機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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はい、忘れた頃にやります。正月に完結させると言っておきながらめっちゃ放置して申し訳ない。


100:A long day

「ふむ、主力艦隊を消し飛ばされたというのに連邦もなかなかやる」

 

 中央司令室にてギレンは不遜にモニターに表示されている各戦域の情報を並列処理しながら素直に敵に対して賞賛の言葉を送る。

 

「それにしてもSフィールドは予想よりも損耗が大きい……原因は例の木馬か。

 忌々しいものだな。今思えば、奴らが現れてから予定が狂ったとも言えよう」

 

 その中でギレンの優れた頭脳から導き出された戦略を僅かにズラす異常(イレギュラー)、ホワイトベース隊を見て眉間へ僅かに皺を寄せた。

 

 重力戦線でジオンの戦力をズタズタに引き裂き、オデッサを放棄する遠因にもなった連邦の虎の子。諜報部からの報告によればかの部隊の大半が民間からの徴兵なのだから驚きだ。

 

「……ある意味でこの部隊は人の可能性を表している証拠かもしれんな。

 嘆かわしい限りだ。そのような人材は私の元にいてこそ真価を発揮するというのに」

 

 訓練された軍人ではなく、民間人が目を見張るほどの戦果を上げる。現実は小説よりも奇なり、というようにギレンは彼らもある意味で優れた人類であることを認識し改めて悲しいものだと思った。

 

「Sフィールドは無理に奴らの相手をする必要は無い。近寄らせず、弾幕を張り相手に消耗を強いさせろ。

 但し、ドロワはまだ前に出すな。星喰らいにやられかねない」

 

「ハッ!」

 

 指示を出していると、別の兵がギレンの元へ近寄り耳打ちを行う。

 

「ギレン総帥、キシリア閣下がEフィールドより入港いたしました」

 

「キシリアが?」

 

「はい、それとキシリア閣下が面会を希望しております」

 

「この忙しい時にか。……まぁ、いい。通せ。それと各員は何時でも準備をしておくように」

 

「ハッ」

 

 ギレンは兵士を下がらせ、タブレットへと目を通す。そこにはキシリアが援軍のためにグラナダから出兵した当初の戦力データではあるが現在ア・バオア・クーへ合流した時点でのデータでは著しく戦力の低下が見られていた。

 その事にギレンは僅かに眉を上げるが、直ぐにそれらも防衛の戦力へ組み込み戦力の配置を計算する。

 

「当初よりも戦力が減っているな……?」

 

 目を通したタブレットにはキシリアがグラナダから出兵した戦力が到着した時の報告によって著しく損耗していることに気がついた。

 しかし、元々ア・バオア・クーの戦力で連邦の攻撃を迎え撃つようにして予定を立てていたために問題は無いと判断。

 

「ふむ……確かヤツの麾下には対ニュータイプを目的とした推定ニュータイプ達を集めたふたつの特殊部隊があったな。

 いい加減、その名前とおりの役割を遂行してもらうとしようか」

 

 そして目を通していたタブレットの画面には『Chimaira(キマイラ)』と『Hydra(ヒュドラ)』の名前が表示されているのだった。

 

 

 

 

「へー、あの赤い彗星率いるニュータイプ部隊と一緒に出撃するの?」

 

「らしいな。といっても、同じフィールドとはいえ配置は違うみたいだがな」

 

「ふん、あんなコスプレ男や連邦のニュータイプ部隊なんかよりも私らが強いってことを示してあげるわ!」

 

「お前と意見が会うのは癪だが、俺たちがジオンで最強ってことを証明してみせてやりたいな」

 

 キシリア麾下の特別編成大隊こと対ニュータイプとの戦闘を目的とした特殊部隊通称『キマイラ』の旗艦ザンジバル改級『キマイラ』の格納デッキに少女と少年の声が響く。

 2人は精鋭とも言えるキマイラ隊においても屈指の実力を持つパイロット、『ユーマ・ライトニング』と『イングリッド・0』であった。

 

 彼らの話題はこれから自分たちが参戦する戦いについてのことであり、互いに戦意を滾らせている。

 

「気炎万丈ってところ悪いが、お前らは後方待機だぞ」

 

「はぁ!? 何よそれジョニー!」

 

「そうだ、そうだ!」

 

「いや、なぁ? お前らもソロモンでの戦闘記録見てるだろ?」

 

「木馬の連中、アレはやばいな。特に白い悪魔と星喰らいは戦うとかそういう次元じゃない。

 パイロットの腕とかどうとかよりも機体のスペックが違いすぎる。こっちがレシプロなら向こうはジェットエンジンドカ積みってところだ」

 

「ジャコビアスの言う通りだ。機体のスペックがトントンならまだ勝ち目はあるが、白い悪魔と星喰らいの乗る機体は俺たちのゲルググとは最早次元が違うんだ」

 

「なら皆で囲んで叩けばいいじゃない!」

 

「いくらスペックが高かろうが、結局は数がものをいうだろう?」

 

「常識が通じる相手ならな。生憎だが、その2人は非常識に位置する異常(イレギュラー)だ。

 加えて言うなら、星喰らいが多用する瞬間移動めいたブースト移動時の速度を知ってるか? 一瞬とはいえ音速を超えてるぞ? 

 囲んだとしても次の瞬間にゃ包囲網から抜け出されてるっての。

 白い方は……変態すぎてまず包囲させてすら貰えんかもな」

 

「黒い奴はそのモビルスーツのくせしてモビルアーマー並の出鱈目な機動力を活かして戦場を好き勝手引っ掻きましている。見つけたとしても俺たちでは追いつけんよ。

 白いのについては俺もジョニーとおなじ感想だ」

 

「「…………」」

 

「ちび共は無駄に逸って生命を無駄にさせるわけにゃいかんというわけだ。

 ……ガキのお前らを散々ぱら戦わせておいて虫のいい話だろうが、俺たちはお前らに死んで欲しくないんだよ」

 

「どうせ死ぬなら俺らのようなロクデナシの大人が先だ。小僧どもは戦場で死ぬよりも元気に長生きした後に老いぼれて死ね」

 

「部隊のみんなも満場一致で決まったことだ。

 ユーマ・ライトニング中尉及びイングリッド・0少尉、貴官たちは本艦隊の直庵に付き本艦の防衛に務めるように」

 

「……了解、しました」

 

「……わかった」

 

「ふっ、そんなしょぼくれた顔をするなよ2人とも。別に死ぬって決まったわけじゃないんだぜ?」

 

「それもそうだ。案外会わずに終わるかもしれないしな」

 

「なら、死ぬなよジョニー。まだ俺はアンタに勝ってないんだ」

 

「そうよ! 休みの日にショッピングに付き合う約束まだ忘れてないからね!!」

 

「おうおう、こんなバカみたいな戦争が終わったら模擬戦でもショッピングでも好きに付き合ってやるさ。だろ? ジャコビアス」

 

「ふっ、そうだな。有給も溜まっているし、終わったら存分に休ませてもらうさ」

 

 機体の元へ駆け出した少年少女たちを見送った後、2人の男は愉快げに口元を歪める。

 

「ガキのお守りも大変だな」

 

「だが、悪くない。だろ、ジョニー?」

 

「違いねぇや。……死ぬなよジャコビアス」

 

「お前もな、ジョニー」

 

 互いに拳を打ち合わせ、戦士たちは己の騎馬へと向かう。

 

 

 

 

 

 

「大佐、本当にその薬をお使いになさるの?」

 

「……私もララァ少尉に同意します。大佐、あの薬品の副作用は貴方自身もご理解のはずです。使用するのはやめた方がいいと具申致します」

 

「確かに君たちの言うことも最もだろう。だが、クリムゾン・ウォーリアーを御すのに加え、ガンダムに打ち勝つには手段を選ぶことは出来ん」

 

「ですが……」

 

「ララァ、シャリア、君たちの心配も痛いほどに分かる。しかし、私にとってある意味でこの戦いがこれから先に必要なことなのだ。そんなに私は頼りないかね?」

 

「……そんなことはありませんわ。でも、私は心配なの。あと白い子と黒い鴉さんはとても恐ろしいわ。

 それに、赤い朱鷺(あの子)のこともあるわ」

 

「キシリア閣下の肝いりといったスン少尉が動かせなかった機体を動かした少女……彼女の気配はとても禍々しい。

 彼女と同じ戦場にいるのはなにか良くないことに巻き込まれるかもしれません大佐」

 

「……君が言うのならきっとそうなのだろう。だが、それでも私は逃げるわけにはいかないんだ。

 この戦いで私は全てのケリを付ける。いや、付けなければならない。

 そうすればずっと抱いていた迷いも躊躇いも未練も全て、総て、凡て消え去り、私はようやく前へと進むのだ」

 

 心からの本心だった。シャア・アズナブル……キャスバル・レム・ダイクンのこれまでの人生の因縁全てにケリをつけられるかもしれないこの状況を逃せばきっと二度と訪れないだろう。

 

「もう、仕方の無い人」

 

「はぁ……まだ短い付き合いですが大佐はこうなればテコでも動きませんと言うのは理解しています」

 

「……すまんな、2人とも。迷惑をかける」

 

「ええ、はい。そうですね」

 

「そうね」

 

「……はっきり言う」

 

「ふふっ、自覚があるようなら大丈夫ですね。……大佐」

 

 ララァはそっとキャスバルの素顔を覆うマスクとヘルメットを外し、彼の頭を胸元へと抱き寄せた。

 

「……ララァ、兵が見ている」

 

 突然の行動にキャスバルが照れたように言うが、言われた本人は何処吹く風で子供をあやすように彼の金髪の頭を撫でる。

 

「大佐、貴方は1人ではありません」

 

「あぁ」

 

「私たちが貴方を支えるわ」

 

「あぁ」

 

「でも、無理をしてはダメよ?」

 

「……善処する」

 

「大佐」

 

「…………約束しよう。決して無理はしない」

 

「宜しい。破ったら私すごく怒りますよ?」

 

「私もです」

 

「ぬぅ……この歳で説教をされるのは勘弁願いたいな」

 

 シャアは気恥しげに言い、ララァは彼を解放し微笑ましい声を上げた。

 

「ふふっ、大佐は子供のような方ですから」

 

「断言したな」

 

「あら、間違っていて?」

 

「……否定できないのが恨めしい」

 

 ララァよりも歳上なはずのキャスバルだが、彼女前にしたらどうしても立場が逆転し母親に頭の上がらない子供のようになってしまう。

 2人の様子を見てシャリアも肩を竦め、優秀な副官のその態度にキャスバルは恨めしげに目線を送るも彼は何処吹く風だ。

 

「必ず生きて帰るさ。背中は任せたぞ2人とも」

 

「もちろんです」

 

「えぇ、その為に私には新しい機体も任せられましたからね」

 

 クリムゾンウォーリアーのすぐ隣の格納デッキに収められた機体にシャリアは目を送る。

 ジオンの名を冠し、現行の機体の中でもトップクラスの性能のモビルスーツ……ジオングを。

 

 

 

 

 

 無数の光が瞬き、幾つもの命が消えていく。そんな戦場の中でアリア駆るコローニスがとある存在を前にして手を焼いていた。

 

「チッ、弾幕が濃い……! 空母に近づけない!!」

 

 自分たちホワイトべースが配置されている地球を背にしたSフィールドにおいて、ジオン軍の母艦である異形のドロス級超大型宇宙空母『ドロワ』を堕とさんとコローニスで近づくが、敵の死に物狂いの抵抗によってその牙を届かせることができない。

 

 ならばとモビルスーツを手当たり次第に食い散らかし、敵側の圧を減らそうとするもそれ以上にドロワが無尽蔵とも呼べるほど腹に収めていたモビルスーツを吐き出すのだ。

 加えて、コローニスを放っておけば被害が増えるのをすぐに学習したことで艦艇の砲撃などが集中して己を狙うために攻撃を行う暇がない。

 

 その間に損傷機は回収され、ドロワの砲撃が友軍を牽制し支援が薄くなっていた。

 

「……無茶をするしかないか」

 

『警告:残弾残り25%』

 

 COMからの報告により、コローニスの残弾も心もとない。アリアはすぐに判断を終えればフットペダルを勢いよく踏み込む。

 速度をフルスロットルにし、コローニスの後部ブースターから膨大な光が放たれたドロワ目掛けてその巨体を突っ込ませた。

 

 敵側から見れば焦れたことによる破れかぶれの特攻に見えるだろうが、散々ぱら暴れ散らかしたコローニスを近づかせる訳には行かないためにより濃密な弾幕を形成させた。

 

「────ッ!!」

 

 視界全てを埋めるような弾幕を前にしてアリアは更に速度を上げる。

 普通ならば即座に蜂の巣になるようなものだが、果たして。

 

『な、なんで堕ちないんだ!?』

 

『弾幕の隙間をあんな速度で進むとか命が惜しくないのか!?』

 

『ば、化け物めっ……!!』

 

 多少の被弾はあるが、目立った損傷もなく弾幕のシャワーを潜り抜けたコローニスはドロワの真横をすれ違いざまに右舷の砲台へ機首下部のビーム砲と背面のテュフォン二問による砲撃。残ったASミサイルによって全てを平らげる。

 

「────プハッ!!」

 

 即座に離脱し、二酸化炭素を吐き出したアリアは行きがけの駄賃がわりにムサイやモビルスーツを幾つかを落とした。

 

 そして先の攻撃のおかげで著しく敵の陣に風穴が作られたことで友軍が乗じて攻勢へと乗り出す様を横目に補給のためホワイトべースへと急ぐ。その途中、アムロ達のガンダムとすれ違う。

 

『ご武運を』

 

『行ってくる』

 

 通信はしない。目線のみで会話を済まし、アリアは目線を戻すのだった。

 




クッソどうでもいいことですが、FSSにハマっております。もしかしたらそちらにも手を出すかもしれませんね

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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