見た目だけで勘違いです(信じてくれない)   作:葛城

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第13話: 土の入れ替えよ~

 

 

 

 ──泣き言をこぼしても始まらない。

 

 

 

 しばらく……体感的な話だけど、しばらく呆けていた彼女は、気を取り直して……まずは、情報を集める事にした。

 

 『ストア』の表記もそうだが、いきなり未知の分野を当てずっぽうに進むわけにもいかない。

 

 これがまったくの趣味の範疇ならばともかく、現在の親方は日の丸ではなく、『世界』である。

 

 やる事をやろうとしているならば長い目で見てくれるだろうが、何も考えずに無策に動いていたら、そのうち『お前もか……』みたいな感じで神罰を下されても不思議ではない。

 

 

 なので、まずは情報収集だ。

 

 

 少なくとも、どういう流れで人類は失敗し、絶滅したのか……それを知っておけば、同じ失敗を繰り返すことだけは避けられるだろう。

 

 そんなわけで、世界をグルリと回っていた時に見付けた、特に風化の影響が弱い大型都市……の、一角にて見つけた『地下シェルター』への入り口から、なにか見つからないかと探してみる。

 

 よほど、地上からの侵入者を恐れたのだろうか。

 

 分厚い鉄の扉を力づくでこじ開けて中を見れば、そこには……大量の虫の死体と、白骨化した亡骸が数十体ほど。

 

 少なくとも、扉を開けてすぐ、見える範囲だけでも、それだけ。

 

 仲良く肩を抱き合った姿勢の白骨もあれば、家族と思われる大小の白骨が一か所に集まっている場所もあれば、頭部に穴が空いて……おそらくは争った跡と思わしき白骨もある。

 

 食料の奪い合いか、意見の食い違いが生じる争い……あるいは、主導権の奪い合いから……まあ、知ったところで今更なこと。

 

 重要なのは、ここに居る者たちが引きこもるまでの経緯、シェルターに逃げるにまで至る原因を知る事。

 

 なので、『ストア』にて習得した『清潔(クリーン)』という道具を使って、シェルター内を綺麗にしてゆく。

 

 この『清潔』というのは、『ストア』にて購入した……なんだろう、言葉では説明出来ないが、要は超すごい科学力で作られた掃除機みたいなものだ。

 

 直径は細胞サイズであり、普段は彼女の体内に収容されている。顕微鏡を使っても、装置そのものを見ることはできない。

 

 使用する際は掌を対象に向けて意識し、『清潔』と心の中で唱えるだけで良い。

 

 それだけで、掌から放たれる淡い光は、まるで光線のように大賞へと注がれ……後には、虫の死骸はおろか、カビの跡や白骨やら、とにかく彼女が嫌だなと思ったモノ全てが微粒子レベルで分解され、消え去っていく。

 

 

 しかも、それだけではない。

 

 

 この『清潔』は、なんと臭いの粒子にも反応し、彼女自身が望む匂いに変換してくれる。

 

 なんとも凄まじい装置だが、これは宇宙の彼方、この星の科学力なんぞ鼻で笑われる超高度な科学力によって生み出された産物なので、そういうモノとして納得するしかない。

 

 で、話を戻すが、この装置の凄いところは、彼女自身が無意識に『消したくはないor消しては駄目』と思っているモノも含めて、自動的にちょうど良い感じに清潔にしてくれる。

 

 だから、ペカー……って感じで室内を綺麗にしても、余計なモノは消さないし、消されることはない。

 

 

 ……ちなみに、既に彼女は己のステータスを限界値まで上げきっている。

 

 

 その中には様々な『耐性』や『免疫』があり、最後に病気らしい病気をしたのは……何時だったか思い出せないぐらいに前だ。

 

 なので、シェルター内に入っても肉体的にはまったく問題はない。

 

 腐敗臭も有毒ガスも、なんなら無酸素状態であろうともまったく問題はない……のだが、だからといって、精神的に平気かと言えば、そんなわけもない。

 

 誰だって、汚いよりは綺麗な方が良いし、不潔よりは清潔な方が良いわけで、それは彼女とて例外ではなかった。

 

 

(……今は、ただ安らかに)

 

 

 彼女は、綺麗になったシェルター内に残された白骨を前に、手を合わせて冥福を祈る。

 

 この星は『世界』から半ば見捨てられているというか、呆れ果てているというか、放置されっぱなしだから、遺体が『世界』の手で再利用されることなく放置されている。

 

 いったい、何時頃からこの星は『世界』から呆れ果てられてしまい、放置されていたのだろうか? 

 

 少なくとも、彼女は変わらず『ストア』を使う事は出来たし、それで生活物資を得ていたから、全てがそうなったわけではないだろう。

 

 ……可能性としては、『まだ見込みがある者にだけ、ストアを使用できる状態にしていた』が、一番高い……か。

 

 他の宇宙という名の侵略者との戦いが短期決戦になったことで、『世界』がいちいちチェックする余裕が無くなったからか……なんとも、判断に困る状況だ。

 

 それを不幸中の幸いと言うべきか、あるいは、もはや期待のキの字すら抱かれていない現状を嘆くべきなのか……まあ、当の人類はとっくに滅んでしまっているから、どっちでも良いのだけど。

 

 

 ──とにかく、『清潔』光線をペカーっと照らし続けながら、シェルター内を進む。

 

 

 すると、出てくる、出てくる、白骨の山が。

 

 ベッドの上で抱き合う形で白骨化していたり、家族で固まって白骨化しているぐらいなら、可愛いものだ。

 

 なんでかって、そういう死に方は服毒などして意図的に自殺を図らなければ、そうはならない体勢だからだ。

 

 伝染病の場合もあるだろうが、それなら伝染病患者を一か所にまとめられて……となっているだろうから、やっぱり服毒自殺か。

 

 まあ、そんな者が現れても仕方がない惨状だったのだろう。

 

 手足の骨が折れた状態でうずくまる形の白骨があったり、あるいは一部が欠けていて……おそらく、ナイフかナニカで刺されて死んだと思われる白骨があったり、色々と察せられる。

 

 というか、酷いモノになると、バラバラになった骨が一塊になって集められている場所がいくつかある。

 

 おそらく……食糧危機が限界に達し、共食いでも行われたのだろう。集められている人骨は、さしずめゴミ捨て場みたいなものだ。

 

 人間に限らず、飢餓というものがもたらす極限状態は、もはや理性で抑えられるものではない。

 

 餓死というのは、あらゆる生物にとってより長く、より絶対的な恐怖と不安と孤独感を与えながら、最後にやってくる絶望みたいなものだ。

 

 その絶望感の前では、人の善性など何の意味もない。一線を超えて食人行為に走る者が現れても、なんら不思議ではない。

 

 ……なんともやるせない気持ちになりつつも、『清潔』光線をペカーッと360度全方位に発射しながら……シェルター内をフローラルな香りで満たしつつ、先へと進み。

 

 

「……あった、これだ」

 

 

 見つけた『図書館室』へ、彼女はさっさと進み……そこに保管されていた、このシェルターが滅びるまでの記録や日記などを探し当て、確認した。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして10日後、一通りのチェックを終えた彼女の感想は。

 

 

「……いや、バカでしょ。そりゃあ見捨てられるわ……」

 

 

 で、あった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………ばさり、と。

 

 背中の翼をはためかせた私は、言葉では言い表せられない憤りのままに6本の腕をグルングルンと振り回しながら、思った。

 

 

 ──こりゃあ、『世界』も呆れるわ、と。

 

 と、同時に、ここにきてようやく私は……理解というか、実感した。

 

 ──私、なんか時間間隔が以前に比べてめちゃくちゃズレているぞ、と。

 

 いや、それ自体は9000年以上も前に戦争っぽいのが起こったっていう『世界』からの話を聞いて、もしかしたら……と思ってはいたけど……まあ、それは置いといて、だ。

 

 問題なのは、『世界』を呆れさせるまでに至る、これまでの経緯だ。

 

 どうしてかって、地上の人達、『世界』からの監視の目が届かなくなり、『ストア』を使える者が減り始めたあたりで、なんか国家とか種族とかを確立させ始めたっぽいのだ。

 

 言っておくが、それは監視が解けたわけではない。

 

 単純に、この星の者たちを注視しておくより、もっと賢くて、もっと従順で、もっと頑強な、そんな者たちがこの宇宙には履いて捨てられるほど居たから、優先順位が下がっただけ。

 

 つまり、『勝手にやっとけ、サボるんじゃないぞ』と放置されたも同然で……ああ、だから『世界』は『種族変更』を急がせたのかと私は納得した。

 

 

(そりゃあ、誰だって死にたくないものなあ……)

 

 

 最悪、『種族変更』さえしていたら、ある程度は自分たちが生存するために、勝手にモンスターを間引いて、ダンジョンの『核』を破壊してくれると考えていたのだろう。

 

 実際、世界が変わった当初は混乱して大勢が排除されたが、ダンジョンがあるのが生活の一部になった後は、自発的にダンジョンへ潜るのが日常になっていた。

 

 それはコインを集めるためでもあるが、それが生きるための仕事として認知されていたからなのも大きい。

 

 

 ……だが、しかし、だ。

 

 

 それも、どうやら長く続かなかったようだ。

 

 生きるために『種族変更』を行ったわけだが、その後の弊害が時を経るにつれて現れ始め……顕在化するまで、そう長くは時間が掛からなかったようだ。

 

 思想、種族特性、食性、数え上げれば片手の指では到底収まらないが、もっとも顕著かつ切実な問題が生じた。

 

 

 それは、『寿命』の問題だ。

 

 

 極論だが、寿命が50年しか無い者と、500年も有る者。二人が、同じ時間間隔で物事を考えられるかと問われたら……そんなわけがない。

 

 同じ問題に取り掛かるにしても、だ。

 

 片方は『1年も掛けているのに、まだこれだけなのか!?』と嘆き。

 

 片方は『1年でこれだけやれたら十分、急ぎ過ぎだよ』と軽く考える。

 

 最初の頃は皆が同じスタートラインから動いたので、気に止める者は極々少数であったが……月日を経るにつれて、この差が問題になり始めた。

 

 おそらく、種族としての特性が知らず知らずのうちに出て来ていたのだろうが、何をやるにしても、物事への捉え方にズレが生じ始めたのだ。

 

 長命種族からしたら、下手したら数年で代替わりしてしまうかもしれない相手……その度に先代との約束を反故にされかねない問題に直面し。

 

 短命種族からしたら、何をするにも気が長過ぎて、平気な顔で5年6年と時間を掛けてダラダラ話を詰めようとするので、とてもではないが待ってはいられない。

 

 それゆえに、時の流れが進むにつれて、同じ感性かつ同じ特性を持つ同種族同士で集まり、コミュニティを築き始めるのは……必然的な流れでしかなく。

 

 そうなれば、各々のコミュニティの考え方が、常識へと移行するのも必然的で……ああ、なるほど。

 

 

(このタイミングで、『世界』からの干渉が減り、これまでだったら排除される行いをしても無事な者が現れ始めた結果、『世界』から解放されたと思う者が増え始めたわけか……)

 

 

 おそらく、この頃あたりから種族間の小競り合いが増え始め、それが発展し、身を守るために『国』が生まれたのだろう。

 

 それはまあ、致し方ないことだ。

 

 誰だって、自分の命は惜しい。

 

 ましてや、『世界』から解放されたと思える事を実際に体感し始めたのだから、これまで考えないようにしていた事をやり始める者が現れるのもまた、必然だろう。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………が、しかし、だ。

 

 

(結局のところ、種族を変えようが、寿命を変えようが、人間はどこまで行っても人間である事を辞められなかった……というわけか)

 

 

 仕方ないと言えば、仕方ないのだろうけれども。

 

 以前より私が危惧していた疑念が、実際に……現実になってしまっていたのが分かってしまい、私としてはけっこうショックであった。

 

 そう、人類は、人類が思っているよりもはるかに『世界』にとって重要度が低いのではないか……という疑念だ。

 

 『ストア』だって、結局のところは『世界』が与えたモノである。なんで与えるのかって、それもまた結局のところ、期待があったから。

 

 『世界』にとって、役に立つ有用な存在なのかどうか、という期待だ。

 

 だから、期待に応え続けていたら、その分だけ『世界』はリソースを回してくれていた。

 

 最初にチュートリアルっぽい事をしたのも、結局は大なり小なり期待されていたからこそ、なのだろう。

 

 言い換えたら、こいつはリソース回しても無駄と判断されたら、『ストア』は取り上げられるということ。

 

 実際、シェルター内に残された記録を見る限り、ある時期から『ストア』を使えなくなった者が現れ始めたようだ。

 

 ……おそらく、時々は『世界』が確認し、その都度不合格となった者から取り上げ始めた……という流れだろう。

 

 

 ──しかも、問題はそこだけではない。

 

 

 どうも、『世界』からの干渉が減ると共に『世界』のことなど知らない者たちが増えたことで、ある時期から『ストア』を神に与えられた御業の一つとして認識する者が現れたようなのだ。

 

 そりゃあ、客観的に見たら、けして間違ってはいない。だからこそ、ややこしい問題に発展してしまったようだ。

 

 これもまた、寿命の差によって生じた問題だ。

 

 長命種族は『世界』の恐ろしさを覚えている者が多かったので、ちゃんとダンジョンにて励み、『ストア』を使える者が多かった。

 

 しかし、短命種族は世代交代を重ねるに連れて『世界』への認識が失われ、ダンジョンに行かない者が増えたことで『ストア』を使える者は減り続けた。

 

 身も蓋も無い話だが、ダンジョンと『ストア』はセットだ。

 

『ストア』が使えない者は、『世界』の監視がなければダンジョンに行く理由が無い。

 

 倒したところで食肉なんてできないから、必然的に行く者は減り、長命種だけが『ストア』を使えるままになる。

 

 その結果……いつしか、『ストア』を魔法と呼ぶ短命種が現れ、『ストア』を使える者と使えない者で格差が生まれ……後はまあ、人類史の焼き直しであった。

 

 

 

 

 

 ──それから、少しばかり時は流れ。

 

 

 念のためにと、他に見付けていた都市跡へと向かい、同様にシェルターを見つけては中に入り、『清潔』で掃除をしてから……残された資料などを拝見し。

 

 おおよそ、これまで見付けてきた『滅びるまでの経緯』にそこまでの差異が無いことを確認した私は……天空城より、溜め息と共に地上を見下ろしていた。

 

 

「……どこから手を付けるべきか」

 

 

 理由は、その言葉通り。

 

 既に知的生命体(かつての人類)は絶滅しているが、知的生命体が残した負の遺産……としか言い表しようがない傷痕は、一か所や二か所ではない。

 

 『世界』からの監視が無いうちに、どうやら元人類は相当にやらかしていたようで。

 

 本来ならばダンジョン内の対モンスターで使うべき力を、元は同じ人間同士が、戦争のために使ってしまい……その結果、今になってもまだ地上には生命が一切途絶えた場所がいくつもある。

 

 というか、その場所から漏れ出たモノが原因で地球全体に影響が及んでいるのだから、もうこれは限定的な話ではない。

 

 

「……巻き添えで関係ない命まで無茶苦茶死んだっぽいのが……そりゃあもう、『世界』も呆れ果てるわな」

 

 

 たぶん、そこが最後の分水嶺(ぶんすいれい)だったのかもしれない。

 

 『世界』からすれば、もう人類に構っている暇すら無かっただけで……大なり小なり、『世界』を覚えていた者たちにも選民思想が芽生え、根付いていたようだし……で、だ。

 

 

 ──とりあえず、まずは地表を綺麗にしようか。

 

 

 そう、ひとまずの結論と方針を出した私は、『ストア』にて『大地:浄化する』の項目を確認し……ギョッと、普段は閉じたままの目が見開かれた。

 

 

「たっっっっ────!!!!!!!」

 

 

 何故ならば、必要コイン数が桁違いに高かったからだ。

 

 幸いにも、これまで貯めに溜め続けたおかげで、購入すること自体は可能だが……うん、まあ、アレだ。

 

 普段、1食5,600円ぐらいで済ませるような金銭感覚の人が、1食80万円とかの料理を注文しろと言われたような感覚。

 

 買えないわけではないし、懐の具合には余裕があるけど……というやつで、ていうか、ヤレと命令するのに、自腹切ってやらないとダメなんですかね、『世界』様? 

 

 

 

『──無関心過ぎるのもまた、罪ありけり』

 

『──協力を拒んだのもまた、罪ありけり』

 

 

 

 何気なく心の中で愚痴ったら、なんか『世界』からの声が聞こえた。

 

 あまりにも想定外過ぎてビクッと肩が震えた。

 

 いや、だって、『世界』が直接個人に語りかけるなんてまずありえないから。

 

 おそらく、この星で唯一黙々ダンジョンに潜ってはモンスターを殴り倒していたからか……あるいは、唯一生き残っている存在だから、ちょっと興味を抱かれている……のか、正確なところは分からないけど。

 

 けれども、言わんとしている事は察せられた。

 

 ぶっちゃけてしまえば、やる事やっているのは良いけど、おまえ1人でやれることなんて高が知れているわけで、上手に他者と協力していたら私1人でやるより2倍も3倍も効率的に動けていただろ……っていう感じである。

 

 ぐうの音も出ないとは、この事だ。

 

 確かに、私の戦い方のスタイルは、1対多数向きではある。

 

 しかし、それでもやりようはあるだろうし、天空城は広いので、大勢の人達と協力すれば、それはもう比べ物にならないぐらいに事を進められていただろう。

 

 実際、最初のうちは……協力していた時の方が攻略への速さが違っていたのは否定できない。

 

 『世界』は独りで戦うことを否定はしなかったが、推奨はしていなかった。あくまでも、ダンジョンを攻略する効率性が第一であっただけ。

 

 結局のところは私自身に『他者と協力する』ということへの関心の薄さというか、煩わしさを嫌がっていたから……そこを責められると、あまり反論はできない。

 

 

(……仕方がない、必要経費と思って諦めよう)

 

 

 結局、そう己を慰めた私は……天空城を購入した時以上のデカい取引をポチッと進めたので──ん!? 

 

 その瞬間、ドゴーン、と。

 

 これまで聞いたことがない爆音が天空城を震わせた。あまりに突然のことに、私も思わず辺りを見回し……まさかと思い立ち、城から地上を見下ろし──絶句した。

 

 

 ──一言でいえば、天変地異であった。

 

 

 例えるなら、土を掘り返して空気を入れ替えるかのような光景。惑星規模で舞い上がる土ぼこり……岩石やらマグマやら水やら何やら……その中には、文明の跡も。

 

 何もかもが、ひっくり返されて、土砂の中へと消えてゆく。

 

 あまりにも、あんまりな、言葉では言い表せられない光景に、私はしばしの間、呆然とソレを見つめ続け……そして。

 

 

「……ダンジョン、行こう」

 

 

 ちらり、と。

 

 横目で『ストア』に表示された、『大地:浄化(完了予定時刻・23年後)』と表示されているのを見て、私は現実逃避も兼ねて、天空城から行けるダンジョンへと向かうのであった。

 

 

 

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