機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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湿度が高いのもいいけどたまには除湿しねぇとな!


24.Rest and Mother, I'll see you again sometime.

『おーらい! おーらい!!』

 

 モニターに映る作業員の誘導に従い、アリアは操縦桿を細かく動かす。

 

 蒼い装甲の腕が巨大な機械を持ち上げ、モニターが強調表示された場所へと運んだ。

 そして、その機械をその位置に浅く嵌めるとゆっくりと押し込む。

 

『もうすこし、もうすこし……おっけー!!』

 

「っと」

 

 ガコン、という音と作業員の声で動かす手を止めると作業員が通信機で連絡を取るとこちらに向けて両の手で丸を作った。

 

『悪いねアリアちゃん。一旦上がっていいよ!』

 

「はい、わかりました。おじ様も作業頑張ってくださいね」

 

『おう!』

 

 アリアは小さく頷き、ペダルを踏み込むと機体が歩き出した。

 波の押し寄せる砂丘を進みながら程なくしてホワイトベースの格納庫へ入ると割り当てられたデッキへ機体を滑り込ませる。

 システムを待機状態へ移行させるとモニターや計器類が暗転、明滅しているボタンを押した。

 

 すると上斜め上部のハッチが解放され、シートから身体を起こして外へ出ると仄かに生臭くベタついた空気が頬を撫でる。

 

「洗浄が優先だ!! 海辺だし潮風で錆るのが早いからな! オマケに砂は細かいぞ! しっかり確認しとけ!」

 

「おーい! ここのパーツの替えってどこにしまったっけ!?」

 

「それなら4番コンテナだ! ……そっちは2番だよ!」

 

「エンジンの交換は終わったけど、伝達経路繋ぐ人手が足りないから誰か来てくれー!!」

 

「ちくわ大明神」

 

「なんだいまの!?」

 

 すると聞こえてくる幾つもの怒鳴り声。下を覗くと何人もの整備士や作業員が格納庫内を走り回って各々の仕事をこなしているのが見えた。

 

 彼らを見ながらアリアはコクピットの縁から飛び降り、デッキへ移動しタラップを降りていく。

 

「…………普通に使えましたねコイツ」

 

 タラップを降りている途中、アリアは立ち止まると顔を見上げなんとも言えない顔で呟いた。

 

 そして、その視線の先には厳重に固定されたポンコツ(ブルーディスティニー)が。

 

 現在ホワイトベースは損傷したエンジンや推進機関の修復のため動くことが出来ずにいた。

 そして、その作業途中にジオンの哨戒機などに見つからないようその目立った白い船体を隠すためにアリアは先程まで遮断シートを被せたのちに、破損したエンジンの交換作業をしていたのだ。

 

 モビルスーツは兵器だが、元々は人の手が届かない作業を行う重機として運用されていたモビルワーカーが元となっている。

 現状のホワイトベースで運用可能なモビルスーツはおらず、ガンダムは先の戦闘でのメンテ中で使用できない。けれど、早急にホワイトベースの修復を進めたかった。

 では、どうするか? と考えたところに思い出す。そうだ、アイツがいるではないか。格納庫の奥へ封印してあったブルーディスティニー(アイツ)が……と。

 

 当然反対意見も出たが、一刻も早くホワイトベースを直さなければいけないために止むを得ず反論は黙殺されることとなり、唯一ブルーを暴走させず制御下に置いたアリアへ白羽の矢が立つ。

 

 加えて、まだ記憶に新しい避難民の引き起こした騒動で艦内に彼女を待機させていたら危ないという判断もあり、アリアを守る意味も兼ねて彼女に手伝いを頼んだというわけだ。

 

 勿論万が一を備えて、ブルーの動力炉は停止させ外部からエネルギーを供給する形でケーブルを繋いでおり暴走する危険性が確認されたらそのケーブルを切断。エネルギーを遮断することで強制的に機体の動作を停止させる措置もしてある。

 

 システム面にもロックをかけており、出力が一定値を超えた場合も強制的にシステムをシャットダウンするというセキュリティも仕込むという徹底ぶり。

 

 それらを仕込んだ後に整備士一同が見守る中で孤島の離れた場所でアリアがブルーの起動試験を行い5分ほど動かしても特に暴走の兆候もなかったので一応安全と判断され、作業用重機として駆り出されることとなる。

 

 そしてつい先程破損したエンジンの交換を終え、アリアの任された仕事はひと段落したため残りは自由時間だ。

 

 丈を詰めた作業着から簡素なシャツとハーフパンツへ着替え、アリアは更衣室から出ると。

 

「お疲れ様アリアちゃん。これ、飲み物とご飯だよ」

 

「ミアさん……はい、ありがとうございます。自由時間なので一緒に食べませんか?」

 

「うん、そうしよっか」

 

 扉の前で籠を持った微笑んだミアが迎えてくれた。アリアは彼女に礼を言うと歩き出しその隣をミアが共に歩く。

 

 格納庫の中を歩いていると不意にアリアはなんとなしにミアの横顔を見た。

 あとげない横顔とふわふわとした質感の金髪、垂れた目尻に透き通る青い瞳。子供特有の滑らかな頬には真新しい湿布が貼られ、僅かに腫れている。

 

「怪我の具合、どうですか?」

 

「ちょっと痛いけど、あんまりに気にならないかな……? セイラお姉さんがアリアちゃんのこと褒めてたよ」

 

「それならば良かったです。あくまで素人のでっち上げですので、違和感があったら直ぐにセイラさんに申してくださいね」

 

「うん、アリアちゃんはどうなの?」

 

「どう、とは……?」

 

「あの蒼いモビルスーツ、危ないんでしょう? 作業員の人たちが言ってたの聞いたから」

 

「なるほど」

 

 ミアの懸念に合点がいき、アリアはもう一度ブルーへ視線が向く。

 

「幾つもの安全策を講じていたので問題ありませんよ。それに、また身体を乗っ取ろうとしてきても殴るので大丈夫です」

 

「それって大丈夫っていうのかなぁ……」

 

「はい、問題ありません」

 

「アリアちゃんが言うなら、それでいいけど……」

 

 納得のいってない様子のミアだったがそれ以上は何も言わなかった。

 

「船の修理、あとどれくらいかな?」

 

「ホワイトベースは執拗なほどブロック化構造をされていますので、破損した箇所はパーツを交換すれば問題ありません。

 残りは装甲の取替と軽い点検の後の試運転ですからもう終わりでしょうね」

 

「そうなんだ」

 

 そんな会話を交わしながら丁度いい岩陰を見つけると砂の上にシートを敷き、籠の中から水筒と食事の入った容器を広げる。

 

「頂きます」

 

「召し上がれアリアちゃん」

 

 容器の中のサンドイッチや惣菜を摘み、その小さな口で咀嚼して飲み込んだ。それを数度繰り返していると、アリアは視線を感じて顔を上げてみたら自分の顔……細かく言うなら口元あたりを凝視しているミアがいた。

 

「…………」

 

 とりあえず唐揚げを口の中に放り込み、きちんと噛んで飲み込み指に着いた脂を舐めとった後にアリアは尋ねる。

 

「どうなさいましたミアさん?」

 

「あ、えっと、その……どう、だった?」

 

 不安げに聞き返してきたミアに小首を傾げながらもアリアは素直に感想を伝える。

 

「? 大変美味しかったですが……」

 

「そ、そう? 具体的には……? どれがいちばん美味しかった?」

 

「ふむ……」

 

 何だかやけにしつこいなと思いながらもアリアは先程食べた唐揚げを思い出した。

 

「唐揚げが特に好みでしたね。私的にはもう少し濃い味だったならパーフェクトです。

 あぁ、他の料理も私の好きな味でしたよ?」

 

「っほ、本当?」

 

「ええ、はい。何だかやけに食い下がりますねミアさん。ちょっとビックリしてます」

 

「えぇっ、そんなにあからさまだった……!?」

 

「何があからさまなのかは分かりませんが、何かあったんだなとは鈍い私でも察するくらいはできますね」

 

 アリアのその言葉にミアは面白いくらいに顔を赤く染め、あうあうと言葉にならない呻き声をあげてしまう。

 

 親友のその姿に堪らずアリアはクスクスと笑い出し、笑われたミアはうらめしげにアリアを見るが彼女からすれば小動物のようで愛らしいとしか思えなかった。

 

「それで、どうしたのですかミアさん」

 

「えっと、その……このお弁当、私が作ったの……」

 

 落ち着いたミアにアリアが尋ねると、恥ずかしそうにしながらミアは答える。

 それを聞き、僅かに目開くアリア。

 

「それはなんとも……」

 

「アリアちゃんに比べたら本当に些細なことだけど……私でもアリアちゃんの力になりたくて……その……うぅ……」

 

 再び顔を赤く染め、俯いてしまうミア。その姿がなんともいじらしく、アリアは自然と彼女の頭を撫でていた。

 

「ふふっ、ミアさんは愛らしいですね」

 

「か、からかわないでよアリアちゃん……!」

 

「おや、本心なのですがね」

 

 そう言い、撫でていた手を離そうとすると。

 

「……撫でるのはやめないでっ」

 

 ミアはそう言い、アリアは複雑な乙女心というやつだろうか? と思いながらも頭を撫でる。

 穏やかな潮風が二人の髪を揺らし、ふとミアが呟いた。

 

「……これがただの旅行だったら、よかったのに」

 

「……ですね」

 

 地球の海辺でピクニック、それだけであったならどれだけ幸せだったか。アリアは小さく頷き岸壁に背中を預けて空を見上げる。

 

 コロニーの中では見上げれば雲や青空でなく、建造物が見えるものだ。隔離された円筒型の建造物だから当たり前だが、この地球の空とは違う偽りの造られた空。

 

 しかし、こうして見ている空は青く白い雲が流れ引き込まれそうなほど何も無い。確かにこの空を見ればスペースノイドが地球を母なる星と憧憬を向けるのも理解出来よう。

 

 それはそれとしてコロニーを叩き落とすなどという頭のおかしいことを仕出かす連中の思考など理解できないし、理解したくもないが。

 

「ふわ……」

 

「んみ……」

 

 穏やかな光景を見て気がつけば睡魔が2人を誘い、欠伸を零せば重力に負けて瞼が閉じ始める。

 本来なら寝落ちするのはダメなのだろうが、アリアは今回は別にいいかと思ってそのまま身を任せるのだった。

 

 

 

「あれ、アリアは?」

 

「アリアならミアちゃんと一緒にいるだろうな。さっき連れ立って外へ出るのを見たからな」

 

 ふと妹の姿がないことに気が付き、アムロが聞くとパラソルの下でビーチチェアに寝そべるテムが答える。

 

「なるほどなぁ、それにしてもあの2人いつも一緒にいるな」

 

「いい事じゃないか。仲のいい友達はかけがえのないものだからな」

 

「そりゃそうだ……にしても、父さん……」

 

 テムの言葉に同意しつつもアムロは胡乱な目で彼を見た。

 いつもの作業着ではなく、花柄の所謂アロハシャツを着ておりメガネもグラサンで傍らのテーブルには黄金色の飲み物が置かれているではないか。

 

「寛いでない?」

 

「……あのポンコツのせいで怪我してるし、ココ最近働き詰めだったからな。ほかの整備班から休めと言われたから仕方なくだ」

 

「あー……」

 

 テムの胴体にはコルセットやテーピングが巻かれており、そういや怪我してるんだとアムロは思い出す。それはそうとして寛ぎすぎな気がしないでもない。

 

 アムロもアムロでやることが無いのでほかのクルーに混じって何となく海を見つめていると。

 

「……そういえば、ここは前住んでたところが近いな」

 

「……あぁ、言われてみれば」

 

 テムが零した言葉にアムロは思い出す。現在ホワイトベースがいる孤島の近くにはアムロがまだ地球にいたころに住んでた実家があるのだ。

 

「……アムロ、母さんに会いに行ってもいいんだぞ?」

 

「なんだよ、いきなり……」

 

「いや、な。こうなってるだろうし、こんな機会でもなければ地球には来ることはなかっただろうしな」

 

「まぁ、そりゃそうだけど……」

 

 幼い頃に別れた母。それがすぐ近くにいると思うと確かに顔を合わせに行くのがいいのかもしれない。

 けれど、なんと言えばいいかアムロにはそんな気が全く湧くことがなかった。

 

 恐らくだが、理由はわかっている。父はまだ愛してるのかもしれないが、アムロにとって母は家族のために働いている父がいるのに、別の男と関係を持っていたところをまだ幼かったアムロが目撃したのを覚えているからだ。

 

 口では愛してると言っておいて、あの母親は別の男と会っていた。それはアリアがまだ宿っていない頃から続いており、宿ってからも続いていた。そして、産まれてからも。

 

 だから、アムロはイマイチ母親に……カマリア・レイにいい思い出というものがない。

 嫌い、というわけではない。確かに情はある……けれど、素直に親愛を向けれるほどアムロは純粋ではないのだ。

 

 加えて、家族を……父と兄を敬愛するアリアには余りそういったものを見せたくないという思いもある。

 

 だからアムロは少し考えた後、テムに伝えた。

 

「いや、やめとくよ。ジオンがいるかもしれないからホワイトベースを留守にするわけにはいかないだろ?」

 

「…………そうか」

 

 多分、テムはアムロの内心を察している。けれど、口には出さずに少しだけ悲しげな顔をするのみだった。

 

 そして、作業は終わり機材などの回収を済ませるとホワイトベースは再び航行を始める。




てなわけで母親とは再開しませんでした。だって別に居てもいなくても変わらんし。
あときちんとアリアはテムさんと血は繋がってますのでご安心を。間男との子供だった場合?ハハハ、事実知ったら多分母親のこと殺した後に自己嫌悪しまくってホワイトベースから脱走するか入水自殺するんじゃないんですかねもちろんミアも後を追うんじゃないんですかね(他人事)

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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