巻発売中!】公女様の義腕騎士-元官僚、異世界でホームレスから成り上がる- 作:笹木ハルカ
「……フレデリック殿下、本当によろしいのですか?」
「何度も言わせるな。あれほどの策、それこそ帝国と通じていなければ話が繋がらんのだ」
ヴェッテン王国の軍務卿にして第二王子であるフレデリック・リンスター=ヴェッテンは焦っていた。頭痛の種はいつだって国防のこと。軍務卿としての職責としてはもちろん、将来の火種になりうるからだ。ここでいう将来とは、まず間違い無く訪れる父の崩御であり、その後にどこまで王太子であるチャールズ・リンスター=ヴェッテンと折り合いを付けられるかによって大きく左右される。
フレデリックに言わせれば、チャールズ王太子には人望こそあるが優秀ではなく、人を使うのが恐ろしく下手だ。何より王として優しすぎる。もう人生の後半戦に入った四〇余歳でしていい純粋さではない。あれに国を任せるわけにはいかない。だからこそ、長らく王太子の固定ポストだった軍務卿をフレデリックが握っているし、王もそれを認めている。
弟のアルフォンスに至っては論外である。魔導師としてはすこぶる優秀で、死んでこいという命令に近しい配置をしたにも関わらず、けろりとした顔で戻ってきた。だが、幼女ばかり囲っているあたり、王族としての義務である『後継者を遺す』ということすら理解していない。公務よりも趣味を優先するようなアレが王になるぐらいならば、帝国に支配されたほうが毛髪一本程はマシである。
(優秀すぎる王というのも考え物だな。後継者が育たん)
フレデリックはそう心の中で嘯きつつ、王宮の西端にある尖塔の一つに上る。ここからなら王都の西半分を一望できる。
「……国を守ることこそ、王の務め。……離反の疑いがあるのであれば、見極め、芽を摘まねばならんのだ」
王都は王宮を中心に、八本の道路が放射状に伸び、その道路を繋ぐように横道がいくつも走った造りをしている。横道で区切られた街区はそれぞれ『リング』と呼ばれ、中央に近いリングとなればなるほど格が高い。
バリナード公爵家が構えている公邸は北西ブロックの第三リングに位置する。公爵にしては外側のリングだ。王国成立初期に王家の傍流として成立したバリナード家の出自を考えれば、意外なほどに外側であり、第一リングであってもおかしくない。それでよしとしていられるバリナード公が、フレデリックには理解できなかった。
(忠誠といえば聞こえが良い。だが、それだけか? 帝国を招き入れる窓と本当になってはいまいか?)
辺境というのは、目が届きにくいものだ。だからこそ信頼がおけるトップを置く。フレデリックの父である国王は、バリナード公を大層信頼しているし、侍従長の親族を嫁がせ、チャンネルを確保した。そのチャンネルは王太子にも繋がっている。だがフレデリックからは、国王と王太子がなぜそこまでの信頼を置くのか見えないし、実際二年前の戦線で相手を川の向こうまで押し返しただけで侵攻を止めてしまった弱気な公爵としか思えなかった。
(セドリック・ポーレットを失ったことがそれほどの打撃だったか、トマス・バリナード)
そう考えれば、同じポーレットの名を継がせたあの少年が鍵だろうか。だが尚のこと、あの振る舞いはおかしい。彼の後ろに誰か……いや、怪物じみた
単眼鏡を覗き込む。その先に見えるバリナード公爵領の公邸は灯が落ちている。……いや、廊下でランプの明かりが左右しているから使用人が巡回しているのだろうか。あの屋敷にはウェイティングメイドのような使用人が三人住み込みで働いている。他には公爵領から飛んできた人員しかいないはずだ。飛んできたのは七人。トマス・バリナード公爵、リコッタ・バリナード第一公女、レナ・ポーレット子爵、アオ・ポーレット男爵。そして使用人のヴィクトリア・マクファーレンにハリエット・イェイツ、そして犯罪奴隷だというミネット。
犯罪奴隷もいるのが珍しいが、毒味役か使い捨てのコマとしてだろう。それだけ王都での活動を警戒していることになる。
(ともかく……いつでも押さえつけることができるという、デモンストレーションが必要だ)
トマス・バリナードの急所はやはり娘だろう。少なくとも、あの
本来であれば第三王子の側室という形で人質にしたかったのだが、それすら封じてきた。独立志向が強いという噂は本当なのだろう。
良くない兆候だ。早めに対処しなければならない。
(西を押さえるのは、軍務卿である私でなければならないのだから)
少し離れたところから、チカチカと光の合図が来た。包囲完了。準備よし。
一般人に偽装した騎士達が公邸の正門を開ける。王家には家臣としての信頼の証として、公邸の鍵を王宮に預ける風習がある。正門は当然音もなく開いた。公邸は静まり返っている。
火属性の魔法でこちらも合図を送る。小さな火も光を集めてその方向にピンポイントで合図を送れる。
「では、我が忠実なる下部達、銀弓騎士団の仲間達よ、演奏をはじめよう。今宵、王国がまた一つ平穏な調べを奏でられるよう、祈り、ここに作戦の開始を宣げる。第一部隊、突に――――――」
単眼鏡を覗いていた右目が真っ白になった。数瞬送れて『ドン!』という轟音が響く。強烈な光を直接見てしまった。光が目に焼き付いて何も見えなくなる。
確かに、火属性の魔導術と風属性の魔導術で公邸を潰す用意をしていたが、まだ発動できるほど準備ができていないし、そもそもトマス・バリナードを殺してしまっては元も子もない。なぜここで爆発が起きる?
「なんだ! 何があった!」
右目を押さえつつ、左目で状況を追う。轟音と光の出所はバリナード公爵領公邸だ。玄関を開けようとした部下が吹き飛ばされて、道路でのたうち回っているように見える。目のピントが合わない。魔力を追うように意識を向けた直後、吹き飛んだ玄関ドアから人が飛び出してくる。
「犯罪奴隷!?」
誰かを抱えているらしいその影が塀を飛び越えてここからでは見えない路地に消える。……が、魔力を追うだけならすぐにできる。リコッタ・バリナードの魔力は今日会った時に確認している。桃色の魔力は珍しいので、見失うことはない。
犯罪奴隷が抱えて移動している影の魔力は桃色だった。フードを被っているようで顔はよく見えなかったが、魔力はごまかせない。
(なるほど、そのために亜人の奴隷を使っていたのか。足が速いのは単純に厄介だな)
そちらを追うように指示を出そうとして振り返る。……その途中で動きを止めざるを得なかった。
「な……」
あってはならない場所に、あってはならない魔力反応がある。
リコッタ・バリナードが、二人いる。
†
銀弓騎士団は、軍務卿であるフレデリックが私費で設立した騎士団だ。出自も実力も問われる精鋭部隊。少なくとも直近の戦闘では敵なしだった文字通りの精鋭である。その部隊をもってしても『帝国には勝てない』とほざいた命知らずの男爵がいるというのは、文字通り騎士団の沽券に関わる事態だ。
だから、灸を据えなければならない。
フレデリック第二王子殿下は心配性だ。戦闘ができるのはたかだか四人。その確保に三六人も投入した。これで負けたら文字通りの恥。それこそ騎士として剣を折るしかないほどの面汚しである。
それでも心配なのか魔法戦に備えて、公邸ごと魔法で潰せるように構えている。それほどの相手とは思えないというのが彼らの本音であった。
相手は確保命令が出ているガキ二人を除くと、大人四人に奴隷一匹。うち脅威となるのは二人だけだ。バリナード公爵とポーレット子爵には立場もある。ここで大暴れはできまい。
そうなると二級魔導師だというハリエットとかいう魔導師と、聖ディアナ騎士団のメイドだというヴィクトリア・マクファーレンさえ封じてしまえばいい。メイドに負ける騎士などいるはずがないから、実質一人だ。
だから、今日のこれは簡単な任務だ。二分かそこらで終わって、たんまり危険手当てをもらって明日は休暇。なんならこれから飲み明かしたって許される。そんな楽な任務――――――そのはずだったのだ。
「待て! 目標は北に逃げたんじゃないのか!?」
「馬鹿言え! 西にカッ飛んでった奴隷が抱えて逃げただろ!」
「じゃあ北の魔力反応はなんなんだよ!」
「いいから分かれろっ! そういうときは両方追うんだよ! 第二が北! 第三が西だ! さっさとガキを捕らえて報告を……」
「――――――させんよ」
不思議と響く声が会話を切った。怒鳴るわけではないが凜と広がる。視線がエントランスに集中する。
「公邸用地は各領の法規が適用される。貴方たちの進入を許可した覚えはないのだが」
吹き飛んだエントランスからコツコツと靴を鳴らして男が出てくる。
「……トマス・バリナード公爵本人か」
「わかっていてこんな狼藉を働くのかね。……どこの差し金か知らんが、公邸を吹き飛ばした損害ぐらいは補填してもらえるのだろうな」
「テメェが自分で吹き飛ばしておいてよく言う。王国に楯突く不届き者が」
「なるほど、そういう論の組み立てか。目標などと小賢しいことを言っているようだが、二手に分かれた事を気にしているなら、目的はリコの身柄の確保だな。いい加減この展開にも飽きてきたぞ。近頃の賊は誰かを人質に取らなければまともに戦えもしないのかね」
そう口にしたトマス・バリナードを騎士団員が囲う。
「そのラベルピンは銀弓騎士団のものだな。フレデリック殿下は相当頭に血が上っていると見える。こんな稚拙な策を使うお方だとは存じ上げなかったが……チャールズ王太子殿下の耳に入ればさぞお嘆きになられるだろう」
トマス・バリナードが王太子派閥であることは周知の事実であるが、銀弓騎士団の団員達にとっては、雇い主の悪口にしか聞こえない。
「貴様が殿下を愚弄するとは、這いつくばって許しを請うが良い」
「哀れな。弱い奴ほどよく吠えるというが、吠えるならもう少しまともに吠えたまえ。それにだ、リコッタ・バリナードを押さえなければ私と向き合えない軟弱者が束になったとて、それになんの意味がある?」
トマス・バリナードが腰に提げているサーベルは二本。片手剣とはいえ、両方ともフルサイズの直刀だ。貴族が帯刀するにはあまりに飾りっ気のないサーベルに手が伸びる。
二刀流――――――戦場においてそれは異端だ。人間が片手で振るえるサイズの剣には限界があり、小ぶりな刀を二本それぞれ振るうより、両手で一本の剣を正確に振るった方が確実であるし、技術の習得も容易である。確実に敵を打ち倒せさえすればいい戦争において、二刀を同時に使うメリットはない。正確性も剣を振るう速度も落ちるからだ。そもそも騎士にとっての主武装は槍であり、馬を下りねば使えない剣を二本も持つのは邪道極まる。
だが、トマス・バリナードは違う。その恵まれた体格と、磨き上げられた戦闘センスにより、一刀と同じ速度、精度を片手で生み出せるほどに鍛練を積んできた。馬上だろうが、下馬していようが関係無く、文字通り先頭で敵陣に突っ込み敵将の首を狩る。そのための技術としてトマス・バリナードは剣を極めていた。
「最近は若い者達に押され気味で身体が鈍りそうだったところだ。ちょうど良い。殺す気できたまえ。私を逆賊だと断罪するのであれば、この逆賊の首を狩り、己の名をあげるといい」
階段を降り、両手にサーベルを握るトマス・バリナード。彼に対峙する銀弓騎士団の団員は十八名。トマス・バリナードを見て、皆距離を保とうと半歩下がってしまった。
――――――勝てない。
相手はたかだか一人だ。そしてこの人数差だ。負けるはずもない。理性がそう嘯くはずなのに、銀弓騎士団の全員の頭に、そんな理不尽な感情が沸き起こる。
「なんだ……なんだそのやる気のない構えは。騎士を名乗っておきながら賊の斬り方すら知らないのか。その程度で攻撃の要たる『弓』を気取るなど、国を信じて散った戦友に対し礼を欠くとすら思い至らないのか」
「何を……」
「もう何も言わなくて良いぞ。騎士同士わかり合えることもあるかと考えた私が浅はかだった。貴様らが成すべきはただ一つ。先人たちに末席を汚した事を――――」
トマス・バリナードが一気に踏み込む。懐に踏み込まれたのは、銀弓騎士団第一部隊の指揮官だった。彼からは、トマス・バリナードが瞬間移動したようにしか見えなかった。
「――――今すぐ地獄で詫びてこい」
彼の瞳が輪切りにされる寸前で見えたのは、炎でオレンジにきらめく刃と、怒りが浮かぶ絶対零度の瞳だった。
†
王都、北ブロック、第八リング。
バリナード公爵領公邸からそのまま北上すると、この第八リングと北西門通りの交差点に突き当たる。北西門通りは北西ブロックと北ブロックの境界をなす大通りであり、ここを渡ろうとすれば、王宮の見張り塔から丸見えになる。
バリナード公爵領公邸の包囲を担当していた銀弓騎士団の第四部隊はフレデリック殿下からの合図を受けて、北に逃走中のリコッタ・バリナードの魔力反応を追い込んでいた。きちんと挟撃して生け捕りにする作戦である。第一班は早々に北西門通りに出て魔法戦の用意をしている。通りに反応が飛び出したら遠くから足下を砕く担当。本命はそのまま追いかけている第二班で、足が止まったところを確保する作戦だ。
「おい、第一部隊の反応が消えたぞ」
「……作戦を終えただけじゃないのか?」
そんな会話をしているのは第一班の方だ。
「まさか。単純にヘマっただけだろ」
「ま、それだけの手練れが向こうに固まってるなら、こっちは手薄ってことだ。ハズレをひいたんじゃないのか?」
「どうでもいい。さっさと潰すぞ。おい、そろそろ飛び出してくるはずだ。構えてろ」
そう声を掛けられたのは団員のうち三級魔導師の男だった。風の魔導をはじき出す魔導弓を構える。いわゆる機械弓……強い弓を滑車で巻き上げて使う兵器を改造したもので、飛ばすのが矢ではなく魔法で生み出した空気の塊という優れものだ。これだと、相手には攻撃の痕跡が残らないから暗殺にも向いているし、なにより矢と違って弓なりに飛ばず、真っ直ぐ飛んでくれる使い勝手のいい兵器だった。
「そーら、反応がくるぞ、さん、にー、いち……」
直前で一瞬躊躇うように魔力反応の速度が落ちた。それでも後ろから第二班が盛大に追い立てて居る。飛び出す以外に選択肢はない。すでにここは狩り場。逃げ場などない。
来る。
「撃て」
引き金が引かれる。直後に石畳に空気の弾があたり、砕けた岩の欠片が宙を舞う……はずだった。
「こんばんは、みなさん。良い夜……というには騒がしいですね」
現れたのは、子どもではなかった。乗馬服のような動きやすい格好の、女性。空気の弾丸が破裂すらせず消え去った。
「レナ・ポーレット……『鉄血』しかいない、だと……!?」
「背後に回られるということすら気が付かないならそこまでということです」
「ぐぁっ……!」
指揮官が文字通り一瞬で昏倒する。魔導弓を構えていた兵も次の瞬間には意識を刈り取られた。
「ヴィクトリア・マクファーレン……!」
「ご安心なさい。あなた方を殺せる程、我々は暇でもないのです」
メイドのヴィクトリアがそれだけ吹き込んで北西ブロックへ抜けていく。逆にレナ・ポーレットは大通りに残る。
「さて……たまにはちゃんと親らしいことというか、ちゃんと魔導術の先生らしいことをしないといけませんからね」
指を伸ばす。狙うは王宮の尖塔の一本。そこから魔力がずっと照射され続けていることはわかっていた。ここからだと目が合ったかどうかはわからない。それでも、きっとそこの男もレナ・ポーレットが認識したことを知っただろう。
「
塔からの魔力放出が止んだ。もう遅いが。
「
高度に圧縮された詠唱は向こうにも届くまい。描画も最小限で済ませている。向こうからは『何かをしようとしている』とはわかっても、『何をしようとしているか』は全く見えていないはずだ。
それが放たれた事を認識できた人はいなかった。少なくとも、レナ・ポーレットが何をしたのかを認識できた人はいなかった。特級魔導師の技術とは、そういうものだ。魔導術とは理論であり、理論は再現性が担保される。それすなわち、魔導術が魔導術であるかぎり、一度誰かの前で使えばその技術は盗まれてしまうリスクを孕むということだ。
それを防ぐにはどうすればいいか。
単純だ。聞かれず、見られなければいい。それが難しければ、他の人が理解できないところまで抽象化すればいい。そしてレナ・ポーレットはそれを成した。
極度に圧縮した術式を唱えるのに必要な時間は、二秒もない。そのわずかな時間で尖塔の下部にある金属が一瞬だけ溶け、固まった。蝶番や錠前が動かなくなったなんて、この時点では誰も気がついていなかった。
レナ・ポーレットは堂々と、北西門通りを王宮に向かって歩き出す。
†
王都、西ブロック。第十二リング。
「間違い無い! こっちがアタリだ!」
キツネ狩りと同じだ。物陰から追い出した子狐を狩り場へと追い立て、猟犬がその子狐の喉笛を食い破るまで止まらない。貴族のガキ、特に女の方は無傷で殿下に献上する必要があるものの、もう一匹の犯罪奴隷にはなにも言われていない。つまり、殺したところで問題は無い。
バリナード公爵領公邸を囲っていた騎士団員のうち、おおよそ三分の一がこちらに回っている。おそらく別働隊も路地に回り込んでいる。ここから逃げるには相当な手間が掛かるだろう。
そして、その手間を払えるほど、彼女たちに余裕がないのは明らかだ。
犯罪奴隷の亜人の足は脅威だったが、さすがに一〇ブロックも走らせればスタミナが落ちてくる。そもそも長時間走るのには向いていない。トップスピードが速かろうと、時間を掛けて追い詰めることが許されるならば、確実に追っ手側の勝利で終わるのが狩りである。
「……こちらです!」
一緒に逃げている貴族のガキの手を引く奴隷の声が届く程の距離まで迫っている。追いつくのも時間の問題だ。向こうは追い込まれていることに気がついているが、どこに追い込まれているのかまでは知らないだろう。
このあたりは王都の中で唯一と言って良いくらい治安が悪いまま放置された地区、通称『破棄区画』だ。下水管の結節点のせいで悪臭もあり、誰もここに近づきたがらない。故に素行の悪いやつらが集う場所。だれもここでは助けになど来てくれない場所であり、不穏分子の監視のために意図的に設けられた汚点へと追い込まれている。
そこで捕らえられたというレッテルは貴族様、それも公爵家という高位の貴族様にはさぞ有効だろう。
追いかけて路地に入る。ちょうど向かいから別働隊がやってくるところだった。さらに細い路地に飛び込む犯罪奴隷と貴族のガキ。
「馬鹿め。そっちは行き止まりだっ!」
「馬鹿めはこちらの台詞だ」
飛び込んだ直後、真下から股間を蹴り上げられる。白いマントが揺れる。ガキのフードがはずれ、
「な……! 女のガキじゃねぇっ!?」
「魔力でしか追いかけないからそうなるんですよ。人払いの必要も無いし、これならどれだけ暴れても被害は少ない。……ミネット、後ろは任せるよ」
「はい。アオさま」
子どもが踏み込んでいく。攻守が反転した瞬間だった。
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