弦巻評判記 暴れん坊当主(笑)   作:初見さん

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コンビニに来たのに絡まれた次期当主

 コンビニに入っただけなのに。そんなタイトルに近い映画を思い出しながら愛は少し溜息を吐いた。

 

「ネエ? ユキナトイチャイチャシタノ?」

「してないよ。誤解だと言っただろ、リサさん」

「つぐがいるのに〜浮気ですか〜?」

「つぐみさんしか興味ないから安心しろよモカさん」

 

 コンビニで買い物をしようとしたら知り合いの2人に絡まれた次期当主がそこにいたからである。事の発端は相変わらずの暇つぶしでAfterglowにコンビニスイーツでも差し入れするかと、コンビニに入った瞬間見覚えのある人が2人いたのだ。

 1人はAfterglowのメンバーで、愛の幼馴染である青葉モカ。そしてもう1人は……

 

「ユキナハアタシノモノダカラ」

 

 ただのヤンデレである。愛は客と来たのにも関わらず、たまたまバイトシフトの入っていた2人に鉢合わせた。

 

「リサさん。つぐみさんしか興味ないから大丈夫だと言っただろ?」

「友希那に魅力がないってこと?」

「モカさんこの人何とかしてくれ」

「諦めて下さい〜」

 

 Roseliaのベース担当である今井リサは友希那に対しては粘着ヤンデレなのでとかなり失礼な事を言いながら愛に何を買いに来たのか聞いた。愛もそんなギャルを無視して、コンビニスイーツのオススメを聞く。

 

「友希那って可愛いよね」

「新商品の牛乳プリンがオススメですよ〜」

「ひまりさんがプリン食べたいって言ってたから買っていくか……後は?」

「どら焼きとか蘭が好きですよ〜」

「んじゃ、蘭さんはそれで」

「友希那って可愛いよね」

「モカさんは何がいい?」

「モカちゃんも貰っていいんですか〜?」

「Afterglowの差し入れって言っただろ、モカさんにも渡すつもりしかなかったぞ」

「ありがとうございます〜」

「友希那って可愛いよね」

 

 筑前煮ギャルの恐怖なる一言はガン無視を決めながらモカとオススメのコンビニスイーツをカゴに入れ続ける愛。

 ついでに妹、父親、シマエナガ(嶋長エナ)やその他諸々の家の人に配ろうと、適当に二つ目のカゴにホイホイと賞味期限の長いスイーツを突っ込んでいく愛に対して、さっきまでイカれてた今井リサとふわふわとした口調をしながらスイーツを選んでいたモカも目を丸くした。

 

「あ、あの〜愛さん〜?」

「どうしたモカさん」

「ちょっと入れすぎじゃないかなぁ〜」

「いや、家の人様に」

「ね、ねぇ愛……家の人ってどれだけ食べるの?」

「これくらいかな」

 

 真面目に戻ったリサに対してパンパンになった二つ目のカゴを見せる愛。その品物は軽く100品(同じ種類複合あり)は超えていた。

 会計をお願いするよと、優しい口調でAfterglowと家用で分けたカゴを置いた愛に対して、モカはレジ打ちが大変だと嘆きながらリサと二人三脚でレジを打つ事になったのだった。

 

 ☆

 

「なんか……あこがすごく懐いてて、友希那も楽しそうに話してた人だったから、どんな人かと思ったんだけど……」

「リサさんですら言葉に出ないですか〜」

 

 リサとしては本音を言うと鶴田愛という人間を見たかっただけである。あこがRoseliaの練習ですごく懐いている感じに愛の話をしてくれたし、あの音楽にストイックで男の話など、そう言った浮いた話をしない紗夜や友希那でさえ愛の名前が出てきた。

 だからこそ、今日たまたま来店してくれた愛を見て、チャンスだと思った。別に虐める気は無かったし、あの時の事は友希那のイタズラだとも分かっていた。

 それでも、あの友希那がイタズラをした彼の事を知りたいと思ったのもあり、彼の行動を見ていたが、モカとも仲がいいし、何より彼の口からは事ある事にAfterglowの話が出てきた。

 それほど仲がいいのかと改めて感心したリサだが、最後の2万以上の会計は訳が分からなかった。

 

「お金の心配一切しないで賞味期限だけ見てポイポイカゴに入れる人初めて見た」

「まぁ、愛さんですからね〜」

「愛って一般人だよね?」

「まぁ……そうですね……」

「え? なんか訳あり?」

「いえいえ〜何でもないですよ〜」

 

 そう言ってモカは誤魔化したが、リサは頭に疑問と戸惑いを浮かべながらその後の仕事をしっかりこなしたのだった。

 

 ☆

 

「このプリン美味しいですね」

「愛! ありがとう! このどら焼きとっても美味しいわ!」

「喜んでくれて何よりだ……お、モカさんからオススメされた饅頭美味いな。今度有咲さんにもあげよう」

 

 その後、コンビニから帰って家のSPやこころ達にスイーツを振る舞う彼に対して、弦巻家の関係者からの人気が鰻登りになるのは愛は知る由もなかった。

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