修羅に生きる   作:てんぞー

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鼠のお使い Ⅱ

「―――よろしく!」

 

 そう言って笑顔を向けてくる少女の姿がある。黒いシャツに黒いハーフジャケット―――軽戦士の恰好をしている少女だ。長い黒い髪を持つ少女は指でブイマークを向けてくる。その横には何時も通りローブ姿のアルゴが存在し、後悔している様な、そんな表情を浮かべている。だからとりあえずは腕を組み、そして無言で視線をアルゴへと向け続ける。それを受け止め、アルゴが視線を返してくる。

 

「選択肢、実はそう多くないんだヨ」

 

「いや、そういやぁそうだよなぁ。忘れがちだけど俺ってオレンジだったんだ……」

 

 拠点に活用しているホテルの一階、酒場のエリアでアルゴ、自分、そしてアルゴが引っ張ってきたもう一人の護衛で場所を占拠している。元々この街は衛兵NPCが存在しない街である為、オレンジプレイヤーが安全に入ることができる街になっている。つまりは、オレンジプレイヤーが利用できる街となっている―――それを不安に思うプレイヤー腐るほどいる。その為、半ばゴーストタウンとなっている。めったにプレイヤーはこないし、来るとしてもそれは同じようなオレンジプレイヤーか、もしくは一癖ある様な連中でしかない。

 

 そんな中で、アルゴがこの街でグリーンプレイヤーを護衛として拾ってきた。しかも見た目、十五ぐらいの中学生の子供だ。しかも、だ。装備はまともでいてもこんな場所で見つける事の出来るプレイヤーを到底まともだと言い切れることはない。特に、相手が若いとなると更に不安が倍ドンで襲い掛かってくる。その為、少女の姿を見ながらも、不安しかなかった。

 

「お兄さんお久しぶりー。顔が変わってないからビックリしたよ」

 

「えっ」

 

 そんな此方の不安とは他所に、少女はまるで此方の知っているかのようなふるまいをしてくる。しかし顔が変わっていない、という事を知っているのはデスゲーム化事件―――自分で名づけるとして≪茅場ショック≫前に出会ったことのあるぷれいやーだけだ。そしてその時に出会ったことのあるプレイヤーといえば、

 

「あー……交通事故の子」

 

「待って、事故りはしたけどもっと違う呼び方あるよね」

 

「なんだ、知り合いだったのかナ? まぁ、だったら紹介をする必要はないのかナ」

 

「あ、一応名乗っておくけど僕の名前はユウキ、片手剣のフェンサーだよ! よろしく!」

 

 笑顔で再びブイマークを向けてくるユウキから離れる様にアルゴの肩を抱いて、少しユウキから離れる。後ろでユウキがブイサインを動かしたりおーい、と言って動き回っているが、それを無視してアルゴと小声で話を始める。

 

「……で、大丈夫なのか、真面目な話」

 

「レベル的にはそう違いはないヨ。戦う所を確認させてもらったけど悪くはなかったしネ。それに戦うのは君がメインでもう一人は護衛の為に欲しいんだろう? だとしたら素性さえ解って安心できればいいんじゃないのかナ?」

 

「そりゃあまあ……そうだなぁ」

 

 と、今まで背後で会話を見守っていたユウキが近づき、間に挟まって来るように両手を伸ばして抱き込んでくる。

 

「で、どうなの? 僕採用?」

 

「もう採用しているヨ。基本的にはオイラの護衛だからあんまりオイラから離れなければそれでいいヨ。出現して来るモンスターにかんしてはそっちのこわーいお兄さんが相手をしてくれるからネ。戦う必要があるのはお兄さんが動けない場合か、それとも討ち漏らした場合にのみだヨ。報酬については話した通りで問題ないだロ?」

 

 そう言ってアルゴがユウキと共に話を始める。その間にポケットから煙草を取り出して口に咥え、そしてマッチで火をつける。アインクラッドに来てから圧倒的に煙草を吸う回数が増えている気がするが、やはり体に影響がないと解るとハマりすぎる所がある。適度に、中毒にはならない程度に抑える必要があるかもしれない。まぁ、素性に関しては此方で一度軽くだが確かめているし、何よりユウキにはコペルにあったような”後ろめたい気配”を欠片も感じず、心の底から頑張ろうとする気配を感じられる。

 

 オレンジプレイヤーを狩るとか、此方を騙すとか、そういう事は一切気にしなくて良いのかもしれない。

 

 ―――そういう所にまで気を回さなきゃいけない世の中かぁ……マジで新しい世界って感じだな。

 

 アインクラッドでは現実とは違うルールで動いている。法律もまだ存在していないが、ゲームとしてのシステムをそう考えるのであれば、また違う法則と法律が存在しているのだと言えるのだろう。しかし今はまだ、犯罪者という身分だ。信用と信頼を得るためにも仕事を確実にこなして行くしかない。だからアルゴとユウキが話し終わったタイミングを見計らって振り返り、

 

「終わった?」

 

「終わったヨ」

 

「お兄さん、宜しくね!」

 

「お兄さんじゃない、シュウだ。よろしくなユウキちゃん」

 

 たぶん、キリトと同じぐらいの年齢なんだろうなぁ、とユウキの姿を見て思う。

 

 

                           ◆

 

 

 アインクラッドの中心部、と言ってもまだ一層なのではあるが、その中央には天へと高く伸びる塔が存在する―――迷宮区だ。数十キロと長く伸びる塔は次の層、二層へと繋がっており、この迷宮を突破して初めて新たなエリアの解放が完了する。迷宮区に用意された敵とトラップはいわばゲームマスター側からの挑戦、試練なのかもしれない。コンテンツが欲しいのであれば、脱出したいのであれば自らの力で勝ち取れと。

 

 そんな一層の迷宮区のつくりは石造りだ。一切の窓が存在しない黒石の迷宮。中には松明が壁に掛けられており、それが光源となって道を照らしている。中には少なくないトラップが存在するが、死へと繋がるトラップ―――デストラップの類は存在しない、とはアルゴの言葉である。少なくともベータ版の時はそういう風であったらしい。それがそのままか、そうではないのか、それを調べる為のダンジョンアタックでもあるのだ。

 

 そんな迷宮区の入り口前で一時動きを止める。装備を整えるためだ。

 

 背中に両手剣の≪ツヴァイハンダー≫背負い、左腰に≪アニールブレード≫を吊るす。左二の腕にはナイフベルトを装着し、ナイフを収納する。その状態で更に腰のベルトにナイフをもう数本収納する。こちらは投擲用ナイフとなる。そしてインベントリから今度は迷宮区の無いそうと合わせた色の濃い黒の全身を隠すローブを取り出し、それに消臭スプレーで消臭作業を行ってから装着する。首に巻いてあるマフラーを少しだけ緩めて、何時でも取りやすいような位置に調整し、準備を完了する。

 

「悪い、待たせた」

 

「いや、その用意周到さには慣れたヨ」

 

「ぼ、僕もそれぐらい準備したほうがいいのかな?」

 

「いや、寧ろそのままでいてくれた方がやりやすいから助かる」

 

 そう言うとユウキが解らないといった風に首をかしげるが、あまり深く考えるのはやめたらしく、そっか、と言って剣を抜いてくる。彼女は彼女で探索の準備を完了しているらしい。アルゴへとフードを被りながら視線を向けて頷くと、アルゴが頷き返してくる。そのまま突入の指示を出し、

 

 ゆっくりと、未踏の迷宮区へと侵入する。

 

 そこはあらかじめ予想していたように、薄暗い、黒い”ダンジョン”と表現の出来そうな場所だった。横幅は大体五メートル程であり、数人横に並んで立っていてもまるで問題なく動ける程度には広さを持っていた。全力で動き回ったとしても、一切邪魔をされる事無く動くことができるだろう。モンスター等のエネミーよりは、プレイヤーに配慮された地形になっているのだろうと判断し、先頭に立つ。

 

 現在、自分のレベルは11となっている。

 

 このSAOのゲームシステムはレベルが10あがるごとにスキルを習得できる枠が一つ増える。

 

 その為、現在自分が保有しているスキル枠は初期の2枠と合わせて3枠になる。

 

 そこにいれているのは≪武器防御≫、≪隠蔽≫、そして新しく取得した≪索敵≫スキル。

 

 ≪索敵≫スキルのスキル効果はプレイヤーのミニレーダーに範囲内の敵の姿を見せる事だ。パーティーであろうと、ソロであろうと、関係なくこの類の索敵や探知能力は生死へとダイレクトに直結する。その為、自前の気配察知能力がある為後回しにしていたが、取得する事にした。先頭に立ってスキルを発動させれば即座に迷宮で近くにいる敵の居場所が此方へと伝わってくる。そのデータをパーティーで共有することができる為、妙事無くユウキとアルゴへと渡す。

 

 それに反応しユウキが口を開こうとし、

 

「しー」

 

 人差し指をユウキの口に当てて言葉を止める。もう片手で小さく、と指示をすると、恥ずかしそうにユウキが頭の後ろを掻き、そして呆れた視線をアルゴが向けてくる。警戒するのが早すぎる、なんてことを視線で伝えてきている気がするが、それを無視する。やるからには徹底的に、仕事をする以上ミスを極限まで削るのは当然の事なのだ。

 

 それを意識しつつ迷宮区を歩き始める。既に≪索敵≫スキルのおかげで敵の位置は判明している。入口から歩いて百メートルほどの位置、犬と人間を掛け合わせたような怪物―――≪コボルド≫の姿がそこにはある。予めアルゴから受け取っているデータによれば、聴覚や視覚よりも嗅覚を重視するモンスターであり、薄暗いという事もあって可視範囲はおそらく十メートルほど、感知範囲は十五メートル。武器は棍棒であり、それで≪ソードスキル≫を放ってくる事もある。

 

 基本的な人型エネミーだ。

 

 二十メートル地点、此方から相手を確認できるが、相手が確認できない距離。そこまで移動してからアルゴとユウキの動きを一旦片手で制して止めさせてから二人に始末する、とサインを送る。理解してくれたのかどうかは解らないが、本日はスケジュールが詰まっている。前方でうろうろしている≪コボルド≫の数は全部で六体―――やはり迷宮区はパーティーで攻略する事を想定しているのか、数が多い。

 

 ただ、

 

 雑兵がよほどの数を集めない限りは決して”質”には敵わない。

 

 それを簡単に証明する。

 

 体勢をギリギリまで低く、這うようなクラウチングスタートの体勢から一気に体を前へと向かって叩きだす。素早く、相手の意思気が向けられている方向性、強さ、範囲を察知し、それを縫う様に、蛇のような動きで一気に接近し床と色を混じるように動く。

 

「気配を斬る―――」

 

 素早く二十メートルから十メートルの範囲へと接近する。そこは既に≪コボルド≫の嗅覚が侵入者を捉える距離だ。しかし予め消臭スプレーで臭いを潰しておいたことから≪コボルド≫は反応できない。そのうえで地面と色を同化し、そして自分の気配呼吸を止めて完全に殺す。そのまま滑るような動きで≪コボルド≫の懐に潜り込み、

 

「視線を斬る、呼吸を斬る。≪ミスディレクション≫、≪スケアクロウ≫≪バックスタブ≫」

 

 声を口にして≪バトルスキル≫と己の技術を使う。既に≪コボルド≫との間に距離はなく、スキルの発動と同時に投擲ナイフを天井に向けてはなっている。≪コボルド≫の視線は下を見る前に、動きを追う為に上へと向けられる―――即ち視線は上へ、そして完全に隙だらけの≪コボルド≫達の背後に、背中を向ける様に歩いて到達する。投擲ナイフが落ちてくる短い時間の間に≪アニールブレード≫を右手で抜き、そして左手でマフラーを抜く。

 

「カラテが足りない。なんつってな―――」

 

 声に反応する様に≪コボルド≫が振り向こうとする。その動作に褪せてマフラーを振るって≪コボルド≫を三体、纏めてその足を引っ掛ける様に転ばせる―――その体は背後を向けたまま後ろ向きに倒れてくる。その体は倒れながらも、ひっかけられた結果として此方へと向かって、頭を先に向けてくる様に落ちてくる。それに合わせ、≪アニールブレード≫を水平に構え、一緒に床に向かって落ちる。

 

「―――首を落とす」

 

 床をギロチン台に、そして自分の体と刃をギロチンの刃に、纏めて三体の首を床に落とす。それに反応する様に残った三体の≪コボルド≫が怒りの表情と共に襲い掛かってくる。しかし、≪ソードスキル≫を使っているプレイヤーと違って此方は自前の技術による動きだ―――硬直なんて存在せず、律儀に相手の攻撃を防ぐなんて動作は必要ない。

 

 迫ってくる≪コボルド≫に合わせて下半身だけを立たせるように足を広げ、そして一回転する。近づいて来た≪コボルド≫がその動作に合わせて足を払われて冷たい床に倒れ込む。倒れた≪コボルド≫の体を蹴り飛ばす様に立ち上がり、蹴り飛ばされた≪コボルド≫にめがけて≪アニールブレード≫を投擲する。

 

 真っ直ぐ投擲された刃が≪コボルド≫の喉を貫通して壁に突き刺さり、その姿を壁に縫い付ける。

 

「実験に使うのはそいつがいりゃあいいか。んじゃ、後二体、ちゃっちゃと解体するか」

 

 背後≪ツヴァイハンダー≫を抜き、両手で握る。流石に両手剣の重みはまだ、片手で握るには辛い。しかしそれに合うだけの破壊力がこの刃には存在する。故に残った二体の≪コボルド≫が接近するのと同時に目の前へと踏み出す。棍棒を振り回そうと腕を持ち上げるその懐へと踏み込み、柄を喉に叩き込む。その動作の間に割り込もうと棍棒を振り下ろすもう一体の≪コボルド≫の動きを、柄を押し込むように相手の体を押す事で、強引に回避の動作を成功させ、

 

 そのまま柄で殴りぬき、倒れた≪コボルド≫の顔面を踏む。

 

「お友達がピンチだぜワンコ」

 

 怒りの咆哮を上げる≪コボルド≫が再び棍棒を叩きおろしながら突進して来る。

 

 それを踏んでいる≪コボルド≫を踏んだまま引きずるように横へ体をズラし、回避する。

 

 足元から聞こえてくる悲鳴の様な声は無視する。

 

 そのまま三度、四度、と棍棒を振り回してくる≪コボルド≫の攻撃に対して一切反撃する事無く、両手剣を握ったまま、足元の≪コボルド≫を踏みつけたまま回避を続ける。

 

 それを六度も繰り返すと完全に削り切ったのか、床に押し付けて踏み潰していた≪コボルド≫の頭の後ろ半分が完全に消滅しており、HPバーが完全に消え去る。

 

「あーあ、根性足りないなぁ」

 

 最後の≪コボルド≫の返答は棍棒による振り下ろしだった。それをまた密着する様に接近する事で無効化し、柄を喉に叩き込んで動きを一旦停止させる。そこから足を蹴り、前のめりに倒れるように≪コボルド≫の膝を蹴り、倒し、そして両腕を一気に斬り飛ばす。悲鳴を漏らす様に大きく口を開ける姿を無視し、背中を踏んでその動きを止めつつ、両手剣を背中に戻す。

 

「さて、お前らって窒息するのかどうか、知りたかったんだよな」

 

 開いた両手でロープの様にマフラーを捻じり、そしてそれを押さえつけている≪コボルド≫の首にひっかけ、

 

 そのまま首を絞める。

 

 首の裏を片足で抑え、そして両手で全力でマフラーの両端を引く。もがき苦しむ様に≪コボルド≫が暴れだすが、既に抵抗する為の両腕は斬り飛ばしてしまっている。体を揺らすこと以外の抵抗は出来ず、そしてそれも一秒ごとに段々と弱くなってゆく。

 

 三十秒後、完全に動かなくなった≪コボルド≫のHPがなくなり、そしてグラフィックの破片となってバラバラに散る。

 

「窒息はできる、と。選択肢が広まったな」

 

 満足な結果にマフラーの端を掴み、一回だけ鞭の様にしならせると本来の姿へと戻る。このマフラーの素晴らしい事は武器扱いはされず、道具扱いなのでもう片手で武器を握っていても使える事だったり、シワとか跡が残らないから今の様に使う事ができるという点だ。やりたかった実験が成功した事に満足し、満足の息を吐いていると、

 

 入口の方から目を輝かせるユウキの姿と、もう既に慣れているのか真っ先に壁に貼り付けられている≪コボルド≫の方に向かうアルゴがやって来る。片手でリザルトの処理を行うと、ユウキが近くへと近づいてくる。完全に尊敬、という形で目を輝かせているユウキに、ちょっと言葉には出来ない迫力を感じる。

 

「凄い凄い! 今のどうやったの!? ≪ソードスキル≫を一個も使わなかったのに! 教えて教えておーしーえーてー」

 

「……ドン引きされずに尊敬されて照れてるナ」

 

「うるせぇ」

 

 攻撃手段がドン引きものである事は理解しているが、それでも趣味と効率を両立するとこういう風になってくるのだからしょうがない。今までは大体ドン引きされる結果だが、こうやって最初から興味を持たれるとなると、

 

「ユウキちゃんからは才能を感じる……」

 

「え、本当!?」

 

「うむ。まずは初歩の初歩の初歩、放火と煽りという技術から覚えよう」

 

「子供を悪の道へ引き込むのはヤメロ」

 

 えー、とブーイングコールをユウキと共にアルゴへと向けるが、アルゴはそれを無視して壁に貼り付けている≪コボルド≫の観察に入る。本格的な観察に入るとなると≪コボルド≫を壁から解放する必要が出てくるが、それまでは短い自由時間になる。左手で握っているマフラーを首へと巻き直していると、ユウキが話しかけてくる。

 

「結局、お兄さんはさっきの色々言ってたよね、戦闘中に。≪バトルスキル≫以外の事を。なんたらを斬る、とか」

 

「あぁ、技術的な話ね。”気配を斬る”ってのが自分の気配を断って相手に悟られないようにする事。自分の体勢を低くしたり、呼吸を一時的に止めたり、視線を敵から外したり、予め匂いを潰しておくことで此方の気配や違和感を相手へ察知させない様にするんだよ。これは割と初歩的ってか、やり方さえ覚えれば割と簡単出来る」

 

「へー、他のは?」

 

「”視線を斬る”はリアルミスディレクションな。今回は初歩的な手段としてナイフを投げてそっちに注目を浴びさせる事によって、視線をそっちに集めさせたのよ。この直前に気配を消しているし、ほら、マントの色が床や壁に合うだろ? だからまるでどこにもない場所からナイフが出てきたようで、真っ先に視線がそれを追うんだ。んで最後に”呼吸を斬る”ってのは文字通り相手の呼吸を把握して、その合間を刃で切って割り込む様に行動する技術。ぶっちゃけ感覚的な部分が多いから説明は難しいけどー……」

 

 ユウキが目を輝かせている。まるで教えてください、と言わんばかりの視線。

 

「こ、このお仕事が終わったら……」

 

「やったぁ―――!!」

 

 飛び跳ねる様に喜ぶユウキの姿に軽い敗北感を感じる。一応師事する相手がオレンジプレイヤーだという事を理解しているのだろうか、この少女は。そんな事を思いながら腕を組んでいると、後ろからアルゴの声が聞こえてくる。

 

「……ロリコン、仕事の出番だヨ」

 

「おう、俺は訴訟も辞さない。それ以上言うのであれば最終兵器”遺憾の意”を使用する事も考慮に入れる」

 

「馬鹿な事を言っていないでさっさと剣を抜いてくれないカ。次の調査に進めないヨ」

 

「こいつ……!」

 

 溜息を吐きつつ、クライアントのいう事に従うしかないのが下っ端の辛い事である。

 

 が、

 

 これが数百、数千、それだけの命を救う事に繋がるのであれば、この苦労も悪くはない。




 コボルド=サン、オタッシャデー……

 放火はしょせん手段の一つなのだ……まだまだ他にも色々と手段はあるのだ……。もっともっと派手なアクションが書きたいけど、もっと先の話になりそうだなぁ。まぁ、一層での話はそう長くはありませんよ。

 なお、ホロウで二刀流SSを上げる事で武器防御スキル習得とかありましたが、ここではそう言うSSを覚えなきゃBS習得できないとかありませんので。下位スキルを覚えなきゃ派生や上位系を覚えられないってぐらいですわ

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