鬼畜なエロゲ世界にモブ転生!?ヒロインは暗殺者らしいので、全員寝取って生き残ろうと思います。   作:ぽんたぬ

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第15話 牛ゴリラと、小さな歌姫。

 

「さぁ~て、歌いますわよ莉子様!」

 

 テンションが振り切れそうなほど上がっている宇志川殿は、部屋の中に入るなりマイクを握りしめていた。しかも驚くべき速さで曲を入れている。とてもじゃないけれど、初めてカラオケに来た人間とは見えなかった。

 

 

「それでは聴いてください! 『恋する乙女は無敵☆』」

「(あれは確か、前にマコト殿の家で観たアニメの主題歌だにゃ)」

 

 流れてきたイントロは、某アイドルアニメのオープニングソングだ。しかも拙が所属している事務所のライバルグループが歌っていた記憶がある。

 

 そしてこの曲はどうやら宇志川殿のお気に入りの曲らしく、画面に流れる歌詞を見ないで歌っていた。

 

 

「(ふつうに上手いのにゃ)」

 

 入室前にドリンクバーから持ってきたメロンソーダを飲みながら、拙はその透き通る綺麗な声に思わず聴き入っていた。

 

 

「ふぅ……ど、どうでしたかしら?」

「良かったのにゃ。宇志川殿なら、今すぐアイドルデビューできると思うのにゃ」

「まぁ! それは嬉しいお言葉ですわね!」

 

 拙が素直に褒めると、宇志川殿は嬉しそうに顔を綻ばせる。

 

 実際お世辞でもなんでもなく、本当に歌がうまいと思った。ただひとつだけ、不満があるとすれば……。

 

 

「どうして拙はさっきから、宇志川殿の膝の上で抱っこされているのにゃ?」

 

 曲が終わるまで取り合えずスルーしていたけれど。カラオケボックスに入ってからというもの、拙のポジションはずっと彼女の膝の上だった。

 

 最初はソファに座っている彼女の隣に座ろうとしたのだが、なぜか彼女によって強制的に抱き寄せられたのだ。

 

 ちなみに彼女はミニスカートを履いているため、太股がむっちりしていて柔らかい感触が伝わってくる。正直、とても気持ちいい。

 

 しかし、なぜこうなったのかが分からない。とりあえず下手に抵抗すると面倒くさそうなので、大人しくされるがままになっているけど。

 

 

「だって、可愛い女性とこうしてカラオケボックスで密着するのが、わたくしの夢だったんですもの。だからつい……!」

「ついって……カラオケをするのが夢だったんじゃなかったのにゃ!?」

 

 しまった、まんまとこの牛ゴリラに騙された。

 カラオケに来たのは歌うためじゃなく、密室で拙を凌辱するのが目的だったのだ。

 

 

「(さてはクラスの女子に誘われないのも、同性にセクハラをするからだにゃ?)」

 

 そう考えると納得できた。こんな危険な発情ゴリラと密室にいたら、身体がいくつあっても足りやしない。

 

 

「ねぇ、莉子様。せっかく二人きりになれたのですし、わたくしとイチャイチャしませんこと?」

「え? い、いやにゃ。拙はノーマルなのにゃ!」

「あら残念ですわ。まぁ、知り合った初日ですしね。取り敢えず今日のところは、このままわたくしのお膝の上で親睦を深めるまでで我慢いたしますわ」

「全然我慢の範疇(はんちゅう)に収まっていないのにゃ……」

 

 しかし拙の反論は完ぺきに無視され、後ろからギュッと強く抱きしめられた。

 

 背中いっぱいに感じるおっぱいの柔らかさと温もり。さらに首筋を鼻でクンカクンカされ、思わず変な声が出そうになる。

 

 

「莉子様、ポテトフライですよ~。あーん」

「いや、自分で食べられるにゃあ……うぐっ!? 熱いっ、げほっ! ごほっ! いきなり口に突っ込むのはやめて欲しいにゃ! 拙は猫舌なのにゃ!」

「あはっ! 莉子様ったら、口の端にケチャップが付いておりますわよ。わたくしが舐めて差し上げますわ」

「ひぃ!? もう勘弁して欲しいのにゃ!」

 

 結局、受付から終了コールが鳴るまでの二時間近く、拙はこのド変態女にひたすら(もてあそ)ばれ続けた。

 

 そしてようやく解放される頃には、すっかり拙の心身は疲弊しきっていた。

 

 

「うふふふっ。莉子様と食べるたこ焼きって、とんでもなく美味ですわぁ~!」

「カラオケでいったいどれだけ食べる気なのにゃ」

 

 部屋のテーブルは絶えず注文される料理の皿で山盛りになっていた。

 

 メニューなんて端から端まで頼んだせいで、すでに二週目に入っている。料金が恐ろしいことになっていそうで怖い。

 

 

「美少女をオカズにしたらわたくし、無限に食べられますわよ?」

「……宇志川殿は本当に女が好きなのにゃあ。男子からモテそうなのに、なんだか勿体ないのにゃ」

「まあっ、男子なんて勘弁ですわ! あんな臭い生き物、視界に入れるのも嫌ですの。あとわたくしのことは、苗字ではなくロティで。特別な人には愛称で呼ばれたいんですの」

 

 そう言って、宇志川殿は頬を染めて照れたように笑う。

 

 特別な人って……拙が下の名前で呼ぶことに、そこまでの意味があるのか分からない。

 

 そもそも宇志川殿とはクラスが違うし、用が済めばもう会話をするつもりもないんだけど……。

 

 

「とにかく、もう時間が来たから帰るのにゃ。拙はもう疲れたのにゃ……」

「あら、お待ちになって。わたくし、莉子様のお歌をまだ聴いておりませんわよ。是非とも帰る前に聴かせてくださいまし」

 

 部屋を出る直前、宇志川殿に引き留められた。

 

 ここまでカラオケを歌ったのは、入室した直後にロティが歌った最初の一回だけ。それ以降は一切、歌には興味を示さなかったくせに。コイツはいったい何を言っているんだろう。

 

 

「……拙の歌を聴いても面白くないと思うにゃ。それより早く帰りたいのにゃ」

「お願い致しますわ。わたくし、莉子様のお声が大好きになりましたの。もっと聴きたいですわ」

「……はぁ、仕方がないにゃ。じゃあ少しだけにゃ。一曲だけだからにゃ?」

「ありがとうございますわ! では早速、マイクを握ってくださいまし!」

 

 拙はソファーから立ち上がり、渋々マイクを握る。ロティはマラカスを両手に持ち、期待に満ちた目でこちらを見ていた。

 

「(ふふふ、騙されたにゃ? 実はこの時をずっと待っていたのにゃ。今こそ、御主人様から預かったアイテムの使い時なのにゃ)」

 

 アイテムは隙を狙ってすでに使用してある。持ち歌である曲が流れ、マイク越しに拙は高らかに歌い始めた。

 

 そして拙がこれまで(つちか)ってきた歌唱力。その全てを注ぎ込んだ渾身の歌声。それはまさに神域に足を踏み入れた至宝の声。これを聴けばどんな人間でも虜になるはずだ。

 

 

「ふぅ、久々に歌ったら気持ちよかったにゃ。どうにゃ、ロティ。本物のアイドルの実力は――あれ、効きすぎたかにゃ?」

「――きゅう」

 

 ノリノリで歌い終わって振り返ると、そこにはパンツ丸出しの恰好で失神するロティの姿があった。

 

 

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