正しくは70件超えです。何をどう見たら90件って見えたのか自分にも分かりません。
大変失礼致しました
「ねぇ、みんな。これからどうする?」
羽沢珈琲店に集まったAfterglow全員。その1人である蘭がみんなに問いかける。何を聞いたのかはみんなも考えれば分かる事だった。
「将来の事だよね? でも、まだ2年生になるだけでしょ?」
「そうだけど、これから勉強も難しくなるじゃん。バンドと両立出来るのかなって」
「ひーちゃん以外はもーまんたい〜」
「ちょっとモカ!?」
勉強が苦手のひまりを揶揄いながらモカは笑い、ひまりはポカポカとモカを優しく叩く。
「確かに学年上がったら心配だけどさ、またこうして会えるならいいんじゃないか?」
「巴ちゃん、なんだか愛さんみたいだね」
「そうか? まぁ、なんだかんだアタシも愛さんに毒されたかも知れないな!」
「俺は毒よりも綺麗な皿を配りたいところだな」
巴とつぐみの会話に現れたのはいつもの人である。
「どうしたんだ? みんな揃って」
「愛さん。あたし達これから学年上がるからどうなるのかなって話してたんですよ」
「変わらんだろ。蘭さんの言ういつも通りに丸く収まるはずだ」
「愛さんらしいな」
「それよりも、俺から良い話と微妙な話があるんだが、聞いてもらって良いかな?」
「良い話は分かりますけど〜微妙な話ってなんですか〜?」
愛の言葉に質問をしたモカ。愛は1つ咳を払って良いニュースから伝える事にした。
「お忍びが親父にバレてな。そのまま継続しても良い事になった」
「本当ですか!?」
結局愛とその父親は話し合いの末、お忍びで珈琲店やら有咲の家やら街並みを散歩する事をしっかりと許されたという。おめでとうという祝福もあったが、胃痛に悩まされたつぐみも少しばかり緩和されるだろうという面でもありがたかった。
「それで、微妙な話って何?」
「ああ、実はな……俺が3年に上がったらもう当主として振る舞えと親父に言われた」
「えっと……つまり、弦巻の当主が愛さんになったって事か?」
「どうやらその様だ。今はまだ、俺が直接手を掛けることは少ないが、もしかしたら祭りの挨拶とかで参加する可能性が出てきてな。正体がバレそうなんだ」
「それは……隠しきれないな……」
愛の言葉に全員が考える。元々弦巻だとバレてよそよそしくされない為に愛が行った偽名ぶらり旅ではあるが、それがバレて仕舞えば今後愛への対応がどうなるか分からない。前の祭りで商店街の人達と仲良くなれたのに、急によそよそしくなったりされると流石の愛も悲しかった。
「別に、そのままでいいと思う」
そう言ったのは蘭。なんの考えもなしに発言する様な人ではないのもあり、全員が蘭を見てその答えを待った。
「よそよそしくなる人も勿論いると思うけど、あたし達がカバーすればいいし、愛さんは愛さんで好きに動いて欲しい」
「なんやかんや言って、あたし今の愛さん……弦巻愛も鶴田愛も、どっちも好きだから……好きな人を助けるのは当たり前じゃん」
愛は泣いた。普通に泣いた。なんならつぐみからハンカチ借りて号泣した。あまりにもすぐに泣いたので、蘭が大慌てどころかみんなも愛を見てパニックゾーンになる。そんな中でつぐみだけは愛が泣くことを想定してハンカチを用意した。熟年夫婦かと突っ込みたい。
「ちょっと……喋れない……ごめん」
「愛さんマジで泣いてるじゃん」
「蘭ってば罪な女〜」
「い、いや……あたしは思った事言っただけだから!? でも、みんなだってそうでしょ?」
「モチ〜」
「そうだよね、愛さんは愛さんだもんね」
「ひまり、その発言は何も分かってない人の発言だぞ」
「巴それどういう事!?」
「ひまりちゃんが頭悪いって事じゃないかな?」
「つぐが虐めてきた!?」
「闇つぐみさんの出番はそこまでだ」
愛の言葉で、会話を止めた愛ではあるが、やはり涙は収まらない。それでも、お礼だけはしっかりと言わなければと、蘭にありがとうと伝えた。
「蘭、お前さんがそう言ってくれて嬉しいよ。そういう仲間思いのところ大好きだぞ」
「ちょっと愛さん!!」
愛のストレートの言葉に蘭も再び顔を真っ赤に染め上げて机に伏した。つぐみは驚きながら、愛の肩をへし折るつもりで肩に手を置いて握りつぶしにかかるが、流石につぐみといえども(?)人の肩を潰す事は叶わなかった。
「愛様! 今よろしいですか!!」
「シマエナガ? どうした慌てて」
「こんにちは〜嶋長さん〜」
急に羽沢珈琲店の扉が開かれて姿を見せたのは愛の専属SP嶋長エナである。彼女は今すぐ愛に来て欲しいと大声で伝えた。事情が飲み込めない愛が理由を聞くと
「御当主から最初の仕事です。この街で挨拶回りをしろと命令が下されました!」
「分かった、一回親父をぶん殴ってから回ってやろう」
「喧嘩しないで下さい!?」
「愛さん落ち着け! 目が本気だ!!」
「愛さんが本気で怒ってる……」
結局、愛の父親から伝統だから一応当主として挨拶をして欲しいと懇願されたため仕方なく参加する事になったのはその後の話である。とりあえず伝えたい事は、父親は愛に殴られたことと父親も悪気は無かった事である。