両津「ここがネオドミノシティか…」 作:リョーツ
「なるほど、Dホイールは需要が高まった事もあり、パーツ取りの為に狙われている訳か。」
「両津さん。俺達も随分追っていますが、中々足取りがつかめません。」
「これほどの規模となると、工場があるはずだ。にも拘らず足取りがつかめないとなると、移動式だろう。大方、タンカー辺りが怪しい。」
デュエルチェイサー、風馬から詳しい情報を聞きながら、両津は考えをめぐらす。
「あん?セキュリティが張り込んでいる?」
「ゴリラみたいな男です。」
「そうかそうか…。どうやってここを嗅ぎ付けたのかしらんが、歓迎してやれ。」
「へい!」
こうして、20名ほどの窃盗団が武装して両津に危害を加えるべく襲いかかった!
部下を送り込んだ後、シドはアジトで報告を待っていた。
しばし待っていると、アジトの扉から誰かが入ってくる。
「遅かったじゃねぇか。」
「ああ、もう少し早く来たかったんだがな。」
聞きなれない声に、シドが顔を上げるとセキュリティの男が居た。
「ば、馬鹿な!あ、あいつらはどうした!」
「片づけたぞ。」
20人で襲わせたはずなのに、両津が無傷である事にシドは戦慄する。
「さて、後はここの連中を捕まえれば終わりか。」
「ま、待て!で、デュエルだ!デュエルで決着だ!」
「ほう。いいだろう、受けてやる。」
ベルトコンベアーの上に乗せ、足に鎖を付けさせる。
「ライフが減るたびに、後ろへ下がっていき…0になればプレス機の餌食って訳だ。」
「なるほど…っておい!なんでいきなり動いているんだ!」
「ハハハハハ!どうやら故障のようだな!アバヨ、セキュリティ!」
「ぬわあああああ!」
これで両津をプレス機で挟み、事故死させれば全て解決だ!とシドは思い込んでいたが。
「ぐぬ、ぐぎぎぎぎぎぎ!ワシを、舐めるなぁ!」
「な、ば、馬鹿な!なんでだ!おい、もっと出力をあげろ!」
「シド様、も、もう最大出力です!あっ、ぷ、プレス機が壊れる!」
へし折れ、ヒビが入り、プレス機から異音と焦げ臭い臭いに加え、煙が噴き出す。
「どうなっているんだ!おい、あいつは何者なんだ!」
轟音と共にプレス機を素手で両津は破壊し、咆哮を上げる。
「うがああああああっ!やりやがったなぁ!これでも喰らいやがれ!」
「ひぃいいいいい!」
プレス機の残骸を投げつけられ、シドは情けない悲鳴を上げる。
「…そういえば、デュエルで決着をつけろと言っていたな。デュエルはしてやる。」
「よ、よし!いくぞ!」
「「デュエルッ!!」」
両津 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
シド ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「俺の先攻、ドロー!俺は切り込み隊長を召喚、効果発動、手札からチューナーモンスター、ジェネクス・コントローラーを特殊召喚。レベル3の切り込み隊長に、レベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!狂い咲け、爆裂音!カードの荒野に戦慄の轍を刻め!シンクロ召喚!轟け、コンバット・ホイール!」
「ほう、1ターンでシンクロ召喚か。」
「カードを3枚伏せてターンエンドだ!」
両津 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
シド ライフ4000
手1 フィールド コンバット・ホイール
魔法・罠 伏せ3
「ワシのターン、ドロー!よし、フォトン・ケルベロスを召喚するぞ!こいつの召喚に成功したターン、このカードが場にある限りお互いに罠カードを発動出来ない。」
「何だとっ!」
「その様子だと、全部罠か?まぁいい、魔法カード、フォトン・サンクチュアリを発動、フォトン・トークンを2体守備表示で特殊召喚。このトークンをリリース!現れろ、銀河眼の光子竜!」
「攻撃力3000だと!」
「さて、バトルだ!銀河眼の光子竜で、コンバット・ホイールを攻撃!ここで、銀河眼の光子竜の効果発動!互いのモンスターを除外する。」
「何?!こ、コンバット・ホイールが!だが、これでてめぇの場はその犬っころ一匹!」
「ワシはここで、手札からディメンション・ワンダラーの効果発動!銀河眼の光子竜の効果でモンスターが除外されたとき、このカードを墓地に送る事で3000ポイントのダメージを与える!」
「ぐわあああああああっ!」ライフ4000から1000
「さて、トドメだ!いけ、フォトン・ケルベロス!ダイレクトアタックだ~!」
「うわあああああああっ!」ライフ0
シドをあっさりと打ち負かした両津に、手下たちは委縮する。
「さて、逮捕の前に…。おい、お前達はこの取引でどれぐらい儲けているんだ?」
「そ、それは…。」
帳簿を確認した両津は笑みを浮かべる。
「おい、シド!お前のやり方は手ぬるい!もっと稼げる方法をワシはすぐ思いついたぞ!」
「へ?それは一体…」
「グフフフフ…。実はワシ、D・ホイール窃盗団への内部調査の為に送りこまれたんだ。だからお前、ワシを雇え。」
「はぁ?!そんなの」
「雇わないならどうなるかわかってんだろうな?」
「ひぃいいいい!」
「狭霧課長!D・ホイール窃盗団による被害件数が12%も増加しています!セキュリティは何をしているのですか!」
「対策は講じています。市民の方々には大変申し訳なく思っております…。」
両津をD・ホイール窃盗団の内部調査に送りこんでから、窃盗団の動きは格段に機敏になった。
偽造された違法なレアカードを多数使ってデッキを強化。セキュリティの花形、デュエルチェイサーズでさえ連戦連敗と言う有様。
ゴヨウ・ガーディアンをサイファー・スカウターで戦闘破壊したり、パペット・プラントでコントロールを奪取すると言う方法で対策された。
「最近のセキュリティは不甲斐ないな。」
「だがジャック、襲われているのは違法駐車しているD・ホイールばかりだぜ。正式なところに止めているD・ホイールには手出ししてねぇ。」
「何?一体どういう事だ?」
ジャックとクロウの会話を聞きながら、遊星はふとブルーアイズ・マウンテンを手に取り、一口啜る。
コーヒーの違いはよく分からないが、中々良い物だ。そう思った。
次の瞬間、遊星達のガレージが勢いよく開け放たれる!
「誰だ!」
「あ、アンタ、ジャック、ジャック・アトラスだよな!頼む、俺達をセキュリティにつき出してくれ!」
「何?一体全体どういう事だ?お前達は何者で、何故自首しようとしているんだ?」
「D・ホイールの窃盗団をやっているシドだ!両津とかいうセキュリティが内部調査で潜入したんだが、そいつのやり方についていけないんだ!も、もう逮捕してくれぇえええええ!」
コワモテのスキンヘッドが号泣しており、ジャックは唖然とする。
「と、とりあえずセキュリティに引き渡そう。一体何があったら犯罪集団が逮捕してくれるよう懇願するんだ…?」
狭霧課長はまたしても、記者会見に引きずり出されていた。
「一体どういうことですか!」
「す、全ては両津がやった事です!」
「ふざけないでください!一介のセキュリティが、犯罪組織の取引先を一挙に拡大し、海外にアジトを3つも作ったというのですか!」
「少なくとも、セキュリティ単独でできる事では無い。」
「となれば、裏で誰かが指示を出していた。そもそも両津を潜入捜査で送り込んだのは狭霧課長。」
「ってことは、事件が発覚したから蜥蜴のしっぽ切り…うわぁ。」
「セキュリティの闇、暴かれる?!これで社長賞は頂きだな。」
狭霧は激怒した。必ずあの両津をへき地へ飛ばさねばならぬと決意した。
「狭霧課長、もう彼は元の職場に戻した方が。」
「このまま引き下がれないわ!こうなったら、クラッシュタウン!あそこに派出所を作って飛ばしてやるんだから!アーハッハッハhッハ!」
完全にどこかがコワレテしまった声で、狭霧は高笑いを上げる。