「わっしょい!」
「わっしょい!」
「蘭ちゃん、私胃が痛いんだけど」
「大丈夫だよつぐみ。同じ気持ちだから」
「2人ともそれ大丈夫じゃなく無い!?」
「流石愛さん〜ヒヤヒヤする行動しかしないですな〜」
弦巻愛こと鶴田愛の幼馴染であるAfterglow(蘭、つぐみ、ひまり、モカ)は少しヒヤヒヤしながらも笑いながら彼らを見ていた。彼らというのは愛と巴である。
2人は担がれてる神輿の上で、太鼓を全力でぶっ叩いてわっしょいと大声を上げる。バランス感覚でしっかり立ち回っているが、みんなからすれば次期当主がこんな事をやっている事に対してヒヤヒヤものである。
商店街のお祭りに幼馴染達から誘われた愛。巴達と回ろうと思ったのだが、祭りの太鼓係が体調不良のため2人欠員した。巴は商店街で有名になっていた事、Afterglowでドラム経験者ということもあり太鼓を叩く係に急遽任命されたのだ。
しかし、そこで巴が待ったをかける。どうせなら愛も叩いてみないかと勝手に提案したのだ。楽器ならある程度演奏できる愛と、巴の友人ということが罷り通ったのもあり愛も強制的に(本人はノリノリ)で神輿の上に登らされて太鼓を叩いているのである。
「盛り上がって行くぞ!!」
「みんな、派手に騒ごうぜ!! わっしょい!!」
「ひまりちゃん。私、頭痛が痛い」
「つぐが壊れた!?」
弦巻家の人間が、神輿に乗るな。ついでに太鼓も叩くな。そして叫ぶな。みんな盛り上がるな。彼を何方と心得ているんだ。
彼の様な人間はVIPと書かれた席がお似合いだと、つぐみは頭を抱えていた。彼の事を知っているAfterglowはモカとひまり以外は真剣に悩んでいたが、2人は蘭とつぐみに落ち着けと伝える。
「まぁまぁ〜愛さんらしくて良いじゃん〜」
「そ、そうだよ2人とも! 確かに……2人が色々思うところがあるのは分かるけど……でも、私達愛さんの味方するって言ったし、愛さんが幸せならそれで良いじゃん!」
「それは……そうなんだけどさ……つぐみが限界そうで」
「愛さんのバカ、アホ、鰯」
「つぐが本当に壊れた……っていうか鰯って何!?」
つぐみは胃を抑えながらも愛に対して軽く悪態をつく。モカが途中、つぐが悪態をつく、なんて面白くもなんとも無い洒落をかましながら、愛の神輿を見ていたのだった。
☆
「いやぁ! ありがとう愛さん! 盛り上がったよ!」
「わっしょいだな巴さん。また何かあったら呼んでくれ」
「お願いですから参加しないでください!!」
巴と愛が祭りの感想を言い合いながら、つぐみは自分の苦労も知れと愛に突っ込む。愛は1つ謝りながらそれでもと、返した。
「みんな楽しそうで良かったじゃん。みんなが笑顔ならそれで良いだろ」
その言葉につぐみは目を丸くした。その言葉は何処かで聞いたことのあるもので、とても彼と似ている人が発していた言葉……
──世界を笑顔に!!
そう言っていた、金髪の少女。その少女の名前をつぐみだけでなく、Afterglow全員が思い出して……笑ってしまった。
「うん……愛さんのいうとおりかもね」
「だな、やっぱり妹が妹なら兄も兄だろ!」
「愛さん、今のとってもこころちゃんに似てたよ!」
「兄妹揃ってとんでもないですなぁ〜」
「はぁ……まぁ愛さんだから仕方ないかぁ」
先ほどの反対意見はどこへやら。結局幼馴染の優しさには勝てない事を悟った幼馴染なのだった。
「お、焼きそばあるじゃん美味そうだな」
「愛さん、お礼にアタシが買ってやるよ!」
「良いのか? それじゃあ貰おう。せっかくだから俺も買って2人前をみんなで食わないか?」
「それなら全員で買おうよ」
「蘭の言う通りですよ〜みんなで買ってみんなで食べましょう〜」
「モカさんは5人前食べそうだな」
愛のそんな言葉にモカが肯定して、みんなが笑った。祭りで太鼓を叩いた後の焼きそばとジュースは美味いと、愛は言いながらこの想い出を心の中にしまい込んだ。