ジョージ2世の奇妙な冒険 天国に最も近い島 作:ここあ(♂)
人は星に憧れた。
人は星に自由を見いだし、可能性を見出し、夢を見出し、美しさを見出した。
そして、人は夜に恐怖した。
人は夜に孤独を見出し、狂気を見出し、陰謀を見出し、闇を見出した。
この相反する2つを内包する場所。それが空である。
すなわち空とは無秩序にして無限の開拓地である。
その空という領域においての主は鳥であった。
人は空という自由と未知の領域たる翼を持つ者たちに嫉妬した。
人にとって天国に最も近い場所を独占する彼らは神に愛されていて自由なる存在。
しかし、それはもはや過去のものとなった。
1903年12月17日
ノースカロライナ州キティホーク
操縦者:オービル・ライト
飛行機:ライトフライヤー号
飛行距離:120ft(約36.5m)
飛行時間:12秒
この日、我々人類は古代からの不可侵地帯であった空の侵略に成功した!!
この日、確かに天上にあらせられる神に近づいたのだ!!
ジョージ・ジョースター2世はフライト中にイギリス空軍に志願した時に上官が話していたことを思い出した。
1918年 第一次世界大戦 イギリス
人類で最初の総力戦は職業軍人だけではなく本来武器を持たない民間人まで戦争に駆り立てた。クリスマスまでに終わると思っていた戦争は終わりを見せず、被害は増えるばかり。
士官学校で共に学んだ同僚たちの悲報を聞いたのは一度や二度ではない。
ジョージ2世は悩んでいた。幼馴染であるエリザベス・ストレイツォ(後のリサリサ)と再会した時に自分は果たしてきちんと笑えるのだろうか。エリナ(エリナ・ジョースター)母さんに人を殺した自分をどう思うのだろうか。そんなことを毎日考えていた。
そんなある日上官からある任務を任された。
それは戦闘機を用いての長距離飛行の任務だった。
飛行機が黎明期でありエンジンや飛行技術が未熟なこの時代において長距離飛行は自殺を宣告されていることに等しいものだった。
しかし、ジョージ2世はこれを承諾した。
今ある悩みからすぐに逃げ出したかったのだ。
ジョージ2世は空に逃げ道を見いだしていた。
1918年6月6日
イングランド ケンブリッジシャー ダックスフォード飛行場
操縦者:ジョージ・ジョースター2世
飛行機:ソッピース・キャメル(トワイライト・ハイウェイ号)
空は快晴。エンジン良好。離陸開始。離陸成功。
離陸してからしばらくして外を眺めていた。
そこには軍事宿舎や他の隊員たちが忙しなく動いている姿が見えた。自分が帰還するまでに果たして何人いなくなっているだろうか。つい最近まで大地で争っていたのに今や空で人間たちが作り出した同じ翼で争っている。
エンジントラブル、高速飛行による翼の破損、整備の不具合、操縦者の運転ミス。
名のある敵に討ち取られた名誉とは程遠いあまりにも間抜け過ぎる人的にミスによる不名誉な死。
それを何とかクリアした先にある名もなき兵士による被撃墜。
かつてライト兄弟たちが夢見ていた地球の空は地獄とかしていた。
仕事で忙しいため遅筆になりますが完結まで頑張りたいと思います。