気がつけばモブハンターになってた。   作:ドーモ。ギルドナイト=サン。

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シャドバビヨンドやり過ぎて更新忘れてました……。
明日投稿してしばらくは更新止まります!シャドバ!


18話

 

 

「次はどのアイテムを採取しに行くか……」

 

 

 俺は頭の中のゲーム知識から、古代樹の森のマップを思い浮かべる。

 アイテムの採取に向かうにしても、売値が高いアイテムじゃないと時間をかける意味がない……移動距離の問題もあるな。

 

 

「すぐ手に入るって意味なら、目の前の特産キノコを取ればいいんだが……」

 

 

 この小さな洞窟のそこら中に生えているキノコを見る。

 水流がある湿気の多い洞窟だからか、朽ちた木の隙間から腕くらいの大きさまで伸びているキノコたち……。

 おそらくあの中から、特産スジタケと呼ばれる〈精算アイテム〉が取れるはずだ。

 

 

 〈精算アイテム〉はフィールドの特産品やモンスターの落とし物から採取できる特殊なアイテムだ。

 ゲームでは、名前の通り入手した段階ですぐに〈調査ポイント〉に換算される。そのため、探索などで道すがらに採取しても、アイテムポーチを圧迫することは無かったんだが……この世界だとそうはいかないだろう。

 

 

「そもそも、この世界に〈調査ポイント〉ってあるのか……?」

 

 

〈調査ポイント〉は、調査拠点アステラにおける仮想通貨みたいなものだ。しかし、その性質はゲームのメタ要素が強かった様にも思う。

 調査ポイントは食事やアイテムを購入する際にzの変わりに使えるほか、zでは依頼できない拠点の機能を活用する時にも使われる。

 

 ゲームでは色んな事に使うせいで枯渇する事も多く、意識して貯めなければ困る事になる代物だった。

 この世界がゲームと同じなら序盤からでも積極的に調査ポイントを集めていきたいが……そもそも、調査ポイントの有無すらも把握していない。

 

 

「それに今の必要なのは調査ポイントじゃなくてzだしな……特産キノコを採るのは辞めとくか」

 

 

 今の俺にはzの余裕もアイテムポーチの余裕もない。

 それと、特産スジタケがゲームと同じレートなら、持って帰っても10pにしかならない。朝食べたおすすめ定食は調査ポイントで注文するのに100pかかるのを考えると、他の素材アイテムを採取したほうが労力に見合っている気がする。

 

 

「調査ポイントが存在しているかは……帰って調べてみよう」

 

 

 調査ポイントがあるかは、〈調査資源管理所〉に行けば分かるだろう。

 今後特産品を見つけた時に、採取のするかの判断材料になるし、確認しておくに越した事はない。

 それに、もしあるなら多少なりとも懐が軽くなる事を防げるかも知れないし……あれ、そう考えると重要だな?

 ……また新しく、重要な用事が出来たな。

 

 

「それなら結局、次は何を採取するのって話だよな……」

 

 

 うーん、中々思いつくものが無い。

 釣りなら魚の鱗を剥がせば良いから、ポーチを圧迫する事もないんだがな……上手く行かないもんだぜ。

 魚の鱗以外で売値がつく採取アイテムが無いだろうか?

 良い感じに採取可能な距離にあって、サブポーチに収まる程度で、かつ売値が高い物……。

 

 

「……!ある……あるぞ、丁度いいやつが!」

 

 

 頭の中にとあるアイテムが思い浮かぶ。

 軽くて、小さくて、日暮前に採取可能な距離にある……条件を完璧に満たしているアイテムが。

 それはゲームなら間違っても売りに出さない代物だが、たしか売値は高かった筈だ。

 

 

「決まりだ。後はどうやって行くかだな……!」

 

 

 都合の良い物を思い出したと興奮しながらも、頭の中で採取ポイントまでの移動ルートを作りはじめる。

 しばらくして考えがまとまった俺は、洞窟を飛び出て移動を開始した。

 

 

 

 

 次の目的地は、洞窟の出口からそう遠く無いはずだ。少なくとも、ゲームだと蔦渡りを一回するだけでたどり着く距離だった。

 ただ、この世界はエリア1つとってもゲームより随分と広くなっているからか、なかなか辿り着かない。

 もう結構な数の蔦渡りをしてるし、そろそろ到着してもいい頃なんだが……。

 

 

「!……見つけた、あの岩場の中にあるはずだ」

 

 

 方向を間違えているのではと不安に思い始めたとき、ようやく俺は目的地であろう場所まで着いたのだった。

 

 古代樹の根が籠のように伸びていて、それが巨大な岩を持ち上げて挟み込み天然の壁を作りだしている。

 用事があるのはその壁の内側だ。俺は壁際を散策して……大きな岩同士の隙間から、蔓が垂れている箇所を発見した。

 

 

「この蔦を登れば、中に入れそうだな」

 

 

 握ったり引っ張り、蔦の強度を確認して登り始める。

 手で蔦を持って、足を上手いこと岩の窪みに嵌めながら、岩壁をどんどん上がっていく。

 

 そのまま無事に登り上がれた俺は、湿気で滑りそうな足場に気をつけながら隙間の奥へと歩く。

 蔦登りも慣れてきたからか、初めの様に戸惑ったりする事もなくなったもんだ。

 天然の緑の暖簾をかき分けた先は、開けた場所に繋がっていた。

 

 

「ようやく着いたぞ、北東キャンプ地………………って、潰れてるぅ!!?」

 

 

 目的地である古代樹の森北東のキャンプ地にたどり着いた俺は、しかし想像していた景色との違いに戸惑っていた。

 ……そこには、見るも無惨に崩壊しているハンター達のキャンプ地が広がっていたからだ。

 

 上から潰されてひしゃげたキャンプテント、崩れてバラバラになっている石かまど、そこら中に散乱しているロープやヤカンなどのキャンプ道具。そして大量に地面に埋もれている粘土製の壺。

 そしてどこにも……人の気配が感じられない。

 

 

「!……これ、は……モンスターの足跡か………?」

 

 

 俺は荒らされたテントの隅で、大きな足跡の痕跡を見つけた。それは3本の太い足指をもったモンスターの様で、遠くから見ると鳥の足跡の様にも見える。

 また、足跡の近くでは、地面を掘り返した形跡が見られた、この足跡の主がテントを破壊したり穴を掘ったりと、北東キャンプ地を荒らしたのは間違いないだろう。

 

 

「って事は、キャンプ地にモンスターが来たのか!?」

 

 

 ゲームだとほぼ無敵となる安全地帯であり、プレイヤーの心の拠り所となるキャンプが襲われる……それは事実上、この世界では一度でもフィールドに出れば、真に安全な場所など存在しないという事を意味していた。

 現実的に考えれば、キャンプ地が安全とは限らないのは分かるが……この世界の過酷さが分かって辛くなるな。

 

 しかし、どのモンスターがキャンプを襲ったんだ?

 余程ハンターに恨みでも持っているのか、それともキャンプ地にある何かを欲していたのか。

 

 俺はモンスターが残した痕跡を注視する。

 じっと観察して足跡の特徴と、ゲームの知識を照らし合わせていくことで、頭の中に痕跡の主の姿がだんだんと浮かび上がってくる……。

 

 

「……思い出した。これ、〈クルルヤック〉の足跡だ」

 

 

 〈クルルヤック〉。別名は掻鳥と呼ばれる。

 全長9mで全高3mを超える、鳥竜種に属する二足歩行の中型モンスターだ。元いた世界のヴェロキラプトルを、明るいベージュに所々くすんだ黄色系の模様が入った体をしている。

 特徴的なのは頭と前足についている鮮やかな色をした飾り羽と、発達した四肢に伸びる鋭い爪だろう。

 

 このクルルヤックはモンスターの卵が大の好物で、時に大型モンスターの巣にまで侵入して卵をかっさらい捕食するという、親に見つかれば終わりと度胸満点の生態を持つが……その割には温厚な性格をしている。

 自分より体躯がデカいモンスターを前にすれば逃げるし、体は小さいハンターでさえ襲おうとせず、個体によっては逃げていく。

 そんなクルルヤックが、ハンター達のナワバリとも言えるキャンプを襲うとは考えにくい。

 

 

「なにか頭に引っかかるが……」

 

 

 違和感があるものの、しかし答えは直ぐには出ない。

 何か理由があるのかも知れないが、考えるのは後にしておこう。

 もしもクルルヤックの手足に伸びる鋭い爪で切り裂かれたら、チェーン装備であってもひとたまりもないに違いない。

 ……キャンプの復旧については、他の人たちに任せる事にしよう。他の調査員に悪いが、クルルヤックすら今の俺には対処できそうに無いからだ。

 

 

「……このまま残ってると危ないな、早めに離れよう」

 

 

 目的地は、このキャンプ地から続く場所にある。

 俺はクルルヤックと遭遇する前に、さっさとキャンプ跡地を移動する事を決断する。

 ……モンハン世界に来て初めてとなるキャンプ地は、わずか3分ほどの滞在時間となるのだった。

 

 

 ◆

  

 

 キャンプ地を素通りすると、2つの出口に辿り着く。

 1つは、キャンプ地からさらに下に伸びる蔦を掴んでエリア5に続く崖。

 2つ目も下に降りていくが、こっちはまた古代樹の根を足場に降りていく坂道となっている。

 今回の目的地へは、2つ目の道を進んでいく事となる。

 

 

 岩壁に沿う様に下に下っていくと、またエリア11のジャングル地帯に入っていく。

 壁沿いに進めば先ほどひたすら迷っていたジャングルエリアに戻るが、ここはキャンプ地の裏手側だ。ゲームでもあった。

 その証拠に、今いる根の上から長い蔦が垂れている。

 この蔦を登れば、今よりさらに上に行けそうだ。

 

 今の所は予定通りだ。……さて、登るか!

 俺はそのまま、垂れ下がる蔦に体を絡めて上へ這い上がる。

 

 

「んしょ……よいしょ……っとと。

 おぉ……、上から見るとさらにキャンプが悲惨に見える……」

 

 

 蔦を登り切って、少し歩けば、今度は先ほどのキャンプ地の崖上にたどり着く。下を見れば、よりはっきりと悲惨になったキャンプ地が見える。

 まずは一つ目の目的地に到着だ。

 この崖上には、今の俺が求める条件にぴったりの採取アイテムが生えている筈だ。

 

 

「確かこの辺りに〈忍耐の種〉が……おっ、多分これだな。分かりやすい」

 

 

 まっすぐと伸びるつくしみたいな植物を見つけた。つくしでいうハカマと呼ばれる部位に、オレンジ色の実がいくつも成っている。

 これは〈忍耐の種〉というアイテムが取れる、モンハン世界の植物の一つだ。

 

 ゲームだと〈忍耐の種〉は、食すことで一時的に防御力を引き上げるほか、防御力の低下も解除できるアイテムだ。

 また、防御力を上げる効果がついた他のアイテムの素材にもなるので、装備が整わず防御力が低くなりやすい序盤には、非常に活躍してくれるアイテムとなる。

 そのため普通なら、忍耐の種を売りに出すなど考えもしないが……確か売値が良かったんだよな。

 

 

「金策の為には仕方がない、俺は忍耐の種を売るぜ……!」

 

 

 間違ってもゲーム開始直後にする行いではないが、しかしここは現実。生きる為には仕方がないのだ……。

 俺はたくさん実っている忍耐の種の中から、大きく丸々と育った2つだけをちぎり取り、サブポーチに突っ込んだ。

 

 

「いやぁ、こうも分かりやすい色をしていると採取しやすくて助かるな」

 

 

 道中も今も採取アイテムが正しいか分からない中で、ゲームと変わらない色合いと大きさで主張してくれる忍耐の種。他の実のアイテムはマジで見分けが付かないからな……ゲームでも現実でも大助かりだ。

 効果も売値も含めて駆け出しハンターの味方になってくれるとは、流石は忍耐の種だぜ……!

 

 

「良し、それじゃ次の採取ポイントに向かうとするか!」

 

 

 俺は登って来た道を引き返して、蔦を滑り降りる。

 そして再び、エリア11のジャングル地帯へと戻ったのだった。

 

 

 ◆

 

 

 蔦渡りで移動しながら、しきりに上を見上げて、木々の隙間から覗く古代樹から離れているかを確認する。

 ジャングル地帯を抜ける為にも、素材アイテムを取るためにも、方向を確認しながら進む必要があるからだ。

 コンパスがあれば楽だったんだが、無いものは仕方ない。一応、買うかは検討しておこう……安ければな!

 

 

「よっ……ほっ、……ア〜〜アア〜〜〜〜…………!」

 

 

 時折ふざけながらも、体を動かして目的地を目指す。

 次の採取ポイントは、このジャングル地帯の高層にあるうえ、辿り着くまで結構距離がある筈だ。

 そこには、忍耐の種と同様に軽くて小さくて売値が高い採取アイテムが生えている。

 しかしそのアイテムはゲームでも入り組んだ場所にあったため、骨塚を探すために彷徨って得た経験が無ければ行こうとはしなかっただろう。

 

 

「景色は全然違うが、後の目指す場所はひたすら上だ」

 

 

 上を見上げて、登れそうな場所があれば蔦で飛び乗り、途切れた根を飛び越え、坂の様に伸びている根を登り、ようやく…………陽の光が指す開けた場所に出てきた。

 下には、ジャングルに入る時に訪れた緩やかな川が見える。どうやら無事に元いた場所に戻って来たみたいだ。

 

 

「目当てのアイテムは見つけたが……いや、遠いな!」

 

 

 地面からずいぶん離れた古代樹の根の上から周りを見渡すと……足場がほとんど無い小さな崖上に、青色の実を実らせている植物が見えた。

 間違いない。あれは〈ウチケシの実〉だろう。俺が今求めている素材アイテムそのものだ。

 さて、どうやってあそこまで渡るかだが……、

 

 

「おっ、あの蔦の長さなら行けそうだな」

 

 

 頭上を見上げると、いくつかの垂れ下がっている蔦の中から、かなり長い蔦を見つけた。

 やはり蔦渡り……蔦渡りはこの程度の障害なら容易く解決してくれる。

 あの長さの蔦は初めて挑戦するが、頑張ればなんとかなるだろう。

 

 

「……良しっ!掴んっ、だぁぁぁぁぁあ!?」

 

 

 俺は蔦を捕まえられる距離まで歩き、そこから勢いよく掴み掛かった。

 綱渡り中に、掴む時の勢いと遠心力によって体が飛ばされそうになるが……それはハンターの握力で強引に解決した。

 あとはタイミングを見計らって、あの狭い足場に着地するだけ…………だっ!!

 

 

「っとう!…………ふぅ〜、良し。着地成功だなっ!」

 

 

 なんとか蔦渡りを成功させた俺は、さっきの勢いでポーチからアイテムが飛んて無いかを確認する。

 ……何も落ちていなさそうだな。

 それじゃあ、〈ウチケシの実〉の生えてる場所まで足を踏み外さないよう慎重に歩いて向かうとしよう。

 

 

「……これが〈ウチケシの実〉。全体的に忍耐の種よりも小さいんだな」

 

 

 目の前に来た俺は、そのまま実をじっと観察した。

 鮮やかな青色の実を持つその植物は、一回りほど小さい忍耐の種とおなじつくしの様な形をしている。

 

 この青色の実こそが、〈ウチケシの実〉と呼ばれる目的のアイテムだ。

 忍耐の種と同様に、そのまま食べても効果を発揮するアイテムであり、その効果は体内に溜まった〈属性〉を文字通り打ち消す事ができる。

 

 

「ウチケシの実は、忍耐の種よりも手元に置いておきたいアイテムだが……」

 

 

 〈属性〉はモンハン世界にある、自然を体現したかのような超常の力だ。元いた世界のエレメント的な概念に似ていて、主に火・水・雷・氷・龍の5つの属性に分かれている。

 

 属性は強力だ。

 そして頂点捕食者である大型モンスターであるほど、モンハン世界の過酷な環境で生きるために属性を扱うよう進化している事が多い。

 

 属性による攻撃は、大型モンスターを厄介たらしめる理由の1つであり、それはただ硬さを求める鉄や鋼の防御では防ぐ事ができない。

 そしてゲームでは、防具の耐性がない属性攻撃を喰らえば、その属性に該当する〈属性やられ〉になり体に異常が起こりだす。

 

 

「その属性やられが、相当厄介なんだよな」

 

 

〈属性やられ〉による身体への異常は、火属性で体が燃えて死に目にあったり、氷属性で全身が震えてうまく体が動かずスタミナの消費が増えたり、体の周りで電属性が帯電して衝撃を受けると気絶しやすくなったりと洒落にならないものばかりだ。

 

 ただでさえ強力な属性攻撃に加えて、さらに持続的に負荷をかけてくる属性やられのコンボは凶悪で、ゲームで苦汁を飲んだプレイヤーも少なくないはずだ。

 そんな属性やられを食べるだけで打ち消してくれるウチケシの実は、ある種の命綱と言えるアイテムであった。

 

 

「しかし、売れば良い金額になるのも事実……!」

 

 

 俺はウチケシの実がたくさん実っている植物の中から、また大きく育った2つだけを取る。

 念の為にお守り代わりに1つだけ残しても良いが、他は売ってしまう事にする。

 目先の金に釣られるとはまさにこの事だが、明日を生きるのに精一杯の駆け出しハンターには、一回の食事代でさえ貴重なのだ……!

 

 

「へへへ……、これで少しは稼ぎになるぜ」

 

 

 目的のブツは入手できた。

 後は下に降りて、来た道を引き返すだけだ。

 …………これ安全に降りられるかな。

 

 

恋愛要素は要りますか?(物語の結末が変化します)

  • いらない
  • いる
  • めっちゃいる(ハーレム)
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