【書籍第一巻発売中!】公女様の義腕騎士-元官僚、異世界でホームレスから成り上がる-   作:笹木ハルカ

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正々堂々と殴り込み

 投げられた封魔結晶は氷に包まれ、軌道を変えて落ちていく。氷の分増えた重量を支えられるほどの加速度は持っていなかったからだ。封魔結晶の魔力のオーバーロードにより破裂した欠片も、氷を砕きこそしたものの僕らに届くことなく落ちていく。

 

「まにあった!」

「リコッタ様!?」

 

 僕の制服に身を包んだリコッタが、魔導陣を空間に描画していた。肩で息をしているのが見える。合流地点はもう少し先のはずだ。なぜここに。

 

「……もう一人! じゃあオマエからぴょん!」

「リコ様! そいつは!」

「大丈夫です。……この方にわたくしは殺せませんわ」

 

 おそらく用意してきた台詞だ。普段の声色ではない。それでも僕の方を見て、笑った。

 

「なら、試してみるぴょん!」

 

 ラピィが踏み込む。こうなったらリコッタに合わせるしかない。

 

「ミネット! ブランカ! このまま左旋回! 相手の上空で回り続けて!」

「はいっ! ポート十度!」

“わかった!”

 

 左翼を下げて斜め下方を見えやすくしてもらう。魔法の発動に備える。リコッタは跳んだり跳ねたりといったことはあまり得意じゃなかった。ラピィ相手に接近戦はあまりに不利なカードとなる。

 

「旋回角このまま!」

“ステイディ”

 

 狙うべきは風の魔導だ。火力で焼き切るわけにはいかない。リコッタを間違っても巻き込む訳にはいかないのだ。そのリコッタの胸元で魔力がとんでもない勢いで圧縮、精製されている。リコッタが持っていた封魔結晶は今はポーレットさんが使っている。つまりこれは、リコッタ本人の魔力ということになる。

 

彼の者雪に向かいて(Q P N)地に降れと命じたまふ(U D I T)

 

 リコッタの詠唱にあわせて大量の細かい氷が空中に生成される。とんでもない効果範囲だ。通りがそのまま雪で埋まる。

 

「そんな攻撃が効くわけないぴょん!」

 

 ラピィの声が聞こえる。確かに強度の高い魔導術だが、戦闘向きのものではない。こんな無茶をハリエットが許すわけが――――――。

 

「そういうことか。――――主光あれと言たまひければ(D D F L)光ありき(F L)

 

 魔方陣を描いて魔導術を発動させる。風の魔導でリコッタをくるむ。直後、リコッタとラピィの間にひゅん! と影が割り込む。ちょうど僕が張った風の膜のさらに前だ。

 

「死にたくなければ魔法で防ぎなさい」

 

 割り込んだハリエットの警告が飛ぶ。同時にリコッタも水の魔導を発動していた。おそらくあれは、熱への防御だ。

 

「――――――われ火を地に投げ入れん爲に來たれり(L V M I T)!」

 

 割り込んだハリエットの周囲から強烈な熱風がほとばしる。雪という形で生成された大量の水が瞬時に水蒸気へ変換される。水が気化すると体積は一千倍以上に膨れ上がる。そんな高温の気体がとんでもない圧で吹き付けられることになるわけだが、生身の人間が耐えられるようなものではない。

 

(リコッタの魔力の影に隠れてハリエットのマークを外させつつ、水蒸気爆発の仕込み! 無茶をしてくれる!)

 

 こちらも毒づく余裕はない。外気で冷やされた水蒸気が雲をつくる。それが爆発的に膨れ上がった。おそらく通りに面した建物のガラスは全部吹き飛んだだろう。

 

「緊急待避っ!」

 

 僕が指示を出すより早くミネットが距離を取らせた。

 

「――――――!」

 

 ラピィのものらしい叫び声が聞こえる。魔法で防御をしているようだが、そのまま弾き飛ばされている。叫んだところで喉が焼けるだけだと思うのだが、大丈夫だろうか。

 

 ハリエットの魔力がこちらに飛んでくる。風の魔導。魔鳥が言葉を発するのに使う術式に似ている。無線通信というか、魔力を使った糸電話のようなそれが僕らに言葉を叩き込む。

 

“アオ! リコッタを頼んだわよ!”

「はあっ!?」

 

 ハリエットの楽しそうな声が聞こえた直後、爆発的な魔力を感じる。風の魔導。この術式、たしか魔鳥の垂直離陸のときに見たような。

 

「まさかっ!」

 

 水蒸気の雲の中から、リコッタが飛び出してくる。

 

(リコッタを生身で打ち上げやがった!)

 

 心の中で毒づきつつ、僕も飛び降りる。今から姿勢を立て直してブランカ達で迎えに行くと間に合わない。

 

「アオさまっ!?」

 

 左目の、そこにある封魔結晶の熱を感じる。

 

「吾が乞い祈むは怒濤の疾風。遙か旅路の果て、約束の地に至らん」

 

 リコッタと目があった。ブランカの飛行に使っている魔導の効果範囲から離脱した。

 

「そのための翼を、与え給え」

 

 イメージするのは風の翼。自身を支える程の強風をつくって前へ()()。自分の背骨が軋む音を気がした。多分空耳だ。それでも、それだけの速度で飛び出したように思う。

 

「リコッタ!」

 

 左手を伸ばす。リコッタも手を伸ばしてくれる。そのまま手首をとって、引き寄せる。右手はまだラピィの鎖斧が絡んだままだから下手な体勢では使えない。

 

「アオ様っ」

「なんて無茶をするんですか!」

 

 そう言いつつ、高度をわずかに落として、建物の屋根に降りる。ちゃんとリコッタの胴体を抱え直して、再度跳躍。慌てて高度を落としてきたブランカにあわせる形で真上からアプローチする。そのまますとんとブランカの上に降りる。

 

「ミネット、このまま離脱――――」

「いえ、アオ様、このまま突破しましょう。王宮へ!」

 

 僕の言葉をリコッタが遮る。その内容にミネットが目を剥いている。

 

「正気ですか姫様っ!?」

「このまま逃げても手配されるだけです。わたくしが話を付けます! ミネット、あの見張り台まで最短で突っ込ませて!」

「王宮の魔導師部隊はどうするんですっ?」

「そこはきっとポーレットさんとハリエットがあわせてくれます! 急いで!」

 

 ここまで向こう見ずの公女様は久々だ。ここまで聞き分けないのはそれこそ求婚を受けたとき以来じゃないか。

 

「……まったく、誰に似たやら」

 

 この手段を選ばない強引さはなんというか、僕のせいなんだろうな。そんな事を想ったら、急に力が抜けた。

 

「ミネット、僕たちを叩き込んだらポーレットさんと合流して」

「……わかりました。ご武運を」

 

 そのままブランカが回頭し、加速。風の魔導が全力で使用され、とんでもない加速度で突っ込んでいく。

 

“ぼくたちはこのままとぶから、()()()()はまかせたよ、アオ”

 

 ブランカのいたずらっ子っぽい声。着地は任せたとかゲームでしか聞いたことないぞ。

 

「了解」

 

 そう答えてリコッタを抱き直す。城壁の上空でそのまま飛び出す。空気圧をなめらかに変化させることで加速度を殺して、見張り台に飛び込む。

 

「な、なななな……」

 

 そこで腰を抜かしていたのは、フレデリック第二王子殿下。その前に着地し、リコッタを床に下ろす。

 

「ごきげんよう第二王子殿下、良い夜ですね」

「き、貴様らここがどこだと……!」

「王宮です。もちろん存じておりますとも。……お呼びに応じ参上いたしました」

 

 笑顔でそう応じるリコッタ。……なんだか、いろいろと吹っ切れたみたいだった。そのまま彼女が続ける。

 

「お互いに行き違いがあったようですし、わたくしたちは話し合うべきです。……きっとよりよい着地点を見つけられる。そう思いませんか第二王子殿下?」

 

    †

 

「さて……と」

 

 焚き付けた通りに見張り塔へ向け二人が突っ込んでいったのを見送ったハリエット・イェイツ。その前で地面に這いつくばっているのは、北方部族出身だろう兎耳の女性だった。

 

「そろそろちゃんと降参してほしいんだけど」

「話を聞く前にボコボコにしてきた奴のセリフじゃないぴょん……」

「そりゃあ、舎弟と護衛対象に殴りかかってるところに呑気に警告できるかっての」

 

 ハリエットはそう口にして相手を仰向けにひっくり返す。

 

「で、ラピョーネ族の嬢ちゃんがこんなところで王家の使いっ走り? 北方イチの武闘派部族とか言われてた『首狩りウサギ』も王権に屈したか。堕ちたもんね」

「……嬢ちゃんとか言われたくないぴょん。これでも成人してるぴょん」

 

 熱で喉を潰されかけたのだろう。ぜーぜーと気道が狭くなっている音がする。

 

「シャトン族の亜人を……いいように使っておいて、笑う資格があるぴょん?」

「さあね。アタシはあの子の雇い主じゃないからわかんないよ。けどあの子が今のを聞いてたら、アンタの頭は今頃きっと潰れてるわ」

 

 シャトン族というのは北方部族の中での猫の種族のことを言うらしい。今の会話をミネットが聞いていたら『ご主人さまとアオさまを馬鹿にすることは許しません』とか言ってそうだ。

 

「アタシにとって重要なのは、アンタが聖ディアナ騎士団の最重要護衛対象に刃を向けたって事だけよ」

 

 ハリエットは腰に提げていた剣を抜く。

 

「ラピィ・ラピョーネ。リコッタ・バリナード公女閣下及びエルジック男爵アオ・ポーレット襲撃の現行犯としてアンタを拘束する」

「拘束に何の意味があるぴょん? さっさと首を狩って持ち出せ。生首があればボスも言い逃れできないはずぴょん」

「生き恥を晒したくないって? 甘えたこと言ってんじゃないわよ。それを決めるのはアンタでもアンタのボスでもなくて、うちのボスなの」

 

 ボスは言い逃れできないという条件を出しているあたり、ラピィの顔は相当に割れているのだろう。

 

「自爆なんて馬鹿なことを考えないことね。……さて、公爵閣下に引き渡すけど。その公爵閣下もお城に向かったみたいだから、アンタも覚悟しなさい。せいぜい元の味方に殺されないようにね」

 

 ラピィの腕を正面で縛り、首に荒縄をかける。やる気のない拘束で、逃げることも容易だろう。それでも、ラピィは逃げられなかった。常にとんでもない量の魔力をぶん回している魔導師から逃げるのは不可能に近い。逃げようとした途端に色々と吹き飛びそうだ。

 

「……もう勝手にするぴょん」

「物分かりのいい子は大好きよ。……安心なさい。リコッタ閣下は慈悲深い方よ。トマス閣下も交渉が効く。あとはアンタの弁明次第ね」

「どういう意味ぴょん?」

「さぁ、そのうちわかるわ」

 

 ハリエットはラピィを小突きながらゆっくり歩き出す。野次馬がわらわら出てくるが、これは想定通り。まあ、かなり外連味たっぷりになったのは想定外とも言えなくもない。

 

「これで第二王子殿下は言い逃れできないかな。……あとは頼みますよ、閣下」

 

 とりあえず()()()の戦闘は一段落だろう。……王宮から北の一点に向けて魔導術がバンバン飛び続けているのは見ないふりをしたいところだ。攻撃をしているということは、王宮側が脅威だと判断しているということであり、攻撃が一方的に続いているということは、その脅威が排除されていない事を指す。

 

「……やり過ぎてないといいけど」

 

 嫌な予想は、大抵当たるものである。

 

   †

 

「うわああああああ! 来るな来るな来るなぁああああああ!」

「失礼ですよ? そんなバケモノを見たような反応されても困ります」

 

 雷を落とそうが、空間ごと押しつぶそうとしようが、レナ・ポーレットの数メートル手前で消失する。矢はその場で鉄塊と化して落下し、風の刃は文字通り散らされる。遠距離からの攻撃はことごとく無効化された。文字通り決死の覚悟で懐に飛び込まんとした火炎使いの魔導師はあっさりと懐に入り込んだもの、魔導術そのものを発動させることすら叶わず、突如泥に変わった石畳に膝から下を埋められ敗北。『後で掘り出してあげますから』と笑顔で言われたまま街道に放置されている。

 

 攻撃を避けすらしない。ただ一定のテンポで近づいてくるレナ・ポーレットの姿は、衛兵達にとっては『恐怖』そのものだった。

 

 そんなレナ・ポーレットはゆっくりと、ただ確実に王宮までの道を直進していた。まもなく、王宮と市街地を区切る門まで到着するという段階である。そこには堀がある。

 

「せーのっ!」

 

 ……正確には『今さっきまで掘があった』が正しい。北西門の周りだけではあるが、瞬時に堀が埋まる。ご丁寧に法面(のりめん)まで石で補強し、そっとやちょっとじゃ崩れないように道を作ってしまった。

 

「それじゃあ、お邪魔しますね?」

 

 衛兵たちの名誉のためにも断言するが、彼らは決して仕事をさぼっていた訳ではないし、無能だったわけではない。そもそも論として、特級魔導師を平時編成の警衛部隊のみでどうこうしようというのが無謀極まるのである。

 

「後でちゃんと直しますのでご安心ください」

 

 跳ね橋と門扉を吹き飛ばしておいてレナ・ポーレットが笑う。衛兵達はじりじりと距離をとる。無意味だとわかっていても、ここで剣を仕舞えば雇い主である王宮から文字通り首を切られかねない。それでもここで突っ込んだところで無駄死には必至だ。だから少しでも向き合う時間を引き延ばすしかない。

 

 戦場において魔導師には魔導師をぶつけるのが定石であるが、それは通常の兵士ではそもそも近づくことが困難、もしくは近づいたところで無意味だからだ。だから魔導師の天敵は魔導師ということになる以上、相手より強い魔導師を起用し、相手にぶつけるのが基本戦略になる。

 

 今回の問題は王国内に八人しかいない特級魔導師が、ほぼ奇襲に近い状況でやってきたことにあった。特級魔導師を押さえ込めるような高位の魔導師を常時貼り付けておくなんて、員数的にも予算的にも現実的ではない。そのためかなりの数の犠牲を前提として物量で押し込む以外の手段はなく、それをするには最低で四ケタの兵を事前に集結させなければならない。そんな人員をずっと王宮に詰め込んでおく訳にはいかないのだ。

 

「さて……と。ミネット! 降りてきて!」

 

 彼女の頭上でちょうど旋回をはじめた魔鳥から人が降りてくる。

 

「お待たせしました!」

「リコッタ様とアオが飛び込んだみたいだけど、言い出しっぺはリコッタ様ね?」

「はい……申し訳ありません」

 

 ミネットが猫のような耳をしゅんとさせて謝る。

 

「お説教は公爵閣下にお任せしましょう。……第二王子殿下にアオが負けることはないと思うけれど、ちょっと心配ね。早めに閣下と合流しないと……」

「その心配には及ばん」

 

 抜き身のサーベルとボロ雑巾のようになった襲撃犯の一人をなかば引きずるようにつれて、トマス・バリナード公爵が土橋を渡ってくる。返り血で斑に血染めなせいで迫力満点だ。

 

「あら、お早い到着ですね」

「リコとアオが尖塔に突っ込んだだろう。……まったく、リコまでエリィに似てきよったな」

「エリザベート夫人ほどじゃありませんよ……多分」

 

 言葉を濁したレナ・ポーレット。エリザベート夫人の『伝説』は確かにこんなものではない。()()()()だった彼女をさっさと隔離したいという本音を『西方を守る男の夫人にこそふさわしい』ときれいにラッピングして半ば押しつけるように送り込まれたのがエリザベート夫人。その彼女の血はたしかにリコッタに引き継がれているようだ。

 

「ヴィクトリアは?」

「魔鳥を放した後に合流する手筈ですので、まもなく上空に飛んでくるかと思います。ブランカが飛んできたということは、バドも事情を知ったでしょうし、子爵軍(うち)の魔鳥達は統制がとれてますので」

「わかった。……こうなるとハリエットはさっさと位を上げて責任と部下で縛り付けた方がいいかもしれんな。ワンマンで動かれるとこちらも難しい」

「閣下のことですから、飛空魔導騎士団に()()するつもりでしょう? 准騎士を幹部にするほどの急激な昇格は軋轢を生みますよ?」

「だからさ。聖ディアナ騎士団(うち)の正騎士だったという肩書きがあれば文句は出まい」

 

 そんなことを暢気に話していると、衛兵たちがざわつきはじめた。誰かを制止するような声が段々大きくなり、制止されていた本人が姿を現す。

 

「……何の騒ぎかと思えば『鉄血』の。どういうつもりだ。トマスまでおるにも関わらず、何がどうなれば余の城の堀を埋めてまで突撃することになるのだ」

「こんばんは、陛下」

 

 見えないドレスをつまむレナ・ポーレット。寝間着姿の国王陛下は割と本気で頭を抱えている。さっと半歩下がったレナを見て、トマスが苦虫を百匹まとめてかみつぶしたような顔をする。こうなると貴族として位の高いトマスから説明するのが筋とは言えども、それをさらりと押しつけてくるあたり、レナもちゃっかりしている。

 

「陛下、わが公邸が賊の……いえ、銀弓騎士団を騙る不届き者の襲撃を受けたのです。万が一にも第二王子殿下の身に何かあってはならないとはせ参じました」

「ほう?」

 

 トマスの声に目を細める国王陛下。公爵の言い分が真実ではないことなど、国王は知っている。

 

「……まったくもって嘆かわしいことよ。トマス」

「はっ」

「ラピィを放してやれ。そうだ。お前が締め上げているその子だ」

「……お認めになるのですね」

 

 襲撃犯の名前を国王が知っているというのが既に答え合わせだ。

 

「銀弓騎士団の人員が関わったことは認めざるを得まい。西方鎮守の要たるバリナード公爵と余の間にこれほどの問題を差し込んだ本人に話を聞かねばならん……」

「無礼を承知でお伺いしますが」

「余の指示ではないが、それをお前達に証明する手段がない以上は王宮の責任。すなわち余の責任である。その責任を背負えない程、余は腐ってはおらんぞ。そこを疑われるのは心外である」

 

 国王陛下はそう言って、レナ・ポーレットを見る。

 

「『鉄血』の。フレディの居場所はとうに掴んでおろう。案内せい」

「かしこまりました。陛下」

 

 一礼したレナ・ポーレットが尖塔に向かう。尖塔の入り口となる扉が、内側からどんどんと叩かれているのが見える。

 

「今開けますので下がってくださいね」

 

 魔導術でドアのヒンジを吹き飛ばすとドアに体重を預けていたらしい男が転がり出てきた。

 

「……フレディ。どういうつもりか説明したまえ」

 

 顔色が悪いを通り越して土気色になったフレデリック第二王子殿下に、全員の視線が突き刺さった。




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