気がつけばモブハンターになってた。 作:ドーモ。ギルドナイト=サン。
これには拙者、禁断の3話連続投稿をせざるおえないでござる……!
マジでありがとうございます!
今後もこの作品をよろしくお願いします!
寝室がある船を出て、相変わらずコソコソと流通エリアへとやって来た俺は〈物資補給所〉に向かって歩みを進める。
〈物資補給所〉は、一言で言えばアイテムショップだ。
モンハンで馴染みのある言い方だと雑貨屋かな。
流通エリアでも一際目立つ大きな骨の柱2本と、積み上げられた巨大な荷物の山が特徴の場所だ。
骨の柱には大きなランタンと、物資補給所のシンボルであろう、デフォルメされた植物が描かれた甲板が付いている。
ゲームでは、ハンターの体力をみるみると回復する〈回復薬〉や、猛毒以外のどんな種類の毒もたちまち分解する〈解毒薬〉、なんなら〈小タル爆弾〉とかいう爆発物やハンターの装備〈ボウガン〉の打ち出す銃弾までも売っているため、アイテムが尽きる度にお世話になる場所だった。
「そんな物資補給所で取引する人といえば……」
俺は物資補給所の積み上げられた荷物の上で、流通エリアを見渡す男に視線を向ける。
頭に巻いたバンダナと手に持つリスト、そして袖無しの作業着のような格好が特徴的な人物。
彼は"物資補給係"。
気さくな喋りとハンサムな顔をした色男だ。あと主人公……"
彼はアステラでの物資の管理を任されていて、そしてゲームではアイテムの取引をしてくれる人でもある。
遂に、この世界で初めてゲームにも登場した人と出会う事になるのか。なんだかソワソワするぜ………!
「いや、待てよ……まだ買う物が決まってない」
浮かれた思想を一旦断ち切り、今必要な物を考えよう。
買い物に来たのにあれこれ悩んでいると探索へ向かう時間が無くなってしまうからな。
「今回の探索では主に何をするか。今の俺に必要な事と言えば……金策だな!」
気ままにゲームの世界を冒険したいってのもあるが、それ以上に金策をしなくてはならないだろう。
今の所持金は決して多い訳では無いし、俺の今後のハンター生活のためにもなるべく貯蓄はしておきたい。
ハンターは常に金がかかる職業だ。
特にモンスターと戦うためのアイテムと装備の用意には、モンハン世界の一般人が一生遊んで暮らせる程のお金が必要になる。
そしてそれはゲームでも変わらず、ゲームを進めれば進めるほど金が足りなくなっていく。
そこで生まれた対抗策が"金策"だ。
それは売り値の高い素材が取れるモンスターを狩りまくることや、特定のクエストを繰り返し、報酬で手に入る換金アイテムを売ること。そして、
「フィールドにある鉱石や、金になる魚を大量に採取して売ること。今回の探索はこれを目標にしよう」
先に上げた2つは今の俺には厳しいだろうが、フィールドでの採取ならいくらでもやりようがあるだろう。
「へへへ、ゲームの知識を存分に活かして、一気に大金持ちになってやるぜ……!」
想像すると汚い笑いが溢れ出してくる。
想像通りになるためにも今の俺が用意するべき物は、
〈ピッケル〉。つるはしの事だ。これで鉱石を取る。
〈釣竿〉。そこらの木の枝で釣りをするほどの技量は俺には無い。ここは金をかけて確実性を求めよう。
そして腹が減った時用に〈肉焼きセット〉。こんがりと肉が焼ける。ハンターの必需品だ。
あとは物資補給所にこれらが売っている事を祈るだけだ。無ければ……まぁ別の案を考えよう。
準備万端!いざ、ゲームの登場キャラと初めての邂逅だ!
「あの〜!物資を購入したいんですけど」
「……」
物資補給所へ向かい、荷物の山の上にいる"物資補給係"に話しかける。
……が、何も反応が無い。顔も何処かへと向いており、こちらに気づいている感じはしない。
こ、声が小さかったのだろうか?
よし……ここはハンターらしく、腹から声を出せ!
「すぅ………すいませーん!」
「っ!?………うわっ!うおぉ!!」
!? ……"物資補給係"が足を崩した!荷物の山から落ちそうだ!
「……ぁあ、危ねぇ〜……ギリギリだった。
おーい、にいちゃん。急に現れて大声を出すなよ……危ねぇだろう」
どうにかバランスを立て直せたのか、こちらに気づいた"物資補給係"が苦言を申し立ててくる。
ちょっと声が大きすぎたのかも知れない。
「……驚かせてすいません。物資を購入しに来たんですけど、今は大丈夫ですか?」
「ん?おぉ……そうか。ほいほい、物資補給所へようこそ。
何が入用だ?在庫があればすぐに出してやるよ」
「えー、ピッケルと釣竿、あと肉焼きセットってありますか?」
「それならあったはずだ。確かこのリストに……」
欲しい物を伝えると、"物資補給係"は手持ちのリストをパラパラと捲り始める。
ゲームではピッケルも釣竿も、肉焼きセットまでも常に持っていて買えたりはしなかったが、この世界では売っているようだ……当然と言えば当然だろうが。
「おぉ、全部何種類かあるな」
「何種類か?えっと……全部一番安いのを教えてほしいです」
種類があるのか。ピッケルなら〈ボロピッケル〉や〈ピッケルグレート〉とかかな。他の2つもモンハンの別作品や、勲章なんかで貰える特別な物があるのは知ってるが……しかし今はそんな良いものは買えない。
どんなものか気にはなるが、手を出せない物の紹介をしてもらうわけにはいかないだろう。
「……おう?あんまり手持ちに余裕が無い感じか?」
「……そうです」
「ははは!そうかそうか。俺もだから一緒だな、兄弟!」
! ……兄弟だってさ!ゲームの登場人物に兄弟って言われたぞ俺……やべぇ嬉しい。
ゲームでの会話で知っているが、この男は新大陸に来る前にいた場所へ帰った時のために稼ぎを貯めているはずだ。金に余裕が無いって訳は無いのだろう。
どうやら"物資補給係"は気を使ってくれたみたいだ……なんて良い奴なんだ!良いのは顔だけにしろよ!
そんな"物資補給係"は、興奮している俺には目もくれず値段を言う。
「一番安いのなら、ピッケルが160z。釣竿が220z。肉焼きセットが560zだ。……買えそうかい?」
「……ピッケルが3本。他は1つずつ買います」
「はいよ。確かに受け取った……zは丁度だな。
毎度あり!場所を言うから、自分で取っていってくれ!」
ポーチからzを取り出して腕を伸ばし、荷物の山の上で屈んでいる"物資補給係"にzを渡す。
数え終わったのか胸元へzを仕舞い、荷物の上から買った物の場所をそこらの箱や包みを指差して教えてくれる。
ゲームでは見れなかった包の中を開いて、購入したものを取り出していく。
「よし、それで全部だな。マイルームに送ることも出来るがどうする?」
「いえ、このまま受け取ります」
「ほいよ。またのお越しを!」
「こちらこそ、またよろしくお願いします!」
商品を受け取り、軽く手を振ってくれている"物資補給係"に挨拶を返す。明るくて話しやすい人だったな。
「さて、購入したアイテムを仕舞おうか………ん?」
ここでようやく気づいたが、どうやらアイテムポーチはただ収納性の高いウエストポーチのようだ……まぁ当たり前か。ゲームの収納量がおかしかっただけなのだろう。
俺はアイテムポーチに肉焼きセットを詰め込み、ピッケル3本を横の、釣竿を後ろのベルトの内側に挟み込む。
……何とか手に持たずに出来たな。
これで探索に向かうのに必要なものは揃った。
俺は買いものを無事に終え、ホクホク顔で物資補給所を後にした。
◆
最初は1500zしかないって落胆したもんだが、思ったよりいろいろ買えたな。
ピッケルをもう1本買わずに少しzを残したのは、この後のお楽しみのためだったりする。
「ちょうどそろそろ昼時かな」
空を見上げると太陽がほぼ真上に差し掛かっている。
朧げだな記憶だがこの世界に最初に訪れた時はまだ朝頃だった気がするから、もう3〜4時間くらいは経過している事になる。
時間の経過は早いもんだな……次の目的地へと急ごう。
……ふと今までを振り返ると、誰も俺のこの格好に対して何も言って来なかった。
案外、ぴっちりインナー服に武器持ちスタイルは、この世界だと驚くほどの事では無いのか?
少し気を緩めて、堂々と歩いてみてもいいかも知れないな。
背筋を張って息をすれば、透き通った空気が身体を通り抜けて気持ちいい。暖かな太陽の光に包まれて少し火照った体が、海の上から潮の匂いを運んできた風を浴びて爽やかな気持ちになる。ただの1つを取っても新鮮で、どの感覚もこの世界ならではだ。
自然が美しいモンハンの世界に来てよかったとしみじみ思う。
「モンハンで一番体験してみたい事といえば……やっぱりアレだよな」
流通エリアから東側にしばらく歩くと崖上へと続く大きな木の階段があり、そこを登っている途中に俺の鼻に香ばしい匂いが漂ってくる。
匂いに釣られるように足を動かして、階段を一番上まで上がる。
「着いた。んぅ……、飯だっ!」
崖上の開けた場所には、元の世界でもモンハン飯と呼ばれ有名になったモンハン世界の料理が作られる〈食事場〉が広がっていた。
恋愛要素は要りますか?(物語の結末が変化します)
-
いらない
-
いる
-
めっちゃいる(ハーレム)