シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ!   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第十八話 なんでも頭に南斗って付けりゃいいってもんじゃねえ!

「KING様! 私は心を入れ替えました! 過去の私は愚かでした……これからは人々の為に誠心誠意償っていきたいと思っております!」

「ほう」

 

 俺は今、サザンクロスの地下で数人の労働階級の男を相手に面談を行っていた。

 こいつ等は全員、過去にサザンクロスに攻め込もうとした元ヒャッハーだ。

 それを捕らえてサザンクロスで働かせていたのだが、反逆をしようとする素振りはなく、勤務態度も真面目だったので待遇改善を検討する為に俺が出向いたのだ。

 ただし待遇改善といってもランクがある。

 まず、過去にやった事がやった事なので完全に労働階級から脱することはない。

 悪いが終身刑or死刑の二択というのは大前提だ。

 しかしそれでも、改心すればサザンクロスの外で暮らすより遥かにマシな生活を俺は与えてやれるだろう。

 兵士になる義務と引き換えに、限りなく一般サザンクロス民に近い暮らしを手に入れるのも夢ではない。

 しかしそれも全ては本人の心次第だ。

 

「ではその言葉が本当かどうか試してみるとしよう」

「え? それは一体……」

 

 不思議そうにする男が、質問を終える前に耳の後ろにある秘孔を突いた。

 これはこちらの質問に嘘偽りなく答える秘孔だ。

 

「これからいくつか質問をする。まず一つ、貴様は本当に過去に行ったことを悔いているのか?」

「も、勿論で……ででで……そ、そぉーんなわきゃねーだろお! なんで俺様がカス共の為に悔いなきゃいけねえんだああ……ハッ!? お、俺はなにを……!?」

「二つ目。待遇が改善された後に貴様は何をするつもりだ?」

「こ、このサザンクロスの為に全力……りょく、く……お、おめえの目を盗んで、食料と水をたっぷりそこらの奴から奪って、この国からトンズラするのよお! ……な、なにを……俺の口は一体……!?」

「もういい。まあこんなものだろうな」

 

 俺は特に失望もなく、この男の待遇改善を最低ランクで留めることを決めた。

 ヒャッハーには種類がある。

 ほんの僅かに外面を取り繕う程度の知能すらない個体と、こいつのように多少は悪知恵を働かせるタイプだ。

 こういう奴は、たとえ首輪付きだろうと温情をかければロクな事にならない。

 

「お、お許しください! た、確かに俺は邪な事を考えていました! しかしこれまでずっと、このサザンクロスの地下で手となり足となり一生懸命生きてきたのです!」

「だが……今はお前を生かしておいた俺の甘さを後悔している」

「ひっ!?」

「冗談だ。この程度で処刑はせん。待遇の改善もやってやろう」

「えっ……ほ、本当ですか……!?」

 

 しかし演技であろうとこれまで真面目に労働に勤しんでいたのは事実。

 なので待遇の改善はしてやる。

 この部分を反故にしてしまうと、「なんだやっぱり真面目にやってもいい事ねーじゃねーか」とヒャッハー達のモチベーションが落ちるからだ。

 だから、本心で何を思っていようともこれまで模範的な労働階級として働いてきた報酬は与えてやる。ただし最低限だ。

 食事の質を少しだけよくしてやり、俺に従えばたとえそれが上っ面のものだったとしても飴が与えられることを学習させる。

 同時に、上っ面だけではそれ以上は得られないという事実を以て鞭とする。

 そうしてヒャッハー達を振り分けていると、ジョーカーが俺の背後に跪く気配を感じた。

 

「届いたか」

「はっ……ここに、リュウロウ様からの手紙があります」

 

 俺はジョーカーから手紙を受け取り、内容を確認する。

 今回のラオウの南下。それによって生じたサウザー・UD軍との一時同盟。

 これから俺がどう動くべきか、そのアドバイスを俺はリュウロウに求めた。

 「暴力を使う王にアドバイスなんてしないよ」と言われたらその時はその時だったが、リュウロウは俺に返事をしてくれたようだ。

 そしてそこに書かれた内容は……。

 

「……正気か、リュウロウ……」

「如何なさいました、KING」

「いや……少しばかりな……だが、これならば確かに……」

 

 俺は手紙に書かれていた内容に、思わず額を覆う。

 南斗の智将の作戦か……これが……?

 確かに効果的だ。恐らく、いや、間違いなくあるだろう俺の不在を狙う襲撃への対策と拳王府への攻撃。

 そのどちらも、この方法ならば取れる。

 だが……まさかこんな文字通りぶっ飛んだやり方を提示されるとは。

 

「ジョーカー……ガレッキーを呼び出せ」

 

 

 拳王府は今、かつてない程に追い詰められていた。

 事の始まりはつい先日、冥王軍を下した事で聖帝領への道が拓けた事から始まった。

 現在拳王軍にとっての大きな脅威と呼べるのは北東のサザンクロスと、南の聖帝軍の二つ。

 そのうちの片方である聖帝軍を潰すべく、ラオウは戦力を結集して南下した。

 居城である拳王府に現在残っている有力な将は、拳王親衛隊隊長のレイナ一人だけだ。

 ――その隙を突かれた。

 南斗六聖拳が一人、妖星のユダ率いる聖帝・UD連合軍がこの機を逃すまいと攻め込み、拳王府は陥落の危機を迎えたのだ。

 レイナは、拳王府の前身である鬼王城の主であった鬼王ゴラムが一目で惚れこみ、己の妻にしようとした程の美貌の女性でありながら、剣を手にした時の強さはそこらの拳法家を凌ぐ。

 決して美しさだけでラオウの片腕を務めあげているわけではない。女性でありながら確かな実力の持ち主だ。

 しかしそのレイナをもってしても、南斗六聖拳の一人は荷が重い。

 直接対決となれば残念ながらレイナの勝ち目はないだろう。

 故にレイナが今出来るのは、ラオウの帰還を信じて籠城し、耐える事のみ。

 それでも徐々に追い詰められる中でレイナは、形勢を逆転させるべくスパイ容疑でカサンドラに幽閉されていた軍師サクヤを呼び戻し、かろうじて戦線を支えていた。

 

「攻めろ攻めろ! 拳王のいない拳王府など恐るるに足らず!」

 

 ユダの号令で兵士達が城の中へ突入し、拳王軍の精鋭と切り結ぶ。

 指揮官の首を取ろうと上階へ上がる兵士もおり、既に陥落は間近だ。

 しかしそれでもレイナは二本の剣を巧みに操って敵兵を切り伏せ、サクヤも苦無で次々と兵士を屠り、粘る。

 レイナとサクヤは背中合わせになり、拳王の帰って来る場所を守り続けていた。

 

「サクヤ! もう少し……きっともう少しで拳王様が! だからそれまで……」

「…………」

 

 サクヤの読みでは、もうじきラオウが帰って来る。

 それまで耐える事が出来れば勝利だ。そして、聖帝・UD連合軍だけが相手ならば、それも可能とサクヤは読んでいた。

 ――自らの宿星の束縛すら振り切る、もう一人の王が来なければ。

 

「……いえ。どうやら、間に合わぬようです」

 

 サクヤは険しい顔つきで空を見た。

 つられてレイナも空を見上げ、そして、信じられぬものを見た。

 

 ――鷲が、飛んでいた。

 いや、太陽を背に、マントを広げて孤鷲の男が空を飛んでいた!

 まるでビルから飛び降りたかのように全身で風を受けながら、拳王、聖帝に続く第三の王が大空より舞い降り、そして大地を陥没させるほどの衝撃を伴って着地する。

 そのあまりに滅茶苦茶な登場には、レイナとサクヤのみならず、ユダも唖然としていた。

 

「シ……シン……!? 貴様、どこから……!」

「見ての通り空だ。鷲が空を飛んで何の不思議がある」

「は……? え? お前……そういう事ではなく……」

「ククク……南斗人間砲弾か。南斗の名を勝手に名乗った一発芸と思っていたが、余興に大砲を改造させておいて正解だった。ガレッキーの奴には後で褒美をくれてやらんとな……だが正直、流石の俺も緩衝地帯を飛び越えて来るのは肝が冷えた……」

 

 埃をはたきながら、シンは立ち上がった。

 一体彼はどうやってここまで来たのか。

 それを可能としたのは、南斗人間砲弾と呼ばれる、南斗の名を冠しただけの南斗と実は何の関係もない出落ちの一発芸によるものである。

 

「そんな……どういう事なの!? 一体どこから、どうやって……」

「……信じがたい事ですが、恐らく……文字通り飛んで来たのでしょう」

「そんな馬鹿な! 人間が空を飛ぶなんて!」

「私が思うに……サザンクロス国境付近か、あるいは緩衝地帯から……長射程の大砲か何かによって撃ち出され、ここまで飛んで来たのだと推測します」

「馬鹿なの!?」

 

 サクヤの推測に、レイナが思わず素で叫んだ。

 どう考えても、マトモな人間のやる事ではない。

 何より、それでは上手くいっても撃ちっ放し……帰還はあくまで自力か、迎えが来るのを待たなければいけないではないか。

 使い捨ての兵士がそれをやるならばまだ理解できる。

 しかし彼はKING、サザンクロスの王だ。

 替えの利かない王を、砲弾にしてたった一人で敵陣に向けて発射するなど、どう考えても戦略として破綻している。

 

「け、けどこれは……好機! ここでKINGを仕留める事が出来れば……」

 

 レイナの言葉は、爆発音と大勢の悲鳴によって遮られた。

 先程まではギリギリ保っていた城の扉が破壊され、扉を守っていた兵士達が肉片と血になって空を舞う。

 誰がやったのか、など考えるまでもない。

 単身で敵地に乗り込んで来たサザンクロスの王以外、そんな事をやる人間などここには存在しないのだから。

 

「くっ! かかれ! KINGを仕留めろ!」

 

 レイナが部下達に指令を飛ばす。

 今は何としても、あの男を討たなければ不味い、と理屈ではなく肌で理解出来た。

 この城に攻め込んでいる大勢の兵士達より、真に脅威なのはサザンクロスの王たった一人!

 レイナ自らが鍛え上げた拳王軍の精鋭が束になってシンを止めようと襲い掛かる。

 大勢の兵士の前にシンが飛び込み、そして次の瞬間には兵士達の背後に立っていた。

 遅れて兵士達が細切れになり、血の華が咲く。

 

「……南斗千手斬。貴様等如きでは、俺の相手になどならん」

 

 シンは薄ら笑いを浮かべ、手に付いた血を振り払う。

 その姿に、兵士達は恐怖した。

 そうだ、この男は……あの拳王と痛み分けた男なのだ。

 雑兵などいくら頭数を揃えてもただ、死ぬだけ。

 その事を理解してしまった。

 

「ひっ、ひい!」

「あ、あわわ……」

「駄目だ、勝てるわけがねえ! 逃げろ!」

「俺は拳王軍に入れば美味しい思いが出来ると思っただけだ! こんな化け物と誰が戦うかよ!」

「拳王なんかの為に死ぬのは、俺はごめんだぜ!」

 

 彼等は所詮、恐怖によって縛られた兵士達だ。

 ラオウへの忠誠は薄く、今命を賭けて戦っているのも結局は『ラオウに逆らうよりはまだ生き残る確率が高いから』に過ぎない。

 ならばラオウと同等の恐怖が目の前に現れればどうなるか……その答えは、戦意喪失以外ありえない。

 

「逃げるか、そうか。背を向ければ俺が見逃してくれるとでも……思っているのかァ!」

 

 シンが指先から闘気を放ち、薙ぎ払った。

 闘気によって敵を薙ぎ払う南斗練気通波だ。

 すると兵士達が二つに割れ、更に闘気が迸った箇所から順に爆発する。

 拳王軍の精鋭がゴミのように蹴散らされ、シンは遂にこの城を任された指揮官の目の前まで到達した。

 

「なんて……化け物……!」

「ほう、その二本の剣……覚えているぞ。ラオウの片腕の、双剣のレイナだな。そっちの女は軍師サクヤか」

 

 兵士達の死体を踏み越え、シンがレイナへ近付いていく。

 両手は降ろしたまま、構えもしない。

 南斗孤鷲拳は鳳凰拳のように構えがないわけではない。

 今構えないのは単純に、その必要がないだけだ。

 レイナとサクヤが相手では、防御の型を取る必要そのものがなく、この距離であろうと仕掛けられれば即座に返り討ちに出来る。

 その自信と確信があるからこそ、シンは構えていない。

 

「……たあああああ!」

 

 レイナが恐れを振り払うように叫び、シンに斬りかかった。

 迫る白刃を手刀で迎撃――と同時に、その隙を狙い撃つようにサクヤがシンの足を狙って苦無を投げ、自らは背後へ回り込んだ。

 しかしシンの笑みは崩れない。

 レイナの剣を手刀で砕き、跳躍して苦無を回避。

 そしてそのまま、後ろのサクヤへ蹴りを放った。

 

「南斗獄屠拳!」

「かはっ……!」

 

 サクヤが床に落ち、痛みに呻く。

 着地したシンを何とか倒そうとレイナが残ったもう一本の剣で斬りかかるが、片手で受け止められてしまった。

 

「やめておけ。無駄に死ぬ事もあるまい」

 

 シンはそう言うやレイナの剣をへし折り、彼女の腹へ掌打を当てた。

 一撃でレイナが咳き込み、まるで糸の切れた人形のように床にへたり込んでしまう。

 僅かな時間で拳王府を任された将を無力化したシンは、レイナを抱えて跳躍し、城の外へと出た。

 そして彼女を地面に降ろすと、城を見上げ、闘気を高める。

 

「な、何を……!?」

 

 不安そうにレイナが声を荒げるが、掌打のダメージから立ち直る事が出来ず、芋虫のように這いずる事しか出来ない。

 そんな彼女の前でシンは、ゆっくりと腕を降ろす。

 

「こんな城一つ壊した所で、ラオウある限り拳王軍が滅びる事はないが……拠点を失えば今後の動きも少しは鈍ろう」

 

 闘気によってマントがなびき、シンの金髪が揺れる。

 かつてラオウは、ジライ団という野盗を蹴散らした時に離れた位置にあった高層ビルを剛拳の余波だけで破壊した。

 北斗と南斗は表裏一体……ましてや、本来外部からの破壊は南斗の得意とする所。

 ならばこの程度の建物の破壊ぐらい、北斗に出来て南斗に出来ないはずがない。

 その慢心とも思い込みとも取れるシンの、南斗孤鷲拳と己の拳への絶大な自信は、幻想を現実へと引きずり込む。

 

「……っ、不味い!」

 

 城に取り残されたサクヤは、傷を負った四肢を無理矢理動かし、城から飛び降りるようにして脱出した。

 地面に痛烈に打ち付けられ、苦痛の声をあげる。

 だが、そうしてでも城から逃げる必要があった。

 何故ならば、あのまま倒れていたらその先に待っているのは確実な死だからだ。

 

「南斗……裂破爪!」

 

 その時レイナは見た。

 地面から空へと振り上げられた巨大な鷲の爪が、自分達の夢を叶える為の拠点であった拳王府を引き裂き、崩壊させるのを。

 砕け、折れ、朽ちていく拳王の城。城と命運を共にする大勢の兵士達。

 その悪夢のような光景を前に、ただレイナは茫然と涙を流した。

 

 

 よし、目的達成。

 拳王府は完全破壊したし、城を守っていた兵士達はレイナとサクヤを残し、全滅させる事が出来た。

 サクヤがあの傷で脱出したのは少し予想外だったが……まあいいか。

 さて……城を壊した事でレイナが泣いているわけだが正直美人さん泣かすのは罪悪感があるな。

 崩れていく拳王府を前に無言で涙を零すレイナに、居た堪れない気持ちになる。

 俺の知る外伝の通りならば彼女はラオウを愛している。

 ラオウの心がユリアに向いている事を知りながら、ラオウの為に戦っているという健気な女性だ。

 そしてこの拳王府は、ラオウと彼女達の夢を叶える為の拠点であり、核戦争後の家のようなものだった。

 ましてやラオウから留守を託されたのだから、その責任感……守れなかった無力感は言語化出来ないほどに強いものだろう。

 しかしこれは戦争。ラオウが覇道を往く限り、俺も容赦など出来ない。

 

「フハハハハ! 拳王府は落ちた! 全てはこのユダ様の策略によって!」

 

 ユダが何か歓喜しているが、別に策略と呼べる程のものじゃないだろう。

 言っちゃ悪いが今ある勢力の中で、実は一番策略が下手なのがUD軍だと俺は思っている。

 何故ならUD軍には軍師がいない。いや、あるいはいるのかもしれないが機能していない。

 変にユダ本人が悪知恵の働くタイプで、自分が一番賢いと思っているものだから、軍師を必要としないのだ。

 何故ならユダ視点で見れば、自分が一番賢くて正しくて、自分より賢くない奴の意見など聞く必要がないのだから。

 

「あの時は逃げられたが、やはり美しいものは俺を愛してこそ。双剣のレイナよ、その身柄、この俺が……」

 

 勝ち誇るユダは、座り込むレイナに無遠慮に手を伸ばす。

 このままこいつの好きにさせれば、レイナはユダに連れ去られて毒牙にかかるだろう。

 だから俺はユダの腕を掴み、その蛮行を阻止した。

 レイナは俺にとっては敵軍の将だ。助ける義理などない。

 だが……ユダ如きにくれてやるには惜しい女だ。

 

「何のつもりだ……シン……」

「それはこちらの台詞だ。この城を落としたのは俺だ。貴様が得られる物など何一つとしてない」

 

 ユダが腕を振り払おうとするが、俺も強く掴んで離さない。

 生憎だが、単純な肉体スペック、拳法の技量ならば完全に俺が上だ。

 ユダは元々、レイよりも先に六聖拳の称号を得ていた天才だった。

 だが悲しいかな……知略に傾倒し、己の才に溺れたユダは研鑽を怠っている。

 騙し討ちをする事ばかりに慣れ切って、折角の腕も錆びているのだ。

 今のユダは、己を美しく見せる事ばかりを気にして、飛び方を忘れてしまった鶴に過ぎない。

 

「何を……勝手な! 貴方達の戦利品になるつもりなんかない! 早く殺すがいい!」

 

 レイナが気丈に叫ぶが、俺はちょっとした感動を覚えていた。

 おお……これが本物の女騎士の「くっ、殺せ!」か。

 まさか本当に聞ける日が来るとは思わなかった。

 

「ますます気に入った。俺はそういう強くて美しいものが好きだ」

 

 シンに転生したから、とかではなく俺の好みは強くて気の強い女性である。

 なのでレイナは割と好みだし、出来ればラオウと幸せになって欲しいと思う。

 ラオウも何でこんな健気で一途な美人さんを放って、ユリアなんかにお熱になるかな。

 そのような事を考えていると、ユダが空いている手で貫手を繰り出してきた。

 だが俺はそちらも掴み、握力でユダの手首を圧迫する。

 うん……前戦った時より確実に遅くなってるわ、こいつ。

 やっぱどれだけ天才でも、ちゃんと運動しないと鈍るんだな。

 

「……離せっ!」

 

 ユダが叫んだので、腕を解放してやる。

 再び仕掛けて来る気配はない。

 今は一応友軍という事もあるが、それ以上に今のやり取りでこいつも理解出来たはずだ。

 直接対決では俺に勝てないとな。

 

「フン……余裕だな、シン……今頃サザンクロスがどうなっているかも知らずに!」

「ほう? どうなっているのだ?」

「間抜けめ! この俺が本当に貴様などと同盟を結ぶと思ったか!? 今頃は我が精鋭達がサザンクロスに攻め込んでいる頃よ!」

「ああ……それはひょっとして、俺がここに来る前に潰した連中の事か? 確か新生美勇団とか名乗っていたが……」

「なっ……!?」

 

 俺の口から出た名前にユダが驚愕した。

 実は俺はここに飛んでくる前、UD軍からサザンクロスへ進軍していた兵士を蹴散らしている。

 あまりに弱かったので、本当にあれが精鋭だったのか疑わしかったが……どうやらマジらしい。

 全員、スペードに毛が生えた程度の実力しかなかったぞ?

 

「愚か者め。俺が貴様の裏切りを予期していなかったとでも思ったか?

むしろ逆だ……必ず貴様は裏切ってくれると()()()()()ぞ。裏切りの星よ」

「で、では……貴様は……」

「何故俺があんな馬鹿みたいな方法で文字通り飛んで来たと思う? その前に何をしていたか、考えなかったか?」

 

 ユダの裏切りなど、見抜く必要もなく分かり切っていた。

 何故ならこいつは裏切りの星。裏切らないユダなどユダではない。

 だから俺が拳王府を落としに出れば、サザンクロスには確実にUD軍が来ると分かっていた。

 勿論サザンクロスの守りは万全だ。

 ジュガイ、ハート、デビルリバース、おまけに今はレイもいる。

 しかしそれでも激突すれば、兵は失われるだろう。

 だから俺は、拳王府にいくフリをしてUD軍の出方を窺い、サザンクロスに向かっているのを確認してから襲撃――これを壊滅させた。

 更に我がサザンクロスの地方都市……アスガルズルに待機させておいた部隊を出撃させ、がら空きのUD城へ突撃させたので今頃は陥落している事だろう。

 ……ん? アスガルズルの吸収合併は断ったのではなかったのか、だと?

 勿論断ったさ。まさかサウザーとユダの見ている前で吸収合併します、なんて言えるはずがあるまい。

 だからあの後手紙を寄越して、鷲を用いた文通でアスガルズルの吸収合併に同意し、アスガルズルは我がサザンクロスの一部となった。

 ユダが気付くかと思ったが、驚くほど気付かない。

 相手を策略に嵌めたと思っている者ほど、自分が嵌っている事に気付かないという事なのだろう。

 そして俺は……正直気が乗らなかったのだが、アニメ版の悪名高き南斗人間砲弾(改良型)でここまで飛んで来たというわけだ。

 尚、これらは全て俺ではなくリュウロウの考えた策である。

 とはいえ、これらの事をユダに教えてやる必要などない。

 帰ってから、更地と化した己の城を見て驚くがいい。

 

 そうして睨み合っていたが……ふと、遠くから何かが近付いてくる音が聞こえた。

 砂塵を巻き上げながらこちらに突き進んでいるのは、巨大な黒い馬と、それに跨る巨漢。

 どうやら、拳王のご登場のようだ。

 

 

【南斗人間砲弾】

アニメ版北斗を象徴する出鱈目技。南斗の名を冠しているが、拳法でも何でもない。

そもそもKING軍のガレッキーが創始者だというので、とりあえず思い付いた事に勝手に南斗の名を付けただけだろう。

しかし見た目はふざけているが、城門を飛び越えて急襲出来るのは普通に強い。

今回シンを撃ち出したのは飛距離を伸ばした改良型で、普通の人間ならばGに耐え切れず死ぬ。

ちなみにラオウも外伝で投石器を使って似たような事をやっている。

強い拳法家一人>軍団 な北斗ワールドなので、ラオウやシンを敵の城に直接飛ばせるならそれが一番強いに決まっている。

 

【サクヤ】

天の覇王に登場した拳王軍の軍師。未来を予知できるらしい。

拳法家としてもそこそこ強い。

サウザーと密会していたせいでスパイ容疑をかけられてカサンドラに投獄されていた。

ラオウを愛している。

紅魔館のメイドではない。

 

【十六夜咲夜】

せっかくなのでこっちも。

『東方Project』のキャラクター。

紅魔館のメイド。レミリア・スカーレットに仕えている。

元バンパイアハンター説や月人説、切り裂きジャック説があり、その正体は今も謎に包まれている。

クールなイメージがあるが、マイペースな天然キャラ。

二次創作においてはレミリアとの寿命ネタが鉄板だが、美鈴との絡みも多い。

たまに紅魔館組にとっての娘みたいな存在として扱われることもある。

芸人集団紅魔館の例に漏れず幅広い芸風を誇り、完璧なメイドからレミリアに欲情する変態、実は命を狙っている獅子身中の虫、DIO等作品によって様々な顔を見せる万能メイド。

強さは書き手によって異なり、レミリアより強い場合もあれば人間なので実は紅魔館最弱として扱われる場合も。

レミリアとのコンビ出演が多く、役割によってボケとツッコミをスイッチできる。

レミリアがボケの時は振り回される苦労人になり、逆に咲夜がボケの時はレミリアが従者に振り回される苦労人となる。

たまにどちらもボケでパチュリーが出てこなけば収拾が付かないケースも。

原作は描写や発言を見るに、多分どっちもボケ。

初期の頃に使っていたオプションを今では使ってくれない……。

 

 

 

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