シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ!   作:マジカル☆さくやちゃんスター

2 / 56
第二話 マトモな奴ほどおかしくなる

 ゲッソーシティは今、恐怖と緊張に包まれていた。

 ジュガイ軍が町を包囲し、今にも突撃しようとしていたからだ。

 このゲッソーシティは難攻不落の城塞に守られている。そしてこの辺りでは唯一水が手に入る町だ。

 だから籠城すれば勝手に敵は干上がってこちらが勝てる……と思ったのも束の間、その希望は儚く打ち砕かれた。

 何とジュガイ軍は水に毒を入れ、籠城を封じたのだ。

 つまりゲッソーシティに許されたのは、引きこもって死ぬか、それとも門を開けて戦うかのどちらかだ。

 数日前、奴隷商人に捕まってこの町に来る事になってしまった少年……いや、少女ダンネは武器を手に震えていた。

 彼女は美しい少女だったが、この世紀末において美しい娘など食い物にされるだけだ。

 だから身を守る為にダンネは普段男装している。

 だがいかに男のふりをしようが、やはり少女だ。これから始まるだろう殺し合いの空気に、震えが止まらない。

 いよいよ正門が開き、武装した男達が一斉に乗り込んできた。

 迎え撃つように味方の兵士も走り――その兵士を追い越すように一人の男が跳躍し、敵軍の目の前に降り立った。

 

「な、なんだ……? 男の人……?」

 

 それは、羽毛のファー付きの白いマントを羽織った美丈夫であった。

 中国の拳法着と軍服を合わせたようなスーツには金の刺繍が施され、ブロンドの髪が風になびく。

 刃のような双眼は敵を前に不気味な光を放ち、自信に満ちた顔は笑みに歪む。

 

「あ、あれは……シン……!」

 

 ダンネ一家と共に奴隷商人に捕まっていた老人――フウゲンが驚いたように誰かの名を呼んだ。

 シン……それがあの男の名なのだろうか。

 敵軍は突然のシンの登場に怯んだが、すぐに突撃を再開した。

 

「こいつ馬鹿か! 一人で何ができる!」

「やっちまえ!」

「フッ……」

 

 突撃する敵軍を前にシンはゆっくりと、円を描くように手を広げた。

 

「南斗――千手斬」

 

 瞬間。シンが一瞬で敵軍を追い抜き、彼等の後ろに立っていた。

 その直後に敵軍が纏めて切り裂かれ、血の雨が降る。

 シンは敵軍の奥……荷台の上に置かれた玉座に座るジュガイへ視線を向けた。

 

「久しいな、ジュガイ」

「シン……貴様、何故ここに……」

「お互い考える事は同じということだ。だが一歩遅かったな……この町は俺が貰ったぞ」

 

 シンが無遠慮に間合いを詰める。

 ジュガイも部下ではシンを倒せないと判断したのだろう。

 玉座から飛び降り、マントを翻して着地した。

 

「俺の邪魔をする気か、シン……!」

「邪魔? いいや違うな。俺の歩く道端に、偶然お前がいただけの話だ」

 

 兵士も、町の人々も。全員が動きを止め、固唾を飲んで二人の男を見守っていた。

 先程の瞬殺劇で分かってしまったのだ。

 兵士の数など全く問題ではないと。この戦いはシンとジュガイの戦いであり、この二人の勝敗がそのまま決着に繋がるのだと。

 フウゲンは哀しそうな表情で、二人の男の会話を一言も聞き漏らすまいと沈黙していた。

 

「シン……俺に従えば、命だけは助けてやるぞ」

「ほう、これは面白い事を言う。ならば俺も情けをくれてやろう。

ジュガイよ……俺に従え。そうすれば、俺の靴磨きくらいはさせてやるぞ」

「ほざけえッ!!」

 

 ジュガイがマントを脱ぎ捨てて飛び出し、シンも合わせて跳躍した。

 二人が同時に蹴りを放ち、空中で交差する。

 

「南斗獄屠拳!」

 

 まさに鏡映し。全く同じ構えで放たれた二つの技が衝突し、シンとジュガイは背を向け合って着地した。

 しかしシンが余裕の表情で振り返ったのに対し、ジュガイは膝を突く。

 見れば、両手両足に傷を負い、血を流していた。

 

「馬鹿な……同じ技なのに、何故……」

「それが分らぬうちは、お前に勝ち目はない。諦めるんだな、ジュガイ」

 

 未だマントすら脱いでいないシンが、勝ち誇った顔でジュガイを見下ろす。

 実力の差は明白だ。

 しかしジュガイは震える足に活を入れて立ち上がり、シンに襲いかかった。

 

「南斗千首龍撃!」

「無駄だ! 南斗千刺貫手!」

 

 二人が高速で腕を突き出し、残像すら残す速度で攻防が行われる。

 彼等を中心に風が吹き荒れ、打撃音が何度も響いた。

 だが攻防は唐突に終わりを告げる。ジュガイがヨロヨロと後ずさり、腕をダラリと下げたからだ。

 彼の両手は……いや、掌は風穴が空き、血を夥しく流していた。

 

「やはりな……ジュガイ、お前は俺と共に修行をしていた時より、弱くなっている」

「な、何だと……俺が、弱く……!?」

「今のお前の拳は空虚だ。見せかけの執念と欲望に彩られている。

だがその実態は、この地獄のような世界に耐えられず、自らは地獄の王だという虚栄に縋りつくことで辛うじて心を保っているだけのハリボテの拳。お前の心は既に、先立ったお前の妻と子に殉じている」

 

 シンの言葉に、フウゲンは静かに涙を流した。

 ジュガイは哀しき男だ。

 南斗聖拳は活人拳という師の教えを信じ、真っすぐに生きてきた。

 だが世界が地獄に変わり、彼の運命も変わった。

 彼の妻と子の命は、僅か数日分の食料の為に野盗によって奪われてしまったのだ。

 その時ジュガイは、活人拳を捨てた。伝承者の道から外れ、この世が地獄ならば自分こそが地獄の王となると、魔道に走ったのだ。

 

「お前の拳は既に死んでいるのだ。死人の拳でこの俺を倒すことはできん」

「ぬっ……う」

「俺は違うぞ。俺は決して、宿星の奴隷になどならん! 俺が殉じるのは俺自身のみ!

何があろうと生き延びてみせるという欲望……執念! それが俺の拳を支えているものだ!」

 

 シンの全身から闘気が吹き上がり、マントが吹き飛んだ。

 止めを刺すべく、ジュガイへと近付く。

 

「同門の情けだ。せめて俺の手で引導を渡してやろう」

「……いいだろう。やれ、シン……」

 

 勝敗は決した。

 諦めたように項垂れるジュガイに、シンは手刀を振り下ろした。

 衝撃音――ジュガイのすぐ横の地面が割れ、ジュガイの頬から血が流れた。

 

「何故……?」

「地獄の王ジュガイは今……死んだ! よって、お前の命はもう俺の物だ。その拳、俺の為に使え、ジュガイ」

「情けをかけるつもりか!?」

「情けではない。これは勝者から敗者への命令だ。

強者は心置きなく、欲しい物を手に入れることができる。

俺の所有物に、お前が加わったというだけの話に過ぎん」

 

 シンは高圧的に笑い、ジュガイの首を掴み上げた。

 

「空っぽのお前に俺が再び、生きる目的をくれてやる。

この地獄を、俺が塗り替えてやる。秩序を築き、お前の妻子のような弱者でも生きられる町を……いや、国を作ってやる!」

「な、何故……? お前の拳から感じるのは邪念……そのお前が何故、そんな事を……」

「強者のみの世界には進化も発展もない。自己のみで完結し、先を目指さない。そんな世界などつまらん。弱いから工夫する、弱いから作る、弱いからより良くしようと足掻く。俺はそんな弱者の執念を買っているのだ。だから俺は俺の欲望の為に秩序を築き上げる」

 

 シンはそこまで語り、乱暴にジュガイを投げ捨てた。

 それから、後方に控えていたジュガイ軍へ視線を投げる。

 

「拒否権は与えん。歯向かうならばここで死をくれてやる。さあ選べ……服従か、死か!」

 

 その言葉と同時に、ジュガイの部下達が我先にと膝を折った。

 元々信念などない者達だ。

 頼りにしていたジュガイが敗れた今、より強いシンに歯向かおうという者はいない。

 最後にジュガイがシンを真っすぐに見つめ、次にフウゲンへ視線を走らせ……膝を折った。

 

「いいだろう。ならば、お前のその欲望がどこまで通じるのか、見届けてやる」

 

 ジュガイ軍はシンに下った。

 その光景を見たゲッソーシティの兵士達は頷き合い、シンの前まで参じると一斉に膝を突いた。

 この戦いの前にシンに突き付けられた選択……その答えを彼等は出した。

 この暴力の荒野では、弱者は奪われ、殺されるだけだ。

 ならば強い王が必要だ。どんな理不尽がきても跳ね返してくれる、より理不尽な王が。

 彼等は、シンならばその王の座に座るに不足はないと判断したのだ。

 

「貴方に従います……我等が王! どうかその御力でこの町をお守り下さい!」

「よかろう、お前達の服従を受け入れよう」

「おお……!」

「ああ、だが二つ言っておくことがある。

まず一つ……ゲッソーシティなどという名は俺の好みではない。

よって今日からこの町の名はサザンクロスとする。そして二つ目……」

 

 シンは先ほど飛んで行ってしまったマントを拾い、羽織る。

 それからその場の全員に聞こえるように高らかに宣言した。

 

「俺を呼ぶ時は王ではなく、KINGと呼べ!」

 

 

 予想外のタイミングでの襲撃だったが、結果的にはヨシ!

 正直行き当たりばったりのジュガイ勧誘だったが、何とか上手くいった。

 途中までは本当に仕留めてしまうつもりだったんだが、実際戦ってみてから俺は方向を急転換させた。

 拳を合わせてみて分かったが、ジュガイは空っぽだった。

 軍団を作ってゲッソーシティに攻め込むくらいなんだから、もっと心に野望の炎を燃やしていると思っていたのだが、全くそんな事はなかった。

 感覚的なもので、言語化しにくいんだが……何か、他にやる事ないから仕方なくやってるというか……投げやりというか、ヤケクソというか……いや、違うな。これも表現としては近いが正しくない。

 本当にもう、ジュガイにはやりたい事というのがなかったんだろうな。

 妻と子を失った時点で、ジュガイは生きる目的を失ってしまったんだと思う。

 しかしそれでも生きていくしかない。だからジュガイは無理矢理心に憎悪の炎を灯し、地獄の主になるという目的を無理矢理用意して歩き続けたんだろう。

 もう自分がどこに向かっているのか、何をしたいのかすら分かってなかったんじゃないかな、こいつ。

 家族を裕福で幸せにしたいから必死に働いていた父が、事故で家族を失って、他にやる事もないから仕事に打ち込んで出世して裕福になって……でも、何の為にこんなに仕事に打ち込んでるのか、もう自分でもよく分かってないみたいな? そんな空っぽさをジュガイの拳から感じた。

 それで俺は思ったわけだ。あ、これ、無理に止め刺さなくても適当に目的を与えればこっちに引き込めるなって。

 結果は大成功。ジュガイは軍と一緒にこちらの傘下に入り、これで俺の勢力は大幅増強されたってわけだ。

 

 ジュガイはとりあえず、これでよし。

 だがまだ、俺には次の厄介なイベントが残っている。

 それを消化する為に、夜になってから酒場を訪れた。

 俺を待っていたのは奴隷商人のグルマに、グルマが抱える奴隷の一家。確かヤマン一家だったか。

 ケンシロウ伝で悲劇のヒロインを務めたダンネは、もう男装を止めたのか帽子を脱いでいた。

 そして椅子に座り、厳しい視線をこちらに向けているのは我が師父、フウゲンだ。

 

「久しぶりじゃな、シン……」

「ああ、久しぶりだ。まさかこんな所で奴隷に落ちぶれていたとは思わなかったぞ」

 

 いや、本当ね。何でこの爺さん、こんな所にいるんだ。

 勿論外伝知識で、フウゲンがこの町に捕まっていることくらいは俺も知っている。

 だが外伝でそうなったのは、シンに足の腱を切られてしまったからだ。

 しかし俺は別に、この爺さんの足の腱など切っていない。

 にもかかわらず、フウゲンは杖を手にしており、明らかに歩くのに不自由していた。

 

「その足はどうした、フウゲン」

「これか……情けない話じゃが、聖帝にやられてのう……」

「サウザーに……?」

 

 え? ここで聖帝? 何してんのあいつ。

 

「いずれお前と雌雄を決する時の為の、丁度いい練習台だと、突然戦いを仕掛けられてな。この老体では若き鳳凰の相手はとてもとても……」

 

 ええ……?

 雌雄も何も、普通に南斗最強はあいつだろ。

 次戦う時は試合じゃなくて殺し合いだから、フウゲン相手に練習したってことか?

 なんて迷惑な奴だ。

 

「哀しいのう。人を生かす為の南斗聖拳の拳士ともあろうものが、誰も彼も己の野望の為に魔道に堕ちる……シン、お前もじゃ。何故活人拳たる南斗聖拳で人を殺める……?」

「そんな事か。貴様もジュガイも何か勘違いしているようだが、活人拳だからとて、その手を血に染めてはならぬ道理などない」

「では……お主の活人拳とは?」

「『一殺多生』、一人を殺すことで多数を生かす。己の欲望のままに弱者を食らう愚か者を一人殺せば、その先そいつに命を奪われただろう百人の命が助かる。それこそが我が活人拳。この手を血に染め、赤き河を作り、千の屍を積み上げ、その犠牲の上に何十、何百万の弱者の秩序と平和を築く」

 

 俺の返答にフウゲンの表情が苦悶に歪んだ。

 どうやらお気に召さなかったようだ。

 だが、そんな事は関係ない。俺は俺に正直に答えただけなのだから。

 

「欲望のままに弱者を食らう愚か者……分かっているのか、シンよ?

それはまさにお主自身のことではないか……」

「だからこそだ、フウゲンよ」

 

 俺の発言は他ならぬ俺自身に刺さるブーメラン?

 そんな事は百も承知。

 誰よりも俺こそが欲望のままに行動し、他者を食い潰している。

 そしてだからこそ、欲望のまま好き放題する連中を俺は許せんのだ。

 

「いいか、フウゲン……これはパイの奪い合いなのだ。

その中で欲望のままに生きる連中が台頭してみろ……俺が欲望を満たせんではないか。

弱者とは俺にとっての貴重な財産であり資源だ。俺以外が奪うことなど許せるはずがない」

「…………シン……お前は……」

「この暴力の地平を平定するのは甘さではない……暴力だ。貴様も本当は分かっているだろう?」

 

 俺は確信をもってフウゲンに問いかける。

 そう、この爺さんは本当は分かっている。

 何故なら彼は、ケンシロウ伝において敵を殺さなかったケンシロウの甘さを咎めている。

 今日殺さなかった悪党が他の誰かを殺すかもしれない。殺されるのはケンシロウが守ったはずの一家かもしれない。

 『悪党を殺すことにより善人を生かす活人拳』。それは北斗神拳にも共通する在り方だ。

 ハッキリ言って、俺の中に悪党への情けなどない。

 というか、あいつ等そもそも同じ人類と思えん。

 種籾奪ってそのまま食ってウメーウメーじゃねーんだよ! マジで刹那的な今しか見てなくて、知能が低すぎてびびる。

 水が貴重な世の中で水を奪って、飲むわけでもなく頭から被って水だヒャッハーってマジで何考えてるんだ。

 本当に冗談や煽り抜きで何も考えてない。明日どころかほんの一時間後すら見てない。

 あいつら核戦争前、どうやって生きてたの?

 奴等はもう、ホモ・サピエンスじゃなくてモヒカン・ヒャッハーサピエンスとかの別生物に思えてくるわ。

 自分でも酷い認識だと思うが……俺の中ではあいつらは人じゃなくてゴブリンとかの人型のモンスター枠なんよ、もう。

 秩序がなければ人間なんて簡単に獣になるってことなんだろうけど、それにしたってなあ……。

 あんなの、俺が築く国に置いてもどうせロクな事しないだろうし……だったらもう、逆らう奴はサクッと殺って、従う奴は鉄砲玉にして使い捨てるくらいしかないじゃん?

 冷酷だとは分かっているが、俺にとってはダンネみたいなマトモな人間の方が生かす優先度が高い。

 仮にダンネ一人と野盗千匹の命を天秤にかけるなら、俺は迷わず野盗千匹を殺すぞ。

 なんなら片方の天秤に何も乗ってなくても殺す。

 俺の中ではヒャッハーは何匹ぶっ殺しても殺人カウントに入らないのだ。

 

「あ、あの……これから我々はどうなるんですか?」

 

 沈黙したフウゲンに代わり、恐る恐る、俺に声をかけてきたのは奴隷のヤマンだ。

 俺は奴隷商人のグルマと、ヤマン一家を一瞥し、これからの方針を考える。

 

「奴隷か……そうだな。まず奴隷制度は……継続としよう」

「なっ!」

 

 俺の決定に、ダンネが驚いたような顔をした。

 悪いけどすぐに奴隷制度廃止! とかそういうのはない。

 そもそも奴隷ありきで成り立っている町から、いきなり奴隷制度を取り上げたら待っているのは混乱だ。

 それと、奴隷という呼び方のせいで悪いイメージしかないが、彼等は貴重な労働力だ。

 「人類史上最も豊かな時代」と呼ばれる古代ローマ時代は人口の四割を奴隷が占めていたというが、その待遇は現代日本のブラック企業の社畜よりはマシという意見もある。

 つまるところ要するに、名前が悪い。

 

「何だよそれ! あんたも結局、シスカと同じじゃないか!」

「やめなさい、ダンネ!」

 

 どうやらダンネは奴隷制度継続が気に入らないらしく、俺に食ってかかってきた。

 まあこの家族は、グルマに無理矢理奴隷にされたわけだから、そりゃ気に入らんわな。

 この辺りの、何も悪い事してないのに奴隷にされてしまった層への救済は後で考えておくか。

 それはそれとして、気が強くて権力者相手でもハッキリ物を言えるこの性格はなかなか好ましい。

 

「ほう……威勢のいい小娘だ」

 

 俺が視線を向けると、ダンネが怯んだ。

 すぐに彼女を庇うように彼女の父やフウゲンが前に出る。

 警戒されたもんだな、俺も。

 

「ふむ……しかし継続にするにしても、奴隷という名前はイメージが悪い。これからは労働階級と呼ぶことにしよう。

奴隷屋という名前も廃止だ。明日からは人材提供屋とでも名乗るがいい。

よいな? そこの奴隷商……いや、人材屋」

「へ、へい! デヘデヘ……」

 

 俺の言葉に、グルマが頷いた。しかしこいつ顔でかいな。

 デヘデヘとかいう変な笑い方といい、どちらかというと北斗の拳よりワンピース向きの人間な気がする。出る作品間違えてないか?

 

「それから、今後はそこらの旅人を誘拐するのは禁止だ。人攫いの町などと悪評が立ってはかなわん。

これからは、罪を犯した者や野盗のみを労働階級とする。

無論、この決定に逆らえば貴様も労働階級落ちだ。それ以外の詳しい事はまた追って通達する。

それと最後に……」

 

 俺はダンネの方へ向かい、彼女の顎を掴んで顔を観察した。

 うん、美少女だな。このまま奴隷から解放してやろう、と外に放逐したらまず間違いなく野盗の食い物にされるわ。

 それはちょっと後味悪いし……しゃーない。しばらく俺の手元に置いて、せめて野盗くらいは跳ね返せる程度の力をくれてやるか。

 それにこの状況で、俺を睨み返す気の強さは悪くない。

 

「な、なんだよ……?」

「おい人材屋、この娘は俺が買うぞ」

「デヘッ? ど、どうぞ……」

「なっ! 何を勝手に……!」

 

 というわけでダンネをお買い上げだ。

 折角死の運命から救った子が結局死ぬとか、何か運命を変えられないと言われてるみたいで気に入らないしな。

 本来死ぬはずだったこの子が強くなり生き延びれば、それは運命を変えることはできるという証明にもなる。

 それは俺が殉星の宿命を破ることも不可能ではないという希望だ。

 だから、俺はダンネを側に置くことに決めた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

✪ ちなみに北斗の拳は蒼天の拳や外伝などを全部考慮するとどうしても矛盾が生じるので一部の設定は意図的に無視することもあります。

それと今回の話で察した方もいるかもしれませんが、このSSのシンは原作シンよりも悪人度が増しています。

何、JOJO……現代人を憑依させたら世紀末に適応できなくなる?

JOJO、それは憑依した奴が善人だと思うからだよ。

逆に考えるんだ……世紀末脳が加速してもいいさと考えるんだ。

 

【ジュガイ】

南斗孤鷲拳の使い手。原作のシンとは互角らしい。

ただ直接対決はしていないのでどこまで信じていいかは不明。

野盗に家族を殺され、その野盗を殺したことで、伝承者の道から外れた男。

ヒャッハーを殺したくらいで自分の手が血に濡れていて南斗聖拳を継げないと考える辺り、根はかなり善良で真面目だと思われる。

お前、そんなん言ったら原作のシンとかどうなるんだ……やりたい放題やぞ、あいつ。

ケンシロウに敗れた際は、ケンシロウに旧き良き時代の匂いを感じ、ケンシロウにゲッソーシティを託して死亡した……が、部下の詰めが甘すぎてシスカを殺せていなかったので全部台無しになった。

 

【フウゲン】

シンとジュガイの師匠。南斗孤鷲拳先代伝承者。

南斗聖拳は活人拳という考えを持ち、野盗を殺したジュガイを咎めていた……割に、敵を殺さなかったケンシロウを咎めた。南斗は人を殺しちゃ駄目だけど北斗は殺人OKという思考なのだろうか?

北斗世界では珍しくもない使命厨で、二言目には使命使命と言い、何でもかんでも天の意思に繋げたがる。

ちなみに外伝の『シン外道伝』ではシンのパッパのギシャクとかいうおっさんが先代伝承ということになっていた。

つまり両方の外伝設定を取り入れるとシンには師匠が二人いる……ってコト!?

 

【ダンネ】

ZEROケンシロウ伝のヒロイン。

男装の美少女で、一人でバットとリンの役割を兼ねることができる。

男装といっても帽子を被るだけなのだが、何故かバレない。

レイ外伝のヒロインであるユウとキャラ被りしている。

最後は家族諸共町ごと爆弾で吹き飛び、死亡シーンすらなくケンシロウの哀しみ強化パーツ入りしてしまった。

 

【グルマ】

やけに顔のでかい奴隷商。デヘデヘ笑う。

北斗の拳ではよくある事だが、途中から何故かいい人みたいな感じになり、ケンシロウの盾になって死亡した。

その際、息子の写真が入ったロケットをケンシロウに渡して息子を助けるように頼んだ。

……が、町ごと全部吹き飛んだので、彼の息子も勿論死亡し、ケンシロウとの約束は果たされなかった。

 

【シスカ】

ゲッソーシティを牛耳っていた顔のでかい男。

町に仕掛けた爆弾と人質で不動の地位を築いていた。

起爆スイッチを押すことへの躊躇が全くなく、ジュガイが攻め込んできた際はリモコンを手に「いざとなれば……ぐふふふっ」などと言っていた。

幼い娘を亡くしており、実は元々この世に未練などなかったのかもしれない。

作中確認できる限り、起爆スイッチを三つに、脅し用のダミー(?)を一つ持っていた。どれだけ町を爆破したかったのだろう。お前はルガールか。

最後は椅子に隠していた予備のスイッチを押してゲッソーシティを爆破し、ケンシロウ以外を道連れにした。

 

【ヒャッハー】

ある意味北斗の拳の象徴。北斗以外の作品でも使いやすいチンピラとしてよく登場する。

世紀末フリー素材。

核戦争後の世界ではちょっと歩くだけでどこでもエンカウントする。

RPGのマップで無限に出現するモンスター枠。

謎にバイクやバギーを調達する能力が高い。

どこでもエンカウントするので腕に自信があればレイのようにわざとエンカウントして食料の供給源にするのもあり。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。