シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ!   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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ハート「愛します! 一生どこへでもついてゆきます!(ユリアの声)」
ケンシロウ「ぐあああぁぁ!? く……来るな……!」


第四話 バイクのエンジン音……!

 ジュガイを竜神山に向けて出発させて一週間が経過した頃、連絡用の鷲が帰還した。

 この世界には携帯電話などないので遠距離の連絡手段は伝書鳩という古臭いものになってしまう。

 今使っているのは鳩ではなく鷲だが、鳥を連絡手段にしているという点では変わりない。

 さて、ジュガイから届いた手紙によると、どうやら無事にゴッドランドの兵士を蹴散らして竜神山を制圧したようだ。

 とりあえず竜神山の管理をドラゴンとパトラに任せ、ジュガイは水を持って帰還するように返信の手紙を書いておいた。

 それからアニメのように奴隷商売などをしてケンシロウのヘイトを買って潰されてはかなわんので、そういう事をしないように釘を刺しておく。

 水を求めて民衆がやってきた場合は、サザンクロスの臣民となるならば水を与え、迎え入れてやるよう指示しておいた。

 

 野盗狩りも順調だ。

 サザンクロス付近や、村を襲う馬鹿な盗賊団を手当たり次第潰し、労働力として捕獲している。

 勿論最初は反抗的だが、そういう連中はリーダー格と、副官、後は適当に鼻っ柱の強そうな奴を一匹か二匹見せしめに処刑してやれば、大体大人しくなる。

 それでも後で反抗心が芽生えれば一度目は食料と水を減らし、二度目で筋力を奪い、三度目で命を奪う。

 やり方が世紀末すぎる? 何を当然の事を……俺がいる今この時代、この世界こそがまさに世紀末だぞ。

 その甲斐もあって、最近は付近に出没する野盗の数が前より遥かに減っている。

 サザンクロスの近くで無法を働けば無事では済まないと順調に噂が広がっているようだ。

 そして逆に、野盗の恐怖から逃れる為に善良な民が集まり、近くで村を作り、俺の傘下に加わることを自ら申し出てくる。

 これによりサザンクロスを中心とし、俺の勢力は徐々に……だが確実に広がり続けていた。

 

 一方でダンネを鍛えるのは順調とは言い難い。

 元々、格闘技の才能なんてないただの少女だ。実は秘められた才能があったりとか、そんな事は全くなく、彼女の実力は未だにそこらのモヒカンにも劣る。

 しかし、だからこそ鍛え甲斐がある。

 最初から才能に溢れて、天から才を授けられた弟子なんぞ鍛えても面白くないからな。

 そういう奴は俺が何もしなくても勝手に強くなる。

 極端な話、セーブして電源切っておけば勝手に経験値が溜まって勝手にレベルが上がるキャラクターがいたとして、そいつをせっせとレベル上げしてやろうという気になるか?

 そうではなく、俺が鍛えてやらなければ絶対に弱いままだと分かっている不出来な弟子。だからこそ面白い。

 俺とダンネはサザンクロスの外で組み手をしており、ダンネは何度も俺に転がされたせいで砂だらけだ。

 

「どうしたダンネ。俺は一歩も動いていないし、指一本しか使っていないのだぞ」

「こんの……!」

 

 挑発をすると面白いように乗ってくれるので、からかっていてとても楽しい。

 ダンネはまだまだ未熟だ。体力も瞬発力も筋力も反応速度も何もかもが足りていない。

 しかし己の運命を切り拓こうという強い意思と根性だけは持っている。

 俺はダンネが疲れて動けなくなるまで組手を続け、ダンネがへばって座り込んだところで今日の組手を終了とした。

 後は帰るだけ……なのだが、俺はこちらに向かってくる気配を感じて、ダンネの前に立つように立ち位置を変えた。

 

「……ん? どうしたんだ?」

「客だ。それも厄介な」

 

 遠くから聞こえるのはバイクのエンジン音。

 そして跨っているのは――ジャッカル!

 ……じゃなくて、ジャギ!

 頭に被ったヘルメットに、棘付き肩パッド、胸元を開いた革ジャンという、一目で分かる絶妙な小物感と「こいつ関わっちゃアカン」感溢れる世紀末スタイルにダンネはぎょっとしている。

 やっぱジャギのデザインって逸材なんだよなあ……。

 

「よう、久しぶりだなあ、シン」

「生きていたか、ジャギ」

 

 ジャギはバイクから降り、馴れ馴れしく話しかけてきた。

 さて、一体何をしにきたのやら。

 多分、俺をケンシロウにけしかけようという腹なのだろうが、色々原作と違っているからな。

 一応警戒だけは解かないようにしておこう。

 

「核戦争が起きた時以来か。あのアンナという娘はどうした?」

 

 実は俺は、ジャギに関してはちょっとした介入と実験をしている。

 それは、俺が手を加えることで果たしてその後の運命は変わるのか。それともその程度では変わらないのか、という実験だ。

 バタフライエフェクト、蝶の羽ばたきが竜巻を起こす。

 風が吹けば桶屋が儲かる。

 これらの言葉が示す通り、ほんの僅かでも変化があればそれは大きな変化となり得る。

 しかし一方でこの世界には窮屈な天の意思だの、使命だの宿命だのがある。

 何をどうしようと無理矢理元の流れに収束させようとする歴史の修正力というものがあるのかもしれない。

 だから俺は試したのだ。起こるはずだった出来事に俺が少し手を加えて本来の運命からズラした場合、その後はどうなるのか?

 大きな変化が生まれるか。それとも妙な修正力が働き、少しズレつつも大きな流れは変わらず収束してしまうのか。

 それを観察する為に俺は、ジャギの想い人であり本来ならば核戦争直後に非業の死を遂げるはずだったアンナという娘を救った。

 モヒカンの馬鹿共に誘拐され、強姦されかけていた彼女を救い、馬鹿共を始末したのだ。

 『極悪ノ華』を見た感想で、こんなのがあった。

 “アンナさえ生きていればジャギには違った未来もあったのかもしれない”。

 俺は知りたかった。アンナさえ生きていれば……どうなる?

 何かが変わるのか。結局変わらないのか。

 その答えが今、ここにある。

 

「アンナは……ボスが仕切っている村にいる」

「ボスとはあの娘の兄のことか。何故お前はそこにいかない」

「何故だと……? 何故だと!?」

 

 俺の問いに、ジャギは怒りを抑えられないかのように声を張り上げた。

 そして乱暴にヘルメットを脱ぎ、ダンネから小さな悲鳴が上がった。

 ヘルメットを脱いだジャギの顔は醜く歪み、頭部を金具で固定し、チューブがあちこちを通っているというショッキングなものであった。

 リアルで見るとエグいなこれ。

 

「こんな……こんな醜い顔で、アンナの許に帰れるものか!」

「ケンシロウにやられたか」

「そうだ! 俺は憎い! 伝承者に選ばれ、俺の顔をこんなにした、ケンシロウが!」

 

 ジャギはボロボロと涙を流しながら叫ぶ。

 あー……なるほどね。アンナは生きてるけど、それとは無関係にケンシロウにイチャモンつけて喧嘩売って、それで秘孔を突かれて顔をやられたと。

 ケンシロウも中途半端な事するよな。

 一応兄だったので殺しまではしなかったんだろうが、本当にどうしようもなくやる事が半端だ。

 秘孔まで突くんなら、最後まで殺るべきだ。

 逆に生かすなら無意味に痛めつけたりせず、逃げればいい。

 それを、どちらもせずに半端に秘孔を突いて顔を醜くして、オマケに常時苦痛を受け続けるようにしました、と。

 そりゃあ恨まれて当然だし、元々歪んでいた奴にそんな半端な事をすれば性格はますます捻じ曲がるだろう。しかもその状態のジャギを殺さず放置……野に放つなど、どう考えても愚行だ。

 

「もう俺はアンナに会えない……こんな醜い顔では!」

「なるほど……それで、俺に何の用だ?」

 

 ジャギはヘルメットを被り、ここに来た用件を話す。

 

「ケンシロウは、ユリアと行動を共にしている」

「ほう。それで?」

「悔しくはないのか? お前はユリアのことが気になっていたはずだ。このままケンシロウに奪われていいのか?」

 

 うん……? こいつ何言ってるんだ?

 俺がユリアを?

 ないない。それはない。

 

「いや? 別に……」

「べ、別に? し、しかしお前はユリアをよく遠くから目で追っていた! あれはトキの兄者と同じく、見守る愛だったのではないのか!?」

「いや……ただ距離を空けたかっただけだ。距離を空けるためには、脅威の位置を把握せねばならんからな」

「だ、だが……お前はユリアに対し、やけに当たりが強かった! 俺は知っているぞ! お前は気に入った相手に対し、そうした捻くれた態度を取るのだと!」

「俺にそういう部分があることは認めよう。実際、気に入った相手をあえてからかうことで、その反応を楽しむことはある。だがユリアに対しては、シンプルに関わりたくなかっただけだ」

 

 俺は別にユリアは嫌いではない。ただ好きでもない。

 しかもユリアは俺にとっては歩く死亡フラグなわけで、できれば半径100m以内に接近したくない。

 止めに、向こうの俺への感情はとびきりのマイナス確実だ。

 何せ慈母星なのに、原作ではシンに対してだけ嫌悪全開だったからな。

 これで関わりたいと思う方がおかしいだろう。俺は別にドMってわけじゃないんだ。

 

「だ、だが同じ南斗としてそれでいいのか? お前もケンシロウの甘さは知っていよう。あいつの甘さではこの世紀末を生き抜く事は出来ん」

「今のままではそうだろうな」

「となればユリアは必ず誰かの手に落ちる!」

「だろうな」

「それでもいいのか!?」

「そういうのは俺ではなく五車星にでも言うんだな。ユリアのお守りは俺ではなく奴等の仕事だ」

 

 俺を焚きつけてケンシロウをボコらせようっていうのがジャギの狙いなんだろうが……俺に何のメリットもないんだよなあ、それ。

 ケンシロウには恨まれるし、死亡フラグが立つし、ジュウザとかリュウガとかラオウとかトキとか五車星とか、その辺の連中を一斉に敵に回しかねないし、そこまでしてユリアを奪っても「むしろ軽蔑する」とか言われるし。

 しかもあいつって俺に想われてたら、死にたくなるんだろ? 慈母星にそこまで言わせるって、相当相性悪いんだろうな……(シン)とユリア。

 オマケにユリアを下手に近くに置くと、拳王軍から攻め込まれる可能性大幅アップだ。

 勢力を広げる以上、いずれはぶつかる相手だが流石にまだ早い。

 俺の理想としては、拳王軍と聖帝軍が潰し合って共倒れしてくれることで、それが無理ならケンシロウが潰してくれるまで待ってから吸収が望ましい。

 しかしユリアを手元に置いては、間違いなく拳王軍がこちらに来る。

 これ、真面目にユリアを誘拐する利、何か一つでもあるか?

 ちょっと俺は利を見出せない。

 大量の食料と水を貰ったとしても、あんなのは手元に置きたくないぞ。

 

「悪いが、俺をケンシロウにぶつけようというのなら、その狙いは見当違いだ。俺は今、勢力を広げて安定させるので忙しい。そんな事に構っている暇などない」

「ぬ……」

「他を当たるんだな。それと……一つ忠告しておいてやる」

 

 このまま帰してもいいんだが、これで俺をケンシロウにぶつけるのを諦めてくれるとも考えにくい。

 こいつならケンシロウの名を騙って、俺の傘下の村を襲うくらいはやるだろう。

 それをやられると俺としては非常に面倒だ。

 だから、釘だけは刺しておく。

 

「貴様がケンシロウと敵対するのは勝手だが、その為に利用する相手くらいは選ぶことだな。

少なくとも、今貴様の目の前にいる男は、貴様の弱点を知っているということを理解しておけ」

「っ! そ、それは……アンナのことか!?」

「さあな。だが俺を敵に回すのは貴様にとって、非常に面白くない未来を手繰り寄せる結果になるだろう」

 

 まあ、嘘なんだけどな。

 流石に俺も、無関係の女の子を八つ当たりで攻撃するほど世紀末脳にはなれない。

 だが、実行に移さないにしてもアンナはジャギを縛る楔になる。

 こう言っておけば、ジャギは俺の勢力に対して下手な事をできないだろう。

 

「……分かった。だが俺の邪魔だけはするなよ」

「いいだろう。貴様にやられるようなら、ケンシロウも所詮その程度の男だったということ……俺が気に掛けるほどでもない」

 

 ケンシロウはなあ……悪い奴じゃないんだが、死亡フラグの塊だからジャギが勝つのは俺的には割とアリっちゃアリなんだよな。

 そもそもあいつって、とりあえず目の前の悪党や勢力を殺して回るけど、その後を何も考えてないから大局的に見ると実はプラマイゼロか、下手するとマイナスの可能性も無くはないというか……。

 例えばラオウは暴力でこの世紀末を平定して、恐怖による秩序を生もうとした。そしてその果てに誰かに取って代わられることを望み、ケンシロウに倒された。

 だがケンシロウがその後、ラオウの望む役割を担ったかといえば別にそんな事はないだろう。

 ラオウ亡き後の拳王軍を治めるわけでもなく、ラオウに取って代わってユリアと共に民を纏めるわけでもなく、ただユリアと一緒にラブラブ旅行をして、数年後にフラッと帰って来ただけだ。

 つまり、ラオウが築き上げた恐怖による秩序をただ無意味に崩壊させて暴力の荒野に逆戻りさせただけと言える。

 それを考えると、ケンシロウとジャギのどっちが勝っても、まあいいかなと思ってしまう。

 ケンシロウがいなくなれば、俺は今後世紀末救世主という名前のクリーパーに怯えなくていい。

 ケンシロウが生き残れば、拳王や聖帝だろうと倒せる世紀末クリーパーが残るから、上手く誘導して拳王と聖帝と黄金角刈りと修羅の国を爆破してもらえば俺がとても楽になる。

 

 さて、どっちが勝つか見ものだな。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

【ジャギ】

北斗四兄弟の三男。世紀末汚物。

原作後半ではほぼ全員から「北斗三兄弟(ラオウ、トキ、ケンシロウ)」と、汚点を通り越して最初からいなかったかのような扱いを受けている。

突き抜けた小悪党で一周回って人気が高い。

「極悪ノ華」設定ONで哀しき悪役属性獲得、別作品のアンジェリアと組ませることで保護者属性獲得、カラーを赤にする事で魔法戦士、と二次創作における魔改造の対象として高いポテンシャルを持つ。

二次創作主役率はかなり高め。

ところで物凄くどうでもいいのだが、ジョジョ3部のエンヤ婆VSポルナレフで登場した「町についたばかりの時に死んでいたインドの旅人」のポーズがジャギにしか見えない。

丁度あれも胸の傷7つだし。

 

【アンナ】

極悪ノ華のヒロイン。

勝気な性格の暴走族の少女。

核戦争直後にヒャッハー達によって暴行され、死亡する。

このSS世界線ではシンが乱入してヒャッハーを皆殺しにしたので無事生存。

尚、この時のヒャッハーの一部(暴行に関わってない連中)はジャギの部下になるが、シンは全員処分しているのでこの世界線ではジャギの部下が大幅に減ってしまっている。

 

【アンジェリア・アヴァロン】

アルカナハート2のラスボスを務める合法ロリ。

本来北斗の拳とは何の関係もない。

「私達仲良し姉妹の強さ見せびらかしてやるぞ!」

「思い知らせてやる!」

姉妹……?

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