Infinite Stratos ~Eyes turn from blue to red~《瞳は蒼から紅へ》 リメイク   作:ぬっく~

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学年別トーナメント 開幕

保健室についたときには二人とも治療を受けて横になっていた。

 

「二人とも大丈夫だったか」

 

「別に助けてくれなくて良かったのに……」

 

「あのまま続けていれば勝っていましたわ」

 

悔しそうに拳を握りしめてるセシリアや、減らず口を言う鈴を見てこれなら大丈夫だと認識する。

 

「あれだけやられといてよく言う……まぁ、大怪我がなくて安心した。しかし……」

 

「まぁまぁ、一夏。それくらいにしてあげなよ」

 

シャルルに言われ俺は小言やめる。

たしかにこんな状態で小言など言われたら堪ったものではないかもしれない。

精神状態は怪我や病気の治りにも関わってくる。病は気からであり、けが人の怪我の治りを遅くして良いことなどない。

シャルルはそう言うと二人に近づいて小さい声で二人に囁くように話す。

 

「二人とも恥ずかしかったんだよね。好きな人に格好悪いところを見られてしまって」

 

「なっ!? 何言ってんのよ!それに私は元だけど!」

 

「そういう邪推はやめてくださいな!!」

 

二人は顔を赤く染め急に慌て始めた。一体シャルルになにを言われたんやら……

 

「二人とも歩けるか? 駄目そうなら肩を貸すけど」

 

俺がそう言うと二人は顔を見合わせるとお互いうなずき。

 

「「是非にっ!!」」

 

と大声で返してきた。

これだけ大声が出せれば歩けそうなものだが?

そう思っていたら―――

 

ドドドドドドドドドドッ…………!!

 

地響きが聞こえてきて保健室が揺れてくる。

しかも段々音が大きくなってきている。

そして音が一瞬止んだと思ったら保健室のドアが勢いよく開けられ、大量の女子が保健室に入ってきた。

入ってきた女子達は俺とシャルルを囲む。

 

「「「「「私とペアを組んでくださいっ!!」」」」」

 

全員一斉に言ってきた。

ペアとはどういうことだ?

何かペアを決めなければならないような行事でもあっただろうか……少なくとも俺の記憶にはない。

 

「ペアってどういうことだ?」

 

「これ」

 

目の前にいる女子が此方にプリントを渡してきた。

 

「ええ~何々? 今月開催する学年別トーナメントでは、より実戦的に行うため、二人一組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締め切りは……このプリントっていつ頃配られたの?」

 

「ついさっきだよ。何か急にトーナメントに変更が加わったみたい」

 

つい今さっきに決まった?

随分急な話だな。

 

「そういうわけなんで、私と組んで、織斑君」

 

「デュノア君、一緒に戦おうよ」

 

それを皮切りに少し控えめながらに俺とシャルルにペアを組もう、女子達は殺到してくる。

俺は少し困りつつどうしようかと考え始めたところ、シャルルが助けを求めてこちらに視線を送っていることに気付いた。

今シャルルと誰かが組んで正体がばれた場合、面倒なことになる。面倒事になる前に防いだ方が得策だ。

 

「悪い、俺はシャルルと組もうと思うから、諦めてくれないか」

 

「一夏(僕をパートナーに選んでくれるなんて…………嬉しいなぁ)…………」

 

シャルルが嬉しそうにこちらを見ていた。

どうやら俺が考えていることを理解してくれたようだ。

 

「ま、まぁそう言うことなら……」

 

「女子と組まれるよりは何倍もいいし……」

 

女子達はそう言って、各々部屋から出て行く。

やけにアッサリとわかってくれて有り難い。

保健室から女子達が全員出て行くとセシリアと鈴が此方に迫るように顔をずいっと近づけて大声で言う。

 

「一夏さん! クラスメイトの私が組んで差し上げても」

「ちょっと! それなら幼馴染みの私とみなさいよ」

 

「ダメですよ! 二人とも!」

 

いきなりの第三者の声に俺を除く三人が声の元に急に振り向く。

保健室のドアの前に山田先生が立っていた。

 

「「「山田先生!? いつのまに!」」」

 

「山田先生、お見舞いですか?」

 

「はい、そうですよ。コレ差し入れです」

 

山田先生はスポーツドリンクをセシリアと鈴に手渡す。

 

「それでお二人とも、トーナメントの参加は駄目ですよ。お二人のISはダメージレベルがCを超えています。当分は修理させないとあとあと重要な欠陥を生じさせますよ。そんなことになったらお二人とも困りますよね」

 

「「うぐっ…………」」

 

少し言いよどんだ後に二人とも結局参加を諦めた。

いくら代表候補生といってもISは私物ではなく国の物を借りているだけだ。

壊してしまったりしたら大変なことになるのは二人とも分かっているのだろう。

山田先生はこのあと仕事があるからと言って保健室を出て行った。

俺はセシリアと鈴に肩を貸そうとしたところで放送で呼び出しをくらい、アリーナを損傷させた件についてかなりのお説教と反省文を書かされるはめになった。

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

セシリアたちの件から二週間が過ぎ、学年別トーナメント当日。

そして、俺とシャルルは待機場所で自分たちの初戦の相手を見ていたのだがその初戦の相手が―――

 

「まさか、初戦でラウラと当たることになるとはね」

 

「うん、でも一夏油断しないでね、彼女は1年の中じゃトップクラスだからね」

 

俺の初戦の相手はラウラ、篠ノ之ペアだったのだ。

そうこのトーナメント、参加者はペアを組むことが条件なのだが、ペア組まないで参加しようとした場合、前日にくじ引きでペアが決められるのだ。

そして一夏達は試合開始の時刻が近づいてきたのでシャルルとともにアリーナに出ると、そこには専用機を装着したラウラと訓練機を装着した篠ノ之が立っていた。

そしてラウラは一夏に―――

 

「まさか初戦で当たるとはな、余計な手間が省けたというものだ」

 

「まぁ、これ以上余計なけが人が出る前に当たってよかったよ」

 

そう二人が話していると、シャルルは箒に―――

 

「篠ノ之さん、よろしくね」

 

「あ、ああ」

 

そうしていると、アリーナのスピーカーから試合開始の声があげられるのと同時に一夏とラウラは格闘武器で戦い、シャルルは箒に射撃武器での戦闘に持ち込んだ。

そうしてその試合の様子を全開の行事同様、アリーナの管制室では千冬や麻耶がその様子を見ていた、今回セリシアや鈴に関しては生徒と同じ観客席で見ているため、この場にはいない。

そして試合を見ていた山田先生は―――

 

「織斑君とデュノア君、コンビネーション抜群ですね」

 

「ふん、あれは単にデュノアが合わせているだけだ。織斑の実力などたかが知れている」

 

「それでも十分凄いと私は思うのですが」

 

確かに試合はシャルルが一夏に合わせて戦っているだけなのだが、それだけお互いを信用していると言う事なのだ。

ペアを組む場合で重要なのは個人の強さではなく、お互いの連携であると山田先生は考えているし、千冬は個人でどれだけ対応できるかを見ているので評価が違うのだ。

そして試合も中盤に入り、一夏とラウラが刀と手刀で戦っていると突然ラウラがワイヤーブレードを明後日の方向に向かって射出し、俺は目で軽く追いすぐに視界から外すが―――

 

「(ラウラの奴いったい何を考えているんだ…待てよ…まさかアイツ!)」

 

そう丁度ラウラがワイヤーブレードを射出した先には確かシャルルと戦い、エネルギーは残り戦闘は続行できるものの、武器をすべて失ったため事実上リタイアしている篠ノ之の居る方向だったのだ。

 

「なっ!? 待って! 何を!!」

 

一夏が秘匿回線を使用しようしたが、既に箒はワイヤーに捕まってしまい、予想した最悪の展開になる。

それはラウラが彼女の機体をワイヤーでとらえたのは別に助けたりするのではなく、その遠心力を使いISを装着した彼女をを一夏かシャルルの機体に叩きつけダメージを与えるためではないかと予想しそれが見事に当たってしまう。

そして、それは俺の方へと向けられていた。

 

「避けることもできる……けど!!」

 

そう、あえて避けずに彼女の機体をを受け止めることにしたのだ、多少ダメージを受けはしたが、何とか箒を受けとめワイヤーから解放されたことを確認する。

そして箒を受け止めた俺は自分の機体のシールドエネルギーを確認するとシャルルに指示を送る。

 

「シャルル、手を出さないでくれ」

 

「どうするつもりなの一夏?」

 

「奥の手を使う」

 

そう言うとシャルルはその場で待機する。

俺はラウラに向かって斬撃を飛ばす。

 

「無駄なことを!このAICの前では―――」

 

ラウラはAICを展開してその斬撃を止めよとしたが、そのまま通り抜けてしまった。

 

「な?! ばかな!」

 

一夏は次から次えと斬撃を飛ばしラウラのシールドエネルギーを削る。

 

「神鳴流奥義―――斬岩剣・弐の太刀!!」

 

A.R.O.N.A曰く、京都神鳴流は対魔の剣術らしい。

その中で弐の太刀は障害物を傷つけずに敵だけを攻撃することができるらしい。

もちろん、障壁すら通り抜けるのならラウラのAICも可能だと俺は判断した。

そしてラウラのシールドエネルギーはほぼ底を付き、武器も全て破壊し、あと一撃を入れれば終わる状況になった。

 

「こんな……こんな所で負けるのか……? 私は……嫌だ……負けられない……私……私は……」

 

私の奥底で何かがうごめく。

そして、そいつは言った。

 

『汝、願うか……? 自らの変革を……? より強い力を……?』

 

「その力を私によこせ!!」

 

Damage Level ………… D.

Mind Condition ………… Uplift.

Certification ………… Clear.

 

《Valkyrie Trace System》 ………… boot.

 

突然ラウラが悲鳴を上げる。

 

「なっ、なんだ!?」

 

「一夏、いったん下がって様子がおかしい」

 

そう彼女が悲鳴を上げた後、彼女を黒い泥のようなものが包み込み、そして一人の人物を形作っていく、それは―――

 

「なっ、千冬姉!? 一体どうなっているんだ!?」

 

ラウラを包み込んだ泥は千冬の形になると、一夏めがけて剣劇を繰り出す。

 

「おっと、危ない!!」

 

しかし、難なくそれを回避するとシャルルとともに箒をつれ安全な距離まで離れる。

どうやらあれはある一定の距離内にある対象を無差別に攻撃するのだと一夏達は認識すると改めて一夏がシャルルたちに問いかける。

 

「しかし、姿は千冬姉だし刀も千冬姉と同じ雪片、なんだありゃあいつの機体の隠された能力とか何かか?」

 

シャルルがその疑問に答える。

 

「確かValkyrie Trase System(ヴァルキリー・トレース・システム)―――通称VTシステムだったかな? 過去のモンド・グロッソの優勝選手とかのデータをそのまま再現するシステムで今は開発禁止だったような気がする。それよりもどうやって織斑先生のデータを入手したんだろう?」

 

「(成る程、千冬姉はドイツに教官として行っていたからその時にとったデータをもとにしたんだろうな)……それにしても、自分の力をあれだけ見せつけて結局最後は千冬姉か。それに俺に対して偽物とは言え、千冬姉をぶつけてくるとはな、よっぽど俺と千冬姉を比べたいらしいな」

 

その呟きにシャルルが反応した。

 

「それだけ、ボーデヴィッヒさんにとって織斑先生の存在は絶対って事だよ」

 

「それじゃ、あいつは俺が倒すとするか。エネルギーも9割残っているし」

 

俺にしてみればいつまでも千冬姉の陰に怯えるわけにはいかず、偽物を倒すことを決意をする。

 

「一夏……気を付けてね」

 

一夏はしばらくその場を動かなった。

 

「(俺や白式はいつまでも千冬姉や千冬姉の機体と比べられるために居るわけじゃない!!)」

 

そして、一呼吸置き集中すると、千冬の偽物に向かっていく。

 

「A.R.O.N.A。機体の制御を頼む」

 

『了解です』

 

もちろん一夏を認識しすぐに剣劇を繰り出してくるが、俺は当たり前のようにそれを回避し自らの一撃を叩き込む準備をする。

 

「あいにく、偽物に殺される程、俺はお人よしじゃないんだ!!」

 

そう言いながら、偽物に対し一撃を確実に叩き混んでいき、最後に体の中央を切り裂くとそこからラウラが出で来るので、俺はそれを受け止めた。

せめて一発くらいは殴ってやろうと思ったが、戦意を失っているものを攻撃してはラウラと同じだと思ったので俺はそのまま駆け付けた教員に引き渡した。

そして学年別トーナメントは公式にはラウラの機体の暴走と発表され、さらにはトーナメントは中止で参加者のデータを集めるため1回戦のみ行うという事になってしまった。

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