この世界は駄犬が   作:お試し

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国家の駄犬

 

 国内情報部隊(Kokunai jōhō butai)…通称、国家運営機関『KJB』…国を裏から支えるスパイ部隊の名称である。そこに集まるのは国から選ばれたエリート集団、知識・運動神経共に良好だと判断された者達だけで構成されている。ある特徴として、女性のみで構成された女性統一部隊なのは周知の事実である。

 

 勿論男性も所属はしているが裏方、主に事務仕事を中心に行っている。特殊な訓練に耐えることができたのは現代に至るまで女性しかいない為であるが、実戦部隊は女性だと、彼女たちは誇りを持って日々の業務に当たっているのだ。ちなみに男性はいかなる状況下でも冷静であれとされ、統一された服装・髪型となっている。

 

 眼鏡をかけた薄白髪の女性が、世間一般的に痴女と呼ばれても不思議じゃない服装の赤髪のダイナマイトボディの女性に報告していた。

 

「チーム『アジサイ』がまた失敗したそうです。警察庁より、失態を重ねるなと…」

「そう、後日菓子折りに行かないと駄目ね。…オクトパス…厄介ね。あの子たちじゃまだキツイかしら、訓練校だと高成績だったのだけれど」

「あの証券会社というより、あの社長によって阻止されているようで…完璧に偽装した社員カードを一目で看破したとの報告も」

「数年で社会を支配したのは伊達じゃないか」

「はっ。最近では政権に寄付金額を増やしていると」

「表も裏も支配する気満々ね。報道に情報は?」

「残念ながら他企業も行っている為、額を増やしただけでは…それに、その件に関しては国から…」

「はぁ…余計な詮索をするなってことね。上層部はどう?」

「現状証拠が無いのが問題と…疑いレベルの企業は一つではない為、一企業に介入を集中するなとも…」

「その一企業によって国の資本が支配されかけてるんだけど?あの社長さん個人で、どれだけ他企業の主要株主になってるか理解してるのかしら」

「…だからこそ、手出しできない」

 

 どうしたものかと首を傾け考える赤髪の女性。名を久慈頃 矢追(クジコロ ヤオイ)…32歳独身。その見た目、雰囲気はどんな人物も虜にしてきた過去があり、どんな輩からでも情報を抜き取って来た伝説のスパイである。現在は腰を落ち着かせ、後輩育成に力を入れている。

 

「オクトパス…理想的な会社ね」

 

 彼女は証券会社オクトパスの決算書を見た。まだ設立して3年ほどの新参でありながら、営業利益など常に他の証券会社と見比べて20%以上の利益率を出し続けている。そう…一度としてマイナス決算になることが無かったのだ。ありえなくはない、ありえなくはないが…不自然すぎる。

 

 誰しも思うだろう、どうやって経営利益を出し続けることができるのだろうか。我々KJBだけじゃない、他の一般企業からのスパイも侵入して手腕を探ったりなどしているが未だにわかっていないのだ。唯一わかっているのは、社長の木藤院 信(キドウイン シン)が指示した通りに売買を行うと最高利益を出し続けているぐらいだ。それを聞いてどう見てもインサイダーではとしか思えないだろう。だが未だに証拠が出ていないのが歯がゆい事実だ。

 

「あの子たちが無理なら次はチーム『プリン』を向かわせる予定です」

「…プリンなら実戦経験が豊富ね。期待しましょう」

 

 いざとなれば私が行けばいいだけですからね

 


 

 

 

 

 人事評価をする上で私は高評価する条件がある。勿論利益を出した者は当然として、とある者達を事前に捕まえた、あるいは報告した者達は高評価をしている。少しでも判別できる兆しがある人材なら多少仕事ができなくとも重役に置くぐらいには評価している。

 

「暴れんなよ、暴れんなよ」

「むぐ~!」

 

 経理部から怪しい奴を捕まえたと連絡が来て、連日で捕まった者達の仲間だろうと察しながら向かうと…作業服、掃除道具などが道中にあったことから作業員として侵入したであろう白髪の少女がタオルで猿轡をされて、緑髪の女性職員に捕まっていた。作業服の名札には祖間宮 松木(ソマミヤ マツキ)とあった。

 

「この猿轡されている人物がデータをコピーしようとしていたと」

「はい。こいつ、こいつはですね、我社の経営データをUSBでコピーしようとしていました」

 

 ニヤニヤ顔で白髪の侵入者を見つめ、互いににらみ合っている。無駄に刺激してどうすると思ったが、ヘイトが我社ではなく個人に向く分にはいいかと無駄な思考を止める。

 

「我社のPCはアクセス規制を行っていますが…知らなかったと」

「はい。最終的にPCごと持っていこうとしていたので、休憩帰りの時に偶然発見いたしました。内部基盤だけ取れば気づくのに時間がかかったのに馬鹿な奴です!ははは!」

「…やったことがあるのですか」

「え…あ、いいえ!あの、PCの分解とか得意でしてへへ…」

「まあ、いいでしょう。良い成果です、今後も励みなさい」

「はい!是非、重役にも是非!」

「励みなさい…前向きに検討します」

 

 背を向けた後方から、よっしゃー!、と声が聞こえた。いつも通り、ガードマンに引き継ぎ警察に連絡して通常業務に戻る。

 

「…あの女は確か、美空儀 青葉(ミソラギ アオバ)でしたか。特に問題を起こしていないと思っていましたが、経理部も洗浄が必要ですか」 

 

 駄犬同士潰しあって消えるのはいいでしょう。私も暇じゃない、勝手に障害が消えてくれるなら思うこともない。

 

「前職が三蕎麦商事(ミツソバ ショウジ)でしたが…偽装、いや企業独自のスパイもあり得るか…まあいいでしょう、使える者は使うだけです」

 

 他企業が我社を狙うのもまあいいでしょう。後ろめたい事柄に私は手を出していない、どんなに調べようとルール化での行動しか行っていない。

 

「ですが、私に疑惑を持たせた責任を取っていただくとしましょう。…私です、世辞は結構。三蕎麦商事の株を全部売却しなさい、ええ全部、今すぐに」

 

 だが、私の、オクトパスの信用を落とそうとした。それだけは断じて許すわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 






 需要があった、嬉しいですね。特に意味のない情報ですが私、対魔忍とか人妻団地とかも好きです。そんな非合理的・非現実的人物たちに精神ダメージを負う陰キャ眼鏡おじさんとかもっと好きです。

 今更ですが、この世界の会社の名前とかは元会社名をニュアンスは似てても別会社として扱うのであしからず。

 
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