前作プレイヤーがファンタジールを生きるだけ。   作:チョウネクタイ

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プレイ時間97時間を超えてしまいました。

熟練度システムを今から戻してくれても、一向にかまわんッ!


第2話 クルブルク式とミステニア式

 

 

 

 この島はよくよく考えてみれば、どう考えても物語が始まりそうな特産品で溢れている。

 

 

「綺麗ですね!」

 

 

 レムの掌の上で光り輝く、翡翠色の鉱石。それは不思議な淡い光を放っており、周りの物体の時を早めたり巻き戻したりできるらしい。しかし、それはレムだけの話。

 

 本来であれば、適切な加工をしなければ『時の石』はその力を発揮できない。しかし、レムは『時の石』に宿った時の精霊に好かれているのか、鉱石の状態で力を発揮することができる。俺たちが小さかった頃に発覚した能力だ。

 

 

「ぐ~!」

 

「……そうだ。見ててね、ぐ~ちゃん。えい!」

 

 水筒の中に溜められたミステ水が豪快にぶちまけられ、そしてそれを『時の石』の力を発揮して巻き戻すレム。奇妙な軌道を描いて、水筒の中に水が戻っていく。動画の逆再生みたいな感じだ。

 

 きゃっきゃと『時の石』で遊んでいるレムとぐ~ちゃん。

 

「きゅぴっ! きゅぴきゅぴっ!」

 

 そしてそれに混ざるピンクのドラゴンの子供。フラワードラゴンのベリ子だ。この間、転生特典の力が強まったのか、ベリ子がこの世界に現れた。

 レベルは56。正直狩人や魔法使い状態の俺より強い。傭兵や王国兵士のライフ状態の俺よりは弱いが、レベルが56もあればこの島のどんな敵相手でもある程度は大丈夫だろう。

 

 それはここ、迷宮樹の洞の奥においても同じことが言える。ミステニア王国の北に位置する迷宮樹。遥か昔からこの地に根付いている不思議な大樹。時の石が大量に眠る場所であり、莫大で不思議なエネルギーに満ちている。個人的に調べてみたところ、奥へ行けば行くほど時の流れが不安定になる場所である。

 

 規則性のある印をつけた小石を置いて試してみたら、置いたはずの石が消えて、数日後に現れたり。まだ置いていないはずの印をつけた石が現れたり。

 

 過去から未来へ。未来から過去へ。

 

 とんだ厄ネタだ。基本的に善良なファンタジールの人間でなければ、どんな使い方をされてもおかしくない。記憶のクルブルク王国では『ならず者』がそこらへんを徘徊していたが、ミステニアという小さな島国ならばそういったワルモノも現れにくいらしい。

 

 ただ、現れにくいだけで、居ないというわけではない。レムのことを誘拐しようとした馬鹿も居たしな。

 

 

「……冒険したいって言うから連れてきたんだぞ~」

 

「えへへ! ありがとうございます。それにしても、お兄様をよく説得できましたね」

 

「俺にも奥の手は何個かあるからね。……よし、どうせこうなるだろうと思って色々持ってきてある。まずはこいつ」

 

 バカでかいバックパックの中から、裁縫師のライフで作った大きなラグを広げる。そして、広げたラグの上に、これまた料理師のライフで作った料理を並べていく。

 

「! とろふわオムレツですね。やった、ありがとう」

 

 勿論クオリティは極大成功のとろふわオムレツだ。舌がとろける味であることは保証する。

 

 二人と2匹で料理に舌鼓を打っている中で、レムがこんなことを言い始めた。

 

「……あの、そろそろあの話の続きをー」

 

「あの話?」

 

「この間教えてくれた物語です。冒険小説が好きで島中から集めている私でも知らない物語ですよ! 気になって夜も眠れませんでした」

 

「……あー、うーん」

 

「まだ冒頭しか教えてもらっていません。私、気になります」

 

 ニコニコと確かな圧を放ち、俺を脅すレム。翡翠の瞳から強かな好奇心の色が透けて見える。

 

「せっかく思い出してくれたお話なんですし、それにリンくんのことをもっと私知りたいんです。お願い」

 

 ……。仕方あるまい。

 

 元はと言えば、ベリ子に動揺してしまった俺が悪い。

 

 あの時は特典の記憶と俺本人の記憶が混じって、それを整理するためにレムに物語として特典の記憶を話してしまったのだ。今思えば完全に間違った対応だった。英雄が、冒険が大好きな彼女にそんな話を伝えてしまえば、興味を強くひいてしまうことは予測できただろうに。

 

「はぁ……どこまで話したんだったか?」

 

「とある国の王様に呼び出されてる途中、主人公がチンピラに絡まれてる喋るチョウチョから助けを求められて、1リッチも持っていない主人公がチンピラに同情されるところから、チョウチョが主人公の蝶ネクタイに変身して、謁見ついてきたところまでです」

 

「めちゃくちゃ覚えてる……」

 

「当たり前ですっ! これくらい冒険物語好きなら出来てようやく『いっぱし』くらいだよ」

 

 鼻息を荒くして、眼を輝かせるレム。

 

 序盤も序盤しか話してないから、まだ大丈夫か。いや、いっそのことこの幼馴染に全部話して、この世界の成り立ちや女神様の情報をぶちまけても……。

 

 もしドクロ石が落ちてきても『時の石』の力でどうにか――なるわけがないか。

 

 アレはただの隕石じゃない。ただの予兆であり、そして女神ステラが住んでいた空島級のドクロ石が落ちてきても即座にアウト。ミステニア王国全土を覆いつくしてはみ出すくらいの大きさの隕石がどうにかなるわけがなかった。変に伝えて、ミステニア王国王女のレムからミステニア中に混乱が広がる可能性すらある。

 

 ……精々おとぼけさんの寝空言と思われるくらいかな。

 

「……王様は謁見の間に来た、未だライフについていない始まったばかりの主人公に言った。

“ひとりはみんなのため みんなはひとりのため。人生を楽しめば 世界はもっと明るくなる。

両手いっぱいのリッチに笑うもよし。

煌めくスターで人生を飾るもよし。

集めたハッピーに包まれるのもよし。

このファンタジールで どう生きるかは その人生のそれぞれの主役が決めること。

王国兵士のレオ! 心の決めたままに その道をすすむがよいぞ!”」

 

 小さな王様が偉そうにふんぞりかえりながら、確かに人生の先を生きる者としての助言を与えてくれた記憶。最終的にエリック・ストーン王も仲間になって、戦いに連れてったんだよな。

 

「心の決めたままに、その道を進む……とってもステキです。もうその王様が好きになってきている自分が居ます」

 

「その王様はラノアみたいに、身内のことが大好きで仕方がない人間だぞ。奥さんも女傑だ」

 

 悪戯好きでもある。

 

「ふふ、リンくんも王様のこと好きなんですね」

 

「――ああ。大好きだよ」

 

 俺はファンタジーライフを愛していたから。まぁ、小さい頃遊んでただけだから、しっかりとやり込んでいたかと言われたらそういうわけじゃないんだけど。

 

「そうして謁見が終わり、王国兵士みならいとしての仕事を熟して、宿にレオは帰ってきた。ちなみにチョウチョは勝手に有無を言わさずついてきた。この世界のことを知りたいらしい」

 

 おとぼけなところがレムに少し似ていて、そして何より世間知らずのチョウチョ。素直でノリが良く、その純真さに心を開いた思い出がある。ファンタジーライフという物語はチョウチョの成長の物語でもあるのだ。

 

「その晩、宿の屋根の上で、マーズを眺めながらとある人物が誰かに感謝を伝えてプロローグは終わる」

 

「ここでプロローグが終わり……なんだか新鮮です。語り部に聞くお話もこんな感じなんでしょうか。とある人物とは何者なのか。主人公レオはこの先どうなるのか。なぜチョウチョが喋るのか。ワクワクが止まりません! 早く次のお話を聞かせてください!」

 

 ――殺気。

 

「続きはまた今度だ。話過ぎて疲れたし、それに、」

 

 こちらにじりじりとにじり寄ってくるレムを躱し、俺は立ち上がって剣を抜いた。一応、俺もミステニア王国で王国兵士のライフを得ている。特典とはまた別に、ライフの力を重ねておくのは重要だと思ったからだ。

 

「“飛燕”」

 

「っ、モンスター!? ぐーちゃん! ベリちゃん! こっち!」

 

 後ろから飛びかかってきたレッドウルフに、飛ぶ斬撃をお見舞いする。一撃で一匹のレッドウルフは倒れた。

 

 ミステニア王国の剣術は正直、溜め技が異常に強い。まさか飛ぶ斬撃を『かけだし』から覚えられるとは。クルブルクの片手剣術だとテンション技かつ『うできき』まで行ってようやく『光のやいば』を打てる。だから俺は盾を構えて必死にガードしながら殴り合いをしなければならなかったわけだ。

 

 しかし難点もある。ミステニア剣術は連続攻撃が3連で終わってしまうことだ。まぁ、今回の敵程度なら問題ないが。

 

 残りのレッドウルフに突っ込み、クルブルク剣術の溜め技である『大回転斬り』を放って、全てのレッドウルフを切り伏せた。

 

「び、びっくりしました。怪我はない? ぐーちゃんたち」

 

「ぐ~!」

 

 一息ついて振り向くと、縮こまっているチビドラ2体とそれを守るように抱きかかえて小さくなっているレムの姿が。ぐ~ちゃんは弱いから仕方ないとして、

 

 ベリ子。お前レベル56であんな狼程度鼻息で倒せるレベルだぞ。ビビりすぎだ。

 

「ここに入るとほぼ確実にこうなるんだ。絶対に一人で来ちゃだめだぞ」

 

 この王女様はどこかフワフワと、浮世離れしているところがある。

 

「はい。リンくんが居てくれるときしか行かないって決めてますから。ところで! 今の技は? ミステニアでは回転切りの教習はなかったはずですが……」

 

 あ。

 

「……外の剣術だ。ほら、この間ラノア様が国外からの旅行の禁を解いただろう? それで旅行に来た人から教えてもらったんだよ」

 

「なるほど。噂に聞くクルブルクの剣術のようでしたし、リンくんにその技を教えてくれたのはクルブルクの剣聖だったりするのかもしれませんね! 流離の武士、かっこいいです」

 

「あまり気になるからって無防備に旅行者に近付くなよ?。クルブルクは今はどうか知らないが、ワルモノだっているんだから」

 

「そのときはまたリンくんに助けてもらいます! えへへ」

 

「調子のいいやつ……。ほら、今日のところは帰ろう。帰りにイネムリドラゴンにお裾分けもしないとだし」

 

 

 まぁ、頼られて悪い気はしないけどさ。

 

 

 

 

 

 







ところでファンタジーライフiの世界はどういう歴史を辿ったんでしょうか。
ユエリアからもらえる女神の船の置物の名前が、なんたかの『思い出』みたいな名前だったので、前作ファンタジーライフリンクの物語が終わった後にあるのかな~と思ったんですが、
でもそれだと矛盾するんですよね。
だって天界の、マーズから下界を覗いていて、
大変そうな現主人公に興味を持って降りてきたと言ってたんです

おかしいんですよ。

ファンタジーライフのストーリーが終わっている時点でユエリアは人間になる願いを叶えて世界を救っているはずなんです。となるとユエリアは人間として生きて、死んでいるはず。まぁ神様か、ステラ様か、どっちかがまた人間から神様に戻したのかもしれませんね。

ファンタジーライフiのストーリーで、マスタードラゴンの頃の記憶からわかることがあるんですが、『神様が美しいファンタジールを守るために』、『時の歯車』を使って1000年周期でリセットをしているらしいんです。そして間もなくリセットが来る世界を守るために、アンおばさんの若かりし頃の姿に脳を焼かれて、マスタードラゴンは『時の歯車』の時を盗んだ。そしてその数十年後にマスタードラゴン転生体であるレム誕生。

そのレムが15~17歳?の頃にラウラやマスタングなどの人たちがミステニアに渡航してきている。

前作プレイヤーの人なら、わかる人はわかるでしょうか。
本来ならばドクロ石が落ちてくる数十年前に『時の歯車』が起動するんですよ。
遥か昔、巨大なドクロ石が落ちてきたときはもっと酷い時代でした。見かねた女神ステラが下界に降りて、人々を救うべくライフの力を授けた伝承があるくらいでした。

つまり、神様の言う『美しいファンタジール』とは、『ドクロ石が落ちてきていないファンタジール』ということになるのではないでしょうか。世界を守るために、神様は『時の歯車』を用意した。

古代、1000年前のミステニアが前作の時間軸のファンタジールです。
そしてミステニアにはダークモンスターが居る。ドクロ石がダークモンスターを生み出す以上、ドクロ石が過去に降ってきていた世界であることは確定しているわけです。
そして世界の浄化機構である『時の歯車』はミステニアの民によって発動を免れた。となれば当然ドクロ石が世界に降り注ぐわけですが、1000年先までファンタジールは文明を保っている。

つまり、ミステニアが滅んで、『時の歯車』が起動をしないまま、前作のファンタジーライフが始まり、そしてその1000年後にファンタジーライフiが始まる?

ユエリアの記憶がないことが気になりますが、人間から神様に戻るときに記憶をなくしたんでしょうか。

ファンタジーライフオンラインには手を出していないので、そこに何か秘密があるのかもしれませんね。youtube漁ったらストーリー見れるかな……。
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