この世界は駄犬が   作:お試し

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面接する駄犬

 

 会社経営において人事問題は重大な要素の一つである。経営に携わる者達の分別を決定するのだから、相応の観察眼及び問題を起こさせない・起こさない精神性・コミュニケーション能力を問われるのだ。

 

 〇〇の奴が!〇〇は仕事が!…現場の問題をただ言葉にするだけで打開案も出さず担当部門に投げる者達。そういった連中は私からの評価が著しく低下する。ストレスを受け止める為に設置した場所ではないのだと理解して頂きたいものだ。

 

「どうでしょう。今回の人材はとても良い経歴を持っているかと思いますが」

 

 だが同時に思うのだ。人事部の連中を総入れ替えする必要があるかもしれないと…。

 

 人事部の本部長が持ってきた経歴書。本来なら社長である自分が確認せずとも処理される案件ではあるが、この世界特有のバグにより自分が関わる必要があるのだ。

 

「君はこの人物を見て、どう思ったのかね」

「明るく社交的、能力も経歴も問題なし。実践力に溢れた人材かと…」

「…素行面についてはどうだね」

「これといった事は…何か見落としが…」

「髪の色はどうだね」

「は?いえ、普通の青色でしたが」

 

 我々の髪色をよく見ろ、基本は黒だ。どこに青やピンクや白や紫やらがいるのだね?よくて金髪、やや茶色が基本だと私は思うのだが…この世界の連中は普通に感じるようだ。

 

 こういった事を知ったのは会社を立ち上げて実績を伸ばし始めた時からだ。それまで一般的に髪色や顔に違和感を覚える連中は影も形も無かった人生だった。いわゆる、フラグを自らが招いたとも思えるかもしれない。

 

 認めない…断じて認めない。例え何かしらのフラグを招いたとしても、第二の人生を意味不明な集団に干渉されるなど断じて許すわけにはいかない。

 

「まあ、いいでしょう。直接面接で判断します」

 

 こちらも大量保有報告書の提出から始まり、個人的に行う事柄も多いというのに…。

 

 かといって、本来経理に回す案件であっても…そこにいる特徴的な連中に情報を渡すのはしたくない案件もある。無駄に技能は高い連中が多いのが面倒に拍車をかけているのだ。故に駄犬。犬のように動くが、内心飼い主に噛みつく事を考える犬ども。

 

 自らが見れば判別が容易なのが、無駄に無能と思わせてくれる一般職員…私をイラつかせる。

 

 


 

 

 

 

 

「国家技術大学を卒業、プログラミングにExcel、Word、バイトによる実務経験あり…海外留学経験もあり…車も大型まで取得、特殊免許も一式ですか。大したものですね」

「はい!御社は物流にも投資を始めたと調べましたので!私は必ず力になれると思います!」

「ええ、最近はドライバー不足も合わさり…何でも行えるやる気のある人材は嬉しいですね」

「はい!何でも任せて頂ければ必ず御社の力になれる人材だと思います!」

「どうでしょう社長」

 

 面接室で面談を受けている青髪の女性。年齢は22歳、舞川 青子(マイカワ アオコ)。顔立ちはキリッとした瞳を中心に、柔らかくもやる気に満ち溢れた雰囲気を醸し出す。

 

「…そうですね」

 

 単純に人材として見たら採用一択でもよい経歴だ。明るく社交的、こういった輩と合わないタイプもいるが、こっちから合わせることもできるであろう。どこの部に回してもある程度の成果を出すだろう人材だと思われる。

 

「最近、我社でデータを盗もうとした輩を知っていますか?」

「え、あ、はい…」

 

 露骨に態度が変わる…隠す気があるのか。と言葉にしたいがまだ言わない。これで先日の女と関係者だと確信した。

 

華美恵 五月(ハナミエ サツキ)と名乗っていた人物なのだが…知り合いかね?」

「え、えーと…し、知らない、です…」

「そうかね…ならいい。その犯人は護送中に逃げだしたらしい、犯人には協力者がいたそうだ」

「へ、へえ…そうなんですね」

「ええ、何故か世間的にあまり報道されないので不思議に思っていますよ」

「そ、そんな大した事件じゃないからじゃ~」

「おや、我社にとっては重大事件ですが。貴方はそう考えるのですね」

「え、いえいえ!?重大ですよね!?は、はは早く捕まらないかな~」

 

 そう発言した後、懐から使われた偽装社員カードを取り出す。

 

「この社員カードはよくできていますね。これを作った者は天才なのだと思いますよ」

「え、そんな~えへへ…はっ!いえ、あの、違います!?」

「…」

 

 私は軽く息を吐き、無言でガードマンを呼んだ。

 

「え!?ちょ!?」

「警察にも連絡してください。先日の侵入者の協力者らしき人物を捕まえたと」

「何かの間違いですぅぅ!?私はさっちゃんなんて知りません!?」

「…さっちゃんですか。仲が良いようですね」

「あ…うぅぅー!」

 

 ガードマンに連れていかれる最中、現状を理解できていない面接官は置いておく。

 

「国が裏にいるのは面倒ですね。堂々と癒着をされるとここまで面倒だとは…」

 

 癒着してる連中をいつか根絶やしにしようと心に決めた。

 

 

 

 

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