シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ! 作:マジカル☆さくやちゃんスター
A、ユダはマミヤの両親に技を当てて星を取っていた
それと空中にいきなり鏡出せるわけがないのでこのSSのユダ様はダムとストライカーだけに留まらずバニまで没収されてる事が判明しました。
「……シン、貴方の言った通りになってしまったわね。人間とは、こんなにも愚かだったのね……」
廃墟を前に、サラは涙を流していた。
平和で優しい日々がずっと続くと、心のどこかで信じていた。
人はそんなに愚かではなくて、営みがずっと続いていくと……。
だが現実は無慈悲で、目の前にあるのは直視したくもない廃墟だ。
隣に立つシンは、泣き崩れるサラの肩を抱き、元気付けるように言う。
「泣くな、サラ。お前の涙は見たくない」
「でも……」
「聞いてくれ。俺はこの日の為に準備をしてきた。力を磨いた。
俺の力は全てこの時の為……この時代に正義を掴む為にあった」
シンはサラの前に立ち、力強く拳を握る。
「俺は王国を作る」
「王国……?」
「そうだ。その国では俺が王で、お前は女王だ……お前を女王にしてみせる!
お前が望むなら、全て俺が用意してやる! 俺が与えてやる! さあ、俺に望んでみせろ! 何が欲しい!?」
「無理よ……だって、もう失われてしまったもの……。
私はただ……昨日までの世界を……皆が幸せそうに笑う景色を、町を……綺麗な自然を……でも、もう……」
「ならばくれてやる!」
シンが拳を握り、マントをはためかせて宣言する。
太陽が後ろから昇り……光の中に佇む彼は、不思議と神々しく見えた。
「お前が望むならば、美しい自然を。幸せに人々が笑う景色を。街並みを。俺がお前にくれてやる!
だから――もう、泣くな……」
不可能だと思った。
できるわけがないと思った。
だが、どうしてか……信じてしまいたくなる不思議な力強さと自信が彼の言葉からは感じられて……。
だから、この人についていこうと、そう思った。
★
ユダとの小競り合いから一年が過ぎた。
あれからユダが何か動きを見せるかと思っていたが、今のところサザンクロスに対しては特に何もしていない。
その代わり……というわけでもないが、女の街『アスガルズル』を手中に収めようと襲撃し、そこにいた南斗水鳥拳先代伝承者のロフウに部下を千人ぶっ殺されて、逃げ帰ったらしい。ユダェ……。
その後はサウザーによる南斗六聖招集会議が行われ、ロフウをどうするかという話になった。
尤も実際に会議に出た六聖はサウザー、俺、ユダだけであり、後はリハクやリュウロウといった代理だったのが何とも悲しい。
しかしこれは当然っちゃ当然で、そもそもロフウに屈辱を与えられたユダ以外はロフウのことなどどうでもいいと思っていたのだ。
その証拠に会議自体はリュウロウの「覇を唱えるならどのみち拳王とぶつかるし放置でよくね?」という意見に対し俺、リハク、サウザーが異議なしと返答して即終了となった。納得しなかったのはユダだけだ。
第一、覇を唱えるのが問題というなら会議を開催したサウザー本人が一番アウトだろ。
ちなみにリュウロウというのは、南斗の智将と呼ばれる男で実力も六聖拳に匹敵すると謳われている優秀な拳士だ。
今回はシュウの代理として会議に参加している。
何故代理など寄越したかと言えば……シュウが参加するのはあまりに危険だったからだ。
サウザーが何故こんな会議を開いたのか? それは特定の『誰か』を誘い出そうとしたからだ。
ロフウにどう対処するか、というのはただの建前に過ぎない。
そして狙いは恐らく、サウザーにとっての邪魔者であるシュウ。次に正体不明の最後の将。最後に俺だ。
実際帰り道でサウザーの部下と思われる南斗聖拳の使い手に襲撃されたし、逆に俺もあらかじめ狙撃ポイントに配置した部下によるサウザー暗殺を試みたからな。
結果は……こうして俺が呑気に話していることから分かると思うが、返り討ちにしてやった。
ただ、俺が放った狙撃手も帰還しなかったので、どうやらやられてしまったらしい。
ケンシロウは少し前にジュガイに勝てるようになり、ユリアを取り戻す旅へ出発した。
最近はよく胸に七つの傷を持つ男の噂を聞くが、結構派手にやっているようだ。
この前もZ(ジード)というならず者軍団の頭を潰したという。
ちなみに残った構成員は俺の軍が捕らえたので、水影心でパクった鋼筋分断脚で戦闘能力を剥奪し、無賃で強制労働させている。
こういう略奪と殺しばっかやって生きていたアホ共は、どう扱っても文句を言われないので凄く便利である。
賃金もやらなくていいので、人件費もゼロだ。
非道? いやいや、囚人労働なんて世紀末以前でもやっていた至って真っ当な罰だろ。
と言うかこいつ等全員、核戦争前なら間違いなく死刑レベルの事はやっているので、マジで殺さないだけマシよ?
あ、そうそう。賃金で気付いたかもしれないが、俺の領内ではまだ物々交換の域を出ないが、貨幣制度も少しずつ復活させている。
もっとも戦前の紙幣は使っていない。新しく刷れない物なんか使っても意味がないので、戦前使われていた紙幣は今でもケツを拭く紙未満だ。
今使っているのは、俺の城で生産している硬貨である。
俺の領土はこの一年でますます広がり、今ではかつて日本の関東だった場所のほぼ全てが俺の勢力となった。
こう言うとかなりの規模に聞こえるだろうが、海が枯れてどこもかしこも陸続きになってしまった世紀末で考えると、まだまだ全然狭い。
それから、サザンクロスが町の名前なのか勢力の名前なのかどっちか分からないという苦情がきたので、首都(元ゲッソーシティ)の名前をKINGシティ、俺の支配域を纏めてサザンクロスと改名した。
サザンクロス領内では緑化も順調で、全域とはいかないが、KINGシティを中心に結構広い範囲にオアシスが広がっている。
……緑化ってこんな一年で上手くいくものだったか?
これがユリアだったら、あの謎の回復魔法パワーで植物が活性化したとか、そうなっても不思議ではないが、俺にそんな力は勿論ない。
つまりこれは植物自身の力ということになるが……世紀末世界の生命力の凄まじさを見せ付けられた気分だ。
畜産も順調で、少しずつ動物も増えてきている。
それと、嬉しい事に竜神山の湖や、領内で発見された地底湖などから魚が発見された。
勿論至急捕獲し、専用の巨大水槽を用意して全力で完全養殖に取り掛かった。
海の魚は絶滅してしまったと思われるが、水生生物がまだ残っていたというのは未来の希望になる。ついでに食卓の希望にもなる。
さて、そんなこんなで順調にいっている我がサザンクロスだが、うまくいっていると色々変なのもやって来る。
噂を聞きつけて、お零れに与ろうと媚を売ってくる奴はまだマシ。
聞いたこともないよく分からない勢力から傘下に加われと言われたり同盟を持ちかけられたりなどしょっちゅうだ。
まあ、同盟はまだ一考の余地があるが、傘下に加われとか言う馬鹿は壊滅させて吸収してやった。
反抗的な構成員は筋力を奪って地下に放り込んだので、今日も地下で謎の棒をグルグル回しているだろう。
だがそれも、簡単にどうにかできるという点ではマシだ。
しかし今、俺の目の前にいる男はそういうわけにもいかない。
「なるほど……つまり俺に、お前達レジスタンスの支援を頼みたいと」
「頼む……シン。サウザーによる哀れな犠牲者をこれ以上増やさぬ為に……お前の力を貸してほしいのだ」
応接室で俺の対面側に座っているのは、両目に痛々しい傷跡が残る、盲目の闘将……俺と同じく南斗六聖に名を連ねる男、シュウだ。
彼はサウザーの覇道に対抗してレジスタンスを率いているが、勢力の差は絶望的で日々追いつめられているという。
そこで拳王軍、聖帝軍に匹敵する勢力であるサザンクロスに後ろ盾になってほしい、という依頼であった。
「ふむ……お前との同盟自体は、魅力的だ。それに聖帝軍ともいずれはぶつかることになるだろう」
「おお、では……!」
「だがそれだけでは足りんな」
シュウに恩を売れるというのは、かなり大きい。
ケンシロウの恩人である彼がこちらにいれば、ケンシロウと敵対する可能性も一気に減る。
それに聖帝軍は俺にとっても厄介な派閥だ。
だがシュウ率いるレジスタンスを支援すれば、聖帝軍に対する先遣隊を得たも同然だ。
「シュウよ、ハッキリ言って俺はお前が率いるレジスタンスに何の魅力も感じていない。俺が欲しいのは、お前の拳法の腕だ」
「ぬ……! 私に何を望む?」
「サウザーを倒した暁には、俺の軍門に下れ。それが支援の条件だ」
同じ六聖拳であり、かつ南斗一と言ってもいい良識人であるシュウはできれば死なせずに手元に加えたい。
この男ならば、俺の片腕とするに不足はない。
今のところ、俺の軍で六聖拳にも対抗できるのはジュガイくらいだが、それでは足りないのだ。
特に拳王軍は天の覇王とかで、後付けで実力者が生えてきたから、今のままだとかなりきつい。
この世界は千人の兵より一人の達人が強い世界だ。
なので実力、人格共に優れたシュウは、かなり欲しい人材である。
「一つ聞きたい……シンよ、お前もまたラオウやサウザーと同じく、己の勢力を広げる男。
お前はこの道の果てに何を望む? 奴等と同じく、覇道を望むか?」
「フッ……俺を見縊ってくれるなよ、シュウ。俺が往くのは一代で途切れる覇道ではなく遠い未来まで続く王道。俺を王と崇める俺の王国を築き上げること……それが俺の望みだ」
「その果てにあるものは?」
「栄光」
シュウの問いに俺は、迷うことなく己の欲望を口にした。
「強者を称える名誉は弱者あってのもの。王を崇める名声は民と豊かな国あってのもの。そして民を支えるのは食料と水、秩序と平穏だ。それこそが俺の栄光を作り出す。そして文明社会が蘇った未来にて、俺の名は偉大なる王として永遠に残り、語り継がれるのだ」
「シン、お前は……」
俺の夢にシュウが絶句しているが、実際これが望みなんだから仕方ない。
男の子の夢はでっかく、世界征服と王様だ。
しかし民が痩せこけたみすぼらしい国の王なんて、格好つかないだろ。
だから俺が作る王国は、周囲が羨むような豊かな国でなければならない。
「そうか……お前は遥かな未来まで見据えているのだな……。
文明社会を蘇らせるか……誰もが諦めた未来を、お前は……」
シュウは立ち上がり、そして俺へ手を差し出してきた。
どうやら、満足いく答えだったらしい。
意外だな……良識派のシュウからは非難されることも覚悟の上の欲望だったんだが。
「どうか私にも、お前の夢の手伝いをさせてくれ。
そして私の、この閉じた目にも共に見させてほしい……お前の作る未来を」
「いいだろう。ならばそれまで、精々死なんことだ」
俺はシュウの手を掴み、ここに同盟が成立した。
サウザーはそのうちケンシロウが倒してくれると思うが……もしそれより先に戦うことになったら、その時はシュウと組んでサウザーを袋叩きにしてやろう。
とりあえずレジスタンスには、食料輸送、戦闘、それからレジスタンス訓練の為にそれなりの部隊を援軍として出さないとな。
俺がバックに付いたことを示す為に、それなりに実力と立場のある奴を隊長にするべきだろう。
実力で言えばジュガイだが……ジュガイは、俺がいない間のKINGシティの防衛戦力にしたいので、除外だ。
それと実力者と言っても、サウザーとの戦いになれば俺以外は結局誰を出しても同じなので、失いたくない人材も出せない。
……とりあえず、クラブでも向かわせるか。一応四重臣の一人だしな。
★
さて、俺は先程『色々変なのもやって来る』と言った。
ではそれはシュウのことなのか? と問われれば違うと答えよう。
シュウは変な奴などではない。
俺の言う変な奴はシュウの後に訪れた連中だ。
俺との謁見を望んでKINGシティにやって来たのは、典型的なお零れ狙いの小物集団で、様々な村(勿論サザンクロス領内ではない)で力任せに女を誘拐しては売り飛ばしている外道奴隷商人共だ。
そいつら自体は俺にとってどうでもいい小物だ。
サザンクロス領内で女を誘拐すれば即殺ものだが、俺の支配権の外まで関与するほど俺は暇でもお人好しでもない。
そんな連中が、俺に気に入られようと『特上の奴隷』とやらを連れてやってきたのだ。
「へへへ……どうでしょう、KING様。いずれ劣らぬ美女ばかり! きっとKING様の御気に召すと思い、連れて参りました!」
「……なるほど」
連れて来られた女共は、言うだけあって確かに全員美しい。
これだけなら、『まあ見る目だけはある奴隷商だな』で終わりだ。
……問題はその中に、ピンクブロンドの女性がいることで……そいつの名前が『アイリ』ってことなんだよなあ。
え? マジで?
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【アイリの髪の色】
アニメではピンク、原作では金髪、「如く」と劇場版では水色と色が落ち着かない。
このSSでは金髪がダンネ、サラと既に二人もいて被るとややこしいのでピンク髪を採用した。
別に水色でもよかったが、このSSではピンクに決まった。
一応原作との中間を取ってこのSSではただのピンク髪ではなくピンクブロンドとする。
【森のリュウロウ】
外伝の天の覇王、蒼黒の餓狼に登場。
かつて南斗の智将と言われていたらしい。
二つ名が五車星っぽいが五車星ではない。
【シュウ】
盲目の闘将と呼ばれているらしい男。
南斗六聖拳の一人で南斗白鷺拳の伝承者。仁星の宿命を持つ。
作中トップクラスの人格者で幼き日のケンシロウを救うために自らの両目を潰したが、当のケンシロウには忘れられていた。まあ子供の頃の記憶なんてそんなものだが、ケンシロウは設定上記憶力が人外レベルで凄いはずなのに、それでも忘れられた。
AC北斗には背景でしか出演していない。
仁星とは哀しき星だな……。
【原作との勢力名の違い】
・原作
勢力の名前:KING/KING軍
シンの呼び名:KING
シンが拠点としている街の名前:サザンクロス/サザンクロスタウン
・本作
勢力の名前:サザンクロス
シンの呼び名:KING
シンが拠点としている街の名前:KINGシティ
Q、何で変えたの?
A、勢力名とシンの呼び名が同じだと、どっちを指してるか分かりにくかったから……。
勢力名をKING軍にすればいいだけなんだけど、それはそれで領内の小さな村までKING"軍"になってしまうので、分かりにくい。
なので本作ではトップがKINGでKING率いる軍はKING軍、国全体を指してサザンクロスとした。
Q、クラブは失っても惜しくないの?
A、シン「四重臣なんて大層な地位ではあるが、正直ハート以外の三人は別に……」