聖龍伝説 タイムスリップ外伝   作:セイントドラゴン・レジェンド

2 / 2
今回もタイムスリップ物語第二段!
今回は「ニンジャ:バットマン」のパロディです。
しかし時代は戦国時代ではなく、幕末に変更しています。




【ニンジャバットマン】ニンジャ:ジャッジ・ザ・デーモン【パロディ】

[始まり]

 

 ここは精神に異常が診られると判断された凶悪犯罪者達が収監される触法精神障碍者病棟「タナトス・アサイラム」

 だが今ここはまさに一人の狂人の独壇場と化していた

「ハーーハハハハッ! レディーズ&ジェントルマン! 今宵も、このMrフェイクの大実験をお見せしましょう……!」

 精神疾患犯罪者収容施設タナトス・アサイラムに籠城したのは大犯罪者Mrフェイク。狂気と偽りに満ちた、この凶悪犯の暴走を止めようと、アニメタウンでも最強の精鋭がタナトス・アサイラムに集結してた。

 それがアニメタウンを統治する聖龍HEAD。そしてMrフェイクなどの異常犯罪者に制裁を加える「平等の制裁」を象徴する恐怖の権化ジャッジ・ザ・デーモン。

 今まさに聖龍HEADよりも先に先行しようとジャッジ・ザ・デーモンがMrフェイクなどの凶悪犯罪者達が籠城するタナトス・アサイラムに突入する。

 だがその間、Mrフェイクはタナトス・アサイラム内に造り上げた装置を起動させ、その装置と連動してる収容者を洗脳するカプセル内にはタナトス・アサイラムに収監された囚人を収容してた。

 Mrフェイクはジャッジ・ザ・デーモンが突入する直前、自らが開発した装置を起動。それによって空間が歪み出したのだ。

 突入しようとしたジャッジ・ザ・デーモンは空間が歪み、曲がりくねったアサイラムの壁を懸命に駆けながらも、謎の光に呑み込まれてしまう。

 それと同じくタナトス・アサイラムも歪む空間に呑み込まれ、装置を起動させたMrフェイクも、そしてMrフェイクによってカプセルに収容された五人の犯罪者達も謎の光に呑み込まれていく。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンやMrフェイクそして犯罪者達に続いて、聖龍HEADもまた謎の光に呑み込まれる。

 空間の歪みに呑み込まれたジャッジ・ザ・デーモンが見たのは……!

 

「……此処は、どこだ?」

 タナトス・アサイラム内の装置から発せられた光に呑み込まれたジャッジ・ザ・デーモンが気付くと、其処はタナトス・アサイラムではなかった。

 瓦葺の屋根が目立つ一戸建ての家々が並び立つ古風な町並み、そして着物を着た町民たちが異様な容姿のジャッジ・ザ・デーモンに注目しつつ怖がっていた。

 ジャッジ・ザ・デーモンが周りの景観と人々の視線を見渡していると、足元に一枚の紙切れが風に飛ばされて引っかかる

 ジャッジ・ザ・デーモンが足に引っかかった紙切れを手に取り視認してみると、紙切れには古い文体で書かれた文章に自分の顔が人相書きとして記されていた。

(これは……?)

 自分の人相書きをジャッジ・ザ・デーモンが見詰めていると、彼が真ん中に突っ立っている道路の向こうから此方の方へと駆け付ける和服姿の侍達を目撃する。

「……!」

 自分の方へ向かってくる侍達に気付くジャッジ・ザ・デーモンだが、あっという間にジャッジ・ザ・デーモンは侍達に取り囲まれてしまう。

 ジャッジ・ザ・デーモンを取り囲んだ侍達は、異形の容姿のジャッジ・ザ・デーモンに怖れながらも帯刀してる日本刀を抜刀し、刃をジャッジ・ザ・デーモンに向ける。

「将軍様の命だ……お命頂戴する!」

 そして侍達は一斉にジャッジ・ザ・デーモンに襲い掛かるが、ジャッジ・ザ・デーモンは侍達が振るう日本刀に怯む事無く腕のブレードエッジで受け止めつつ反撃し、最後に残った侍の刀をへし折って侍を怯ませると素早く胸倉を掴んで尋問する。

「誰だ? 誰の命令で俺の命を狙う……!」

「しょ、将軍様だ……!」

「将軍様……?」

 侍の返答に謎が残る中、そこに更なる増援として捕り物を担う役人達が押し掛けてくる。

 ジャッジ・ザ・デーモンは侍の胸倉を放すと、侍の腹部に一発拳を打ち込んで気絶させる。

 そしてスグに高所へと移動して姿を晦まそうとグラップネルガンでロープを射出しようと狙いを付けるが、この時代に高層ビルなどの高い建物は存在してなかった。

「………………」

 ジャッジ・ザ・デーモンはすぐさまグラップネルガンを腰に装着して仕舞うと、今度は三個ほどの小さな球を地面に投げつけて煙幕を発生させて、その煙に乗じて姿を晦ました。

 

 姿を晦まし、追っ手である侍達から逃れたジャッジ・ザ・デーモンは夜になるのを息を殺して身を潜めてた。

「ふぅ、一体なにがどうなってる……?」

 人目を避ける為にも、ジャッジ・ザ・デーモンは夜中になるのを待ち続け、そして陽も沈み、辺りが暗くなったのを見計らって活動を再開。

 町民達が寝静まる家々が並ぶ城下町の中でも、秀でて巨大な石垣の城へとジャッジ・ザ・デーモンは忍び込む。

 そして瓦葺の屋根の上で、ジャッジ・ザ・デーモンは携帯している双眼鏡で城の中を隅々まで視察する。

 すると、城の最上階の屋内で大きな杯に酒を注がせて飲み干す顔馴染みの姿をジャッジ・ザ・デーモンは視認して一驚する。

「Mrフェイク……!?」

 なんと城の中で悠々と酒を飲む和服姿の男はジャッジ・ザ・デーモンが追っているMrフェイク本人だった。

 何ゆえMrフェイクが城の中で上機嫌に悠々と酒なんて飲んでいるのか疑問に思っていると。

「そうだよデーモン……! ボクだよ」「!」

 背後から囁くその声にジャッジ・ザ・デーモンは驚愕し、後ろに振り返ると其処には城の中で悠々と過ごしいていた筈のMrフェイクが不敵に微笑みながら立っていた。

「Mrフェイク!! さっきまで……!?」

 ジャッジ・ザ・デーモンは慌てて再び双眼鏡で城の最上階を見てみると、なんと城の中で悠々と酒を飲んでいたMrフェイクが変装を解いて忍者へと姿を戻してた。

「忍か……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンが驚いていると、目の前のMrフェイクはジャッジ・ザ・デーモンに日本刀を振り回して攻撃してきた。

「デーモン! まさか、君までこの時代にやって来てたとは……ボクの実験も大成功した訳だね!」

「実験……!? 何をした!」

 Mrフェイクの言動にジャッジ・ザ・デーモンは彼が振り回す日本刀を避けながら問い詰めるのだが。

「ハハハ! 君には難しすぎるかな!? 正確に言えば、ボクも君もタイムスリップしてきた訳だよ! この幕末の日本にね……!!」

「タイムスリップ……!? 幕末の日本……!? また俺を欺くつもりか!」

「ハハハ! 違うよ違うよ! ホントにボク等は幕末にタイムスリップしてきたんだよ、デーモン!」

 Mrフェイクの台詞に俄かには信じられない心境のジャッジ・ザ・デーモンだが、次の瞬間、Mrフェイクは衝撃の発言をした。

「デーモン! 今の僕は、この日本で一番の実力者……征夷大将軍Mrフェイクなんだよ」

「征夷大将軍……!?」

 Mrフェイクの言動に驚きの連続のジャッジ・ザ・デーモンが、戦況を変えようと中庭に降り立って移動した。

 すると、そこにMrフェイクの命令で待機していた数多の侍達が出張って群がる。

「……!」

「彼らはボクの命令で働く忠実な侍たち。このタナトス・アサイラム改め江戸城には沢山いるよ」

「なに!? アサイラム? まさか、この城は……!」

「ああ、そうだよ! ボクの頭脳と数多の職人達の手で、ボクが建て直しちゃった江戸城が此処なんだよ!」

 Mrフェイクの言動に驚くしかないジャッジ・ザ・デーモン。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンを取り囲む数多の侍達からの剣戟を、ジャッジ・ザ・デーモンはブレードエッジで受け止めつつ応戦していくが多勢に無勢だった。

 そうしてジャッジ・ザ・デーモンが侍達を気絶させていき、最後に残った五人の侍達を相手にジャッジ・ザ・デーモンは高所などに移動する際に使用するグラップネルガンの鉤爪を一人の侍に射出して捕えると、そのまま豪快に振り回して自分を取り囲む侍達を弾き飛ばす。

 だが強引な使い方をした為に、グラップネルガンに懸かる負荷が大き過ぎて振り回している最中、グラップネルガンは壊れてしまう。

「「「「「うわッ!」」」」」

 グラップネルガンで振り回されて弾き飛ばされた侍達が気絶する中、ジャッジ・ザ・デーモンはグラップネルガンが壊れてしまった現状に唖然としてしまう。

 しかしMrフェイクの命令で動く侍達は、江戸城の中にまだまだ居り、倒しても倒しても次々に屋内から出てきてジャッジ・ザ・デーモンを取り囲む。

「……キリが無いな」

 このまま戦うのは消耗戦となり、戦い続けるのは困難だとジャッジ・ザ・デーモンは察した。

「Mrフェイク! このままでは済まさないからな……!」

「フフフフフ……」

 侍達に取り囲まれながらMrフェイクに忠告するジャッジ・ザ・デーモンの言葉に、Mrフェイクは不敵に笑う。

 そして次の瞬間、ジャッジ・ザ・デーモンは足元に発光弾を投げ付け、眩い光で侍達の視界を一時的に奪うと素早くその場から撤退するのだった。

「! 消えたぞ! 探せ探せ!」

 一瞬で消えたジャッジ・ザ・デーモンを侍達が血眼になって探し始める。

 そんな騒然とする中庭を見下ろしながら、Mrフェイクは不敵な笑みを浮かべ続けるのだった。

(フフフフ、まだまだお楽しみはこれからだよデーモン。これから君はどうするのかな……!?)

 大勢の侍達を相手に退避するしかなかったジャッジ・ザ・デーモンを思いながら、Mrフェイクは人知れず思うのだった。

 

 だがこの時、ジャッジ・ザ・デーモンもMrフェイクも気付かない影の存在、謎の忍がこの騒動を人知れず傍観していた事実を誰も気付いてはいなかった。

 

 

 

[幕末で活動する悪党たち]

 

「探せーー! 探し出すのだ!」

「将軍様の命だ、異形の輩をひっ捕らえるのだ!」

 江戸城から撤退したジャッジ・ザ・デーモンを追う数多の侍達が町内を懸命に探索してる頃、ジャッジ・ザ・デーモンは普通の捕り方が踏み込めない神社仏閣の敷地へと侵入して身を隠してた。

「……さて、どうしたものか……」

 ジャッジ・ザ・デーモンが神社の物陰に身を隠しながら、この先どうやって征夷大将軍にまで成り上がったMrフェイクを捕えるか考え込む。

 と、その時。ジャッジ・ザ・デーモンが神社仏閣の物陰に身を潜めていると、そんな彼に歩み寄る三人の存在をジャッジ・ザ・デーモンは感付いた。

 ジャッジ・ザ・デーモンは息を殺して、身を隠していたが、その三人は確実にジャッジ・ザ・デーモンへと近付いて来てた。

 痺れを切らし、物陰からジャッジ・ザ・デーモンが飛び出して素早くジャッジラングを手に刃物の様に持って、接近してきた三人の一人の首に刃を突き立てる。

 するとジャッジ・ザ・デーモンは首根っこを押さえて刃を突き立てた人物を見て、驚いた。

「町娘……? いや、まさか……!?」

 刃を突き立てた着物姿の町娘の顔を凝視したジャッジ・ザ・デーモンは見覚えのあるその顔に戸惑った。

「ちょ、ちょっと……! せっかく助けに来たって言うのに、刃物なんか立てないでよ、修司!」

「その声、やっぱり……アッコか!」

 町娘の声を聞いてジャッジ・ザ・デーモンはスグに喉元に突き立ててたジャッジラングを首から遠ざけた。

 ジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司の許に歩み寄ったのは、あの時タナトス・アサイラムに突入しようと身構えてたミラーガールこと加賀美あつこ本人だった。

「やっぱり……義兄さん! 無事だったんだね!」

「姿を見掛けなかったから心配してたんですよ!」

「その声……ジュニア、それにアプリコットか!」

 更に着物姿のミラーガールと共に近付いてきたのはジュニアことジュピターキッドに、アプリコットことウォーターフェアリーだった。二人もミラーガール同様、着物姿だった。

「お前達。無事だったのは良かったが、此処は一体……?」

 困惑する様子のジャッジ・ザ・デーモンを前にして、ミラーガール達はジャッジ・ザ・デーモンに訊ねる。

「……もしかして修司、さっきこの時代に来たところ?」

「来たところ……? 俺は町中に現れる前まで、タナトス・アサイラムに突入しようとしていた所だったが……」

 このジャッジ・ザ・デーモンの詳言を聞いて、三人はやっぱりといった顔を浮かべた。

「やっぱりね……修司、ここは私たちがいた時代じゃないわ。今は江戸時代。いいえ、正確には明治になる直前の幕末の日本よ」

「なに!? 幕末の日本……!?」

 ミラーガールからの説明を聞いてジャッジ・ザ・デーモンは驚愕した。

 

 そして四人は一旦、仏閣の物陰に移動して状況を確認し合う。

 だが生憎、ジャッジ・ザ・デーモンのデーモンスーツが連動リンクしているネットはこの時代には無い為、ジュニアが端末を操作して幕末の日本の勢力図を建物の壁へと投影してくれた。

「信じられん……まさか、俺だけでも驚きなのに、お前らHEADも江戸末期の幕末日本へと飛ばされたと言うのか」

「Mrフェイクが造ったのは、おそらく時空移動装置。いわゆるタイムマシンだったんだ。あの時、タナトス・アサイラムにいたMrフェイクと囚人達、そして突入しようと建物付近に居た僕たちも巻き込まれて一緒にこの時代まで飛ばされたんだろう」

 ジュピターキッドの説明に、頭部マスクを外して壁に投影してる素顔のジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司は驚きの連続だった。

「しかもMrフェイクは、この幕末の日本にやって来て、実在の人物達に成り代わって動乱の日本を好き勝手にしてるわ」

「Mrフェイクだけじゃないです。他にも、この時代に飛ばされた異常者(ヒール)達も蹂躙している状況です」

「そうだった。この幕末の日本は、薩摩・長州の薩長同盟を筆頭とする新政府軍と、徳川将軍や侍たち旧幕府軍との対立で、まさに時代そのものが変わろうとしている激動の時代……」

 ミラーガールとウォーターフェアリーの説明に、小田原修司は幕末の日本の歴史を思い出す。

 

「イーグルは、長崎を拠点に旧幕府軍に最新の武器を売りつけて、この時代でも武器の売買を行ってるわ」

 ミラーガールが説明するには、新世代型二次元人でもあるイーグルこと三枝鷲雄の現状を説明する。

「はっはっは! いつの世も、金と武力がモノを言う……!」

 大判小判を手中に納め、高笑いするイーグルが容易に思い浮かべる。

 

「グービンシーは近藤勇亡き後の新選組を率いて、蝦夷地(現在の北海道)に新国家を設立しようと五稜郭を建設してるわ」

 ウォーターフェアリーの説明では、グービンシーことインヤン・チャオは局長・近藤勇亡き後の新選組を率いて新国家建設に躍起になっていると言う。

「ははッ、この五稜郭が完成したら俺の出番だ……!」

 右手に改造銃を構えて常時戦闘状態のグービンシーが容易に連想できた。

 

「ナイトメアは会津若松の城下町で恐怖ガスを用いて町民や臣下達を実質、恐怖で支配してる現状だ」

 ジュピターキッドが語るには、会津若松は現在ナイトメアによって恐怖政策で支配されてる現状らしい。

「ははははははは……いつの時代も、恐怖こそ人を支配するのには欠かせない……!」

 他人の恐怖を巧みに利用するナイトメアの悪意ある笑い声が脳裏を過ぎる。

 

「ブラックホワイトはMrフェイクと共に行動してる。旧幕府軍を率いて、優勢だった新政府軍を追い詰めて形勢逆転の戦況だ……」

 更にジュピターキッドはブラックホワイトが征夷大将軍と入れ替わったMrフェイクの配下となり、歴史上では優勢だった新政府軍を圧倒している戦況らしいと説く。

「さて、この後は……!!」

 オセロの駒の代わりに、和同開珎という硬貨で二者択一の選択を選ぶブラックホワイトが容易に想像できた。

 

「そして、今現在最も日本を掌握してると言えるのが……征夷大将軍にまで成り上がったMrフェイクよ」

 最後にミラーガールが語り明かしたのが、徳川慶喜と入れ替わって江戸幕府の政権を手中に納めたMrフェイクこそ幕末の日本を影で動かす重鎮と相成っているとの事だった。

 

 聖龍隊結成の時から共に活動してきたミラーガール、ジュピターキッド、ウォーターフェアリーの説明を聞いた修司は事の重大さに静かに慄いた。

「なるほど、悪党共が幕末の日本を好き勝手に蹂躙している現状だというのか……」

 ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクを始めとした多くの犯罪者達が幕末の動乱の最中の日本を好き勝手に歴史改変しようとしているのを知って見過ごせない現状である事を理解する。

 と、ここでジャッジ・ザ・デーモンのマスクから投影されてた映像が途切れ出して、ジャッジ・ザ・デーモンである修司はふと気付く。

「おっと、充電切れか……」

 デーモンスーツの電力が充電切れになり、マスクから投影される映像が途切れたのを目の当たりにして修司はマスクを持ち抱える。

「ところで修司、ジャッジ・ザ・デーモンのままだと人目につくわ。この時代に合った服装に着替えないと」

「ああ、頼むよアッコ」

 ミラーガールからの助言に、ジャッジ・ザ・デーモンは彼女のコンパクトから放たれる光を浴びて衣装を変えるのだった。

 

 

 

[共に飛ばされてたデーモンファミリー]

 

 幕末の日本までタイムスリップしたジャッジ・ザ・デーモンは、その時代で征夷大将軍に鞍替えしたMrフェイクと歴史を変える活動をする悪党達の動向を、先に幕末に流れ着いたミラーガール達から言伝される。

 幕末にタイムスリップしたMrフェイクを始めとする犯罪者達は、各々で幕末の日本を好き勝手に蹂躙してた。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンはミラーガール達の助言から、彼女たち同様に幕末の日本に合った衣装へと着替えて、幕末でMrフェイク達が何をしているのか、その動向を探るため動き出す。

 

「なるほどな。行商人なら、自由に日本各地を転々と移動できるし、怪しまれない」

「私達はお供の同業者として、一緒に移動してても怪しまれないでしょ」

 アッコ達と会話しながら、行商人姿の修司はMrフェイクが居城にしている江戸城の近くへと赴き、偵察する。

 そして一行は江戸城付近まで、町民達が立ち入られる場所まで怪しまれずに近付いて偵察する事ができたのだが、そこで修司は将軍であるMrフェイクの指示で働く土木作業者達が江戸城区画内に運び込む物資を見て驚く。

「なにか江戸城を改造しているみたいだが……、ッ! あれは石炭!? まさか、蒸気機関か! バカな、造られるのは明治に入ってからの筈……」

「Mrフェイクや悪党達が、史実通りに動く訳ないわよ」

 江戸城を改造して運び込まれる石炭から、蒸気機関が内部で造られている事実を察する修司に、アッコが悪人達が史実通りに動く訳ないと述べる。

 

 征夷大将軍へと成り代わったMrフェイクによって史実とは異なり、蒸気機関が組み込まれる江戸城工事を目の当たりにした修司達は、江戸の郊外にある一軒の茶屋で一息入れた。

「さて……どう動くか。デーモンスーツは充電切れで、ほとんど使えないし、戦況的には此方が大分不利……」

 茶屋で腰を下ろす修司は、ほとんど機能できないデーモンスーツに、将軍として成り上がってるMrフェイクの戦力が大きい状況に考え込む。

「義兄さん、他の聖龍HEADのみんなも、この時代に飛ばされた可能性がある。此処は僕たちだけで動くんじゃなく、聖龍HEADが揃ってから動いた方が得策じゃ……」

 ジュニアの言い分に、修司は冷静に言い返す。

「だが、俺たち以外の聖龍HEADもこの時代に飛ばされているかどうか不明であるのには変わらない。何より、Mrフェイクたち悪党どもを放置すればするほど日本の歴史が改変されてしまう。俺はそれが恐ろしい……」

 仲間も同じ幕末に飛ばされたのか不明である以前に、修司は悪党達が日本の歴史を改変してしまうのではと不安の境地だった。

「でも、どうするんですか? デーモンスーツを充電する技術なんて、この時代にはないですし……」

「うーーむ……」

 アプリコットに指摘されて考え込んでしまう修司。

 と、その時。茶屋の奥から一人の人物が、修司へと茶を運んできた。

「どうぞ」「「「!!」」」

 茶を修司の許へと運んできた、その人物を目の当たりにした修司以外の三人は驚愕するが、修司だけは考え込んでいた為に気付かず運ばれてきた茶を口へと持っていき啜った。

「……うむ、いい茶葉を使ってる。それに、ぬるめで飲みやすい」

「ふふふ、修司様は猫舌ですからね」

「ッ? ! うっ……ウッズ!? お前、なんで此処に……!?」

「お待ちしておりました、修司様」

 なんと茶屋の奥から出てきたのは、修司のジャッジ・ザ・デーモンとしての活動を未だに支援している現アニメタウン市長でもあるジュニアの実父ウッズ・J・プラント本人だった。

 ウッズは幕末の時代に不似合いなスーツ姿の正装で、修司たち四人を前に淡々と語り出す。

「いや、良かったですよ。修司様やアッコさん達と再会できて。この時代に飛ばされたのは私たちだけでなかったのですね」

「私たち……? ウッズ、それって……」

「はい、修司様達以外の聖龍HEADの方々もこの時代に飛ばされています。今現在、バーンズさんがこの時代の地球全土を巡って、修司様達の存在を確認している真っ最中なのですが……同じ日本にいて助かりましたよ」

 ウッズからの説明を聞いて、修司たちは自分たち以外の聖龍HEADの面々も同じ時代へと飛ばされている現状が知れた。

「そ、それでウッズ……なんでお前までこの時代に……?」

「はい、あのタナトス・アサイラムでの実験で歪んだ時空間は、アサイラム付近で修司様達の支援をしていた私をも巻き込んだからか、私も同様にこの幕末へ飛ばされてしまったのです」

「そうか。苦労を掛けたな」

 修司はウッズも一緒に幕末へと飛ばされた現状に納得すると、ウッズは修司たちを手招きして言った。

「そうそう、修司様達に見せたいものがあります。私と一緒にこの時代に飛ばされた例の品を、この茶屋に隠しています」

「「「「?」」」」

 ウッズに導かれ、四人が茶屋の奥、人目を避けた場所まで移動すると。

 ウッズは茶屋の一角の隠し戸を開けて、その中に隠しているものを開示する。

「これは……! ジャッジ・モービル!!」

 茶屋の中に隠されていたジャッジ・ザ・デーモンが搭乗する高性能特殊車両ジャッジ・モービルを見て修司たちは一驚した。

「ジャッジ・モービルは私共々、この時代へと飛ばされたのを私が今日まで隠してきました。全てはまた、修司様の戦力に加算してもらう為に……」

「そうだったのか……ありがとう、ウッズ!」

 修司はウッズに礼を言うと、すぐにジャッジ・モービルの中で充電切れになってたデーモンスーツを充電し始めた。

「そうだった。ジャッジ・モービルは太陽光発電も可能で、いつでも何処でもデーモンスーツと繋げて充電できるんだったね」

 ジュニアが思い出す中、スーツを充電してる修司は皆に言った。

「スーツの充電が終わり次第、俺はすぐにMrフェイクに再戦する……!」

「え?」「ちょ、ちょっと修司! それは無謀よ……」

 修司の考えに一驚するウッズに動揺するアッコ達。しかし修司の考えは変わらない。

「Mrフェイクは、悪党共は……この日本の歴史を滅茶苦茶にしてしまう以上、俺は黙って見過ごす事はできない」

 この修司の言い分を聞いて、四人は修司の思考に呆れながらも賛同した。

「ふぅ、分かったわ。それじゃ、私たちも一緒に行くけど、文句はないわよね?」

「……分かった。共にMrフェイクを止めよう」

 こうして修司たちはMrフェイクに再戦する意気込みを示し、新たにジャッジ・モービルという力を加えて挑むのだった。

 

 

 

[改造された江戸城]

 

 時は過ぎ、ジャッジ・モービルの充電装置でデーモンスーツを充電した小田原修司は日没後、夜になると充電されたデーモンスーツを着装してジャッジ・モービルへと搭乗。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンへと姿を変えた修司は、ジャッジ・モービルを走らせ、ミラーガール・ジュピターキッド・ウォーターフェアリーと共にMrフェイクが居城にしている江戸城へと突撃した。

「う、うわ! なんだ、あの乗り物は!?」

 江戸城の警備に当たってた武士達は、見た事もないジャッジ・モービルを前にただただ逃げ惑うしかできなかった。

 そして江戸城の出入り口である堅牢な門を前に、ジャッジ・ザ・デーモンはジャッジ・モービルから小型ミサイルを発射して門を破壊し、強行突破するのだった。

「と、殿! 得体のしれない乗り物で、突撃してきた一派が……」

 報告する武士に対し、将軍であるMrフェイクは。

「騒がない! ……デーモンだね。そして計算通り、ボクやデーモン同様にこの幕末に聖龍HEADの連中も飛ばされてきたようだ……!」

 Mrフェイクにとって、自分やジャッジ・ザ・デーモンだけでなく聖龍HEADの面々までもこの時代に飛ばされた事は計画の内だった。

一方のジャッジ・ザ・デーモンは、ジャッジ・モービルを運転して江戸城外部へと突入。その後ろをミラーガール達が駆け足で付いていく。

 石段を駆け上がる一行に、城壁の穴から銃口だけを出した武士達がジャッジ・ザ・デーモン達を狙う。

 そして一気に銃撃するのだが、当然ながらジャッジ・モービルには傷一つ付かず、ミラーガール達は駆け足で銃撃を避けながら前進する。

 すると城内を走行するジャッジ・モービルの前に一人の力士が立ちはだかり、なんと素手でジャッジ・モービルを押し止めてしまう。

「なに!?」

「まさか! いくら力自慢の力士とはいえ、素手でジャッジ・モービルを止めるなんて……!」

 素手でジャッジ・モービルを止めた力士の力業に、運転するジャッジ・ザ・デーモンもジュピターキッド達も目を丸くする。

 何とか押し返そうとジャッジ・ザ・デーモンはアクセルを踏み込んで、ジャッジ・モービルを加速させるのだが、ここで力士の様子が一変した。

「ごっつあんです!」

 なんと力士の筋肉が強化され、力士は更に巨大化してしまったのだ。

「これは……D-ワクチン! Mrフェイクめ、この時代の力士にD-ワクチンを打ち込んだな……!!」

 未来から持ち込んだ筋肉増強剤D-ワクチンを力士に打ち込んだ事実に、ジャッジ・ザ・デーモンは静かな怒りを感じる。

「ごっつあんですッ!!」

 そして巨大化した力士は、そのままジャッジ・モービルを押し返し、そして引っ繰り返して走行不能にしてしまうのだった。

「ッ!」「ああ……ッ!」

 運転するジャッジ・ザ・デーモンも、それを目の当たりにしたジュピターキッド達も唖然としてしまう。

 そしてジャッジ・モービルを横転させた力士は、次にミラーガールたち三人を標的にする。

 三人が戦闘に突入しようとしてたその時、ジャッジ・モービル内のジャッジ・ザ・デーモンは慌てず冷静に車内のスイッチやレバーを操作して横転したジャッジ・モービルを正常に戻した。更にジャッジ・モービルを変形させて、ロボットの様にしてしまう。

 その時、力士に迫られて緊張状態の三人が今まさに戦おうとしている矢先、ジャッジ・モービルをロボットの形態に変形させたジャッジ・ザ・デーモンが、ロボに変形したジャッジ・モービルを操作して立ちはだかった力士を持ち上げて堀池へと投げ込んでみせた。

「ごっつあんでーーす……!」

 物凄い水柱が上がる中、力士が無事に泳いで対岸へと避難するのを視認したジャッジ・ザ・デーモン達は再びMrフェイクの許へと突撃を再開する。

「よし、行くぞ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの呼びかけに三人は力強く頷いて反応する。

これを望遠鏡で確認したMrフェイクは。

「くぅ……ッ! 江戸一番の力士にD-ワクチンを投与したっていうのに……! こうなったら……アレを稼働させるんだ!!」

「お、お待ちを殿! アレはまだ作製中の試験もまだの代物です! 動かすのは、まだ早いのでは……」

 と、将軍であるMrフェイクに意見するご老中に対してMrフェイク本人は、懐からピストルを取り出して自分に意見した老中を射殺してしまう。

「さっきからウルサイんだよ、老害! テストも兼ねて、アレを稼働させるのも悪くない……」

 不敵に笑むMrフェイクであった。

 

 一方でロボット形態に変形したジャッジ・モービルを操って進攻するジャッジ・ザ・デーモンと、ミラーガールたち三人はMrフェイクが留まる江戸城最上階を目指していた。

 と、四人が進行してると、突然謎の地響きが足元から伝わり、四人は思わず立ち止まった。

「な、なにこれ……!?」

 謎の地響きにウォーターフェアリー達が動揺する中、ジャッジ・ザ・デーモンは常に冷静を保ってた。

 すると、なんと江戸城の一角が腕の様に変形して、その腕の先の手の部分が拳状になって走行中のジャッジ・ザ・デーモンたち目掛けて振り下ろされてきた。

「なにアレ!? あれも変形ロボットもの!?」

 ミラーガール達が驚愕する中、ジャッジ・ザ・デーモンは三人に呼び掛けると同時に回避行動を取る。

「散るんだ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの指示で三人は動き、四人ともバラバラに散って振り下ろされた巨大な拳から回避。

 三人に回避行動を取るよう指示したジャッジ・ザ・デーモンは、ジャッジ・モービルの変形形態ジャッジ・ロボで素早く振り下ろされた巨大な拳の上に飛び乗って、そのまま巨大な腕を伝って江戸城の瓦葺の屋根へと移動する。そして屋根伝いに両脚の車輪を活用して高速移動してMrフェイクが操作している江戸城最上階へと向かう。

「わはははっ、デーモン! 君もボクの事はあまり言えないんじゃないの? ジャッジ・モービルがジャッジ・ロボに変形しちゃうなんて、SRMも驚きだよ!」

 両脚の車輪で高速移動して向かってくるジャッジ・ザ・デーモンに、最上階のMrフェイクは大笑いする。

 そして屋根伝いに高速移動して最上階に辿り着いたジャッジ・ザ・デーモンは、Mrフェイクと対峙して言う。

「Mrフェイク! 観念しろ!」

 するとMrフェイクは不敵に微笑しながらジャッジ・ザ・デーモンに問う。

「ふふふ、デーモン。ボクの相手してて良いの? ボクと楽しくお喋りしてる間にも、君のお仲間が半分ロボに変形した江戸城にパンケーキみたいに潰されちゃうかもしれないよ」

「ミラーガール達は弱くない。お前が造ったモノで簡単にやられる様な輩じゃない」

「ほう、そうなの。それじゃ……あそこで動けなくなっている町娘さんは潰れてもいいんだね?」

「!?」

 Mrフェイクの問い掛けに驚いたジャッジ・ザ・デーモンが振り向くと、両腕に変形した江戸城にミラーガール達が追われる中、江戸城区画内に怯えているのか動けなくなり地べたに座り込んでいる町娘の姿が飛び込んできた。

「いかん!!」

 ジャッジ・ザ・デーモンは即行で江戸城最上階から飛び出し、ジャッジ・ロボの両脚の車輪を用いて町娘の方へと高速移動して接近する。

 そしてMrフェイクが操る変形した江戸城に町娘が押し潰されそうになる寸前、ジャッジ・ロボが町娘を庇って押し潰そうと圧力をかける変形した江戸城の手を押し返す。

 巨大なからくりである江戸城と押し合うジャッジ・ロボだったが、江戸城はまだ製作途中だった為に、そしてジャッジ・ロボは力負けして機体から煙を上げてエンストして、互いに引き分けと相成った。

「あらら。やっぱ、まだ製作途中だから、引き分けに終わっちゃったか」

 双方ともに機体から煙を上げてしまう結果を目撃して呆然とするMrフェイク。

 すると町娘を救ったジャッジ・ロボの許にミラーガール達も駆けつける。

「大丈夫!?」「きみ! なんでこんなところに……」

 ウォーターフェアリーとジュピターキッドが町娘を心配する。

 するとその時、町娘が突然、懐からくないを取り出して自分の身を案じてくれたウォーターフェアリーの首元を切り付けた。

「っ!」「!」

 首元を切られて驚くウォーターフェアリーに、それを目の当たりにして一驚するジュピターキッド。

 更に町娘は懐から取り出した無数の火薬玉をジャッジ・ロボやミラーガール達に投げ付けて爆発させた。

「うわッ!」

 四人は驚愕し、ジャッジ・ロボに搭乗してるジャッジ・ザ・デーモン以外の三人は火薬玉の爆発で火傷を負ってしまう。

 そして四人を攻撃した町娘は、軽い身のこなしで後退すると、瞬時に身なりを変え忍衣装に一変する。

「くノ一だったか……!」

 町娘の正体が幕府直轄のくノ一だった事実に、ジャッジ・ザ・デーモンは眉間に皺を寄せる。

「アプリ!」「アプリちゃん、大丈夫?」

「え、ええ、なんとか……」

 一方で、先ほど町娘に変装してたくノ一に首元を切られたウォーターフェアリーをジュピターキッドとミラーガールが心配するが、ウォーターフェアリーは流動体質系の能力者だったために切り傷はすぐに消えて無事だった。

 しかし気付いた時には、四人の周りにはくノ一を始めとする将軍御用達の忍軍団が出張り、取り囲んでいた。

「ッ……ジャッジ・ザ・デーモン、どうする?」

「待っててくれ。さっきの江戸城との押し合いで完全に機体が不調になった。システムが上手く機能しない」

 ジュピターキッドからの問い掛けに答えるジャッジ・ザ・デーモンだが、先ほどの変形した江戸城との押し合いでジャッジ・ロボのシステムがおかしくなり、上手く機能しなくなって操縦不能に陥ってしまってた。

 すると其処に幕府直轄の忍軍団が一斉にジャッジ・ザ・デーモン達に群がる様に襲い掛かってくる。

「来た!」

 ジュピターキッドが叫んだ瞬間、ジャッジ・ザ・デーモンはやむを得ずジャッジ・ロボを乗り捨てて外へと飛び出ると仲間達と共に襲来する忍たち相手に戦闘を開始する。

 ジャッジ・ザ・デーモンの格闘術に加え、ミラーガール達の特殊能力と体術で忍軍団と互角の戦いを繰り広げる面々。

 しかし此処で三人の忍たちが徐に懐から注射器の様な器具を取り出しては、その中の液体を自らの体に注入した。

 すると三人の忍達は瞬く間に筋肉が増強され、巨大化してジャッジ・ザ・デーモン達に襲い掛かる。

「ッ、D-ワクチン! Mrフェイクめ、またしても……!」

 先ほどの力士に続き、忍にまでもD-ワクチンを使用させるMrフェイクの凶行にジャッジ・ザ・デーモンは感情が昂る。

 剛腕で叩き潰そうとする忍に、技と動きで翻弄しながら本来の戦いを行う忍たちを相手に、ジャッジ・ザ・デーモン達は果敢に挑み、そして辛うじて忍達を倒していく。

 と、ここでジャッジ・ザ・デーモン達が戦闘に集中している最中、江戸城本丸よりジャッジ・ザ・デーモン達を狙う大砲が砲口を光らせた。

 そしてジャッジ・ザ・デーモン達が戦う最中、大砲から砲弾が発射され、ジャッジ・ザ・デーモン達の間近に着弾、爆発した。

「ッ!」

 間近で砲弾が爆発した事で軽く吹き飛ばされたジャッジ・ザ・デーモン達であったが、彼らと共に御庭番衆も爆発に巻き込まれ吹き飛んでいた。

「っ、味方まで……!」

「ミラーガール、そもそもMrフェイクに味方などいない。あいつにとって、全てが単なる道楽の為の駒だ」

 忍軍団までも大砲で吹き飛ばしたMrフェイクの凶行に苦悶の表情で呟くミラーガールに、ジャッジ・ザ・デーモンが真意を語る。

「きゃはははっ。おやおや、御庭番達まで一緒に吹っ飛ばしたのに、ジャッジ・ザ・デーモン達まだ生きてるよ」

 本丸より大砲を放ったMrフェイクは、狂気染みた笑い声をあげる。

 すると其処に追撃と言わんばかりに御庭番衆の忍者軍団が大勢押し掛けてきた。

「ッ、流石は征夷大将軍を御守りする御庭番衆……数が半端ないよ」

 周りを再び御庭番衆に取り囲まれて険しい面持ちを浮かべるジュピターキッド。

 そして再び御庭番衆と乱戦を繰り広げるジャッジ・ザ・デーモンたち。

 

 すると乱戦の最中、忍と激闘してたジャッジ・ザ・デーモンは忍達の猛攻に押し出されて、江戸城御堀の溜池へと落下してしまう。

「ッ!」「「!」」「ジャッジ・ザ・デーモン!」

 一驚するジャッジ・ザ・デーモンが御堀へと真っ逆さまに落下するのを視認しながらも、忍達に取り囲まれて身動きできないジュピターキッドにウォーターフェアリー、そしてミラーガールは叫ぶのだった。

 

 

 

[集結するHEADと鬼の忍衆]

 

御庭番衆との乱戦の中、激闘を繰り広げてたジャッジ・ザ・デーモンが押し出されて江戸城御堀の溜池へと真っ逆さまに落下してしまう。

 先にグラップネルガンを失ったジャッジ・ザ・デーモンは成す術もないまま高所から溜池へと落下するのを、ミラーガール達は忍達に取り囲まれて助ける事も出来なかった。

 

 と、高所から御堀の溜池へと落下するジャッジ・ザ・デーモンを空中で受け止めて、闇夜を滑空する銀色の翼が勢いよく空中を移動する。

「待ってたぞ、相棒」「! お前は……!」

 自分を空中で掴んで御堀への落下を救ってくれたその人物に、ジャッジ・ザ・デーモンは驚いた。

「フッ、しかし良かったぜ。お前も無事に、この時代へと飛ばされてくれてよ」

「メタルバード!」

 御堀へと落下するジャッジ・ザ・デーモンを空中で掴んだのは、他でもない聖龍HEADの一員にして現聖龍隊の総長でもあるバーンズことメタルバードであった。

「メタルバード!」「間に合ってくれたか」

 空中でジャッジ・ザ・デーモンを掴んで救出したメタルバードの到着に、ミラーガールやジュピターキッド達が安堵する中、それと同時に彼女達を取り囲んでいた御庭番衆を一掃する面々も駆け付けた。

「みんな!」

 御庭番衆を蹴散らしたその面々を見て、ミラーガールは思わず笑顔で喜んだ。

 セーラームーンとキング・エンディミオンを筆頭としたセーラー戦士たち、キューティーハニー、ナースエンジェル、木之元桜、コレクターズ、魔法騎士、最終兵器ちせ、東京ミュウミュウズ、マーメイドメロディーズ、ローゼンメイデンの五体など、多くの聖龍HEADが揃ったのだ。

「みんな揃った様だな」

 先ほどメタルバードによって助けられたジャッジ・ザ・デーモンと共に、静かに地面へと着地したメタルバードの二名。

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADという強力な布陣が出来上がったのだが。

「ふふ……フハハハッ! 面白くなってきたね! ジャッジ・ザ・デーモンに聖龍HEADが勢揃いとは、面白すぎて抱腹絶倒ってこの事だね!」

 ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADが揃った状況を視認しながらも、Mrフェイクは動揺するのではなく逆に興奮して高笑いする始末。

 一方で聖龍HEADという援軍が揃った事で優勢に乗るジャッジ・ザ・デーモン達であったが、そんな彼らの勢いを押し殺すように御庭番衆が更に集う。

「行くぞ……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの一声で一斉に乱戦へと突っ込む聖龍HEADだが、いくら倒しても次から次へと御庭番衆の忍達が怒涛の勢いで群がり、ジャッジ・ザ・デーモンや聖龍HEADと格闘する。

「ッ、これじゃキリがないぜ……!」

「ここは江戸城、江戸幕府の中枢……ゆえに、将軍を御守りする御庭番衆が無数に潜んでいるから、戦力的にはこっちが不利だ!」

 周辺の忍者達を次々に倒していくメタルバードにエンディミオンは、無尽蔵に出現する御庭番衆の忍達相手に戦力的に不利と捉えていた。

「いくら倒しても、忍者達が溢れ返るばかりよ!」

「はぁ、はぁ……も、もう疲れました……」

 無尽蔵に出現する御庭番衆を相手に戦い続けるキューティーハニーに木之元桜も、次第に体力が削れて疲労困憊状態に陥る。

 こんな戦況が朝日が昇り始める頃まで続き、メタルバードは思い切ってジャッジ・ザ・デーモンと背中合わせで会話する。

「ジャッジ・ザ・デーモン! ここは一先ず……」

「……ふぅ、またか」

 メタルバードからの提言に、ジャッジ・ザ・デーモンはまたも同じ結果で終わるのかと肩を落とした。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンの同意を受けたメタルバードは大声で周りで御庭番衆と戦っている聖龍HEADに伝えた。

「聖龍HEAD! 一旦、撤退だ!」

 このまま無尽蔵に出現し続ける御庭番衆と戦い続けても消耗戦に至るのは目に見えていたという事で、ジャッジ・ザ・デーモンもメタルバードも苦渋の決断を下したのだ。

 メタルバードからの指示を受けて、木之元桜がライト「光」のカードを発動させると、強烈な光が辺り一帯を照らして、御庭番衆たちは思わず目を瞑ってしまう。

 御庭番衆が目を瞑ったのを見計らい、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADは急ぎ速足でその場から撤退するのだった。

「! 消えたぞ、追え! 探すのだ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADが消えたのを目の当たりにした御庭番衆が指示を飛ばすが、その指示を聞いて天守閣のMrフェイクが叫んだ。

「待つのです! 追わなくていいよ。彼らは必ず、再び姿を現すからね!」

 将軍であるMrフェイクからの命令に、御庭番衆は大人しく再び江戸城各所に姿を潜めるのだった。

「グフフフ、デーモン……! まだまだだからね。この江戸城が完全に完成した暁には、この日本はボクの遊び場に一変しちゃうから……!!」

 不敵に微笑むMrフェイク。だがまたしても、御庭番衆とは違う謎の忍がジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの激戦を陰ながら傍観してた実情にMrフェイクは気付かなかった。

 

 

 

 その頃のジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの面々は。

 江戸城より離れた郊外にて、ナースエンジェルの治癒能力で負傷した聖龍HEADの面々が治療を受けていた。

「……と、こういう訳だ、修司。Mrフェイクは征夷大将軍に成り代わってから、各地にアサイラムに収容されてた異常者(ヒール)を配置させた上で、史実では敗北する旧幕府を取り仕切って新政府軍を圧倒して歴史を変えようとしているのは目に見えている」

「日本各地の異常者(ヒール)達は、Mrフェイクが作った洗脳装置で操られて、今じゃ実質的にMrフェイク同様この幕末の歴史を変えようとしてるのは明白」

「うむ、しかし……Mrフェイクは異常者(ヒール)達を洗脳して、操った上で何がしたいのか……それが気掛かりだ」

 セーラーウラヌスとセーラーネプチューンからの報告を受けて、ジャッジ・ザ・デーモンは考え込む。

「それよりもだ……! Mrフェイクも厄介だが、同時に日本各地に点在する異常者(ヒール)達の暴挙も止めないといけない! このままでは日本の歴史は改変されちまうぞ!」

「ですが……どこも迂闊には手が出せないのが実情。イーグルは長崎を拠点に、大勢の部下を従えて周りを固めている。グービンシーは今の北海道で屈強の侍、新選組を従えて同じく手が出しにくい……」

「ナイトメアは恐怖ガスを用いて会津若松を恐怖政策で支配していて、実質多くの町民や臣下たちが人質にされている現状。そして最後にブラックホワイトは旧幕府軍の大軍を率いて動いてる最中……最新の武器に大勢の侍たちを相手に戦うのは、分が悪すぎる」

 考え込むジャッジ・ザ・デーモンに、キング・エンディミオンと蒼の騎士と堂本海斗が幕末の日本で蹂躙する異常者(ヒール)達の現状を報告する。

 すると皆からの現状報告を聞いたジュピターキッドがジャッジ・ザ・デーモンに歩み寄り、相談する。

「義兄さん、Mrフェイクも確かに問題だけど、それ以上にMrフェイクに洗脳されて幕末の日本を好き勝手にしてる異常者(ヒール)も同等に厄介だ! ……どうするの?」

 ジュピターキッドからの相談に、ジャッジ・ザ・デーモンは真剣に返答する。

「……やはり、先にMrフェイクをどうにかするしかあるまい。奴が征夷大将軍である以上、史実通り新政府軍が旧幕府軍に勝つ事は叶わない。それに他の異常者(ヒール)達を洗脳しているMrフェイクを止めれば、洗脳されている異常者(ヒール)が元通りになって少しは状況が改善される可能性もある」

「ふぅ、やっぱり……先にMrフェイクをどうにかするしかないんだね」

 ジャッジ・ザ・デーモンの決断に、ジュピターキッドは呆然としながらも同意した。

 

 と、その時だった。

「ッ!」

 メタルバードたち一部の聖龍HEADが何かに気付く。

「? どうした、みんな……」

 ジャッジ・ザ・デーモンが訊くと、メタルバードは「シーーッ」と口に指を立てて物音を立てないように促す。

 すると此処でジャッジ・ザ・デーモンもメタルバードたち共々気付いた。

「ッ! ……誰かいるな」

「ああ、それも一人二人じゃない……大勢いやがる」

 ジャッジ・ザ・デーモンからの言葉に、メタルバードは険しい顔付きで唱える。

「ま、また御庭番衆……!?」

 ミラーガールやセーラームーンが怯える中、ジャッジ・ザ・デーモンやメタルバードたちは臨戦態勢で身構える。

 すると草木の奥から、ざわざわと物音が騒ぎ出し、それを聞いてジャッジ・ザ・デーモン達は警戒する。

 だが、ジャッジ・ザ・デーモン達が警戒してた、その時。

「お待ちくだされ。拙者達は怪しい者ではござらん」

 謎の男の声に一驚するジャッジ・ザ・デーモン達。

 すると草木や物陰から数多の人影が飛び出してきて、ジャッジ・ザ・デーモン達の前にズラリと並び立つ。

「忍か!」「ッ、ここまで追ってきやがったか、御庭番衆……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンやメタルバードたちが江戸城から遥々御庭番衆が追撃してきたのかと更に戦闘態勢に入ると、並び立つ忍者達の前に一歩出た大柄な体格の忍が申し出る。

「お待ちを! 拙者達は江戸幕府に尽くす御庭番衆ではありません! 我々は鬼の忍衆、流れ者の忍の一族でございます」

『………………』

 男の発言に少しばかり警戒の念を解いたジャッジ・ザ・デーモン達。そんなジャッジ・ザ・デーモン達を前に発言した忍は名乗った。

「拙者はゴンゾウ、鬼の忍衆を率いる忍の者です」

「ゴンゾウ、といったか。何ゆえ、俺達の前に姿を現す。俺達に何の用だ? お前達も忍なら、長年日本を統治してきた将軍家に助太刀するのが道理なんじゃないのか?」

 鬼の忍衆を率いるゴンゾウにジャッジ・ザ・デーモンが問いかけると、ゴンゾウは真面目な顔で答えた。

「拙者達、鬼の忍衆は先ほども申した様に流れ者の流派。将軍家や一部の権力者達に力を貸す事は滅多にありませぬ!」

「では何故……俺たちの前に姿を現した?」

 再度ジャッジ・ザ・デーモンが問うと、ゴンゾウは述べ始めた。

「我ら、鬼の忍衆には古よりこの様な伝承が伝えられております……日ノ本、その二百年にも及ぶ泰平の世が終わり、再び乱世が始まりし時、異形の鬼の忍率いる侍たち現れ、乱を治める……と」

「………………」

「お待ちしておりましたぞ、ジャッジ・ザ・デーモン殿!」

 ジャッジ・ザ・デーモンに述べ終わったゴンゾウを始めとする鬼の忍衆は、一斉にジャッジ・ザ・デーモンへと頭を下げて跪く。

 このゴンゾウ率いる鬼の忍衆との出会いが、ジャッジ・ザ・デーモン達の状況を一変させるのだった。

 

 

 

[語り継がれる鬼の忍]

 

 突如ジャッジ・ザ・デーモン達の前に姿を現した鬼の忍衆と名乗る一団。

 そして鬼の忍衆を率いるゴンゾウなる忍の案内の下、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの面々は山奥に在る隠れ里まで導かれた。

 隠れ里では、鬼の忍衆やその一族達により、米などの穀物の栽培や山中で採れるキノコやクマなどの食材も豊富に揃っており、一通りの生活が可能となっていた。

 ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの面々は、その隠れ里でも最も大きな屋敷に案内され、そこで忍衆を率いるゴンゾウと会談するのであった。

「……と、いう次第でございます。先ほども述べた様に、戦国の世から続いた二百年もの泰平の時代が終わりを迎える時、日ノ本に現れし狂人達を鎮められる異形の忍と、その忍に率いられる侍たち……それが貴方方なのです、ジャッジ・ザ・デーモン殿! そして聖龍HEADの方々!」

『………………………………』

 ゴンゾウから、鬼の忍衆に言い伝えられてきた伝承を改めて聞かされたジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADだったが、自分達がその異形の忍に侍であるとは中々受け入れられなかった。

「我ら鬼の忍衆も加勢する所存! どうか共に今、日ノ本を乱す狂人達から平和を取り戻してくだされ!」

 鬼の忍衆からの伝承を受け入れられず困惑するジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADに、ゴンゾウは再び頭を下げて願い出る。

 この鬼の忍衆を率いるゴンゾウからの嘆願を一通り聞いて、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADは話し合う。

「ジャッジ・ザ・デーモン、どうする? この鬼の忍衆は信頼して大丈夫なのか?」

 メタルバードが問うと、ジャッジ・ザ・デーモンは考え抜いた結果を真意に返答した。

「俺には……この鬼の忍衆には敵意というものはないように感じられる。何より、今この状況を打破する為に俺達に必要なのは情報収集だ。忍は情報収集に長けた諜報工作員でもある」

「だ、だけど……相手は近代兵器も活用してまで戦いを仕掛けるMrフェイクを始めとした狂人ばかりなんだよ。そんな危険な戦いに普通の人間である忍達を巻き込んでもいいのかい?」

 ジャッジ・ザ・デーモンの返答に異議を唱えるセーラーウラヌス。

 確かにMrフェイクを始めとする狂人達は、この時代の近代兵器だけでなく未来から持ち込んだ技術までも用いて歴史改変を行おうとする輩ばかり。そんな危険な戦闘に忍衆を巻き込んでもいいものかとジャッジ・ザ・デーモンは懸念に駆られる。

 すると、この話を間近で捉えたゴンゾウは険しい真顔で言った。

「心配御無用! 拙者を始め、忍とは心身ともに鍛えぬかれた常人離れした肉体を持っております故、少なくともあなた方の足手纏いにはなりませぬ!」

『………………』

「どうか、我々鬼の忍衆も狂気の将軍Mrフェイクの野望を止める為の戦力に加勢させてもらいたい候」

 ゴンゾウからの切実な嘆願に、ジャッジ・ザ・デーモン達は彼ら鬼の忍衆の覚悟を垣間見た。

 

 と、ジャッジ・ザ・デーモン達とゴンゾウが会談している所に一人の忍が駆け込んできた。

「首領!」「うむ、どうした!」

 駆け込んできた忍にゴンゾウが訊き返すと、忍は明言とした声で報告する。

「ご報告です! 征夷大将軍であるMrフェイクと、旧幕府軍を率いて新政府軍を圧倒しているブラックホワイトなる狂人が今より二日後、密談するという情報を得ました!」

「なるほど、報告ご苦労」

「ははッ」

 ゴンゾウへの報告を終えた忍は、そのまま部屋より退出。

 そして報告を受けたゴンゾウは、その報告内容を聞いたであろうジャッジ・ザ・デーモン達に問うた。

「ジャッジ・ザ・デーモン殿! 敵方であるMrフェイクとブラックホワイトの密談の報せを部下が入手しました。今、この日ノ本を混乱させてる親玉Mrフェイクとその配下を叩くには好機かと思われますが……」

 ゴンゾウからの提案に対して、ジャッジ・ザ・デーモンは考え込む。

 そして考え抜いた末、ジャッジ・ザ・デーモンは決断した。

「……うむ、狂人達を洗脳しているMrフェイクを叩ける好機には違いないかもしれない。何よりMrフェイクと共に新政府軍を直接叩いているブラックホワイトも一緒に止められるのであれば、またとない機会だ」

「承知! では、我々鬼の忍衆も御同行いたしましょう! 一刻も早く、この日ノ本の混乱を鎮めなければ……!」

 このゴンゾウの決意に、ジャッジ・ザ・デーモンは彼ら鬼の忍衆の信念を否定するのは野暮だと思い、同意するしかできなかった。

「分かった。ただ、無茶はしないでほしい」

 こうして鬼の忍衆と共に、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADはMrフェイクとブラックホワイトの密談へと向かうのだった。

 

 

 山林をかき分けて、Mrフェイクとブラックホワイトの密談が行われるであろう場所まで移動するジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADそして鬼の忍衆たち。

 道中、鬼の忍衆を率いるゴンゾウはジャッジ・ザ・デーモンに問い掛ける。

「ジャッジ・ザ・デーモン殿、少しお伺いしたいのですが……」

「……なんだ?」

「聖龍HEADの方々から話を伺っておりますが……あなた方は未来の日本からやって来たご様子で」

「……うむ」

「未来での歴史、史実通りなら……旧幕府軍が敗れ、新政府軍が勝利する事で日本は新たな形として変革し、生まれ変わるのでしたな」

「そうだ。Mrフェイクと、その狂人共は幕末の日本の歴史を改変しようとしている。それを阻止せねば……」

「成程……最後にお尋ねしたい。新政府軍が勝利した後は、我々忍の者に侍達はどうなるのですか?」

「……文化として残る。未来まで古き良き日本の歴史の一部として、後世にまで語り継がれる異国の人々も称賛する文化の一つとして、忍も侍も語り継がれていく」

 ジャッジ・ザ・デーモンから、史実通りに新政府軍が勝利すれば、忍や侍の文化は外国の人々も称賛する伝承として語り継がれると聞いて、ゴンゾウはそれ以上何も訊く事はなかった。

 

 

 

[偽りの将軍と双面の指揮官]

 

 そしてある湖の水上、そこには二隻の船が互いに寄せ合い、片方の船からブラックホワイトが出てきて隣の船へと移動する。

 この水上の密談にて、Mrフェイクとブラックホワイトは新政府軍への猛攻の日取りを決め、新政府軍を完膚なきまでに叩きのめして日本の歴史改変を狙ってた。

「やあ、Mrフェイク。こんな揺れる船の上で密談とは、どういう了見だ? 少しばかり船酔いしちまうぜ」

「ハハハッ、ブラックホワイト。こんな水上の、船上での密談だからこそ新政府軍とかの敵勢力が情報を仕入れにくいんだよ。もうしばらくの辛抱だよ、辛抱」

「フッ、まあいい。この時代の歴史を改変して、俺たち異常者(ヒール)が支配する国へと日本を変えてやろう……!」

 互いに対面したMrフェイクとブラックホワイトは、そう対話するとそのまま船上にて密談に入るのだった。

 

「フッ、それじゃ……この日までに新政府軍が推している皇族が住んでる皇居殿に向かって進軍すればいいんだな」

「フフフ、そうさ。この日ならちょうど、ボクが改造した江戸城も完成してる筈だから、いまや日本各地に点在している異常者(ヒール)達を総動員して皇居殿を破壊して、後続を滅ぼせば新政府軍の勝ち目はゼロだよ」

「確かに……天皇を頂にした新政府の政権復古も阻止できるし、俺たちが新政府軍を打破した暁には、この幕末の日本はもう俺らの天下って訳だ。……ところでMrフェイク、お前が俺たちをこの時代に飛ばした時空間移動装置は、江戸城の中に有るのか?」

「ああ、あるとも。装置は前々から江戸城の中枢に組み込んでいるから、その気になればいつでも元の時代には帰れる……けど、帰る必要もないかもしれないよ。なんせ、この時の日本を支配して、ボクたちだけの国家を創っちゃえばいいだけなんだからね」

異常者(ヒール)が支配する国、か……フッ、悪くない」

 そうMrフェイクとブラックホワイトが密談している所に、竹筒で呼吸しながら水中から忍び寄る集団に旧幕府軍の兵は気付いていなかった。

 そして水中から奇襲を仕掛け、雪崩れ込む様に船上へと攻め込む鬼の忍衆。

「何事だ!」

 船内から顔を覗かせ、声を上げるブラックホワイトに続いてMrフェイクも顔を出す。

 そして船上で警備に当たってた兵をすべて倒した鬼の忍衆の先頭に、上空から飛来するジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの面々がMrフェイクとブラックホワイトに対峙する。

「ジャッジ・ザ・デーモン! 聖龍HEAD! おい、Mrフェイク! まさかコイツらも時空間移動装置で幕末に飛ばしてやがったのか!」

 Mrフェイクに怒声を飛ばすブラックホワイトに、Mrフェイクは笑いながら返事した。

「ハハハッ、いやね、ボクらだけ幕末の日本に来たんじゃ面白くないかなって思っちゃって。でも安心しなよブラックホワイト、いつの時代もヒーローを叩きのめせば、それで済む話じゃないか」

「ッ……ふぅ、まあ、そうだな。此処は一つ、共闘してジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADを叩きのめすか」

 互いに共闘の意思を示し合わせるMrフェイクとブラックホワイト。

 するとMrフェイクは指笛を鳴らすと、自分が乗ってきた船内から大勢の御庭番衆が流れ込んできた。

「ジャッジ・ザ・デーモン殿! 御庭番衆は我々、鬼の忍衆が片を付けます! 貴殿らはMrフェイクとブラックホワイトなる狂人をお願い致します!」

「了解」

 ゴンゾウの言葉に呼応するジャッジ・ザ・デーモン。

 そして鬼の忍衆は御庭番衆を、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADはMrフェイクとブラックホワイトの相手をする事に。

 

 ゴンゾウ率いる鬼の忍衆は御庭番衆と壮絶な死闘を繰り広げる一方、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADはMrフェイクとブラックホワイトを相手に大立ち回りを展開してた。

 剣劇にくないが飛び散る船上で、Mrフェイクとブラックホワイトは異国から取り寄せたばかりの最新拳銃を武器にジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADと戦ってた。

 しかしジャッジ・ザ・デーモンも聖龍HEADもMrフェイクとブラックホワイトの銃撃を回避していき、この時代の拳銃ならではの欠点である弾切れを容易に誘発させてしまう。

「ッ! この時代の銃は一度に撃てる弾の数が少なすぎるぜ」

「観念しなさい、ブラックホワイト!」

 セーラームーンが弾切れの拳銃を足元に捨てるブラックホワイトに駆け寄り、拘束しようとするが。

「フッ、忘れたか……俺は師事してるトゥーフェイスからの教示で、拳銃は少なくとも二丁は持参してるって事をよ!」

 そう言った瞬間、ブラックホワイトは懐に隠し持っていた二丁目の拳銃を素早く取り出してセーラームーンに銃口を向ける。

「!」

 危うしセーラームーン。だがそこにミュウイチゴが颯爽と駆けつけ、飛び蹴りでブラックホワイトが構える拳銃を叩き落としてみせる。

「大丈夫? セーラームーン!」「ミュウイチゴ、ありがとう」

 ミュウイチゴに礼を言うセーラームーンは、再び仲間達と共にブラックホワイトを取り押さえようと陣形を取る。

 その一方で、ジャッジ・ザ・デーモンもMrフェイクと激闘を繰り広げていた。

「うははッ、デーモン面白いね! 君とは色んな戦いを繰り広げてきたけど、まさか時代劇みたいに幕末の日本で戦っちゃうなんて!」

「Mrフェイク! 観念しろ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクが射撃する拳銃の弾丸を回避しながら、Mrフェイクに接近すると腕を振るって拳銃を叩き落として無防備にさせる。

 やがてMrフェイクとブラックホワイトが所持する拳銃の弾丸が全て尽きたと同時に。

「ジャッジ・ザ・デーモン殿! 御庭番衆は片付きました」

 と、ゴンゾウがMrフェイクの配下に下っている御庭番衆をすべて倒し終わった事を伝える頃には、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの方も弾が尽きて無防備になるMrフェイクとブラックホワイトを取り囲んでいた。

「くッ! この時代の銃はホントに使えねえ……! おい、Mrフェイク! どうするんだ、この状況を!」

「おやおやぁ、ブラックホワイトきみは忘れてないかい? ボクは君の上官である征夷大将軍なんだよ? 将軍様にそんな口きいて良いと思ってるのかな?」

「ウルサイ! そもそも、お前がタナトス・アサイラムで変な実験をしなきゃ、俺を始めとした異常者(ヒール)達だって、この時代に飛ばされて来なかったんだぞ!」

 と、言い争いだすブラックホワイトとMrフェイク。

 すると口喧しくなってくるブラックホワイトに向かって、Mrフェイクは懐から取り出した鉢巻状の装置を自身の頭に嵌めた。

「ハッ」

 するとMrフェイクの頭に取り付けられた装置から射出された怪光線を浴びたブラックホワイトに異変が。

「あ…………はい、分かりました。将軍様……」

 ブラックホワイトは虚ろな眼差しでMrフェイクに返答するのだった。

「あれは……!?」「あれが、洗脳装置か……!」

 ブラックホワイトを大人しく忠誠させた装置を目の当たりにして一驚する七海るちあに対し、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクが頭に嵌めている謎の装置が今現在、日本各地で猛威を振るっている異常者(ヒール)達を洗脳している装置であると瞬時に察した。

「ニヒヒ、そういう事。まあ、最初はもっと大きなカプセル状の装置に異常者(ヒール)達を押し込んで洗脳してたんだけど、ちょっと改良して小型化するのに成功したんだ」

 喜々として語るMrフェイクは、ジャッジ・ザ・デーモン達に笑顔を向けて言った。

「まあ、君たちみたいに屈強な精神を持っている聖龍隊の戦士には効かないかもしれないけど……代わりに、その鬼の忍衆を洗脳して御庭番衆共々ボクの手下にしてあげちゃうよ」

 そういうとMrフェイクは頭に取り付けた装置から怪光線を射出して、ゴンゾウたち鬼の忍衆をも洗脳して操ろうとした。

 が、怪光線を浴びたゴンゾウたち鬼の忍衆は微動だにせず、Mrフェイクに洗脳される事はなかった。

「あれ? どうなってるのかな?」

 洗脳が効かない鬼の忍衆に困惑するMrフェイクに、ゴンゾウが厳つい顔付きで物申した。

「我ら鬼の忍衆の心は鋼の精神……怪しげな妖術やからくりで操れると思うな!」

 そう怒鳴り返されたMrフェイクは一瞬ばかし動揺するのだが、すぐに気を取り直して虚勢を張った。

「Mrフェイク! もう潮時よ」

 だが、そんなMrフェイクにミラーガール達が迫る。

 しかし、追い詰められた現状に洗脳状態のブラックホワイトが船艇の端まで駆けだすと、そこで垂れている紐を手に取ってジャッジ・ザ・デーモン達に言った。

「お、おい。迂闊な真似するんじゃねえぞ……これは導火線だ。そして俺の船にはもちろん、Mrフェイクの船にも大量の火薬が積まれている。下手に動けばみんなドカンだ」

 このブラックホワイトの告白に、その場の誰もが驚愕した。

「わあお。ブラックホワイト、きみ中々いい案を閃くんだね。まあ、ボクもジャッジ・ザ・デーモン達がやって来た様にと船に大量の火薬積んで来てたから同じこと考えてたんだけどね」

「フフフ……」

 形勢逆転し、喜々としてブラックホワイトに歩み寄るMrフェイクと、不敵に笑むブラックホワイト。

 すると不利に陥ったジャッジ・ザ・デーモン達を前に、Mrフェイクはブラックホワイトが握ってた導火線を強引に奪い取っては彼に言った。

「そうだ、ブラックホワイト! どうせこのままじゃジャッジ・ザ・デーモン達に負けちゃうのは目に見えているし、いっそのこと何もかも火薬で吹き飛ばしちゃうのはどう?」

「な、なに!?」『!!』

 Mrフェイクの提案に愕然とするブラックホワイトとジャッジ・ザ・デーモン達。

 しかしMrフェイクは洗脳装置を稼働させたまま、ブラックホワイトを洗脳しながら彼に問うた。

「そうだ、折角なら君お得意の二者択一の選択で、爆発させるかどうか決めないかい?」

 洗脳状態であったブラックホワイトは、このMrフェイクの口車に乗せられてしまう。

「そう、だな……全ては結局、白と黒のボーダーラインで決まっちまうしな」

 そう言うとブラックホワイトは徐に一枚の和同開珎を取り出して右手の親指で弾いた。

「さあ、白黒つけようぜ……!」

 ブラックホワイトが弾いた和同開珎が宙を舞い、落下すると同時にブラックホワイトが素早く右手で和同開珎を空中で掴むと、そのまま左手の甲に和同開珎を伏せた。

「ふふふ、表が出たら爆破は無し。でも裏が出たら、ヒヒヒ……」

 怪しく微笑むMrフェイクの傍らでブラックホワイトがゆっくりと右手を離して和同開珎の裏表を確認する。

 そして……

「………………残念、裏だ」『!』

 ブラックホワイトの発言にジャッジ・ザ・デーモン達は愕然とする。

 そしてそれを聞いたMrフェイクは喜々とした様子で軽やかに跳ねながら舞い上がる。

「うひゃひゃっ! そっかあ、残念無念♪ それじゃ、どうせジャッジ・ザ・デーモン達にやられちゃうなら、いっその事みんな揃って爆発しちゃおう!」

 そう言うとMrフェイクは手にしていた導火線に着火した。

「マズいぞ! 誰か、あの導火線を消すんだ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンが叫ぶ中、ウォーターフェアリーとセーラーマーキュリーが駆け出し、大急ぎで導火線の消火に向かう。

 が「そうはさせねえぜ!」と、ブラックホワイトが帯刀してた日本刀で迫るウォーターフェアリーとセーラーマーキュリーに斬りかかり、二人は反射的に後ろへと回避する。

 すると今度は水を操れるマーメイドプリンセス達が、湖の水を操って大きな波を起こしてMrフェイクとブラックホワイト共々、大波で大量の水を浴びせた。

 しかし

「ハハハッ、もう遅いよ! 導火線は既に船底の火薬庫まで行っちゃってるから消せないよん♪」

「ッ……!」

 Mrフェイクの言動に衝動が昂るジャッジ・ザ・デーモン。

 そして導火線は船底の火薬庫まで到達し、遂に貯蔵されてた火薬に引火。そのまま大量の火薬は連続で引火し大爆発を引き起こした。

「うわッ!」「きゃっ!」

 メタルバードやミラーガール達までも爆発に巻き込まれて爆炎の中に吞み込まれる。

 そしてその爆発はジャッジ・ザ・デーモン達が乗っている船だけでなく、隣接しているもう一隻の船の火薬庫にも引火して更に爆発の火力は増強する。

 

「うわあああああああああああああああ………………ッ!!」

 

 爆発に巻き込まれ、ジャッジ・ザ・デーモンも聖龍HEADも、そして鬼の忍衆も爆炎に呑み込まれ重傷を負ってしまうのであった。

 

 

 

[時代の強さ]

 

 Mrフェイクとブラックホワイトが仕掛けた爆発に巻き込まれ、どれくらい経ったのだろうか。

 ジャッジ・ザ・デーモンが目覚めてみると、そこは布団の中だった。しかも頭から足先にまで装着してたデーモンスーツは無くなっていた。

 ジャッジ・ザ・デーモン改め、小田原修司が起き上がろうとすると、修司が横になっている床の間にウッズが顔を覗かせ、修司が目覚めた事に気付く。

「っ、修司様!」

 急ぎ、修司の許へと近付くウッズに、修司は問い掛けた。

「ウッズ、一体なにがどうした? 他のみんなは……Mrフェイクたちは……」

 修司がウッズに問い掛けていると、ウッズと同じく修司が目覚めたのをテレパシーで察したバーンズが床の間に入らずに答えた。

「あれから二週間は経過してるぜ、修司。オレ達はあの時のMrフェイク達の自爆に巻き込まれて重傷を負ったが、ゴンゾウたち生き延びた鬼の忍衆の手を借りて隠れ里まで引き返した。だが、Mrフェイクとブラックホワイトは流石は悪運だけは強いらしい、あの爆発からもしぶとく生き延びて未だに幕末日本を手中にしようと自分達の城を完成させようとしている」

「……そうか。俺以外のみんなは?」

「オレたち聖龍HEADは重傷を負いながらも、ナースエンジェルの治癒能力で治療してもらったから今では普通に過ごせている。鬼の忍衆は……あの時の爆発で、十数名ほど死んじまったがな」

「そうか……」

 鬼の忍衆に犠牲が出てしまった経緯に、修司は罪悪感に苛まれる。

「修司様、ゴンゾウ様は修司様……いいえ、ジャッジ・ザ・デーモンが目覚めるまで誰も床の間には入れず、自分も入らず、貴方様が目覚めるのを辛抱強く心待ちしております。今は少しばかりですが、お体を休めてください」

 

 ウッズとバーンズの報告を受けて、修司は一人、床の間で思慮に耽る。

「俺たち未来から来た人間達のせいで犠牲者が出たにも関わらず、鬼の忍衆は未だに俺を……ジャッジ・ザ・デーモンを信用してくれている」

 修司は床の間に置かれてた、鬼の忍衆に代々伝わる漆黒の鬼の仮面を見詰めて耽る。

「俺が彼らにしてやれる事といえば……やはり、Mrフェイクたち異常者(ヒール)を止めること以外ない」

 そう結論付けた修司は、自分の置かれた状況を観察してみる。

 ジャッジウイングは未来にあり、ジャッジモービルは破壊され、デーモンスーツですらも爆発に巻き込まれて大破して使い物にはならない。

 今自分にできる事といえば。Mrフェイクたち異常者(ヒール)に勝つ為にすべき事とはなにか。修司は考え抜いた。

 そして修司は閃いたと同時に、バーンズとウッズを呼び寄せた。

「バーンズ、ウッズ! 聖龍HEADを直ぐに此処に呼び寄せてくれ! 招集だ!」

 何かを閃いた修司の顔を見て、バーンズもウッズも疑う事無く急遽聖龍HEADを招集した。

 そして聖龍HEADとウッズが集まり、修司は布団の上で寝巻のままで皆に伝えた。

「みんな、俺は大切な事を忘れてた。未来の、いや、従来のジャッジ・ザ・デーモンは近代技術で武装してばかりの強さしか目立ってなかった。だが! この鬼の忍衆の隠れ里では、日本古来から伝わる忍の戦術に武具、そして何より幕末とはいえこの時代の日本ならではの戦力がある筈だ! 俺はもう、ジャッジモービルもデーモンスーツも失ってしまった。そんな状況だからこそ、この時代にしかない強みを己の強さに変えて戦いに挑まなければ俺達が未来に帰れる事はもちろん、この幕末の時代を蹂躙するMrフェイク達を止める事もできない!」

 修司の決意に、ウッズも聖龍HEADも賛同した。

 こうして小田原修司と聖龍HEADの面々は、この時代で得られる装備や武具、何より戦力などを整える準備を進めるのだった。

 

「いや、驚いたぜ。戦国時代から戦い抜いてきた忍の一族だからか、忍ならではの戦術に武器、そして何よりも火薬の知識が半端じゃない。生半可な軍人よりも、火薬などの戦術の知識が豊富だぜ」

 メタルバードからの報告に、修司は失った武器に代わる武具や火薬そして戦術を鬼の忍衆から借りる事となった。

 

「忍者達の薬学は、正直この時代の日本の医者よりもかなり高度な知識や研究が進んでいるわ。彼らの肉体が常人以上に優れているのも、卓越した薬学や医術がモノを言っているんじゃないかしら」

 そう驚いた顔で修司に報告するナースエンジェルの言葉に、修司は己の肉体に不具合が起きた場合でも大丈夫だと自信を持った。

 

「この時代、まだ牛肉など一部の食肉は日本人は食べてはいない様ですが、鶏肉はもちろん熊や猪などのジビエ肉などで容易にスタミナが増強できる事でしょう。体作りには欠かせない食も、白米が進むよう濃い目の味付けで調理いたします」

 更に幕末の日本ならではの、体を作るには欠かせない食事も、この時代の日本にある食料で十分以上に得られるとウッズは説いた。

 

 火薬や武具、薬学に医術に、そして肉体を構成する食など、忍達が培ってきた知識は小田原修司の助力になるには十分すぎる程だった。

 こうして修司は、鬼の忍衆を率いるゴンゾウから託された漆黒の鬼の面を顔に装着し、隠れ里で鬼の忍衆と共に鍛錬に身を入れ、Mrフェイク達を止める術と未来へ帰還する為の準備を着々と進めた。

 

 そして湖上でMrフェイク達の自爆に修司達が巻き込まれてから一ヵ月経った頃だった。

 鬼の忍衆の隠れ里で着々とMrフェイク達との決戦に向けて各自準備を進めてた修司達の元に、鬼の忍衆の一員である忍の一人が便りを持ってきた。

 修司はその持ち込まれた便りに目を通してみると、其処に書かれていた内容に驚いた。

「なんと……! 伊藤博文を始めとする新政府軍からの便りだ」

 便りの内容は、新政府軍を指揮する初代日本総理大臣になる予定の伊藤博文を筆頭とした新政府軍からの助勢の要請だった。

 

 

 

[会合 新政府軍]

 

 Mrフェイク率いる旧幕府軍と苦戦を強いられている新政府軍を携える伊藤博文初代日本総理大臣からの要請に応えるべく、修司は漆黒の鬼の面を顔につけてジャッジ・ザ・デーモンとして聖龍HEADと共に新政府軍の戦前基地へと赴いた。

 異様な鬼の面を装着して素顔を隠すジャッジ・ザ・デーモンはもちろん、黒髪が従来の日本人の容姿であるが故に髪の色が普通とは異なる聖龍HEADの面々を目の当たりにした新政府軍の兵士達は驚きつつも非常に面食らった。

 そして会議室に通されたジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの面々。ジャッジ・ザ・デーモンが会議室のテーブルの席に着席する傍ら、その背後に聖龍HEADが立ち並ぶ。そんなジャッジ・ザ・デーモンの真正面の席には、初代日本総理大臣である伊藤博文が着席しており、ジャッジ・ザ・デーモン達を怪しみながらも対面してた。

「お初にお目にかかります、伊藤博文氏」

「私の名を知ってくれているのは非常に光栄だが……君たちは何者だ?」

 互いに険しい面持ちで言葉を交わすジャッジ・ザ・デーモンと伊藤博文。そしてジャッジ・ザ・デーモンは伊藤博文に答えつつも対話を続ける。

「我々は聖龍隊、未来からこの幕末の時代まで飛ばされてきた者たちです」

「未来から!?」

 ジャッジ・ザ・デーモン達が未来から来たと聞いて伊藤博文は驚愕した。

「はい、それで私はジャッジ・ザ・デーモンと申します」

「ジャッジ・ザ・デーモン……? 確か、異国の言葉で……」

「はい、裁きの鬼と言います。そして俺の後ろにいるのが聖龍HEADという、聖龍隊という組織を束ねる頭目達です」

「その聖龍隊、とは……?」

「未来の日本を始めとする国々を守護する、英雄達の集団です。HEADはその英雄達を束ねているのです」

「なにっ? まさか未来の日本は、女子供に国家を護らせているのか!?」

 この伊藤博文の男尊女卑な発言に、ジャッジ・ザ・デーモンの後ろで待機してた聖龍HEADは眉を顰めるが、グッと堪える。

「正確には、未来の日本には自衛隊という国を護る組織が別にありますが……我々は常人にはない特別な能力を持っていて、それこそ常人では解決できない有事の際に動くのです」

「特別な能力?」

「はい、火を操る者もいれば、水を操る者もおります。我々は、この特殊な能力で人命を守ってきました」

 すると、淡々と説明するジャッジ・ザ・デーモンに伊藤博文が半ば興奮しながら叫んだ。

「信じられん! 未来の日本は、こんな訳の分からない連中に守られているのか!? そもそも、お前ら本当に日本人か。どう見ても日本人とは思えないぞ!」

「ま、まあ、オレとかは完全に人間でもないけど……」

 この伊藤博文からの疑問に、メタルバードだけでなく他の聖龍HEADも激しく戸惑った。メタルバードの様に人外ならばともかく、HEADの多くが日本人とはかけ離れた髪だからだ。

「そもそも女子供が出しゃばるというのがおかしい!」

 するとこの伊藤博文の発言にジャッジ・ザ・デーモンは真顔で忠告した。

「伊藤総理、男尊女卑の考えは未来の日本では古臭い思考だとして忌み嫌われていますぞ。未来の社会では女性も社会進出していますしね」

「なにッ!? たかが女風情が!?」

「可笑しな話ですかな? 貴方方、新政府軍が侍や武士道精神が古い思考や習慣だから排除しようとする思想と同じだと思いますが」

「ッ………………!」

 ジャッジ・ザ・デーモンからの指摘に、伊藤博文は何も言い返す事ができず黙り込んでしまった。

 

 すると其処に、大柄な体格をした一人の男性が会議室に入室して笑いながら伊藤博文に言葉をかける。

「はっはっは。伊藤どん、痛いところを衝かれたでごわすな」

「さ、西郷……!」

 笑顔で気さくに伊藤博文に言葉をかける大柄な男性に、伊藤博文は更に冷や汗をかく。

 そんな大柄な男性の前に、メタルバードが歩み寄ると男性に話し掛けた。

「あんただな……幕末の英雄の一人、西郷隆盛は」

「はっはっはっ! おまはんらが未来から来たっちゅう連中なんだな。なんだ、未来ではワテの事も有名なのか?」

「ああ、あんたも日本を改革した英雄の一人として有名だよ。上野公園に全く似てない銅像も建てられた事でもな」

「ん? 似てない銅像……?」

「ああ、あんたは自分の写真を後世に遺していなかったから、ほぼ想像で顔が造られて銅像が建てられちまったんだよ。のちに銅像を見たあんたの奥さんは「こんなの旦那じゃない!」って泣いちまったんだぞ」

「なるほどのぉ……ワイ、写真というのは苦手で……」

「ははッ、だがあんたの薩摩魂はちゃんと後世に伝えられているから安心しろ!」

 意気投合するメタルバードと西郷隆盛。二人が和気藹々とする中、ジャッジ・ザ・デーモンは伊藤博文と話を再開させる。

「話の続きですが伊藤博文氏……今現在、あなた方を追い詰めている旧幕府軍を率いている者たちは、我々がいた未来からやって来た犯罪者たちなのです」

「なに、犯罪者!? あの徳川将軍と入れ替わった異国の男も、そうなのか?」

「はい、奴の名はMrフェイク。奴は未来の刑務所ごと、この幕末の日本に移動しては同じく其処に収容された囚人達と共に、この幕末の日本を蹂躙してるのです」

「長崎で旧幕府軍に武器を売ってるイーグル、蝦夷地で新国家設立を企てている新選組の残党を率いているグービンシー、会津若松を支配しているナイトメア、そして我々新政府軍を戦場で痛め付けたブラックホワイトも未来人だというのか!?」

「はい、全員精神に異常を来たした犯罪者です。Mrフェイクは犯罪者達を洗脳して、この幕末日本を蹂躙し、やがては支配する魂胆なのでしょう」

「むむむ……実に由々しき事態!」

 ジャッジ・ザ・デーモンからの説明を聞いて、伊藤博文は更に感情が昂る。そんな伊藤博文にジャッジ・ザ・デーモンは落ち着かせる。

「落ち着いて下さい。奴らを止める為に、我々がいるのです。このまま放置しておけば、日本の歴史は改変されてしまいます。その前にMrフェイク達を捕えますので、それまで御辛抱してください」

「我々、新政府軍は何もするなと言うのか?」

「はい、そうなってしまいますね。これは我々、未来人の問題。それ以前に、奴らは未来の法律で犯罪者として裁かなければいけません。申し訳ありませんが、新政府軍の介入で奴らを殺めるのは歴史改変にも繋がります。どうか辛抱してください」

「………………!」

 新政府軍の介入を拒まれて、より激情してしまう伊藤博文にジャッジ・ザ・デーモンは言った。

「冷静になってください。従来の歴史では、あなた方新政府軍が勝利を収め、貴方はこの日本で初の総理大臣として歴史に名を遺すのですぞ」

 このジャッジ・ザ・デーモンの発言に、思わずメタルバードが駆け寄って耳元で囁いた。

「おいおいジャッジ・ザ・デーモン。さっきの自衛隊の件といい、過去の人間に未来の情報を教えていいのか? それこそ歴史が変わっちまうぞ」

「大丈夫だ、俺に考えがある。今はとにかく、Mrフェイク達を止めるのが先決だ。その為には新政府軍には攻撃するのを堪えてもらわなければ」

 メタルバードの問い掛けにジャッジ・ザ・デーモンは険しい顔付きで答えると、すぐに顔を向き直して再び伊藤博文と対談する。

「Mrフェイクの介入で、旧幕府軍との戦いでの勝利が遠のいた事で焦る気持ちはよく分かります。ただ、ここはMrフェイク達をよく知る我々に任せてほしいです。貴方は、この日本を背負って立つ方、寛大な御心と冷静さがある筈です」

「………………」

「どうか、しばしの辛抱を。伊藤総理殿」

 ジャッジ・ザ・デーモンのご機嫌を取りながらの説得に、ようやく伊藤博文も折れた。

「……分かった、不本意ではあるが君らに任せよう」

 伊藤博文からの許可が得られて、ジャッジ・ザ・デーモンは椅子から立ち上がると腰を90度に曲げて礼儀正しく御辞儀をした。

「修司って、何気に交渉とか上手いわよね」

「ジャッジ・ザ・デーモンである以前に、世界中の政府と立ち回って来たんだ。お世辞やおべっかも上手くなるよ」

 伊藤博文を説得したジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司に、ミラーガールとメタルバードは小さな声で話すのだった。

 

 と、ジャッジ・ザ・デーモンと伊藤博文の会合が無事に終わろうとしているところに。

「い、伊藤総理!」

 一人の新政府軍の兵士が会議室に飛び込んできた。

「どうした?」

 伊藤博文が訊ねると、兵士は肩で呼吸しながらも答えた。

「て、敵方である旧幕府軍の軍勢に動きがありました!」

「なに!?」『!』

 兵士からの報告を聞いて、伊藤博文もジャッジ・ザ・デーモン達も一驚する。

 更に其処へ鬼の忍衆の一人が颯爽と室内に現れて、ジャッジ・ザ・デーモンに報せを持ち込んだ。

「ジャッジ・ザ・デーモン殿! 我ら、鬼の忍衆が入手した情報でございます! Mrフェイクを始めとする旧幕府軍に属する各地の敵勢力が一堂に集い、完成した各々の居城で地獄が原に出撃するとの事!」

「なんだと! それじゃ、異常者(ヒール)達は、その決戦の為に今まで自分達の城を造ってたって訳か!?」

 忍の報告を聞いて驚愕するメタルバードたち聖龍HEAD。同じく報せを聞いたジャッジ・ザ・デーモンは冷静に分析する。

「Mrフェイクめ、おそらくゲーム感覚で戦争をし合って、自力で日本を支配する名目を欲してるんだろう。どちらにしろ、下手をすれば日本全土が戦火に吞まれてしまう」

「急ぎましょう、ジャッジ・ザ・デーモン!」

 ミラーガールから急かされるジャッジ・ザ・デーモンだが、彼は常に冷静沈着だった。

「……まずは一旦、鬼の忍衆の隠れ里に戻ろう。そこで準備してからMrフェイク達の決戦の場へと突入する」

 このジャッジ・ザ・デーモンの判断に、聖龍HEADは同意して一旦隠れ里へと舞い戻った。

 

 しかしこの時、伊藤博文が密かに怪しげな笑みを浮かべていた事には誰も気付かなかった。

 

 

 

[完成! 五つの居城]

 

 伊藤博文を筆頭とした新政府軍との会合が終わろうとした矢先に入ってきた報せ。それはMrフェイクたち異常者(ヒール)の居城が各々完成し、その城を用いて地獄が原での決戦が開戦するとの事。この報せを受けたジャッジ・ザ・デーモン達は一旦鬼の忍衆の隠れ里に帰還して準備を整えるとの事で、新政府軍の戦前基地から出ていくが、その直後から伊藤博文の指示で密かに兵士達が動いている事までは把握していなかった。

 

 そして鬼の忍衆の隠れ里に帰還したジャッジ・ザ・デーモン達は、屋敷の中で全員が正座をして精神を落ち着かせてた。

「この時代の茶葉を使っているので、未来のものよりも美味だと思いますよ」

 そして全員が正座をする中、最前列で正座をするジャッジ・ザ・デーモンに茶を点てるウッズは、自らが点てた茶をジャッジ・ザ・デーモンに差し出した。

 ジャッジ・ザ・デーモンはウッズから差し出された茶のみを、作法に従って飲み干すと一言。

「結構な御点前で」

 

 そして全員が精神統一をした後、ジャッジ・ザ・デーモンは鬼の忍衆が用意してくれた鎧兜に数人がかりで着させてもらう。

 この幕末の日本に来て以来、Mrフェイクとの戦いの中で全ての装備を失ったジャッジ・ザ・デーモンに、鬼の忍衆は漆黒の鎧と兜そして日本刀をジャッジ・ザ・デーモンに与えてくれたのだ。

「ジャッジウイング、ジャッジモービル、すべて失った。だが、まだ……この体が残っている……!」

 鎧を装着させてもらったジャッジ・ザ・デーモンは、右手に忍道具のくないを握りしめて、自分にはまだ鍛え抜いた肉体があると言い聞かせる。

 こうして鬼の忍衆から受け取った鎧や兜に刀そして鬼の仮面を装着した、通称サムライ:ジャッジ・ザ・デーモンは再び正座をし、同じく正座する聖龍HEADと向き合って対話する。

「みんな! 俺は皆と違って特殊能力を使わない状態でジャッジ・ザ・デーモンの活動をしてきた。だが、それは同時に特性のガジェットが必要不可欠だった。しかし今では、全ての装備を失い、俺に残された力は何もないのかと落胆してた」

『………………』

「だが……! 鬼の忍衆は、こんな俺を最後まで伝説の忍としてサポートしてくれ、信頼してくれた。そして彼らから、この時代なりに得られる強さを……武力と戦術を賜った! 俺は鬼の忍衆の期待に応えたい! 与えれた装備と、俺自身の肉体を用いて……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンからの切羽詰まった熱弁を聞いた聖龍HEADは、やや呆れながらもジャッジ・ザ・デーモンに返事した。

「……ふぅ、修司。お前はまた大事な所が抜けてるぞ」

「?」ジャッジ・ザ・デーモンが一瞬きょとんとしてると、メタルバードが明言した。

「確かに、この時代の忍達から得た戦術に武具などは重要な戦力になってるのは明白だ。だがな、それ以前に……オレたち聖龍HEADという仲間って戦力がいるのを忘れないでくれよ」

「お前達……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンが驚いてると、メタルバードに続いて他の聖龍HEADの面々も笑みを浮かべて応える。

 そんな頼もしい仲間達を前に、ジャッジ・ザ・デーモンは内心の喜びを表情には出さず、咄嗟に自分が正座している畳を片手で激しく叩いた。

 するとジャッジ・ザ・デーモンが叩いた畳に続いて、彼の周りの畳が一気に返されていき、反転した畳の裏側にはびっしりと鬼の忍衆が用意してくれた数々の忍具が揃えられてた。

『!』

 畳の裏側から出てきた数多の忍具に驚く聖龍HEADを前に、ジャッジ・ザ・デーモンが発した。

「さあ、出陣だ」

 このジャッジ・ザ・デーモンの言葉に、その場の聖龍HEAD全員が同意。いざ決戦の地獄が原へと向かう

 

 ジャッジ・ザ・デーモンが未来から持ち寄った武装は全て失われた。残された武器は、洗練された己の肉体と忍たちの武具のみ。

 託された思いを背負い、ジャッジ・ザ・デーモンは仲間である聖龍HEADと共にMrフェイク達の暴走を止めに出陣する。

 

 

 一方その頃。

 Mrフェイクの洗脳によって各々で造り上げ、改造して完成させた居城を稼働させて、地獄が原で決戦を始めようと各地の異常者(ヒール)達も動き始めてた。

「……この国は黄金の国。その全てを、このイーグルのものとする……!」

 Mrフェイクの洗脳によって完全に、この幕末日本を手中に治めようと野心を滾らせるイーグルこと三枝鷲雄。イーグルが飼い慣らしている無数の猛禽類達が雄叫びを上げる中、イーグルは指令を叫んだ。

「難攻不落の鳥人城、進めィ!!」

 すると長崎の出島に建造してた鳥人城が変形し、機動力抜群の四つの脚部で地獄が原へと移動を開始する。

 

「面白い! 誰が一番強いか、思い知らせてやる!」

 完成した五稜郭の中心部で、力で支配している新撰組残党を配下に置いているグービンシーは、愛用している改造銃を号令代わりに放つと指令を下す。

「五稜郭改め、一触即発の撃砲城! ぶっ飛ばせ!!」

 本来の五稜郭にはない、内部に無数の砲塔を備えた改造された五稜郭は撃砲城と名を変えられ、その五角形の建物の下からせり上がったキャタピラを起動して地獄が原へと向かう。

 

「……フフ……フハハハ! 会津若松だけでなく、日本全土に恐怖をばら撒けるぞ!」

 会津若松藩の鶴ヶ城を改造した居城で、ナイトメアは自分が恐怖政治で支配している会津若松に続いて日本全土を恐怖で支配しようと目論んでた。

「鶴ヶ城……いや、阿鼻叫喚の悪夢城! 発進、ゴーー! ……一片、言ってみたかった」

 鶴ヶ城を改造した悪夢城を発進させ、ナイトメアも地獄が原へと進撃する。

 

 そして最後、ブラックホワイトは和同開珎を弾いて言い渡す。

「敵は、地獄が原にあり!」

 ブラックホワイトの命令で、巨大な居城は稼働して地獄が原へと前進する。

「表裏一体の双面城、出陣!!」

 裏側に阿修羅観音像を模した双面城を発進させ、ブラックホワイトは他の異常者(ヒール)たち同様、地獄が原を目指す。

 

 そしてMrフェイクが居城とする江戸城では。

 江戸町民が逃げ惑う中、巨大稼働ロボに改造した江戸城を発進させ、Mrフェイクが一足先に地獄が原で他の異常者(ヒール)達が到着するのを待ち侘びていた。

「クックックック、遂に始まっちゃうよぉ……! 幕末・日本を舞台にボクちゃんを含んだ異常者(ヒール)の誰かが、今の日本を支配するかを決定する大決戦が! はは、ははは……! もう興奮し過ぎで眠れないよォ」

 完全に興奮状態のMrフェイクは、変形ロボに改造した江戸城を発進させて、どの異常者(ヒール)よりも先に地獄が原にて、彼らが来るのを待ち続けた上で誰が幕末の日本を支配するかを決定するゲームを始める気満々だった。

 

 

 

[乱戦の五城]

 

 鬼の忍衆が用意してくれた鬼の仮面に続き鎧と兜も装着したジャッジ・ザ・デーモンは、聖龍HEADと共に地獄が原へと進軍する。

 セーラー戦士達にカードキャプターら自力で飛行できる聖龍HEAD以外のメンバーは、ジャッジ・ザ・デーモンと同じく鬼の忍衆が用意してくれた軍馬に跨り大地を轟かせて駆け抜け、急ぐ。

 更に飛行と疾走を並行して地獄が原へと駆け付けるジャッジ・ザ・デーモン達に追走する様に、ゴンゾウ率いる鬼の忍衆達も絶えず同行してくれた。

 

 一方その頃。

 軍馬で駆けつけるジャッジ・ザ・デーモン達よりも、先に地獄が原へと到着してたMrフェイク、そしてMrフェイクに続いて到着した異常者(ヒール)達は、各々のロボの変形させた居城で戦い合っていた。

「ガハハハッ……この速さ、まさしく猛禽類並みよ!」

 機動力抜群の鳥人城で、戦場を自在に動き回って撹乱しながら距離を詰めるイーグル。

 だが、そんなイーグルを標準に定めて狙撃するのが、内部に設けられた無数の砲塔を備える五角形の五稜郭を操作するグービンシー。

「フハハッ、イーグルの奴め。いくら、すばしっこくても俺の狙撃の前では止まってるも同然……!」

 グービンシーが城主の五稜郭改め撃砲城からの砲撃に脚部が直撃し、横転してしまうイーグルが城主の鳥人城。

 イーグルとグービンシーが対決してるその時、周囲に恐怖ガスを撒き散らしながら江戸城に攻撃する悪夢城城主のナイトメア。

「ハハハハハ……Mrフェイクめ、此方には凄腕の狙撃手がいるんだ。私が造らせた対戦車ライフルで、その江戸城ごと粉々にしてやる」

 不敵に笑みながら、この時代に造らせた普通のこの幕末には現存しない筈の対戦車ライフルを、会津若松で有名な狙撃手に撃たせて江戸城を攻撃させるナイトメア。

 そんなナイトメアの攻撃を、Mrフェイクは直属の配下として扱ってる双面城が城主のブラックホワイトに攻撃させて、二城同時に悪夢城を攻撃してた。

「……フッ」

 しかし、Mrフェイクが城主の江戸城と共に悪夢城に攻撃してた双面城は、突如としてMrフェイクが城主の江戸城を、その阿修羅観音像を模した複数の手で直接殴りつけて攻撃してきた。

「うおッ!?」

 突然のブラックホワイトの攻撃に驚いてしまうMrフェイクだが、すぐに状況を理解する。

「クックック、ブラックホワイト……頃合いだと思ってたよ。君のもう一つの人格、反面性を担う性格でボクちゃんを裏切るんじゃないかと予想はしてたよ……!」

 Mrフェイクは、ブラックホワイトの反面性の人格障害から、彼がMrフェイクを離反するのは容易く予想できたと怪しい笑みで述べる。

「ガハハハハ……Mrフェイクめ、俺はもうお前の命令には従わない。全てはこのオセロの駒……いや、和同開珎が示してくれる」

 そう言うとブラックホワイトは和同開珎を弾いて、裏表の二者択一の占いをして攻撃の標的を定めた。

「ふふ、次も……Mrフェイクの居城、江戸城を攻撃! 続け様に悪夢城を攻撃しろ!」

 ブラックホワイトがそう命ずると、双面城から小型ミサイルが多数発射され、Mrフェイクの江戸城を攻撃。更に続け様に悪夢城へとミサイルが着弾される。

 しかし小型ミサイルが着弾しても、ナイトメアは怯む事無く、悪夢城に同乗させてる狙撃手に対戦車ライフルで江戸城と双面城を立て続けに攻撃させた。

 だが其処に、一騎打ちに乗じてたイーグルの鳥人城とグービンシーの撃砲城が全速前進で向かってきて、三つの城を一斉に攻撃してきたのだ。

「うりゃーーっ!」「俺様が一番だッ!!」

 イーグルとグービンシーは目を滾らせて向かってきて、五つの城はまさしく乱戦乱舞状態でぶつかり合った。

「ふふ……フハハハッ! サイコーーだよ、ホント! 此処まで各自の戦闘マシーンで戦い合うなんて、スパロボみたいで興奮するよ!!」

 こんな乱戦状態の最中、Mrフェイクはアドレナリン全開で興奮するのだった。

 

 Mrフェイクたち異常者(ヒール)が各々の城で乱戦してるその時。

 ようやく軍馬を走らせて地獄が原へと到着したジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの面々が、丘の上から地獄が原での混沌とした戦況に愕然としてた。

「おいおい、これじゃマジでスーパーロボット大戦シリーズのワンシーンみたいじゃないか」

「ふざけてる……!」

 メタルバードが唖然とする中、セーラーウラヌスは怒りで感情が昂る。

「ジャッジ・ザ・デーモン! 私達も……」

「いや、待て! 迂闊に近付けば、俺達も乱戦に巻き込まれてしまう。此処は戦況を伺いつつ、行動しなければ……」

 ミラーガールからの問い掛けに、ジャッジ・ザ・デーモンは乱戦に巻き込まれない様に、戦況を伺いながら行動するべきだと唱える。

 と、ジャッジ・ザ・デーモン達がMrフェイクたち異常者(ヒール)の乱戦を様子見してるところに。なんと別所から大砲の砲撃音が聞こえてきたと思いきや、乱戦してるMrフェイクたちの居城に攻撃する一団が。

「!?」

 突然の轟音を鳴らす大砲での砲撃にジャッジ・ザ・デーモン達が驚き振り向いてみると、なんと地獄が原の端で一列に並んで大砲を撃ってる新政府軍の兵士達の姿が見受けられた。

「新政府軍!?」「なんで此処に?」

 聖龍HEADの獅堂光に龍咲海が戸惑ってる中、ジャッジ・ザ・デーモンが零した。

「ッ、伊藤総理め……乱入しないと言ってたのに」

 ジャッジ・ザ・デーモンは、伊藤博文が約束を破ってMrフェイクたち異常者(ヒール)と自分達の戦闘に立ち入った事態に口を歪ませた。やはり政治家はいつの時代も信用できないと踏んだ。

「撃て撃てッ! 砲撃の手を緩めるな!!」

 一方の地獄が原の新政府軍は乱戦状態のMrフェイクたちの居城に向けて砲撃の手を緩めず、絶えず砲撃してた。

 この砲撃を続ける新政府軍の傍らには、あの伊藤博文の姿もあった。

「伊藤はん、良いのかい? 彼らに、戦いには手出し無用って言われてるのに……」

 新政府軍を現場で直接指示する伊藤博文に、歩み寄ってきた西郷隆盛が声をかけるが。

「あんな日本人だが何だか分からない連中に従っていられるか! 古き日本を新しき国家に建て直すためにも、一刻も早くあの異常者共を駆逐せねば……!」

 伊藤博文は聖龍HEADを自分達と同じ日本人とは捉えておらず、彼らの言う事を聞く気にはなれないらしい。

 だが、そんな新政府軍の砲撃に気が付いたMrフェイク達は、自分達の居城に備えている砲塔で反撃。並列する新政府軍の大砲に砲撃してきた。

「うわーーっ!」「退避! 退避ーーッ!」

 飛来する数多の砲弾から慌てて退避する新政府軍の兵士達。

 と、逃げ惑う新政府軍の兵士達を、上空からミラーガールや木之元桜たち飛行可能な聖龍HEADが飛来して駆け付けてはバリアーなどの技で兵士達を砲撃から守る。

「早く逃げて!」

 ミラーガールの声に、兵士達は軽く頷くと足早に腰を抜かしながら逃げていく。

 そんな反撃されて大砲を破壊されながらも退避していく兵士達を見て唖然とする伊藤博文と西郷隆盛の許にセーラーマーキュリーとセーラーマーズが頭上から降り立って訴える。

「伊藤総理! 戦いには手出ししないって約束だったでしょ!」

 セーラーマーキュリーの訴えに対して。伊藤博文は怒鳴り返すように反論した。

「うるさい! お前たち訳の分からない連中の口出しこそ無用だ! 日本を新国家として建国するのは、我々新政府軍の役目なのだ! 貴様ら正体不明の輩の言う事なぞ聞いてやれるか!」

「………………っ」

 伊藤博文の反論に嫌気がさすセーラーマーズであったが、そんな彼女達を宥める様に西郷隆盛が言った。

「す、すんもはんでごわす。伊藤はんは、あのMrフェイクっちゅう未来人が来てから、日本が新国家に生まれ変わるのが遅れたとして、少し焦ってるだけなんばい。ホンに申し訳ないでごわす」

「こら、西郷! こんな日本人なのかどうかも分からない奴らに頭なぞ下げる必要はない!」

 謝罪する西郷隆盛に伊藤博文が怒鳴るのだが、この時の台詞にセーラーマーキュリーもセーラーマーズも気分を害した。

 

 その頃、メタルバードやちせを筆頭とした飛行グループは乱戦し合ってるMrフェイク達の居城の周りを飛び交い、戦況を伺ってた。

「此処まで来ると、ホントに異常だぜ。江戸城や五稜郭なんかの実在の城をロボットや変形マシンに改造して戦わせるなんて……」

「本当に腹が立つわ! 五稜郭なんか砲塔だらけにして、完全に戦闘マシーンにしちゃってるし……!」

「ち、ちせ。お前、なんか珍しく怒ってるな……」

「だって、北海道民にとって、大事な遺産である五稜郭を改造されているのよ! そりゃ、腹も立つわよ」

 珍しく感情を昂らせるちせを見てメタルバードが唖然とするが、当のちせは北海道民にとって大切な文化の一つでもある五稜郭が改造されている事態に怒りを感じるのは道理だと説く。

 するとその時。戦い合う城の周りを飛び交ってたメタルバードとちせの二人に向かって、ナイトメアが城主である悪夢城から特大の弾丸が飛来してきて、ちせに直撃する。

「っ!」「ちせ!」

 特大の弾丸に直撃して、一瞬ばかり動きを乱すちせをメタルバードが両脇に腕を差し込んで支えながら飛行する。

「い、今の弾は……?」「今のは、まさか対戦車ライフル!?」

 驚き戸惑うちせとメタルバードの二人。此処でメタルバードが機械化してる自身の眼球で悪夢城を捕捉し、ズームアップして対戦車ライフルを撃った狙撃手を特定しようとする。

「う~ん、此処からじゃ、どんな奴が狙撃してるか分からないが……それでも、この時代の日本にもまだ現存してない筈の対戦車ライフルを見事なまでに使いこなせる狙撃手なんて、幕末の日本にいるとは思えないが……」

 悪夢城の内部から対戦車ライフルを扱える人間が、この時代にいる事に対して俄かには信じられないでいるメタルバード。

 

 だが、そんなメタルバードとちせの二人を対戦車ライフルで狙撃した狙撃手を控えさせている悪夢城が、ブラックホワイトが城主の双面城によって横転させられてしまい、悪夢城内部に立て篭もってたナイトメアは目を回して気絶。

 すると今度は、そんなブラックホワイトの双面城に現代ではライバル関係であるイーグルが城主の鳥人城が体当たりし、双面城と鳥人城は激突。

 そんな激しくぶつかり合う双面城と鳥人城に向けて、グービンシーが城主の撃砲城が無数の砲塔から大砲を撃って双面城と鳥人城に砲弾の雨を浴びせる。これによりブラックホワイトとイーグルの二人は気絶してしまう。

「フハハッ、最後に勝つのは、この俺グービンシーだ!」

 そう勝ち誇ってると、そんなグービンシーが操る撃砲城の周りに、どの城よりも巨大なMrフェイクが操る江戸城が砲撃の雨を降らして、グービンシーが搭乗する撃砲城の周りの地形を抉る。

 すると地形が抉られた事で、キャタピラ走行してる撃砲城こと五稜郭は、キャタピラが地面の溝に嵌ってしまい身動きできなくなる。そこにMrフェイクの江戸城が更に追撃の砲撃の雨を浴びせて、撃砲城もまた戦闘不能に至った。

「キャハハハッ、やっぱり最終的に勝つのはボクちゃんなんだよね~ッ!」

 自分以外の城が戦闘不能に陥ったのを目の当たりにし、Mrフェイクは喜々と笑い転げるのだった。

 

 

 

[合体! キングフェイク]

 

 イーグル、ブラックホワイト、ナイトメア、グービンシー。彼ら四人が操る改造された城、鳥人城、双面城、悪夢城、撃砲城。

 四人の異常者(ヒール)が操る四つの城が戦闘不能に陥ったのを目の当たりにして唖然とする伊藤博文と西郷隆盛。そして一様に驚く聖龍HEAD、だがジャッジ・ザ・デーモンだけはこの戦況を静かに見届けていた。

 

 一方で四人の異常者(ヒール)達を洗脳して各々の城で戦わせていたMrフェイクは、この顛末に興奮しっ放しだった。

「よしよし、まだ異常者(ヒール)達の洗脳はしっかり効いてるみたいだね」

 するとMrフェイクは、将棋盤に模した操作盤に自分が操る江戸城に模した駒を右手の指に構えると不敵に笑んで叫んだ。

異常者(ヒール)のみんなァ……! 合体だよォオオオオオ……ッ!!」

 Mrフェイクが駒を将棋盤に模した操作盤に叩き付けると、その駒と周囲の四つの駒が変形。すると忽ち四人の異常者(ヒール)達が操作する城が動き出した。

 狂喜乱舞で絶叫するMrフェイクと連動する様に、彼が城主を担う江戸城に続々と異常者(ヒール)達が操る城が集結する。

 そして難攻不落の鳥人城が左足に、表裏一体の双面城が右足として江戸城と連結。

 更に一触即発の撃砲城である五角形の五稜郭から腕部が伸びて右腕に盾を構えた様に変形・連結。そして阿鼻叫喚の悪夢城が左腕にと連結。左右の連結した城から拳の部分が出現。

 最後に胴体を担う江戸城の天守閣が顔の様に変形して、更に内部から英字のFを繋げた様なアイマスクが飛び出しては、顔に変形した天守閣の正面に装備されて合体完了。

 鳥人城イーグル、撃砲城グービンシー、悪夢城ナイトメア、双面城ブラックホワイト、そして江戸城Mrフェイクの脅威の五城合体を成した。

『五城合体ッ! 超絶大将軍、キングフェイク!!』

 

 四つの城を、自らが操作する江戸城と合体させたMrフェイク。

『………………』「………………」

 合体したキングフェイクを前に、愕然として立ち尽くすしかない聖龍HEADの面々だが、ジャッジ・ザ・デーモンだけは険しい面持ちで合体したキングフェイクを見据えてた。

 するとキングフェイクは地獄が原へと集結してた新政府軍の軍勢を視認して、彼らの許へと巨大な機体で接近してきた。

「うひゃひゃひゃっ、やっと思い描いてた五城合体を成したんだ! このままアリンコみたいに邪魔な新政府軍も……ゆくゆくは天皇家も踏み潰して日本を支配ちゃおっかな!」

 そう笑い飛ばすMrフェイクは、キングフェイクを操作して新政府軍の軍勢へと歩み寄る。

「うわーーっ!」「に、逃げろーーっ」

 巨大な合体ロボのキングフェイクに怖気付き、逃げ惑う新政府軍の兵士達。

 この非常事態に、ジャッジ・ザ・デーモンたち自力で飛行できない面々は、乗馬してきた軍馬に積み込んでた滑空機すなわちハンググライダーを積荷の木箱から取り出して組み立てると、それを用いて上空を滑空してキングフェイクに接近を試みる。

「まさか……! 五つの城が形成したロボットが合体するとは……!」

「とことんフザケてるわ……!」

 ハンググライダーで滑空するジャッジ・ザ・デーモンに、東京ミュウミュウのミュウザクロが巨大なキングフェイクを見て言葉を発する。

 そのままジャッジ・ザ・デーモンに、ジュピターキッドとナースエンジェル、コレクターズに魔法騎士、東京ミュウミュウズにマーメイドメロディーズの面々はハンググライダーで滑空しながら巨大ロボ・キングフェイクの周りを見渡した。

 と、キングフェイクの周りを周回してたジャッジ・ザ・デーモン達の存在に内部で操作するMrフェイクも気付いた。

「ん? ニヒヒ、そんな時代遅れのハンググライダーなんて目じゃないよッ!」

 そうMrフェイクが叫んだ瞬間、キングフェイクの右腕あの五稜郭改め撃砲城から無数の砲塔が出現し、其処から放たれた無数の砲弾の雨がジャッジ・ザ・デーモン達に浴びせられた。

「ッ、回避するぞ!」

 浴びせられる無数の砲弾の雨にジャッジ・ザ・デーモンは回避するよう共に飛行する仲間達に伝えるが、仲間達の中には上手く回避する事ができずハンググライダーの羽が破損して不時着してしまう者もいた。

「うわあっ!」「みんな!」

 地面に落下するナースエンジェルにコレクターユイ、そしてミュウミント達を見下ろしてジュピターキッドが慌ててしまう。

 しかし、そんな地面へと落下する仲間達をメタルバードたち飛行可能な聖龍HEADが駆け付けては、空中で受け止めて無事に保護するのだった。

 一方でキングフェイクの猛攻は激しさを増し、あろうことかMrフェイクはキングフェイクに搭載されているだけの小型ミサイルを全弾発射して聖龍隊や新政府軍を攻撃する。

「ッ、このままじゃ全員やられる……! みんな、一旦着地して攻撃を回避するぞ!」

 自由自在に空中では動けない状況での、対空戦では此方に負があるとしてジャッジ・ザ・デーモンは聖龍HEADに一旦着地してから回避するよう指示する。

 同じく、キングフェイクの猛攻に晒されて伊藤博文や西郷隆盛が率いる新政府軍も用意してた大砲を捨てて急ぎ退避するのであった。

「退避ーーッ、退避ーーッ!」

 急遽退避した為に新政府軍の人命には犠牲は出なかったが、代わりに用意した大砲は全て破壊されて使用不能に至ってしまう。

 同じくキングフェイクの猛攻を浴びせられて、急きょ着陸してメタルバード達と合流したジャッジ・ザ・デーモン達は、駆け足で戦場を駆け抜けてキングフェイクと距離を離す。

「どうすんだジャッジ・ザ・デーモン! このまま逃げっ放しじゃ勝ち目ないぞ!!」

「慌てるな! 一旦、距離を置いてから作戦を講じる……!」

 滑空して退避するメタルバードに、隣で駆け足で退避するジャッジ・ザ・デーモンが返答する。

 

 そしてキングフェイクと距離を置いた上に、キングフェイクからの小型ミサイル等の猛攻がやんだ頃合いを見計らってジャッジ・ザ・デーモンが頭の中で練った作戦を聖龍HEADに伝える。

「まずは、キングフェイクの機動力……すなわち脚部を破壊して動きを止める事だ。左足の鳥人城に右足の双面城、その膝部分を強力な攻撃で破壊して動けなくなったところで、俺を始めとする面々が城内部に突入して、犯罪者達を押さえ込む」

「分かった。それならオレとちせに任せてくれ。他の面々はキングフェイクの足止め及び撹乱をお願いする。それでいいな、ちせ」

「うん!」

 ジャッジ・ザ・デーモンからの作戦を聞いて、メタルバードは自分とちせの二人でキングフェイクの膝部分を破壊して機動力を失くすと宣言。これにちせ本人も同意する。

 まず作戦として、ジャッジ・ザ・デーモンを始めとする面々で、キングフェイクの周囲を駆け巡り撹乱させて動きを封じると同時に、空中でもセーラー戦士達やキューティーハニーにミラーガール達が背中から翼を出現させて飛行して同じくキングフェイクを攪乱させる。その間、メタルバードとちせは連結して、メタルバードのソーラーパネルで充電した電力をちせに供給して、ちせの強力なレーザーでキングフェイクの両膝部分を撃ち抜く算段になっていた。

「ハハハハハッ……なにかを企んでいるんだね、デーモン。それぐらい分かっちゃうけど、でもそうやってキングフェイクの周りを走り回ってばかりで良いのかな? それに同じく周回するセーラー戦士やミラーガール達も危ないんじゃないかな……! クックックック……」

 自身が操作するキングフェイクの周りを駆け回るか旋回するジャッジ・ザ・デーモン達を視認して、Mrフェイクは不敵に微笑む。

 すると五稜郭の五角形そのままの、盾の様に装備された右腕から無数のマシンガンの銃口が出現して、周囲を旋回するミラーガールやセーラー戦士達に銃撃が向けられる。

「うわっ! ま、マシンガン!?」

「Mrフェイク、いえ、グービンシー……! マシンガンなんて、この時代の日本にはない武器まで造らせていたのね……!」

 突然向けられるマシンガンの銃撃にミラーガールが驚く中、彼女達と同じく飛行してるキューティーハニーが五稜郭改め撃砲城を造らせたグービンシーに苛立ちを覚える。

 その様子を見上げていたジャッジ・ザ・デーモン達は、上空で交戦するミラーガール達を心配しつつも自分達の役割を全うするのだが。

「クックック……そぉれっ! 今度は悪夢城でナイトメアが精製した恐怖ガスを浴びるんだ!!」

 Mrフェイクがそう言うと、今度は左腕を担う悪夢城からナイトメアが精製した恐怖ガスが噴出されて拡散される。

「いかん! 全員、鬼の忍衆が手配してくれたガスマスクを着用!」

 地上を駆け回るジャッジ・ザ・デーモンからの指示に、上空で飛行する面々もジャッジ・ザ・デーモンと共に地上を駆け回る面々も同時に、鬼の忍衆が手配してくれたこの時代では最新鋭のガスマスクを顔に着用して、ナイトメアお手製の恐怖ガスから自衛した。

 しかし此処で問題が。なんとナイトメアが精製した恐怖ガスが、紫色の煙であり、上空・地上ともに視界が遮られてしまったのだ。

「ッ! 視界が……!」

 視界が遮られる中、ジャッジ・ザ・デーモンは何とかキングフェイクの周りを駆け回る。だが、地上を走る面々の視界が遮られたのを良い事に、Mrフェイクはキングフェイクで周囲を駆け回るジャッジ・ザ・デーモン達を踏み潰そうと巨体を唸らす。

「うわっ!」

 地上を駆け回る七海るちあ達が巨大な足に踏まれそうになるのを見て、上空を飛行してる仲間達が慌て始める。

「いけない!」

 木之元桜が何とかカードで紫色の恐怖ガスだけでも吹き飛ばそうとするが、彼女がカードを発動させる前にキングフェイクが巨大な腕を振り回してさくらを逆に吹き飛ばしてしまう。

「うわっ!」「さくらちゃん!」

 巨大なキングフェイクの腕での突風で吹き飛ばされたさくらをセーラーサターンが急いで助けに向かう。

 こんな混戦状態で、ジャッジ・ザ・デーモンは念を飛ばしてメタルバードにテレパシーで通話した。

(バーンズ、まだか! このままじゃいづれ、俺達の誰かがキングフェイクに踏み潰されるか腕で振り払われて痛手を負っちまう……!)

(待ってくれ! あともう少しで、ちせのレーザー攻撃が可能なまでに充電が完了する! それまでもう少しだけ辛抱してくれ……!)

(急いでくれ!)

 ジャッジ・ザ・デーモンがメタルバードとテレパシーで通話している最中も、キングフェイクは周囲を飛び交うか、または地上を駆け回るジャッジ・ザ・デーモン達を攻撃する。

 

 そしてジャッジ・ザ・デーモン達がキングフェイクに奮闘してるその頃。

「……い、今だ! 今のうちに、あの合体した城と異人共を攻撃しろ!」

「伊藤はん! 彼らはわしらの為に命懸けで戦ってくれとるんじゃぞ! それなのに一緒に攻撃するなんて正気の沙汰じゃないでごわす!」

「なにを言ってるんだ西郷! Mrフェイクもあいつらも、未来から来たと抜かしている変人狂人の類だ! そんな奴らが今では一緒に、同じ場所で戦い合ってる……この好機を逃せば、連中を一緒に叩ける機会はもう訪れないかもしれん! 今の内に総攻撃するんだ!」

 なんと伊藤博文がキングフェイクだけでなく、そのキングフェイクと死闘を展開しているジャッジ・ザ・デーモン達にも大砲で攻撃するよう指示を飛ばしてた。これには西郷隆盛も反論するが、伊藤博文はMrフェイクたち犯罪者もジャッジ・ザ・デーモン達も同じ未来人であり、かつ日本人とは思えない容姿の為にこの好機に一緒に排除しようと躍起になっていた。

 しかし、そんな伊藤博文に新政府軍の兵士の一人が報告してきた。

「あ、あの伊藤総理……命令を実行したいのは山々なんですが、その………………大砲が全て……」

 その兵士の視線の先を、伊藤博文と西郷隆盛が追うと、新政府軍が地獄が原に持ち込んできた大砲全てが先ほどのキングフェイクの攻撃で破壊されて完全に使えなくなっているのが目に入った。

「くっ……! こんな時に!」

 この状況に、伊藤博文は激しく苛立った。

「あとは……あの未来から来た若者たちに全てを委ねるしかなかとね」

 西郷隆盛の冷静なこの判断に、伊藤博文は睨み付ける様に戦場へと視線を向けた。

 

 一方でジャッジ・ザ・デーモン達はキングフェイクからの銃撃に恐怖ガスの二重猛攻に苦戦を強いられ、一旦地上に降りてミラーガールやセーラームーン達のバリアーで自衛する。

 そんなジャッジ・ザ・デーモン達をキングフェイクは腹部からの砲口から噴出する灼熱の火炎放射を浴びせるが、ミラーガール達は懸命にバリアーで守る。

「っ……いつまでも耐えれないわ!」

「このままじゃ、いづれ私たち燃やされちゃう!」

 ミラーガールにセーラームーン達が悲痛な声と表情で訴える中、ジャッジ・ザ・デーモンは再びテレパシー使いのメタルバードに念を飛ばして通話する。

(バーンズ、まだか!)(あともう少しだ……!)

 当のメタルバードとちせの方も、メタルバードの太陽光発電でちせに十分な電力が供給されて、充電が満たされる寸前だった。

 そして……

「よしッ! 充電完了! ちせ、あとは任せたぞ!」

 ちせへの電力が充電完了し、メタルバードはちせにレーザー攻撃を一任する。

 メタルバードより一任されたちせは、標準を合わせてキングフェイクの両膝に狙いを定めた。

 そして、ちせは一気に体内のエネルギーをレーザーに変換して発射。二対に分岐したレーザーはキングフェイクの両膝に直撃し、巨大なキングフェイクは崩れ落ちる様にその場に膝を着いた。

「やったか!」

 ちせのレーザー攻撃が功を成してキングフェイクの両膝を撃ち抜いた事で機動力を奪い、キングフェイクを停止させた結果にジャッジ・ザ・デーモンは好機を見出す。

 するとキングフェイクの停止に喜ぶジャッジ・ザ・デーモン達の許に、上空で滞空してたメタルバードとちせの二人も降り立って、ジャッジ・ザ・デーモンと会話する。

「やったな、相棒!」

 喜ぶメタルバードに、ジャッジ・ザ・デーモンは険しい面持ちで言った。

「まだだ。まだMrフェイクを止めねば……」

 そう言うと、ジャッジ・ザ・デーモンは駆け足で膝を着いて停止するキングフェイクへと駆け出す。

「俺はMrフェイクを止める! 他の異常者(ヒール)は任せた!」

 このジャッジ・ザ・デーモンの発言に、聖龍HEADの四人も力強く唱えた。

「よし! オレはグービンシーを迎え撃つ!」

「私はナイトメアを……!」

「それなら私はイーグル……!」

「僕はブラックホワイトを叩くよ」

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンに続き、メタルバードはグービンシーを、ミラーガールはナイトメアを、ウォーターフェアリーはイーグルを、そしてジュピターキッドはブラックホワイトを捕縛に向かった。

 

 

 

[死闘! 四人の犯罪者たち]

 

 両膝を撃ち抜かれた事で停止した巨大合体ロボ・キングフェイクの間近まで接近したジャッジ・ザ・デーモンは、鬼の忍衆から配布された鍵爪付きの投げ縄でキングフェイクの屋根瓦に鍵爪を引っ掛け、よじ登っていく。

 ジャッジ・ザ・デーモンに続けと、ジュピターキッドも自らの武器である茨の鞭で同じ様に屋根瓦に鞭を引っ掛けて城壁をよじ登る。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンとジュピターキッドを横目に、自力で飛行できるメタルバードとミラーガールとウォーターフェアリーは一足先に城内へと進入していく。

「ジャッジ・ザ・デーモン、オレ達は先に片づけておくぜ」

「ああ、頼んだ」

 メタルバードからの呼びかけに、ジャッジ・ザ・デーモンは素っ気なく返答する。

 

 そしてジャッジ・ザ・デーモンとジュピターキッドを通過して、メタルバード達は先に城内へと進入。

 最初に左足を形成している難攻不落の鳥人城にウォーターフェアリーが突入し、中で操縦してたイーグルこと三枝鷲雄と対決。

「ガハハハッ、小娘の分際でオレ様に勝てると思ってるのか!」

 イーグルは常に持ち歩いているステッキから連結鎖を出して、それをヌンチャクの様に扱ってウォーターフェアリーと闘う。

「そりゃッ」

 武器を振り下ろすイーグルの猛攻を、ウォーターフェアリーは俊敏な動きで避けては接近戦へと持ち込む。

 と、ウォーターフェアリーとイーグルが死闘を展開していると、イーグルは此処でなんと足元に隠し持っていたミニガンの様な銃火器を持ち上げて、ウォーターフェアリー目掛けて豪快に連射した。

「うわっ!」

 ウォーターフェアリーは慌てて回避していくが、イーグルのミニガンでの猛攻の勢いは収まらない。

 ミニガンでの銃撃を物陰に隠れてやり過ごそうとするウォーターフェアリー。だがこの時、彼女はある事実に気付く。

「……、っ! そうだ。私、別に隠れなくても良かったんだ」

 何かを思い出したウォーターフェアリーは、物陰から颯爽と飛び出すと一直線にイーグルへと駆け出す。

「ギャハハッ、バカな小娘め。ハチの巣にしてやるわ!」

 そう叫ぶとイーグルはウォーターフェアリー目掛けてミニガンを連射して、彼女に銃弾の雨を浴びせた。

 だが、無数の銃弾を浴びたウォーターフェアリーの体を、銃弾が全て貫通しながらもウォーターフェアリーは無傷だった。

「な、なんだと!?」

 驚愕するイーグルにウォーターフェアリーは接近すると、その美脚から放たれる強烈な蹴りでイーグルの顔面を蹴り上げ、イーグルを気絶させるのだった。

「きゅうぅ……」

 弱々しく声を上げて気絶するイーグルを見下ろして、ウォーターフェアリーは高らかに宣言した。

「私に物理攻撃は効かないわよ!」

 ウォーターフェアリーは流動体質系の能力者であり、如何なる物理攻撃も水に変化する肉体を傷付ける事はできないのだった。

 

 その頃、ウォーターフェアリーに遅れてジュピターキッドが右足の双面城内部に突入し、籠ってたブラックホワイトと闘ってた。

「コイツ!」

 ブラックホワイトは二丁拳銃を両手に携えて連射してジュピターキッドを攻撃するが、ジュピターキッドは上手い具合に天井の梁裏で時折身を潜めながらブラックホワイトに接近する。

 そして茨の鞭で右手の銃を叩き落とし、左手の銃を鞭で強奪して無防備に晒すと、ジュピターキッドは銃を床に捨ててブラックホワイトに鞭と拳での両方で打撃を与えていく。

「ぐわッ、ぎゃッ!」

 茨の鞭の棘での痛みと、拳による殴打の痛みに悶えるブラックホワイト。

 そして遂にブラックホワイトはジュピターキッドによって痛め付けられ、気絶してしまう。

 

 同じ頃、ミラーガールは鶴ヶ城改め悪夢城の左腕に突入し、操縦席に座ってたナイトメアを打ち取ろうとした。

「ナイトメア!」

 ミラーガールがナイトメアへと駆け出そうとしたその矢先、彼女の背後から銃口が狙ってるのに気配で勘付く。

 背後からの殺気に勘付いたミラーガールが銃撃を華麗にかわして、振り返ると同時にミラー・シールドを投擲するのだが。

「うわっ!」「!? 女性?」

 なんとミラーガールを銃で狙撃しようとしてたのは女性だった。女性はミラーガールが咄嗟に投げたミラー・シールドが構えてた銃に直撃して叩き落されて怯んでしまう。

 だが狙撃してきた人物が女性である事を知って驚いていたミラーガールが唖然と立ち尽くしていると、女性は叩き落された銃を急いで拾い上げ、再び銃口をミラーガールに向けて構える。

「あなたは、一体……!」

 ミラーガールが銃口を向けてくる女性に圧倒されていると、ミラーガールの背後の操縦席で怪しく笑むナイトメアが命じた。

「はっはっは! 八重、そうだ! そのままミラーガールを撃ち殺せ!」

(! 八重って、まさか後の新島八重!?)

 ナイトメアが発した名にミラーガールは愕然とした。ミラーガールに銃口を向けるのは、会津若松藩での戦争で活躍した山本八重のちの新島八重であったのだ。

 しかし八重の方は、ナイトメアの会津若松藩での恐怖政策ですっかり怖気付いてしまってるのか、やや表情に陰りが見えてた。

「山本八重さん! ナイトメアの恐怖に支配されないで! 本来のあなたは勇気ある立派な会津乙女の筈よ!」

「八重! 早く撃て! 命令だぞ!」

 ミラーガールは八重にナイトメアの恐怖に打ち勝つように促すのだが、それを阻害する様にナイトメアが八重に強く命令する。

 二人からの言葉を聞いて、八重は遂に引き金を引いて銃口から銃弾を発射。

 一発の銃声がその場に響く中、その銃声を聞いてミラーガールが振り向くと、八重が放った銃弾がナイトメアに直撃してた。

「うあ……」

 力なく倒れ込むナイトメアを見届け、八重が勇気を振り絞って言い放つ。

「私は……会津若松の女は弱くない!」

 そんな八重の勇気ある発言に、ミラーガールは自然と笑みが零れるのだった。

 しかし、八重に肩を撃たれて倒れ込んだナイトメアは未だに諦め切れずに再び起き上がろうとするが、そんなナイトメアにミラーガールがミラー・シールドを振り下ろして後頭部を殴り付けた。

 凄まじい衝撃音が響く中、今度こそミラーガールによって気絶させられたナイトメアに、ミラーガールは誇らし気に言った。

「いつの世も、乙女は強いものなのよ!」

 そんなミラーガールの勇姿を目の当たりにして、八重は目を輝かせてた。

 

 ミラーガールが悪夢城から対戦車ライフルを扱ってた山本八重を、恐怖から解放したその頃。

「このヤロッ!」

 メタルバードは撃砲城こと五稜郭の内部で、今やグービンシーの配下に成り下がってしまった土方歳三率いる新選組残党と激しい剣戟を展開してた。

 両腕を刃に変形させて、周囲を取り囲む新選組残党と激しい剣戟をし合うメタルバードは、懸命に新撰組残党を押し返してた。

 すると、そんなメタルバードの前に一人のスーツ風の衣服に身を包んだ剣士が立ちはだかる。

「お前は……!」「来い! 異人の剣士……!」

 一驚するメタルバードにスーツの剣士は怯まず闘いを申し込む。

 メタルバードは日本刀を構える剣士を前に、そんな剣士に一礼をすると敬意の念から変身を解除して元のバーンズの姿で対峙する。

「ほう、それが本来の姿か……!」

 目の前の剣士は変身を解除したバーンズに戸惑う事無く、相も変わらず威圧感を発しながら日本刀を構えてバーンズと対峙する。

 一方のバーンズも、変身するのに必要不可欠なチップバードを日本刀の形状に変化させると同じく身構えて剣士と対峙。

「それじゃ行くぜ……土方歳三!」

 バーンズは目の前の剣士・土方歳三に尊敬の念を抱きながらも、土方歳三と一騎打ちに生じる。

 そして一時ばかしの瞬間が過ぎたその時、両者はほぼ同時に前へと踏み込んで斬り合った。

 双方ともに一瞬の内に斬りかかり、お互いに入れ替わった瞬間に勝負はついていた。

「………………うっ……!」

 急所を外されていたとはいえ、土方歳三はバーンズの刃を受けて崩れ落ちる。

「土方さん!」「副長!」

 土方歳三が傷を負った事で騒然とする新選組残党たち。

 そんな土方歳三に斬った本人であるバーンズが歩み寄ると、自然と崩れ落ちた土方歳三に手を差し伸べて声をかける。

「強いな、土方歳三」

 その言葉に、勝負に負けた土方歳三は負けを認めたかのようにフッと笑みを零すと差し伸べられたバーンズの手を掴んで立ち上がる。

 バーンズと土方歳三、双方ともに互いの実力を認め合った。その時。

 一発の銃声がその場に響き、それと同時に土方歳三が倒れた。

『副長!』「!」声を上げる新選組残党に驚くバーンズ。

 ふとバーンズが振り返ると、その視線の先には改造銃を土方歳三に向けて撃った操縦席のグービンシーの姿が。

「甘いな、土方歳三。銃は剣よりも強し……!」

 銃口から白煙を出す改造銃を向けるグービンシーの一撃で命を落とした土方歳三を目の当たりにして、バーンズは怒りの感情に呑まれる。

「テメェ!!」

 怒声と共にグービンシーへと駆け出すバーンズに、グービンシーは改造銃を連射して攻撃するが、バーンズはその俊敏な動きで全ての銃撃をかわしながらグービンシーへと急接近。

 そしてグービンシーに急接近したバーンズは、足でグービンシーが持つ改造銃を蹴り飛ばし、其処からグービンシーと激しい殴り合いを展開。だが怒りに任せたバーンズの拳を浴びて、グービンシーはその場に倒れ込み、気絶した。

 グービンシーを倒したバーンズが目を向けると、新撰組残党が亡くなった土方歳三の周りに集まり出して彼の死を嘆いた。

「土方さん……!」「副長……ッ!」

 新選組残党の誰もが土方歳三の死を前に悲しみに暮れるのを目の当たりにしたバーンズも胸が締め付けられる思いだった。

「土方歳三……天晴れ、侍魂」

 バーンズは聖龍隊の基礎となった新選組を、今は亡き近藤勇と共に統率してた土方歳三に敬意を表した。

 

 こうしてMrフェイク以外の異常者(ヒール)達との死闘は幕を下ろした。

 

 

 

[決着! 裁きの鬼と偽りの狂人]

 

 四人の異常者(ヒール)達との死闘を終えて、彼らを拘束してた頃。

 一人、キングフェイクの天守閣まで登り詰めたジャッジ・ザ・デーモンは、天守閣にいる筈のMrフェイクの姿を目で追う。

 しかしジャッジ・ザ・デーモンが天守閣に辿り着くと、天守閣内にMrフェイクの姿は見受けられなかった。

 ジャッジ・ザ・デーモンが目で探索してると、ジャッジ・ザ・デーモンの背後から声が。

「やあ、デーモン。遅かったじゃないか」「!」

 背後からの声にジャッジ・ザ・デーモンが気付き振り向くと、彼の背後に忍び寄ってたMrフェイクは素早い動作で天守閣の屋根へと移動する。

 ジャッジ・ザ・デーモンも急ぎMrフェイクの後を追い、天守閣の屋根へと上がると、上がるや否やMrフェイクが日本刀を振り下ろして飛び掛かった。

「そりゃあッ!」

 しかしジャッジ・ザ・デーモンは攻撃を回避して、Mrフェイクと対峙する。

 Mrフェイクと向き合ったジャッジ・ザ・デーモンは、静かに帯刀してる日本刀を抜刀し、その切っ先をMrフェイクに向けて構える。

「ククク、こんなハイテク機材もない古びた時代でもボクを倒そうとするのかい? 君はどうせ、聖龍HEADと違って特殊能力を使わないタダの人間同然だって言うのにさ……!」

 不敵に微笑みながら問い掛けるMrフェイクに、ジャッジ・ザ・デーモンは目付きを鋭くさせて言い返す。

「この時代には、この時代の強さがある……!」

「クックック……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの返答にMrフェイクは微笑するばかり。

 双方ともに睨み合うジャッジ・ザ・デーモンとMrフェイク。

 そして遂に、ジャッジ・ザ・デーモンとMrフェイク、両者の刃が激突。

「行くぞ、Mrフェイク!」「キャーーハッハ!」

 勇猛果敢にMrフェイクに突進するジャッジ・ザ・デーモンに対して、Mrフェイクは奇声を上げながら日本刀を振りかざす。

 

 遂に互いに日本刀を抜刀して決闘するジャッジ・ザ・デーモンとMrフェイク。二人の戦闘は、両膝を破壊されて稼働不能に陥ったキングフェイクの天守閣の屋根上で展開。

 するとジャッジ・ザ・デーモンと激突するMrフェイクが、剣戟しながらジャッジ・ザ・デーモンに問い掛ける。

「デーモン、デーモン! 日本人なら知ってるよね!? こういう時って、年貢の納め時って言うって事を! 年貢って何か解る?」

「税金の類だろ……!」

「そうだよ! 税金の事だよ! 税金の代わりに命を頂戴よ! そして、この幕末の日本で死んじゃいな!!」

 なぜか日本の歴史の知識について語り合いながらジャッジ・ザ・デーモンに斬りかかるMrフェイク。だがMrフェイクからの剣戟を日本刀で受け止め、すかさず拳で顔面を殴打するジャッジ・ザ・デーモン。

「無駄口はもうやめろ」

 顔面に拳を殴り付けたジャッジ・ザ・デーモンが日本刀を構えて言うと、Mrフェイクは不敵に笑いながら再びジャッジ・ザ・デーモンに斬りかかる。

「ヒーローって大変だよね!」

 再びジャッジ・ザ・デーモンと激しい剣戟を展開しながら問い掛けるMrフェイク。

 すると何度もジャッジ・ザ・デーモンから殴られて口元を出血で真っ赤に染めたMrフェイクが不敵に唱える。

「ヒーローは人命を殺せない。けど、ボクら悪者はヒーローの命も誰の命も簡単に殺せちゃう……! そうでしょ、デーモン?」

「………………………………」

「ヒーローに人殺しはできない、けど……ボクは君を殺せちゃうんだよ。ジャッジ・ザ・デーモン」

 ヒーローは基本、命は奪わない。が、悪党や悪役は簡単に人殺しができる。ヒーローと違い、人命を奪える悪役はヒーローの命をも簡単に奪える。そう怪しく不敵に唱えるMrフェイク。

 だが、それでもジャッジ・ザ・デーモンは動揺も戸惑いも怯む事もなく、Mrフェイクに挑みかかる。

 基本的に剣戟を展開する二人だが、ジャッジ・ザ・デーモンは生きてMrフェイクを捕える為に斬る事はせず、拳で殴打して痛め付けるだけに留まってた。

 そして幾度もジャッジ・ザ・デーモンに殴打されたMrフェイクは、出血で口元が紅く染まりながらも意識が朦朧とし、立ち昇る煙の中で後方に倒れ込んで屋根から落ちる様に見えるのだが。

「……って、落ちないよっ!」

 煙の中から背筋を伸ばして起き上がったMrフェイクは、再びジャッジ・ザ・デーモンと距離を詰めて剣戟を展開。

 激しい剣戟の最中、Mrフェイクは日本刀で一突きしてジャッジ・ザ・デーモンが装着する兜を破損させて後ろへと退かせる。

「ッ……!」

 一突きされた日本刀で危うく右目を損傷されそうになったジャッジ・ザ・デーモンは、兜が破損されつつも再び日本刀を構えてMrフェイクと対峙する。

 それから幾度も激しく剣戟を繰り広げるジャッジ・ザ・デーモンとMrフェイク。しかし兼ねてより、剣術にも秀でているジャッジ・ザ・デーモンとの剣戟は、明らかにMrフェイクには不利だった。

「ぐっ……!」「ッ……!」

 激しい剣戟の最中に何度も顔面を殴打されて顔が血だらけになるMrフェイクに対して、依然として勇猛果敢にMrフェイクに挑むジャッジ・ザ・デーモン。

 長き決闘に終止符を打とうと、ジャッジ・ザ・デーモンが一気に前へと踏み込んでMrフェイクに最後の一打である拳を振り翳した、その瞬間。

 一発の銃弾が響き渡った。

 なんと此処でMrフェイクが隠し持ってた拳銃を素早く懐から取り出して引き金を引き、ジャッジ・ザ・デーモンを狙撃したのだ。

「っ………………」

 銃弾を受けて唖然と硬直するジャッジ・ザ・デーモンに対し、Mrフェイクは不敵に微笑みながら言った。

「グヒヒッ……デーモン、奥の手ってのは最後まで隠しておかないとね」

 そしてMrフェイクが発砲した拳銃を撃ち捨てると同時に、撃たれたジャッジ・ザ・デーモンは屋根より落下。

「ははは……ハッハハハハハッ!!」

 ジャッジ・ザ・デーモンを撃って、屋根より落としたMrフェイクは喜々と舞い上がり、高々と笑い声を上げた。

 

 と、Mrフェイクが勝利を確信してた、まさにその時。

 今まさにジャッジ・ザ・デーモンが落下した屋根の下から無数の黒い靄が噴き出してMrフェイクの周りを取り囲む。

「わッ! わッ!?」

 突然自分の周りを覆い尽くすほどに取り囲む黒い靄に戸惑うMrフェイク。

 するとその黒い靄に押し上げられるかのように、落下した筈のジャッジ・ザ・デーモンが印を結びながら登場したのだ。

 本来、デーモンスーツ着用時は使用しない闇の能力を駆使して、自らが操る黒い靄状の闇を纏って浮上したジャッジ・ザ・デーモンは今までの彼ではなかった。

 まさしく闇を纏い、闇を操る忍の裁きの鬼。そう、通称……

 ニンジャ:ジャッジ・ザ・デーモン。

 ゴンゾウ率いる鬼の忍衆から教わった忍術と闇の能力を融合させた戦法でMrフェイクを追い詰めるニンジャ:ジャッジ・ザ・デーモン。

 すると闇に取り囲まれて苦し紛れに藻掻いてたMrフェイクは、遂に屋根端まで追い詰められた末に足を滑らせて真っ逆さまに屋根から落下してしまう。

 屋根から落下するMrフェイク。だが、そんなMrフェイクの足首に投げ縄を巻き付けて捕えて間一髪のところを救うジャッジ・ザ・デーモン。

「ぐふ……っ」

 落下の際、屋根に何度も頭をぶつけて悶絶したMrフェイクに、ニンジャ:ジャッジ・ザ・デーモンが言う。

「奥の手ってのは最後まで隠しておくもんだ、Mrフェイク」

 ジャッジ・ザ・デーモンに声を掛けられながらも、Mrフェイクは頭を何度も打ち付けた為に苦痛の末に気絶してた。

 

 

 

[終幕]

 

 そして時は夕刻。

 ジャッジ・ザ・デーモン達は辛くも激闘の末にMrフェイク達を始めとする犯罪者達を捕縛する事に成功した。

 イーグル、グービンシー、ナイトメア、ブラックホワイト。Mrフェイクだけでなく彼によって洗脳されてた犯罪者達も無事に捕まえる事ができた。

「ありがとう、ゴンゾウ。あんた達の協力がなければ、俺達だけでMrフェイクたちを捕える事は叶わなかった」

「いいのでござる、ジャッジ・ザ・デーモン殿。貴殿らの活躍によって、ようやくこの日ノ本に平和が訪れる事でしょう」

 ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADは改めてゴンゾウたち鬼の忍衆たちに礼を述べた。

 すると其処に新政府軍を従える伊藤博文と西郷隆盛たちがやってきて、ジャッジ・ザ・デーモン達に話し掛ける。

「むぅ……ごっほん! ジャッジ・ザ・デーモン、そして聖龍HEADの諸君! この度はMrフェイクを始めとする悪漢達の捕縛に尽力してくれて、誠に感謝する!」

「伊藤総理、俺達は俺達の責務を全うしただけです」

 渋々ながらに礼を述べる伊藤博文にジャッジ・ザ・デーモンが返答すると、伊藤博文が険しい顔で訴えた。

「……しかし! 新選組残党や山本八重の様に、旧幕府軍側に属して協力してた輩の身柄までは譲渡できん! 奴らは我ら新政府軍がきっちりと処罰を与えなければならん……!」

 だが新選組残党や山本八重たち旧幕府軍に属して新政府軍に敵対してた者たちの身柄だけは引き渡し、彼らには思い処罰を与えると主張する伊藤博文の発言に聖龍HEADは一驚する。

 そんな伊藤博文にジャッジ・ザ・デーモンは冷静に話し出した。

「伊藤総理、あなたの新国家に置けるお気持ちは痛感できます。しかし彼らには彼らの……信念や理想があったからこそ、旧幕府軍に属していたのです。その心情を理解してほしい」

「しかしだ……!」

「それに彼らは未来からの犯罪者達に脅されて、無理やり戦わせられてた者たちも少なからずいるのです。どうか彼らに温情をお与えください」

「………………」

ジャッジ・ザ・デーモンの話を聞いて黙り込む伊藤博文に対し、ジャッジ・ザ・デーモンは最後にこう述べた。

「伊藤総理。彼らが掲げる忍の文化や侍魂などの武士道精神は、近代化日本にも必要になる筈です。それ以前に、彼ら忍や侍の文化は後々異国からも認められ、その文化を保ってきた日本は異国からも認可されるほど繫栄された国家として成長する事でしょう」

「なに!? 武士道精神が……!」

「はい。なので、彼ら忍者や侍たちを今後とも大事にして頂きたい。武士道精神を守りつつ、忍や侍たちと共存できる国家を建国して頂きたいのです。それこそ、未来永劫繫栄し続ける日本という国家の建国なのでありますから」

「うーーむ……忍や侍たちと共存できる国家、か……」

 ジャッジ・ザ・デーモンからの熱弁を聞いて、伊藤博文は思慮に耽ってしまう。

 

 すると話を終えてジャッジ・ザ・デーモンから離れる伊藤博文を見届けて、今度はメタルバードがジャッジ・ザ・デーモンに歩み寄って彼と密談し出す。

「おい修司。前からだけど、過去の人間に未来のこと話していいのかよ」

「バーンズ、俺には思うところがある。俺達がやって来た、この時代はおそらくパラレルワールドとして史実から離れると思う」

「パラレルワールド?」

「ああ、そうだ。Mrフェイク達に俺達がこの時代にタイムスリップした事で、俺達が今いるこの時間軸はパラレルワールドとして史実からかけ離れた時間軸になると思う。昔、聞いた事がある……タイムスリップする毎にパラレルワールドが生まれ、史実とは異なる時間軸が生まれると。だから俺は、この時代の忍や侍達が冷遇されないパラレルワールドになる事を期待して伊藤博文に助言をしたつもりなんだ」

「なるほど。元から史実と異なるなら、せめて忍や侍たちが冷遇されない時代にしちまおうって魂胆か」

 ジャッジ・ザ・デーモンからの説明を聞いて、メタルバードは心底納得した。

 

 そして密談を済ませたジャッジ・ザ・デーモンは、既にゴンゾウたち鬼の忍衆や聖龍HEADによって捕らえられた新撰組残党や山本八重達の許に歩み寄ると、彼らに嵌められてる手枷を日本刀で斬り付けて破壊。

『!』

 自分達を拘束してた手枷を破壊されて驚く新撰組残党と山本八重たち。すると、そんな彼らにジャッジ・ザ・デーモンが言う。

「あんた達のしてきた行いは、確かに日本が生まれ変わる上では罪かもしれない。されど、それでもあんた達には信念があり、素晴らしい生き様だったのもまた事実。これから厳しい環境の中で生きていくかもしれないが、それでも新しく生まれ変わった日本の中で懸命に生き続けてほしい。同じ侍魂を、武士道を貫く聖龍隊としてのお願いだ」

 新選組や八重たちの信念や生き様を受け入れた上で、彼らに今後生まれ変わった日本の中で懸命に生き抜いてほしいと嘆願するジャッジ・ザ・デーモンの言葉に、新選組残党と山本八重たちは驚きつつも感銘するのだった。

 

 新選組残党と山本八重たちを解放した後、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADはMrフェイクたち犯罪者達を引き連れて未来へと戻ろうとする。

「じゃあな、ゴンゾウ。あんた達、鬼の忍衆も変わりゆく近代化日本の中で懸命に生き抜いてくれ」

「うむ! 承知仕った、ジャッジ・ザ・デーモン殿! 其の方達も未来で往生してくだされッ」

 ゴンゾウたち鬼の忍衆と別れを述べ交わしたジャッジ・ザ・デーモン達は、次に新政府軍を率いる伊藤博文や西郷隆盛らと言葉を交わす。

「では伊藤総理、近代化日本の建設、大いに頑張ってください。貴方方、過去の偉人が居るからこそ、我々未来の人間は現代を生きていられるのですから」

「言われなくても解ってる! お、お前達も精々その異常犯罪者達を野放しにしないように!」

「はっはっは、伊藤はんは照れてるだけでごわす。ジャッジ・ザ・デーモン、そして聖龍隊、ホンにあんがとね!」

 素直に成り切れない伊藤博文に対して率直な思いを述べる西郷隆盛。

 最後にジャッジ・ザ・デーモン達は、手枷を破壊されて自由になった新選組残党や山本八重たちに向かって言った。

「新選組、そして山本八重! あなた達の生き様と信念、未来の我々にも確実に伝えられてます! 特に新選組、貴方方の勇姿こそ聖龍隊の基礎になったのです! これからも死んでいった隊士達に誇れるよう、懸命に生き抜いてください! 山本八重も、貴女の生き様は多くの女性に勇気を与えたのです。これから会津若松藩は大変な時代を迎えるかもしれませんが、どうか諦めず懸命に生き抜いてください!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの熱い言葉に、新選組残党も山本八重もジャッジ・ザ・デーモン達に敬意を表するのだった。

 

 そして皆に礼などの言葉を述べたジャッジ・ザ・デーモン達は合流したウッズに、捕えたMrフェイクたち犯罪者達と共に、崩壊キングフェイクの内部に搭載されてる時空間移動装置を起動させ、現代のアニメタウンへと帰還した。

 ジャッジ・ザ・デーモン達にMrフェイク達と共に跡形もなく消え去ったキングフェイクを目の当たりにし、ゴンゾウたち鬼の忍衆に伊藤博文ら新政府軍そして新選組残党や山本八重たちは各々静かに思うのであった。

 

 こうして幕末・日本にタイムスリップして悪事の数々を働いたMrフェイクら異常者(ヒール)達は、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADの活躍によって捕縛され、現代アニメタウンへと帰還。

 アニメタウンでは、消えたタナトス・アサイラムの代わりに現れた崩壊したキングフェイクを前に呆然とするウェルズ・J・プラント本部長らにMrフェイクたち異常者(ヒール)を引き渡すのだった。

 

 

 かくして「ニンジャ:ジャッジ・ザ・デーモン」のタイムスリップアクション時代劇は、幕引きで候。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。