シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ!   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第五十三話 死すならば戦いの荒野で

 ――それは今から約一年前。

 俺はアスガルズルの主要メンバーとビジャマを連れて、とある研究所の跡地を訪れていた。

 研究所に着くなりビジャマは技術班を連れて跡地を無遠慮に進み、事前に修理を済ませていた機器を弄り始める。

 培養槽に何らかの液体が満たされ、そこに小さな物体が投与された。

 その様子を見ていると、ユウの護衛である女――フリーダが俺に声をかけた。

 

「KING、失礼を承知の上で意見してもよろしいでしょうか?」

「フン……不可能だと言いたいか? それとも、『フェノメーノ』の一人としてここの施設を蘇らせる事に拒否感があるか」

「両方です。しかしそれ以上に……何故、ここまで? 貴方は彼女を……ユリアを嫌っていたはず」

 

 フェノメーノ……人工的に強化改造を施された人間兵器。

 あの最終戦争が起こる前、各国はこぞって新たな兵器を生み出していた。

 そしてその中には、人間を兵器とする悍ましい試みがあり……今アスガルズルにいるリマやフリーダも、その狂気の研究で兵器にされた人間だ。

 俺はその過去を知りながら、彼女達にこの研究所の場所を聞き出し、ここまで連れ出したのだ。

 本来は封印されるべき、人の暗黒面を凝縮した施設……だが、恐らくこの場所でしか俺のやろうとしている事は……奴からの頼みは果たせない。

 

「ああ、嫌っていたさ。そして恐れて警戒し、遠ざけていた。奴が戦いなど決して望まぬ気質の持ち主である事を知りながら俺は、俺の中に作り出した勝手な怪物像を押し付け、奴の苦しみを無視し続けた」

「KING……それは……」

「別に罪滅ぼしなどするつもりはない。こんな時代で誰もが救われるわけではないし、俺も全員を救えるはずがない。

だが……死にゆく女の最期の願いくらいは……叶えられる保証はないが最善を尽くしてやってもいいだろう」

 

 俺はユリアを救わなかった。

 救おうと思えば多分、俺なら簡単にできたはずだ。そういう立ち位置にいたはずだからな。

 だが俺はそうしなかったし、別にその過去を悔いる気はない。

 たとえそれが正しくなかったとしても、俺が選んで俺が歩んだ道だ。

 だが……最後の最後で少しだけ道が近付いたのなら、少しくらいは手を貸してやってもいい……それだけだ。

 

「慈母星の軍……か。気に入らねえな……戦えない女一人に何を夢見てんだか。どう見たって天を握るってタイプじゃねえだろうよ」

 

 フリーダの弟分にしてユウの恋人……いや、今は夫のリマが苛立ったように言う。

 女を頂点とするという点において慈母星軍とアスガルズルは同じだ。

 だがそこには大きな違いがある。

 アスガルズルはエバが自発的に作り出した女の街であり、そして後継者のユウもまた自ら戦う気概を持っている。

 つまり将の気質を持った人間が、自らの意思で将となっている。

 だがユリアはそうではない。

 正統血統というだけで、本人の気質に合わない事をやらされていたのだ。

 実際、最後の将と呼べるのはユリアではなくリハクだった。

 

「……私は、分かっちゃうかな……慈母星軍の人達の気持ち……」

「ユウ……」

「私さ……姉さん(エバ)に会う前に荒野で行き倒れてさ……私の母さんは少ない食料を私に分けてたせいでそこで死んだんだ」

 

 ユウの話は、残念ながらこの時代では別に珍しい事ではない。

 サザンクロスの領内ではもう見ない光景だが、外では今でも当たり前のように誰かが行き倒れて死んでいる。

 

「その時さ……私は、母さんのお腹の中に戻りたいって願ってた。胎内回帰願望っていうんだっけ? 安らげる場所が欲しかった……慈母星軍の人達は、その安らぎをユリアさんに見てしまったんだと思う」

「安らげる場所……か」

 

 ユウの言葉に、俺はなるほどと思った。

 こんな時代だ……誰もがきっと、心の中で安らげる場所を求めている。

 こんな世界ならば生まれない方がマシだと思っても無理はない。

 そんな連中にとってユリアの慈母の光はまさに劇薬だろう。

 そして、安らぐ人々を見てリハクを始めとする五車星はそこに強い希望を見てしまった。

 ユリアを頂点にする事で苦しむ人々を救えると、そう思ってしまったのだろう。

 ならば……やはり俺はどこまでも慈母星とは相容れない。

 

「ククッ……ならば俺がやる事は、その逆というわけだ」

「もしかしたら、大きくなった時に恨まれるかもね。こんな世界に引っ張り出しやがって……てさ」

 

 俺の言葉にユウが冗談交じりに言うが、あながち間違いと断言出来ない。

 大きくなった時、よくもこんな時代に生み落としやがってと俺を憎む可能性は確かにある。

 母の腹の中でそのまま逝きたかったと思うかもしれない。

 だが俺はあえて笑い、培養槽に手を触れ……その中で眠る胎児に声をかけた。

 

「……イカれた時代へようこそ」

 

 

 やっぱり死者が生者に干渉するのは駄目だと思う。

 いきなり何を言ってるんだこいつと思われるだろうが、まずは聞いて欲しい。

 原作でケンシロウが記憶を失うシーンってあるだろ。

 黒王が突然立ち止まって、空にユリアの泣き顔がドアップで出てきて雷が落ちてケンシロウが記憶を失うシーンだ。

 まあ、何が言いたいかというと要するにつまりだ……。

 

 ユリアのやつ、やりやがった。

 

 もうお分かりだろう。原作最終回のあの流れだ。

 空にドアップでユリアの泣き顔が出て雷一発、食らったやつは晴れて記憶喪失ってわけだ。

 霊殿で働かせていた部下からも『ユリア様が泣いておられた』との報告を受けているのでユリアの仕業である事は確定である。

 ただしその対象はケンシロウではない。

 先日の元斗の訪問により、ルイとリンの正体に勘づいた奴がいる。

 そいつは天帝である二人こそ頂点に立てて新たな秩序を築くべきなのではないかと考え、リンに天帝の事を話そうとした。

 そしてユリアはそいつに雷を叩き込んだ。

 ――そう、リハクである。

 ……いや、気持ちは分かる。分かるよ?

 ユリアにしてみれば、自分が散々苦労させられた事を今度はリンにやるのかこの野郎! という感じで流石に堪忍袋の尾が切れたんだろう。

 見えなかった! ユリアがそこまでキレていたとは、このKINGの目をもってしても!

 結果リハクは記憶喪失。自分が五車星であった事も忘れてただの無害爺さんになってしまった。

 

 それはまあ別にいいのだが、参謀が役立たずと化した事で南北の軍が混乱し、野盗に追い詰められてしまったようだ。

 どうもその野盗団はリーダーが拳法使いだったらしく、正面から当たってはバット達では厳しい相手だったらしい。

 そうなると後はもうお約束の「ケーン!」だ。

 リンの助けに呼応するように、折角世捨て人をやっていたケンシロウが召喚されて野盗団を壊滅させた。

 ここまではよかったのだが、問題は野盗団リーダーの使っていた拳法だ。

 それは未熟ながら、紛れもなく北斗神拳だったのだ。

 野盗のリーダーはその技を何者かから教わったらしく……つまり、サザンクロスの外で北斗神拳を無闇に広げている誰かがいるという事だ。

 北斗神拳伝承者として放っておくわけにはいかない。ケンシロウはそう思ったのだろう。

 まるで何かに救世主に戻るように強要されるが如く、ケンシロウはサザンクロスの外へと旅立っていった。

 

 ――そしてそれから半年後、ケンシロウが黒いオーラを発しながらサザンクロスに向かっているという情報が入って来た。

 は? え? ……何で?

 

 

 ――俺の墓標に名前はいらぬ。死すならば戦いの荒野で。

 

 そう望み、ケンシロウは戦った。戦い続けた。

 愛する(ひと)を失い、幾人もの強敵(とも)を失い、兄を失い……。

 もう守るべき人は天に還り、倒すべき敵もいない……戦う理由もない。

 世界はきっとこれから、シンの手によっていい方向に変わっていくだろう。

 そこに己のような戦うしかできない男の居場所はなく、ならば戦い続けて荒野で果てるのも悪くないと、そう思った。

 そのはずだった。

 

 しかしそれでも天は救世主を望む。救世主に相応しい悲劇を求める。

 北斗神拳を悪用する者が現れて乱世に呼び戻され、その男を倒してもまた次の敵が……。

 北斗神拳を悪用し広めていたのは、かつての同門だった。

 才能なしとしてリュウケンに追放された男は実力不足が故にこの世紀末で家族を守る事ができずに、その心を闇へ落としていた。

 いかにサザンクロスが光を取り戻そうと、それはまだまだ狭い範囲での話……この世紀末の荒野には今日も悲劇と地獄が続いている。

 

 戦えば戦うだけ弱き人々の血が流れ、歩むほどに悲劇を直視させられた。

 守ったはずの村が爆弾で全て吹き飛ばされた。

 救ったはずの優しい家族が野盗に虐殺された。

 行き倒れていた所を助けてくれた女性が自分を庇って殺された。

 救った男が外道で、彼を救ったせいで大勢が殺された。

 心通わした人々が焼かれた。拳を交わした友が死んだ。慕ってくれた子供が生きたまま切り刻まれた。

 

 ――お前は戦えば戦うだけ、悲劇を目の当たりにする事となる。

 

 かつて友に言われた言葉が心を渦巻く。

 彼の言葉は正しかった。己の進む先には悲劇しかない。不幸しかない。

 どこまで進んでもこの道は、優しい人たちの血と涙で彩られている。

 

 ――お前は確かに救世主になれる男……いや、救世主にしかなれん男だ。

 

 本当は薄々わかっていた。

 この掌は何も拾い上げる事が出来ない。

 全てが零れ落ちた後に、そこに集る虫を潰す事しかこの手には出来ない。

 零れ落ちる事そのものを止める術がない。

 

 ――救世主が救世主足り得るにはそれに相応しい舞台と悲劇が必要だ。

 ――だからお前が進む先には悲劇が積み重なる。

 

 こんなものが望みだったのか?

 何も守れずに、全てが失われた後に悪党を殺して「仇を取ってくれてありがとう」と言われる為に鍛えてきたのか?

 ……違うだろう? そうなる前に守るために鍛えてきたのではないのか?

 仇を取るのではなく、優しい人たちが明日も笑えるように。

 無念を晴らすのではなく、無念の中で死なないように。

 その為の北斗神拳ではなかったのか!?

 そして今、ケンシロウはまたしても一つの悲劇に立ち会っていた。

 

「救世主様……ありがとうございます。お姉ちゃんの無念を晴らしてくれて」

 

 ケンシロウの前には一人の少年がいた。

 そして少年と共に健気に荒野で生きていた少女がいた。

 守りたかった。この姉弟が笑い合える明日を掴みたかった。

 だが駄目だった。またしても救えず、少年の姉は非道な野盗によって撃ち殺され、ケンシロウは怒りのままに野盗を皆殺しにした。

 

「これでお姉ちゃんも安らかに眠れるでしょう……本当に、ありがとうございます」

 

 ……やめろ。そう叫びたかった。

 違う、こんな未来を望んだのではない。

 この姉弟が生きて幸せになる未来を見たかったのだ。

 なのに今回もまた、ケンシロウの前にあるのは悲劇だけだ。

 悲劇が起こって手遅れになってからでないと、救世主の役目はこない。

 

「どうしてだ……どうして俺はいつも……間に合わぬ……」

 

 ケンシロウは止めどなく涙を流し、荒野を彷徨う。

 間に合わない。いつもこの手は何も掴めない。

 悲劇を救いたいのではない。悲劇の幕が上がる前に救いたいのだ。

 だがそれでは救世主譚にならない。

 幕が上がる前に、カーテンの裏で敵を全て倒してハッピーエンドは天に許されない。

 

「天よ! 俺は本当に何も救えぬのか!? シンの言った通りなのか!? どうして俺は……シンのように……トキのように……ラオウのように……なれぬ……!」

 

 とうとう感情の限界を迎え、ケンシロウは天に叫んだ。

 救世主は何も救えない。その現実に心がへし折れ、荒野の中心で叫ぶ。

 彼は足掻き続けた。必死に少しでも多くを救おうとして、その行動は確かに人々から感謝された。賞賛された。

 ラストランドという国を支配者から救う事は出来た。しかし優しい人達が暮らす自由の村は火の海と化した。

 父の写真が入ったペンダントを握りしめたまま焼死体となった少女の姿を忘れる事が出来ない。

 暗黒の北斗を名乗るゼンオウという男の野望を阻止した。

 だが共に戦ってくれた仲間達は皆死んでしまった。

 

「……要らぬ」

 

 地面に両手を突き、握力任せに大地を抉る。

 これだけの力があっても何も拾えぬならば、この力に何の意味があるというのか。

 

「要らぬ!」

 

 この手が掴むのはいつだって悪党の命だけ。

 こんな世界で精いっぱい生きる人達の明日を掴む事が出来ない。

 

「俺は……俺は!」

 

 両目から血の涙が流れた。

 空にユリアの顔が見える。ユリアが泣いている。

 そうだ、いつだって泣かせる事しか出来ない。

 誰も笑顔にできない。

 ならば……。

 

「――救世主の宿命など、最早いらぬ!」

 

 ケンシロウが叫び、彼に雷が落ちた。

 だがもう雷でも彼は止まらない。

 非道な悪党共への。天への。何よりも自分自身への憎悪が黒い魔闘気となって彼を包み、雷すら弾いてしまった。

 ケンシロウの形相が鬼のように歪み、瞳が血のように赤く染まる。

 そして魔闘気が大地を掘り起こし、その中から女人像が姿を現した。

 きっとここは、かつては北斗ゆかりの寺院か何かだったのだろう。修羅の国で見たのと同じ像が偶然そこに埋もれていた。

 涙を流すケンシロウに呼応するように女人像の目から涙が溢れ、先人達の魂と無念がケンシロウに宿る。

 

 最早そこにいたのは救世主ではなかった。

 血の涙を流し続ける魔神――魔界に落ちた哀しき男の姿が、そこにあった。

 

 

 部下からの報告を聞いて俺は溜息を吐いた。

 ケンシロウは現在、道中の野盗を無意味に虐殺しながらこっちに確実に接近しているようだ。

 これだけ聞くと「今まで通りじゃね?」と思うかもしれないが、明らかに違う。

 今までのケンシロウは、少なくとも自分から野盗のアジトに理由もなく攻め込んで虐殺する事はしなかった。

 野盗が何か悪事を働いた場合や、あるいは無辜の民が殺されてその無念を晴らすために突撃する事はあったがな。

 しかし今のケンシロウは違う。レーダーでも搭載してるのかと問いたくなる精度で野盗を探し出し、一人残らず殺して回っている。

 また、ケンシロウからは明らかに魔闘気と思われる黒いオーラが出ており、表情も普段の面影がまるでないようだ。

 いや、魔神化しとるやん。何で? あれって北斗琉拳だけの現象のはずだろ。

 ラオウもトキとの戦いで似たような事はしたけど、あれはあくまで魔闘気とは似て非なる、ラオウだけが辿り着いた魔闘気を超えた新たな闘気だった。

 しかしケンシロウは違う。マジで魔闘気を使っている。

 ケンシロウは水影心でラーニング出来るから流派の壁などあってないようなものかもしれないが、それにしても無法が過ぎる。

 そして最悪なのはサザンクロスに向かっているという事。

 このままではサザンクロスに被害が出るのは必至だ……本当に勘弁して欲しい。

 今のケンシロウに下手な奴を差し向けても返り討ちに遭うのは目に見えているし、俺が行くしかないだろう。

 顔見知りだからと加減してくれるという甘い考えも捨てたほうがいい。

 既に、止めに入ったとある村の長老が秘孔を突かれて昏睡状態になっているという報告が入っている。

 それは原作では本来ファルコのアホに殺されるはずだったマミヤの村の長老だ。

 折角ここまで生き残ったのに、こんな目に遭うとは……運命というものの身勝手さを感じずにはいられない。

 

 今回のケンシロウの暴走は多分……いや、確実に俺というイレギュラーのせいだろう。

 俺の知る限り、原作終了後を描いた外伝でもケンシロウが闇落ちするような展開はない。

 そうである以上、俺という要素が直接的か間接的かは分からないがよくない影響を及ぼしてケンシロウを闇落ちさせたのだ。

 あるいは天の意思が俺という異物を排除する為に最強の刺客を差し向けたのかもしれないな。

 そしてケンシロウがもし勝利して俺を殺せば、きっとケンシロウの中でそれは大きな過ちとなるのだろう。

 その上で死なせてしまった男の分戦い続けなければいけないとか、あいつの願いは俺の中で生き続けるとか、そんな感じの美談に勝手に昇華されるんだろう。

 全くふざけるなと思う。そんな結果は断じて認めん。

 むしろ逆だ、俺は何が何でも勝利する。そして俺とケンシロウを取り巻くふざけた宿命に引導を渡してやろう。

 

「シン。ケンシロウを止めに行くんだな? 俺も行こう。この命、今こそ友の為に使わせて欲しい」

「お供します、KING。私達全員でかかれば北斗神拳伝承者といえど敵ではありません」

 

 俺と共に報告を聞いていたレイとカレンがケンシロウとの戦いに名乗りを上げる。

 

「シン、お前は死んではならぬ男だ。ここは任せてくれ……ケンシロウの闇に染まった目を私が開かせて見せよう」

「北斗の先人として、道を示してやるのも悪くない」

「ブッヒッヒ、KINGが出るまでもありません」

 

 シュウ、コウリュウ、ハートも戦意を滾らせて俺の代わりに出ようとする。

 他にもガルダやジュガイとビジャマ、ダンネ、ジャギが強気に笑い、俺も釣られて笑った。

 ジュウザやフドウ、後ついでにジェネリックトキも数に含めてやっていいだろう。ダンネは……まあ、まだ補欠ってところか。

 しかし壮観だ……我ながら。

 これが俺がこの世界に生まれて、築き上げてきた俺の国、俺の人材だ。

 ここにいる連中はどいつもこいつも本来ならばケンシロウの華々しい救世主譚の悲劇として、あるいは倒されるべき敵として死んでいるはずの者達である。

 それを俺が拾い上げ、ここまで来たのだ。

 全て俺の宝だ。俺の欲望を満たす為の俺の部下達だ。誰一人として、天などにくれてやるものか。

 

「フッ……ならば、貴様等に任せよう。ケンシロウはあえてこのKINGシティに誘い込み、全員で迎え撃つ。それでいいな?」

「ああ。ケンシロウには悪いが、奴ほどの実力者となると殺さずに無力化するのも難しい。だがこの人数ならば取り押さえる事が出来るだろう」

「よし、兵の配置はシュウ、貴様に任せるぞ」

 

 俺はシュウに話を振り、マントを羽織って玉座を後にした。

 さて……これでシュウ達は全員KINGシティに張り付けとなるはずだ。

 しかし俺はこいつ等とケンシロウを戦わせる気はない。

 戦わせればきっと、本来の運命に戻すように全員殺される可能性が高いと見ているからだ。

 何故なら救世主が必要なくなるほどの巨大戦力など、救世主譚にはいらないからだ。

 

 見えもしない相手を警戒しすぎと思うか?

 見た事もない天の意思がある事を前提に考えすぎと思うか?

 俺はそう思わない。

 今、俺はかつてないほどに天の意思を……俺が本当に倒すべき目障りな敵の存在を感じている。

 ラオウやバランが挑む事を夢見て、遂に相まみえる事のなかったこの世界の神とも言うべき何かの意思……即ち、天。

 俺は今、理屈ではなく本能で奴が俺をなりふり構わず排除したがっていると感じている。

 よかろう。そういう事ならばラオウの言葉を今こそ借りようではないか。

 

 ――ならば神とも戦うまで!

 

 

【あれ? アメリカンな人は?】

ただのアイリの夫であって別にサザンクロスの幹部でも何でもないのでこの場にいない。

 

【北斗神拳広めてた人って誰やねん】

パン作りが得意な人。

北斗神拳を学んでいながら追放され、その後が一切不明という美味しいポジションなので世紀末フリー素材として活用……されてはいないが、ポテンシャルはある。

逞しく成長した姿で再登場させてケンシロウの強敵(とも)にしてもいいし、道を誤って悪党になっていてもいい。

原作での出番も一瞬でバックボーンも不明で読者からの印象や愛着も薄いはずなのでどう扱ってもそこまで問題が生じないという二次創作救世主。

このSSではなんか悪堕ちした。きっと色々あったのだろう。

 

【ラストランド】

原作後を描いた外伝『新・北斗の拳』に登場した敵勢力。

この作品のケンシロウは子安ボイスなので普段より賢そう……というか悪だくみしてそうな気がする。

全3話で1話のボスであるサンガは北斗全体で見てもなかなかアレな人。

我が子を愛するが故に自らを超える男になるように試練を与え、崖から突き落とした(!?)。

この突き落とされた息子のセイジが2話と3話のボスで自分を突き落とした父への復讐心から悪堕ちした経緯の持ち主。

作中では「父の愛の試練を理解出来ずに闇堕ちした」みたいな描かれ方をしているが、普通に恨んで当たり前やろこんなの。

 

【北門の拳】

セイジの使う拳法。かつて北斗神拳の伝承者争いに敗れた者達が作ったらしい。

 

【北斗無明拳】

暗黒の北斗。北斗神拳の伝承者争いに敗れたゼシンとかいう奴が創設したらしい。

北斗神拳の伝承者争いに敗れた奴、新しい拳法をすぐ作るのやめない……?

 

【ゼンオウ】

ラオウのパチモン。北斗無明拳伝承者。

ラオウの生まれ変わりとか言われているが、年齢的に無理がある。

まあこいつをラオウの生まれ変わりって言ってるのリハクだし、無視していいやろ……。

ゲーム版とは色々条件が違うが、最終的にはケンシロウが仲間を犠牲にしつつ倒した。

 

【リハク】

いつの間にか新五車星とかいうパチモン組織を立ちあげていた。

こいつ本当に組織作る能力高いな。

ゲーム通りの流れだとゼンオウに殺されてしまうが、ユリアが雷を落として無害じいさんにした結果新五車星に合流せずに生き延びた。

ユリアは天で台パンした。

 

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