気がつけばモブハンターになってた。 作:ドーモ。ギルドナイト=サン。
今後ともこの作品をよろしくお願いします。
「こっ、こんな筈では…………!」
まったく釣れないまま時を過ごした俺は、とうとう釣りを諦めて道具を片付けていた。
……イレグイコガネを使っても釣れないとは思いもよらなかった。
ゲームと違う部分がこんなところでも見つかるとは。
ちなみに、魚達の腹が減ってないのかもと考えたがそれも違っていた。たまたま水面の上を飛んでいたイレグイコガネを目掛けて、水中の魚が顔を出して思い切り食いついていたからだ。
つまるところ、俺の釣り技術が不足していたのだろう。
結構自信はあったんだけどな。悔しい……!
「……釣りが駄目となれば、今度は他の金策を考えないとな」
今日の探索では、ほとんどの時間を釣りに費やすつもりだったので、釣りをしないだけ他の事をして素材を集めないとならなくなった。
そして、次の方法もモンスターとの遭遇する可能性が低い安全な方法であることが望ましい。
また、売値が高いことも重要だろう。現在ポーチに入っている物がアオキノコなら、売っても2
「安全に採取が出来て、売値が高いアイテムか……」
すぐに思い浮かんだのは、骨塚と鉱石の採取なのだが……鉱石の採取は、昨日既に安全な場所を巡っているので、今日も採取できる可能性は低くなっているだろう。
骨塚も、モンスターの活動エリア内に置いてあることが多く、なかなか採取が難しい。
……こうして考えると、釣りで安全に素材集めが出来ない事が悔やまれる。
「1つだけ、この条件で良い採取ポイントがあるが、もし行くとなると時間との勝負になる……」
俺は無意識のうちに除外していた採取ポイントを思い出す。
その場所は少し厄介な地形のため、確実に安全とは言い難いが……金欠の俺には他に選択肢があるわけでもない。
……いや、決めた。その採取場所に行こう。
探索する時間はまだ多分ある。早いうちに採取して、そこから脱出すれば問題は起こらないだろう。
「とりあえず、ここの鉱石の採掘を済ませてからだな。
亀裂の中に鉱石は……良し、ちゃんとある」
移動する前に、すぐ目の前にある亀裂から鉱石を採取しよう。亀裂の中を確認すると、光を反射している箇所を見つける事ができた。
俺はポーチから取り出したピッケルを構えて、亀裂の中へと勢いよく振りかざす。
「よっ!……ほっ!……ふん!……ん?」
コンッ!コンッ!…コッ!
岩を砕く振動が、腕に伝わってくる。釣りでは味わえなかった手応えに、感動すら覚えるぜ……。
2つはすでに掘り出せて、両方とも鉄鉱石らしき物だった。そのまま3つ目の鉱石を掘り出そうとし、叩いた音が妙に軽い事に違和感を感じて手を止める。
なんだろう、少し力を抜いて叩いてみるか。
コンコン!……ボロッ。
「……っこれはっ!?」
力加減を調整して、どうにか掘り出せたその鉱石を見て驚く。
それは、光が当たると鈍く輝く六角柱のクリスタルで、透明感のある青紫色の鉱石だった。
先に落ちた2つの鉄鉱石らしき物とは比べ物にならない輝きを誇るそれは、ゲームで採取できるアイテムの種類から考えて、おそらく〈ライトクリスタル〉だと推測する。
「……もしこれが本物の〈ライトクリスタル〉だったら、相当ラッキーだぞ!」
ゲームだと〈ライトクリスタル〉は鉱石の採掘ポイントから3%くらいでしか排出されない、非常にレアなアイテムだった。
その希少価値故にか当然売値も高く、今の俺にとっては非常にありがたい代物となっている。
しかし、高い硬度を誇るライトクリスタルは武具の加工にもよく使われる素材の一つだ。
いずれ必要となった時に、売ってしまっていて手元に無い、なんて事はなるべく避けたい。次に手に入るのがいつになるかも分からないしな。
「レア素材だし売るか迷うけど……考えるのは後にするか。とりあえず、今はここを離れよう」
俺は採掘した鉱石をアイテムポーチに入れて、移動を開始する。
現在立っている岩場から、川が流れる下の地面まで段差を足場に降りていく。岩の上は滑りやすいが、木の根を掴む事で対処する。
……因みに、ナキノボリウオは最後まで岩の上でくつろいだままだった。
◆
段差を降りたこの場所はエリア11の下層。
古代樹の吸い上げた水が、最終的に流れ着く場所の一つ。様々な場所から水が集まり、古代樹の根の間を通る様に大きな川が作られているのが特徴的だ。
地面に流れる川や上から落ちてくる滝の音、遠くから鳥や鳴く虫の囀りが耳に心地よく、水も空気もひんやりとして気持ちがいい。
「そして〈キザシヤンマ〉の羽音もすごい……こうして見ると環境生物の中では大きい方なんだな」
降りた先には〈キザシヤンマ〉という環境生物がブンブンと羽音を立てて飛んでいた。
こいつは新大陸全土に現れる生物で、1.5m程の巨大と6対の翅を持った元いた世界のウスバカゲロウみたいな外見をしている。サイズはメガネウラだな。
大きく膨れ上がったお腹が特徴的で、普段は蛍のように黄色く発光しているが、周囲に脅威となる存在が近づくと赤く発光するようになる。赤は警戒色のため、それを見せる事で襲われる可能性を減らしているのだろうか。
こいつは早く飛べないので、肉食の場合はどうやって獲物を確保するのか非常に気になるところだ。
「……ここから上に川沿いに進んで、森の奥に入れそうな場所を見つけよう」
俺はキザシヤンマを素通りし、目的となる採取ポイントへ向かう。
視界には、川に沿うように植物が広がっており、前の世界のシダを筆頭に南国の草花に似た植物が多く生えている。ヤシやトネリコ、ヘゴに似た木々も立派に育っており、古代樹の森の気候の暖かさが伺える。
自然豊かで心を安らげるこの場所だが、一つ欠点を上げるならば、流れる水が多いために足場のほとんどが水に濡れていることだろうか。地面を踏めば柔らかくて足が沈むうえ、含まれていた水が溢れ出てくるので非常に歩き辛い。
そもそも、地面が無い時は川の中を歩かなきゃならないしな。
「それにしても驚いた……チェーン装備の水が溜まりにくい作りって本当だったんだな」
買ってすぐに水浸しになってしまったチェーン装備だが、その機能性には驚きを隠せない。
まさか水が抜けるお陰で、足が重いまま歩かずに済むとは……これは、ゲームでは知り得ない体験だな。
たとえ膝上まで水に浸かっても、一度水場から出れば膝裏やアキレス腱付近に作られた隙間から、勢いよく水が溢れ出て防具内の水を排出してくれる。
ゲームの水耐性がこの世界に反映されているかは定かでは無いが、なるほど確かに水には強い設計のようだ。
しかしそれでも金属製の防具なので、錆びによる劣化からは逃れられないだろう。
帰ったら早速メンテナンスしないと。
「……おぉ、やっと広い場所に出て来れた」
川沿いを塞ぐように伸びた何かの太い幹を潜り抜けると、日が差して明るい広場に出た。
大岩と古代樹の根によって囲まれたこの場所は、水の流れが穏やかで水音も静かだ。先程よりも水位が低くなり、至る所からフキの葉らしき物が生えている。
標高はまだまだ高いだろうし、ここは下流というより偶然なだらかな地形が広がっていて、水の勢いが一時的に弱まっているのだろう。
「ん……あそこの段差から、森の奥へ進めそうだな」
広場の端にある段差の向こうに、木々が密集した場所を見つける。段差の下には蔦がお互いに絡み合って垂れていて、それを掴めば上に行けそうだ。
蔦登りは初めて試すが、ハンターの体なら問題なく出来るだろう。前に崖登りもやったしな。
早速近づいて、蔦を握って感触を確かめる……うん。
勢いよく引っ張ってみたりしても、千切れる心配はなさそうだ。
「後は……握力にものを言わせてっ、登るだけ、だっ!」
蔦登りは初めてやったが、段差の上に難なくに登れた。
もっと高所まで登ったり、蔦の裏に足をかける物が無い場合は難しそうだが……そう言った場所以外なら防具を着てても余裕で登れそうだ。流石はハンターの体だぜ。
段差を上がれば目の前には深い森が広がっている。
あまりに植物が密集していて、地面が見えている箇所の方が少ない。また、人が通れそうなくらいに地面が見えていたとしても、それは獣道だろう。
「中はまさにジャングルだな。迷わず、日が暮れる前に脱出するぞ……!」
目指す採取ポイントはこの奥にある筈だ。
俺は覚悟を決めて、森の中へと踏み入っていく。
◆
「さすが熱帯雨林……育つ植物の数と大きさは半端じゃないな」
森の奥へとどんどん突き進んでいく。
先ほどの景色は一変して、今では視界のほとんどが緑色となっていた。
俺が今いる場所は、ゲームでいえばエリア11の北側だと思うんだが……あまりにもゲームの光景と違いすぎて、はっきりと断言しづらい。
ゲームだと古代樹の根と岩壁の間に細い1本道があるだけだったが、この世界だと壁から壁までの距離が大きく開き、その間には古代樹の根が迷路の壁のように生えてとても入り組んだ場所となっている。
「環境生物もこんなにいるとは……」
自然が密集している森の中は、それだけで小さな生物にとっては居心地がいいのだろう。多種多様な生物がここで暮らしいてるようだ。
まず、先ほども見たキザシヤンマ。お腹の色は黄色なので、近くに危険なモンスターはいないようだ。
足元には王冠の形に似た頭の突起と、マントのように発達した赤い翅から命名された〈皇帝バッタ〉がいる。5〜6匹の集団で元気に飛び回っていて楽しそうだ。
「おっ、こいつは〈シンリンシソチョウ)か!」
目の前を通り過ぎるのは、青色や緑色の鮮やかな風切羽が特徴的な生きる化石〈シンリンシソチョウ〉。色以外は、元いた世界の始祖鳥と瓜二つの生き物だ。
翼の鉤爪を使って古代樹の根を器用に登り、その後は別の根に滑空して移動している。
「〈ヨリミチウサギ〉までいる…………お前も警戒心が薄いなぁ」
地面が見えている場所には、大きく発達した耳で危険を察知し、狭い場所に逃げ込む習性を持つ〈ヨリミチウサギ〉が座っている。自身の柔らかい毛並みを、ペロペロと舐めて手入れをしているみたいだ。
他にも色々な環境生物が、視界のあちこちで見つかっていて、そのどれもが新鮮で見ていて面白い。
「でも環境生物だけでも充分だけど、ある意味で大人気な〈モス〉のことも忘れられちゃ困るよな」
フゴフゴッ……
そして、モンハン作品のネタ枠としてハンター達を盛り上げて来た小型モンスター……〈モス〉もまた、近くのキノコを求めて彷徨っていた。
〈モス〉は地面に鼻を擦りつけて移動する、前の世界のブタに似た外見をしている。
その頑強に発達した額で突進をして外敵を稀に追払う事ができ、キノコが主食の癖に苔むした背中をキノコに苗床にされ、その足肉は非常に美味なので人間やモンスターに狩られて食料にされていたりする。
……こうして並べたら良いこと一つもないなこいつ。
フゴゴッ……
「……どうしたモス。そっちにキノコでもあるのか」
モスのことを考えれば考えるほど不憫に思えて、つい優しく声をかけてしまった。当然、モスからの反応は無い。
どうだ、こうして鼻を鳴らす姿を見れば可愛く見えてくるだろ……いや、無いな。顔が厳つすぎて無理だ。
こんなモスでも一応、キノコを探す習性を利用して後ろについて行くと、キノコの採取ポイントが見つかるという凄く地味な活用法もあったりする。ゲームで利用してる人を一度も見た事ないけど。
「モスはもういいや……それより早く、採取ポイントに向かわないと」
俺は生物鑑賞で止まっていた足を動かし、再び歩き出す。
既に俺の知っている地形では無くなっているので、ゲームの知識はあまり当てにならないだろう。
目的地がどのあたりにあるかは、手探りで探して行くしかない。
その後は森の中をひたすら探し回った。
古代樹の根が作った空洞の中や、しゃがめば入れる隙間の向こう側、分かれ道を進んだらいつの間にか元に戻って来ていたこともあった。
それでも、根気強く探し続けて……。
「……はぁ、はぁ。よ、ようやく見つけたぞ……!」
遂に、俺は探し求めていた骨材の採取ポイントへと辿り着いたのだった。
「あぁ〜、マジで……しんどかった。ようやく一つ目の骨塚に来れたな……」
体は疲れてないけど、気力疲れが半端じゃねぇ。
道中散々道に迷い精神が磨耗していくなか、ようやく見つけた採取ポイントを前に安堵の息が漏れる。
1つ目と言っている通り、ゲームだとエリア11には複数の骨塚が存在している。今の俺にはそのうちの2箇所しか採取出来ないが、両方とも採取出来たならある程度の
危険を承知で森に入って来たんだ……もう一つも必ず採取して帰ってみせるぜ。
「……それじゃあ早速、採取しますか!」
俺は骨塚の前に膝をついて、手で掻き分けて状態の良い骨材を探す。
状態が良いまま残っていたのは小さくて軽い骨が2本と、重く太い大骨の1本だけだった。昨日手に入れた物と同じ物だろうか。
素材はポーチに仕舞い、あるいはベルトに挟んで持って帰る。
さて、次の骨塚を探しに行く訳だが、ある程度次の場所は目星がついている。
「下のエリアはもう十分探したし、今度は上に登ってみるか……もう一つの骨塚も上層にあるだろうし」
上を見上げると、それ一つが大木と思える古代樹の根と、様々な植物が強引に絡み合って作られた足場のような物が見える。
エリア11の北の上層、天然の足場によって渡ることができるそこは、地面より高い位置にある小さな洞窟や古代樹の根の中などに繋がっていて、その中には骨塚を採取できる場所もゲームでは存在していた。
ゲームとは別の採取場所がある事にかけてこのまま下層を探し回るよりは、根の上を探す方が効果的だろう。
「あの上から垂れている蔦を、ロープのようによじ登れば行けそうだな……やってみるか!」
ちょうどすぐ近くに、複数本の蔦が絡み合って垂れているので、それを手と太腿で挟んでよじ登る。ギシギシと音がするが、蔦はとても頑丈でちぎれる心配は無さそうだった。
「ふんっ……ふんっ……!」
俺は蔦を一番上まで登り、木々が絡み合っている網状の床にうまく体を入れて潜り抜け、ようやく上層の古代樹の根の上に足をつける事ができたのだった。
「だぁ……!結構高いところまで来たな……落ちたら怪我しそうだ」
上層から先ほどまで歩き回っていた地面を見つめて、その高低差に少し驚く。
足を踏み外して落ちないよう慎重に渡りたいが、天然の道はそう安全には作られていないようだ。
古代樹の根は地続きにはなっておらず、こちらの根から向こうの根までは飛び越えても届かない程の距離がある。
そして、エリア11の上層で採取ポイントを探すなら、次々に根から根を移動して行かなければならない。いちいち降りて登ってを繰り返せば時間がかかるうえ、行きたい根の上に都合よく蔦が垂れている事も無いだろうからだ。
では一体どうやって、飛び越えられない距離がある根から根までを移動するかというと……、
「……俺も、蔦渡りをやるしかないな!」
俺の目の前に垂れているのは、さらに上から伸びた丈夫な蔦。そして、その蔦の先には別の根の足場が見える。
俺はゲームで何度も行った、蔦渡りに挑戦するぜ……!
蔦渡りはジャングルでは定番になっているイメージだが、実は非常に危険な行為だったりする。
着地を失敗すれば怪我を負うし、勢いの強弱の調整を間違えればあらぬ場所に飛んで行きかねない。勿論、蔦を握る手が滑ってそのまま下に落ちても大怪我をするだろう。
それでも、ハンターならできて当然の技能だ。やるしかない。
「勇気を出して……行く、ぞっ!」
根の足場を蹴って、蔦に向かって飛び出す。
一瞬脚が浮いて落下の恐怖に体がすくみそうになるが、勇気を振り絞って力一杯に蔦を掴む。
そのまま遠心力によって向こう側の根まで移動するので、タイミングを測って手を……離す。
再びの浮遊。着地の姿勢を取り、衝撃に備えて……!
「ゔっ!……よし、なんとか成功だ!」
俺は衝撃を殺すのに失敗したものの、どうにか古代樹の根の上に着地ができた。
……怖かったが、一度やってコツも掴めた気がする。
必要なのは蔦に飛び込む時と、手を離す時に臆さず判断を遅らせない事だ。
この調子なら、上層の探索も問題なく行えるだろう。
俺は根の上を渡り、引き続き骨材の採取ポイントを探し回った。
◆
「おっ、2つ目の骨塚は、案外早く見つかったな」
何度か蔦渡りをして、段々慣れてきて楽しく感じ始めたころ……ようやく、行き着いた古代樹の根の中で骨材の採取ポイントを見つけることが出来た。
その場所は、ゲームで見たままの光景だった。
根の隙間から小さな滝が溢れ出し、その下の岩場に水流が作り出されていて、水の中を見れば魚達が泳いでいる。そして目当ての骨塚は、その水流を跨ぐようにかけられた天然の岩橋を渡った先に存在している。
さっきまでゲームとは全然違う景色が続いたので、俺の知る光景がちゃんとあって安心する。
ジャングルの中は……ゲームの景色とか言ってられん。アレは普通に遭難者が出るレベルだ。
「何はともあれ、2箇所目の骨塚も無事見つけたんだ。ありがたく採取させて貰いますか……!」
先ほどと同じ手順で、しかしテンションは高く骨塚を漁り、持ち帰れそうな素材を探す。
成果としては……小さくて軽い骨が3本手に入った。
やっぱり、素材が何か分からないのは不便だな。採取素材の精製場に持って行く時に、素材の名前を聞いてみてもいいかも知れない。
「段々とアイテムポーチも結構圧迫されてきたな」
俺は採取した骨材をアイテムポーチに仕舞おうとして、ポーチの膨らみが凄まじい事に気がつく。
一応、腰装備のレザーベルトに付いているサブポーチは余っているし、まだ入りそうではあるが……それでも大きな骨などは仕舞えなさそうだ。
……ここいらで一度、ポーチの整理をしておいた方がいいだろう。
「レザーベルトを買って正解だったな。昨日みたく、腰に無理やりピッケルや骨をベルトで押さえつけなくて済んでるし……」
ポーチのアイテム整理をしながら、レザーベルトの機能性に感心する。
その収納力は勿論のこと、さぶポーチやパンパンに膨らんでいても移動するのに邪魔になり難い設計がされており、知れない。
「確かこの辺に……あった、船で武器とか入れてた麻袋。こいつに軽くて体積の大きいアイテムを入れよう」
俺はアイテムポーチの中身を全部取り出し、その中から丁寧に折りたたんでおいた麻袋を持って広げる。
この麻袋は本当なら、釣った魚を入れるために使おうと思ってたんだが……なかなか、思い通りには行かない。
麻袋の中に、巨大なアオキノコらしき物3つと、小さくて軽い骨を4つ入れて、袋についている紐で先端を括る。他のアイテムは全てポーチに入れ直す。
「麻袋を手荷物にしたくは無いし、レザーベルトに巻きつけておくか………良し、完璧だな」
手が塞がるのを嫌って、アイテムの入った麻袋を腰のチェーンベルトに括り付ける。ゆさゆさと揺れないように2箇所止めしたし、これなら移動も問題なく行えるだろう。
「一応これで、骨塚の採取という目的は達成できたか」
探索は順調に進んだ。
もう骨塚は無いだろうし、日が暮れる前に森の中から脱出すれば、あとは安全な場所で時間切れまで過ごせるが……今は、もう少しだけ森の中で探索を続けたいと思っている。
「整理してポーチに空きができたし、アイテム採取を続けてもいいな」
慣れれば楽しい蔦渡り、見ていて飽きない自然と環境生物、ゲームとは違う多くの未知と発見……どれもこれもが新鮮で、飽きがくる気配がない。
日暮れまでは少し時間がある。モンスターに気を付けていれば、大きな問題は回避できるだろう。
「折角、こんな森奥に入って来たんだ……楽しみ尽くさないと損だろ!」
誰もいない古代樹の森の中で、子供の様に走り出す。
採取ルートの変更で、不安や焦りから始まった古代樹の森奥での探索が……いつのまにか期待と楽しさ溢れる、ワクワクした気持ちへと戻っていたのだった。
恋愛要素は要りますか?(物語の結末が変化します)
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いらない
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いる
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めっちゃいる(ハーレム)