俺の姉はプロデューサーってやつらしい   作:ナスの煮浸し

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因みに俺は弟ってやつ

 

 

 俺には姉が居る。年はそこまで離れてない。仲は……まあ、良い方だとは思う。昔からこっちに話しかけてきたし、俺もそれに応じてた。

 

 人間関係で多少ナイーブになっていた時も、それを察して最低限の関わりで留めてくれてた。……気持ちが前を向いた時は、その反動かの様に距離が近くなったけど。

 

 そういう所で姉は、昔から人を理解する力が凄かった。だからまあ、アイドルのプロデューサーってやつをやってるって聞いた時も、『ああ、まあやってそうだな』と、漠然と思った。

 

 まあ、プロデューサーってやつに理解が深いわけじゃない。なんとなく、アイドルをサポートしたりする感じなんだろうと、そんなふわふわとした知識しかない。

 

 別にそれがどうという訳でもなかった。だって、姉の人生は姉のものだ。それに俺が何か言うべきこともないだろう。ただ、あんなに人との距離が近いやつだ。何か問題を起こしたりしてないか、とかは少し心配だった。

 

 気になる。あの姉の仕事をしている所が。……だから、忘れ物を届ける、なんていつもはやらないめんどくさい事をしたのかもしれない。

 

 姉自身には言わず、学校側にだけ伝える感じで行くことにした。アイドルの養成学校っていうのなら、セキュリティとかも強固なものなのだろう。学校側にも伝えずに行ったら、不審者であるとして捕らえられるかもしれない。それは避けたかった。

 

 好奇心のまま、姉が通ってる『初星学園』ってところに着いたが……デカイ。いやまあ、私立の学校だ。金はかかってるだろうし、デカイんだろうなとは思っていたが。まさかここまでとは。

 

 連絡した時に対応してくれた人が言うには、姉なら今の時間帯は『特別教育棟』に居るらしい。なんでも、担当アイドルのレッスンがどうとか。聞いたけどよくは分からなかった。

 

 案内板を頼りに、その特別教育棟って所に着いた。が、しかし。外観からも分かる通り、校舎内も大分広い。探すのは骨が折れそうだ。誰かに聞いた方が早いだろうな……

 

 思い立ったが吉日という言葉もある。早速、近くに居た生徒に話を聞いてみることにした。

 

「すみません」

 

「えっ、あ、はい。どうかしましたか?」

 

 何となくで話しかけたが、流石アイドル養成学校というべきか。ぶっちゃけめちゃくちゃ可愛い。銀髪のショートボブにセレストブルーの瞳。おそらく出身は日本では無いと思うが……にしては日本語が上手いな。まあアイドルだしそういうこともあるだろう、多分。

 

「えーっと……。ここら辺で、黒髪のウルフカットに、赤みがかった目をした背の高めの女性。って見ませんでした? 確か、プロデューサー科? の生徒だと思うんですけど」

 

「えぇっと……。あ、センパイのことですか?」

 

「まあ、多分?」

 

 あの人後輩居るんだ……。え、でもあの人ってプロデューサーだよね? アイドル科に後輩居るの? ……もしかして、ウチの姉もアイドルに……は、ならないな。うん。

 

「……失礼ですが、何の御用で?」

 

「えっと、忘れ物を届けに。その先輩って人? 僕の姉なんです」

 

「……えぇっ!? つまり、弟さんってことですか!?」

 

「え、まあ。はい」

 

 知り合いらしいし、多少驚かれるかもしれないとは思っていたが、そこまで驚くことなのだろうか。

 

「……た、確かに似てる……。センパイに弟さんなんて居たんだ……」

 

「えっと、どうかしました?」

 

「あっ、ご、ごめんなさい。えっと、忘れ物でしたっけ」

 

「あ、はい。そうです」

 

「センパイでしたら、あっちのボイスレッスン室の方に居ますよ。確か、トレーナーさんとのお話等をしていた筈です」

 

「ありがとうございます」

 

「い、いえっ! お気になさらず……。お、弟さんなんて話初めて聞いた……」

 

 お礼を言いながら頭を下げ、先程教えてもらった方へと向かう。さっきの子可愛かったな。というか、ここら辺に居る子みんな可愛い。いやアイドルなんだからビジュアルも大事なんだろうけど、それにしても可愛い。アイドルすごい。

 

「ボイスレッスン室……。ここか」

 

 教えて貰った場所へと辿り着き、そのままの流れでノックを三回。少し間を開ければ

 

 ────どうぞ

 

 という凛とした声が響いた。その声に従い、ドアを開ける。……なんか聞いた事ある声っぽかったけど……。気のせいか? ……まあいいや。

 

「失礼します。ここに、『天音弦葉』って居ますか?」

 

 そう言いながら中に入る。彼女の言っていたことが本当ならこの部屋に居るはずだ。そう思い中を見渡せば、案の定我が姉の姿があった。

 

「私に何か……。えっ、空君?」

 

 振り返ってきた姉の姿は、俺が見たことの無いものだった。こちらを甘やかす様な声ではなく、凛とした透き通る声。いつものだらしない格好はなりを潜め、キチンとしたスーツに。いつもの緩い目ではなく、真剣そのものといった様子の目。全てが初めて見るものだった。

 

 ……もっとも、俺の姿を見つけた途端、声も目も、全ていつも通りになってしまったのだが

 

「忘れ物。スマホ忘れるってどういう事だよ。いつもはそんな事ないだろ」

 

「あ〜……。はは。ちょっと最近忙しくてねぇ〜。急いでたから忘れちゃったのかも」

 

「はぁ。頼むぞまったく」

 

「ごめ〜んねっ!」

 

 顔の前で手を合わせながら謝ってくる姉。この人軽すぎないか? なんかさっきまで声とか色々作ってたけど、いいのかホントに

 

「プロデューサー、そっちの人は?」

 

 俺たちがそう話していれば、姉の近くに居た女の子がこちらを少し訝しげに見ている。クールっぽい雰囲気で、どこか近寄り難い印象を持たせてくる子。頭には寝癖ついてるけど。

 

「あっ……。んんっ。失礼しました、『月村』さん」

 

 その子が居ることを思い出したのか、取り繕った様な声になり、その少女。月村さん? に説明を始めた。

 

「こっちは『空』私の弟です」

 

「どうも。姉がお世話になってます」

 

「私がしてるんだけどね……」

 

 疲労を感じさせるような声。苦労してるんだろうなっていうのが分かる。

 

「……お、弟っ!? プロデューサー、弟が居たんですか!?」

 

「ええ。それがどうかしましたか?」

 

「えっ、いや、だって。一回もそんなの言ってなかったし!」

 

「言うほどの事でもないでしょう。私の私生活に興味が?」

 

「うっ、いや。そういう訳じゃ……ないこともない……い、いや! やっぱりなんでもありません!」

 

 元気だなぁ。さてはこの子おもしれーやつか? 

 





天音 空〈あまね そら〉
・主人公。姉の忘れ物届けに行ったらおもしれー女どもと絡むことになった(これからなる)

天音 弦葉 〈あまね ことは〉
・主人公の姉。プロデューサー。担当アイドルは何人か居る。超人。あと弟大好き。弟の方は仲はそこそこだと思ってるけど、こっちからの矢印はデカイ。因みに親は"今"は居ない

何となくで話しかけた女の子
・銀髪碧眼のスウェーデン出身の女の子。一体誰なんやろなぁ

月村さん
・おもしれー女。毒チワワ。推し


続くかは分かりませぬ。続けたい(願望)
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