シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ!   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第五十一話 最後の元斗皇拳の使い手

 ――全てが狂ったその日、サラは()()()いた。

 

 それは、世界が最終戦争に向けて緊張感を急速に高めていた頃の話だ。

 日本での生活にも大分慣れてきていたサラはその日、故郷イギリスに残してきた友人と通話をしていた。

 話の内容は互いの近況や日本での暮らし、アルフレッドの変化といった日常……日常? とにかく日常の話題から始まり、やがて急激に悪化し続ける国際情勢へと話題は切り替わった。

 日本も最近は大分治安が悪く、街中でも肩パッドにモヒカンといった、少し前まではほぼ見なかったような格好をした輩が我が物顔で歩く世の中になってしまっている。

 暴走族などのならず者が台頭し、警察も対処し切れていない。

 しかしそんな日本でもまだマシで、イギリスはいつ他国と核の撃ち合いを始めてもおかしくない有様であった。

 友人の声はとてもか細く恐怖に震えていて、サラは彼女を元気づける為に努めて明るい声を出し、電話越しでは伝わらないと分かっていても笑顔を浮かべた。

 

 その瞬間、電話の向こうから轟音が鳴り響いた。

 

 この時は何が起こったのか分からなかった。

 後になって、イギリスにミサイルが落とされた音だったのだと知った。

 電話の向こうから苦しみ呻く友人の声が聞こえる。

 幸い……いや、不幸にも爆心地から適度に離れていたおかげで即死しなかった友人は建物の崩落に巻き込まれ、瓦礫の下敷きになったらしい。

 助けて、死にたくない。悲痛な叫びが聞こえるがサラには何も出来ない。

 やがて火が回ったのだろう。友人の絶叫が響いた。

 瓦礫から逃げる事もできないまま、生きながら燃えているのだろうか。

 分からない……ただ、あまりの衝撃にサラの表情筋は凍り付いていた。

 全身が震え、目からは涙が溢れ……死んでいく友人の叫びを聞きながらサラは、表情筋が凍り付いたかのように笑みを浮かべたままその場で立ち竦んでいた。

 

「サラ! すぐに避難するぞ! 馬鹿共が遂に核を発射した……じきに自動報復によってこの国にも核が……サラ?」

 

 核戦争を予期していたシンが部屋に飛び込み、サラの腕を引いてあらかじめ用意していたシェルターへの避難を開始しようとした。

 しかしシンはそこで、サラの表情を見て異変に気が付く。

 

「サラ……お前、何故笑って……」

 

 その日以来サラにとって笑顔とは、あの日の出来事を思い出すスイッチとなった。

 

 

 ラオウがカイオウを倒してから早いもので、六年の年月が流れた。

 拳王軍、聖帝軍、慈母星軍、天帝軍という敵がいない世界で、我がサザンクロスは破竹の勢いで勢力圏を広げ、今やかつて日本だった場所は全て俺の支配下となっている。

 カイオウも死に、修羅の国も脅威ではなくなった今、最早俺の政敵は一人もおらん。

 東も南も北も西も、わけなく支配し、俺とサラの帝国は永遠となるわけだ!

 まさに絶好調!

 

 とまあ、少しハイテンションで語ったが、最近はどうも俺に運が向いてきた気がする。

 面白いくらいに俺の勢力は広がり続けているし、邪魔な拳王軍残党も根こそぎ狩って始末した。

 戦力的にも我がサザンクロスには俺を始めとしてガルダ、コウリュウ、レイ、シュウ、カレン、ジュガイ、デビルリバースといった錚々たる面子を揃え、科学面ではビジャマもいる。

 ビジャマは今でもミュウに振り向いてもらえない不憫な男だが、俺が見込んだ通り使える奴だ。

 領内には複数発電所を作り、我がサザンクロスは文明の光を取り戻した。

 道路も作られ、その上を数は少ないが車が走る。交通の便として路面電車もあり、このサザンクロスの景色だけを見ればとてもここが、あの北斗の拳の世紀末とは思えないだろう。

 ただ得るものがある一方で失うものもあり……元々病気だった事もあって、リュウロウが逝ってしまった。

 死期を悟っていたリュウロウは自分の持つ全ての技術を伝え、戦術指南書などを遺した後に風のように旅立ち、遺体も発見されていない。

 最後に目撃されたのは森の入り口だったと聞いている。

 ダンネやケンシロウ達は悲しんでいたが、俺に悲しみはなかった。

 奴は死んだのではない……風となり、森に還った……ただ、それだけの事なのだから。

 

 海を復活させる計画の方も順調だ。

 重機や爆弾、闘気増幅装置を用いた拳士によって『蓋』を破壊し、埋もれていた海を一部曝け出す事に成功している。

 これによって降水率が上昇し、水不足に苦しむ事もぐっと減った。

 とはいえ、俺の支配領域、海復活共に地球全体から見ればまだまだ狭い範囲での話だ。

 一気に広げても破綻するのが目に見えているから少しずつ進めるしかないが、それでも計画が進んでいるのは気分がいい。

 俺の支配圏の外では相変わらず野盗がヒャッハーしている世紀末が続いているが、そんな馬鹿共もサザンクロスに喧嘩を売る事はない。

 喧嘩を売って来た奴は全員もれなく死体か奴隷だ。そうして見せしめと間引きを続けた結果、俺に喧嘩を売らない程度の知能を持った野盗だけが残ったわけだ。

 

 食糧生産もコウケツ主導の下で農地が広がり、最近では余るくらいになってきた。

 家畜の生産も軌道に乗り、最近は大豆ミートではない普通の肉の値段も徐々に下がっている。

 この潤沢な水と食料はそのまま外交の武器にもなり、他の村や町をサザンクロスに編入する際のいい交渉材料となってくれる。

 多少反抗的な町もたまに出るが、そんな連中も目の前に食い物と水を積んでやればあっさりと尻尾を振って俺の軍門に下る。

 後継者の育成も順調で、最近はダンネもそれなりに戦えるようになってきた。

 まだまだ南斗孤鷲拳伝承者の座を渡す気はないが、今ならばカーネルくらいには勝てるだろう。

 ルイの護衛のアスラも今では強力な元斗皇拳の使い手となり、ダンネと切磋琢磨する仲だ。

 そのダンネだが、最近はシュウの息子のシバと少しいい感じになっている。

 年齢も近いし、接する機会も多かったのでおかしな展開とは思わないが……シバか。

 少し不安だ。とりあえずダンネを残してダイナマイトで爆死する事のないよう注意しておこう。

 六年という月日は色々と変化をもたらすもので、レイはマミヤとくっついて今はマミヤの腹も大きくなっており、ジャギとアンナの間にはもう子供がいる。

 かつてレイに片思いをしていたアスガルズルのユウは、今では側近のリマという奴とくっついていた。

 そしてもう一人、レイに片思いをしていたカレンも別の相手を見つけたようで交際は順調なようだ。

 アイリも相手を見つけたようで、今はその相手の連れ子と三人で幸せな家庭を築いているらしい。

 なんでも元賞金稼ぎで、娘を「俺の女」と言い、ボクシングに似た喧嘩殺法で戦うアメリカンな奴らしい。

 ジュウザは相変わらずユリア一筋……と思いきや、サザンクロスで暮らしていた息子ショウザとその母と再会し、今は無事捕まって不自由な男として家庭に縛られている。

 そういやこいつ、息子いたんだった……。

 

 一番の悩みの種であったユリアとケンシロウについても語っておこう。

 ユリアは俺が思っていたよりも大分長生きしたが、去年無事に天へ還った。

 とにかくこれで俺の部下がユリアと遭遇して次の日から「ユリア様こそこの世の光!」とお目目グルグルでユリア信者になる悲しい事件が起こらなくなったわけだ。

 残念ながら生活必需品をユリアの家に運ばせていた奴や、定期健診の為に派遣していた医者がそうなってしまったので、そいつ等は隔離……いや、ユリアの死後も仕える神職に任命してやった所、涙を流して喜んでいた。

 信じられるか? ユリアの影響を受けても惜しくないように、わざわざヒャッハー一歩手前の人材を選んで送ったのに、そいつ等が子供のような無垢な表情でユリアを崇めてるんだぞ……?

 医者に関しても腕だけはよかったが、立場を利用して患者から大金を巻き上げているようなカスだったはずだが……今では清貧こそ正義みたいな顔をして一丁前の神職になっている。

 ヒャッハーしてるよりは遥かにマシなのは確かだが、ここまでくると不気味さを感じずにはいられない。

 だが奴等の尊くもない犠牲のおかげで、俺の仮説の正しさも立証された。

 やはりユリアに心を焼かれる可能性は、母がいない奴や心の中で母の愛を求めている奴ほど高い。

 神職にしてやった奴等も、幼い頃に母を失った経験のある奴だ。

 そうそう、神職と言っている事から分かるかもしれないがユリアの死後はなんか霊殿を立てられていた。

 そんなの許可してないが……まあいいか……。

 

 ケンシロウはユリアの死後は腑抜けになり、今ではユリアの精巧な彫像を彫ったりしている。

 その出来は驚くほど良く、どうやったのかは知らんが瞳の輝きまで再現していた。

 ケンシロウお前、そんな才能あったのか……もしかして伝承者なんかより、そっちの道の方が天職だったんじゃないか?

 とりあえずケンシロウが腑抜けになってくれているのは、一強状態となっている俺にとってもいい事だ。なので再起しないように放置し、リンやバットには場所を教えていない。

 奴はもう十分に戦い、傷付いた。戦いが終わった今はせめて愛する者の側で静かに過ごさせてやれ……キリッ! てな具合よ。俺の本性を知っているダンネからは「こいつ……自分で隔離しておいて……!」と言いたげな視線を向けられたが気にしない。

 

 で、そのリンとバットだが、あの二人はケンシロウがユリアと隠居生活を送る際に荒野に放置されていたので仕方なく俺が保護しておいた。

 何とあの男、ユリアとの安住の地を求めて俺の許に来た時点で既にリンとバットを放置していたらしい。

 正気か? と思うも、よく考えたら原作でもユリアと一緒に旅立つ際に幼い二人を放り出してたなアイツ……。

 悪党の俺が言う事ではないかもしれないが、流石にそれは大人としてどうなんだ?

 そんな少し哀れな二人も今では一人前の若者だ。

 バットは子供の頃のクソガキぶりは完全に消え、今では逞しい好青年。リンは美しい女性へと成長を遂げている。無論俺の女王には負けるがね。

 あいつ等は今はリハクと一緒に『南北の軍』なる謎の組織を編成して俺の支配域の外で悪漢から人々を守る治安維持部隊のような事をしている。

 扱い的にはマミヤをリーダーとする自警団の別動隊……のようなものらしい。

 そんな物を作れと言った覚えはないのだが、まあいいか。

 そのうち勝手にピンチになって「ケーン!」と呪文を唱えてケンシロウを再起させる恐れがあるので正直止めて欲しいのだが、ここで無理に止めろと言っても反発を招くだけだろうし好きにしてくれ。

 それにKINGシティに常に滞在されるよりはいい。変に自警団活動を止めさせて近くに住まれて、ルイと天帝同士で変な共鳴とかされる可能性を考えれば、離れた場所で遊んでいてくれる方がマシだ。

 ちなみに一応、リンとルイは再会させている。勿論天帝という事は伏せた上でだ。

 その際に、天が光ったりしていたのでやはり天帝は油断出来ない。

 なので外にいってくれるなら、その方が俺としても安心だ。

 

 

 

 ――などと、その気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ。

 やはり天帝であるリンをフリーにするのは不味かったな。

 しかしルイの近くに置くのは危険という俺の判断が間違えていたとも思えないので、ここはどちらにせよマイナスイベントを引いたと思っておこう。

 俺の勢力圏の外で色々やっていたリンとバットは『偶然』元斗の残党――オグルとバトロに出会い、『偶然』意気投合し、この二人と一度面会してやってくれないかと俺に頼んできた。

 勿論俺がそんなものに従ってやる理由はないのだが、元斗の残党がこんな近くまで来ているというのは面倒だし、何故今更になってここまで来たのかが気になる。

 なのでKINGシティから離れたサザンクロスの都市の一つに招かせ、そこで面談をする事にした。

 

「すまんなコウケツ。急に邪魔をして」

「いえいえ、KINGのご要望とあらばいつでも!」

 

 ここはコウケツに管理を任せている都市だ。

 俺が面談の場所に選んだのは、この都市にある空き屋敷であった。

 先に到着していた元斗の二人とリンとバット、それからリハクが俺を見て表情を険しくする。

 さて、一体どんな要件なのやら……とりあえず、万一戦闘になった時に備えてコウケツは帰らせ、俺はソファに座った。

 それから数年前の元斗の村襲撃時にはいなかった――今となってはアスラを例外とすれば最後の元斗皇拳の使い手だろう二人を観察する。

 バトロは青い鎧を着た、黒髪の端正な顔立ちの男だ。少しトキに似ている。

 オグルは緑色の鎧の、老齢の男だ。肉体は逞しいが、既に戦士としての全盛期は過ぎているだろう。

 

「数か月ぶりだなリン、それにバット。そこの二人が元斗の残党か」

「あ、ああ……すまないなシン。忙しいだろうに、呼び出しちまって」

「全くだ、時間はいくらあっても足りん。しかし、元斗とあらば無視するわけにもいかん」

 

 ハッキリ言って、オグルとバトロの二人がかりでも俺に勝つ事は出来ないだろう。

 しかしそれでも並の使い手相手ならば圧倒できるだけの実力はあるはずだ。

 だから、折角の機会なのでここでハッキリさせておきたい。

 この二人が俺とサザンクロスにとって害か、それとも無害か。

 

「バット、リン、リハク。貴様等は席を外せ」

「し、しかし……」

「問答の内容次第では、ここは俺とこの二人が殺し合う戦場になる。邪魔だから避難していろと言っているんだ」

 

 退席する事に難色を示していたバットだが、俺の言葉を聞くと顔色を青くした。

 こいつも子供時代に比べれば大分強くなったが、それでも俺と元斗皇拳の使い手二人から見ればまだまだ雑兵同然だ。巻き添えで簡単に死ぬ。

 バットはリンとリハクを見て、悔しそうに顔を歪めた。

 今の自分では二人を守れないと痛感しているのだろう。

 

「……分かった。行こう二人共」

 

 バットがリンとリハクを連れて屋敷の外に出た。

 勿論盗み聞き対策に、外に兵を待機させているので奴等がこの先の話を聞く事はない。

 

「さて……面倒な前置きは無しにしよう。俺も忙しいのでな。

そこの二人、何故俺との面談を望んだ? 理由を率直に述べろ」

「……サザンクロスのKINGよ、私は元斗皇拳のバトロ。こちらはオグルという。

貴方に聞きたいのは主に三点。まず、六年前の我が元斗の村への襲撃……あれはどのような意図があって行われたものなのだ? どう考えても不可解な点が多すぎる」

 

 このバトロという男は確か、ルイとアスラの養育係だった男だったな。

 理知的な光を宿す眼が、偽りを許さぬというように俺を射抜いている。

 

「こんな世の中なのだから領土拡大の為に進出するのは理解出来る。しかし当時、サザンクロスと我が村は遠く離れ、地理的にも価値などなかったはずだ。加えて我が村は拳王領の中にあった。事実、貴方は結局村を占拠するわけでもなく幾人かの移住希望の村人を連れて撤退したと聞く。

……拳王に不在中のサザンクロスを攻められる危険を冒してまで、何故我が村を? 一体何の為に」

「無論、俺の欲望の妨げとなる天帝を排除する為だ。当時ラオウはケンシロウとの痛み分けによって行方を晦まし、拳王軍は統制を失っていた。俺はその好機を突いて村に攻め込んだに過ぎん」

「目的は果たせたか?」

「それは村に残った連中に聞けば分かる事」

「聞いたさ。天帝はジャコウの手によって既にお亡くなりになっており、貴方はジャコウを討った後にビジャマを勧誘して撤退したと。だが私達はそうではないと思っている」

「ほう」

 

 俺は薄ら笑いを浮かべたまま、内心でバトロという男への評価を上方へ修正する。

 そうだな、確かに俺のやった事は冷静に考えれば無駄だらけで意味の分からないものだろう。

 世紀末の脳筋ならばこれでも大抵は誤魔化せてしまうのだが、流石に馬鹿ばかりではないという事か。

 

「ジャコウは慎重で臆病な男だ。私達や特にファルコを意のままに動かす為の大事な人質であるはずの天帝をそんな早く殺してしまうとは考えにくい。そんな事をしては虚偽の情報でファルコを誘い出した意味がなくなってしまう。ジャコウは天帝を殺してなどいない……それが私達の考えだ」

「面白い推理だ。続けろ」

 

 この男の推理を聞いて、特別賢いだとか頭が切れるだとかは思わない。

 少し冷静になって考えれば誰でも到達する当たり前の違和感と回答に辿り着いているに過ぎないからだ。

 しかしその程度の事すら出来ない奴で溢れているのがこの世紀末である。

 少なくともケンシロウやファルコなら、この違和感に気付かないだろう。

 ……ケンシロウって設定上は凄く賢いはずなんだけどな。

 確か五万語を一度読むだけで記憶・反復できる、だったか。

 あれか? 記憶能力は高くて勉強は出来るけど、ものを考えるのは苦手とかそういうタイプなんだろうか。

 

「貴方に対しては天帝も人質として機能しないだろう。そうである以上ジャコウがわざわざ天帝を殺す理由は尚更薄い。ジャコウは天帝を幽閉したまま、貴方に殺されたのだ。

ここで二つ目の問いに移りたい……天帝をどうした?」

「その質問に意味はあるか? 俺の目的は先に語った通り天帝の排除。そしてジャコウが天帝を殺していないならば、俺は天帝と出会っている事になる。もう答えは出ているだろう」

 

 俺の言葉に元斗二人は拳を握り、顔を歪めた。

 天帝の守護を掲げる彼等にとって、目の前にいる男こそ天帝の仇かもしれない、となれば怒るのは当然の事だ。

 しかし二人はまだ俺に襲い掛かる気配もなく、理性で衝動を抑えているらしい。

 

「貴方の口から聞きたい。天帝をどうした?」

「排除した。俺の求める俺の世界に、血筋だけの古い支配者など要らんのでな」

 

 俺の返答に二人の闘気が一瞬大きく膨れ上がった。

 だがまだ、攻撃に移る気配はない。思ったよりずっと理知的だ。

 

「……そうか……最後の質問だ。あの村にはミュウという女性がいたはず。彼女をどこにやった?」

「あの女ならばサザンクロスで保護している。それがビジャマを引き入れる際に提示された条件だったのでな。再会を望むならば会わせてやってもいいが……その前に今度はこちらから三つの質問をさせてもらおう」

 

 向こうの質問は三つ。それに対し俺は真実ではないまでも事実を答えた。

 ならば同じだけの質問をする権利が俺にもあるはずだ。

 そしてこの質問で決まる事になる……ここでこの二人を殺すか、生かすかが。

 

「まず一つ。貴様等は何が何でも天帝こそ頂点に立つべきと考える古い思考の持ち主か?」

「……いや。私はむしろあの子……いや、あの方にはそのような重荷を背負って頂きたくなかった……この混沌の世を背負うには、あの方はあまりに小さい……」

「私はファルコに賛同していたに過ぎん。改めて私自身の意思を聞かれると……そうだな。正直なところ、誰が頂点になろうと別に構わん。余程の悪党でない限りは」

 

 バトロは反対派、オグルはファルコに合わせていただけか。

 なるほど、悪くない答えだ。少し天秤は生かす方向に傾いたぞ。

 

「次だ。もし天帝が生きていたならばどうする? またあのような小娘を担ぎ上げるか?」

「いいや。今更担ぎ上げても意味はあるまい……もう大勢が決している事くらいは分かる」

「私も同意見だ」

 

 思ったより柔軟だな。ここで「テンテイサマコソセカイノヒカリー!」と喚くようだったら、三つ目の質問の内容が「どうやって殺されたい?」になっていたところだ。

 

「では最後の質問だ。コレを見てから、答えろ……貴様等は俺の敵になるか?」

 

 俺は最後の質問と共に、懐から数枚の写真を出してテーブルの上にばら撒いた。

 一体何かと二人が写真を見るが、すぐにその表情は驚愕に変わっていく。

 今俺が見せたもの……それはルイとアスラの、六年前から最近までの成長を納めた記録だ。

 

「こ、これは……天帝様……?」

「違うな、天帝は俺が排除した。それはかつて天帝と呼ばれていただけのただの小娘、ルイだ。そして二度と天帝を名乗らせる気はない」

 

 俺は質問に答えながら、手刀に闘気を集める。

 ここが分岐点だ。ここで「天帝様を返せ!」と言い出したが最後、その瞬間に首を飛ばす。

 そんな奴はどのみち、ルイではなく天帝という立場でしかあいつを見ていない。小娘にこの世紀末を全て背負わせようとする大間抜け……現実を見ずに夢の世界で生きている。

 そんな奴は達人だろうが生かしておく利点がない。というかなまじ半端に強い分邪魔なのでここで始末する事に些かの躊躇もいらん。

 

 さあどう答える? 最後の元斗皇拳の使い手よ。

 

 

【6年間の変化】

・シン&クイーン

変化はほぼ無し……?

 

・ルイ&アスラ

いい感じに進展している。そのうちくっつく。

 

・ダンネ&シバ

ダンネは大分女性らしくなったが、拳法家としては欠点を抱える羽目になったとも言える。

シバといい感じになっているが、ダンネと比べてシバが弱いのでシバ側が劣等感を抱いている。

やはり南斗爆殺拳を極めるしかないか……?

 

・レイ&マミヤ

無事くっついた。そしてユウとカレンの脳は破壊された。

 

・ユウ&リマ

外伝でもフラグは立っていた二人。失恋を乗り越えて無事くっついた。

 

・カレン

失恋を乗り越えて無事相手を見つけた。相手はもしかしたらネームドの誰かかもしれないしモブかもしれない。

 

・アイリ&変な奴

怪しげなアメリカンスタイルの男とくっついた。グランドキャニオン!

 

・ジェネリックトキ&ジェニファー

なんだかんだ絆されていい関係を継続している。

 

・ビジャマ&ミュウ

変化なし。ビジャマは今も貢ぎ続けている。

飛び降り防止フェンスは今も付けていない。

 

・ジャギ&アンナ

もう子供がいる。

アミバ驚異の整形技術によって顔も元に戻ったがヘルメットは今も付けている。

子供はジャギではなくアンナ似の金髪の幼女。

そういえばジャギもアニメ版では金髪だったっけ。

 

・リュウロウ

死期を悟り、どこかへ旅立った。再登場はない。

 

・ジュウザ

ショウザと再会……どころか、その母とも再会して捕まった。

ユリア一筋みたいな空気を出していたが、あちこちで女に手を出しているし子供もいる。

今では家庭に縛り付けられて五車星で一番不自由な男になってしまった。

尚、本人はこれはこれでいいか……と満更でもない。

 

・フドウ

1.5倍くらいに巨大化した。

 

・ケンシロウ&ユリア

ユリアが死に、ケンシロウは毎日彫刻を彫っている。

その出来栄えはまさに神業。

今ではサザンクロス1の伝説の彫刻師として様々な作品を生み出している。

 

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