機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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ハサウェイ2部来ますね〜


29.Fistfighting Earth

 サザンクロス隊という部隊がある。

 それはジオン公国軍、キシリア少将の腹心マ・クベ大佐麾下の精鋭部隊。広がりきったジオンの重力戦線のひとつをその部隊だけで支えてると言えば、その実力はわかるはずだ。

 

 そして、ククルス・ドアンが軍を脱走するまで隊長を務めていた部隊でもある。

 

「ハッ、ミサイルサイロの確認でありますか……?」

 

「そうだ。クベ大佐は先の連邦の反攻作戦でオデッサを目標にしていることをキャッチ。其れを挫くための要のひとつがこのアジア方面にある孤島のミサイルサイロだ」

 

 駐屯地の会議室では現在のサザンクロス隊のメンバーが集められ、作戦の会議を行っていた。

 

 モニターに表示されるのはとある無人島……に見せ掛けたミサイルサイロを備えた軍事施設が表示されており、本来だったら遠隔で発射管理をできるのだが何故か信号を受け付けないために手動でミサイルを発射させる必要があるとマ・クベは判断。

 

「お前たちにはこのミサイルサイロのある現地へ向かい、手動操作でミサイルを発射してもらう。

 通信が途絶しており、連絡も取れないことから現地諜者は裏切っていることが予測されるため、戦闘が起こることも考えておけ。以上でブリーフィングを終える、心してかかれよ」

 

『ハッ!』

 

 

 

「あーあ、絶対湿気た任務だぜコレー?」

 

 駐屯地の中を歩くのはサザンクロス隊の新参メンバーのダナン・ラシカだ。頬に爬虫類のタトゥーをいれており、人相も相まって世紀末でヒャッハーしてそうな男だ。

 

「そういうなダナン。これもジオンには必要な任務だからな」

 

 それを窘めるのは同隊のメンバー、ユン・サンホ。

 

「ですけど、俺ぁこんな事のためにこの隊に入ったわけじゃないっすよ? 

 それが、入れたと思ったらあの人は脱走してて来る日も来る日も連邦の雑魚どもを相手する日々!! 

 俺はククルス・ドアンがどんなやつだったか興味があったからこの隊に志願したのに!」

 

「ッ、おいバカ!」

 

 ダナンの発言の中にあったとある名前を聞いた瞬間、サザンクロス隊の副長ウォルド・レンは慌ててダナンを黙らせようとした。

 

「……今、なんて言った?」

 

「……遅かったわねウォルド」

 

 立ち止まり、声を上げるのはサザンクロス隊現隊長エグバ・アトラーと呆れたように額へ手を当てるのはサザンクロス隊の紅一点セルマ・リーベンス。

 

 エグバは以前までドアンが隊長であったサザンクロス隊では副長を務めており、彼とは深い友情を結び互いに信頼していた。

 しかし、ドアンは何も告げずに軍を脱走して以来彼に対して名を聞いただけで激情するほどの憎悪を宿している。

 

 そして、ダナンの発言が耳に入ればどうなる? 答えは簡単。エグバ(ゴリラ)がブチギレる。

 

 その巨体から繰り出される修正パンチは見事にダナンの頬を撃ち抜き、勢いよく吹っ飛んで近くの木箱へ突っ込んだ。

 

「どいつもこいつもドアン、ドアン、ドアンッッ!! あの裏切り者を何時までも引き摺りやがって! 

 いいかお前ら! このサザンクロス隊の隊長はこの俺、エグバ・アトラーただ一人だ!! 

 二度と、俺の前でその名前を出すんじゃねぇ!」

 

『(お前が1番引き摺ってるじゃねぇか)』

 

 その場にいた全員はエグバにむけて思ったが、藪をつついて蛇を出すような趣味の者はいない。ウォルドはダナンとエグバの間に入り、まぁまぁと今の自分たちの隊長を宥める。

 

「落ち着いてくれ隊長、アンタが立派だってことは俺たちはよーくわかってる。任務の前に部隊に欠員を出すわけにはいかない。だろう? 

 それに、今から向かう島にはある噂があるぜ?」

 

「……噂?」

 

「おうとも。1つ目の幽霊が出るって言うな……俺の推測だとそいつの正体はアイツだ」

 

 ウォルドはそこで区切り、エグバへ囁くように耳打ちした。

 

「……ククルス・ドアンだ」

 

「ッ!」

 

「ドアンがそこにいるの!?」

 

「可能性だがな」

 

「まさか……いや、考えられないこともないか……」

 

 セルマが問うと肩を竦めて言うウォルドだが、その言葉に殴られたばかりだというのにダナンは喜色を上げる。

 

「いよっし! ドアンがいるって!? 最高だぜぇ! ……あ、やべ」

 

「貴様ァ! 何を浮かれているかァ!!」

 

 再び怒声が響き、駐屯地に鈍い音が響くのだった。

 

 

 

 

 アムロを先の作戦で無人島に置いていってから数日、ホワイトベース内はピリピリとしたプレッシャーが蔓延していた。

 

 その発生源は言わずもがなのアリアで、表面上は至って平常に見えるが纏う空気は明らかに張り詰めておりいつ爆発してもおかしくない。

 

 しかし、それをしないのはここで暴れてもアムロが帰ってくるわけではないと理解しているからだ。理解しているからこそ、激情を内へと溜め込む。

 

『アリア・レイは至急ブリッジへ来てください。繰り返します、アリア・レイは至急ブリッジへ来てください』

 

 すると、アナウンスが流れアリアは足早に向かった。

 

「戦闘機の背中にモビルスーツを乗せる…………?」

 

「そうだ。先の補給で追加された物資の中にあったコア・ファイターを純戦闘機として強化する増加パーツを装着し、リュウ・ホセイ准尉と共にブルーディスティニーを乗せて先行。島にいるだろう敵を可能ならば撃破し後続としてガンペリーを向かわせ、アムロ・レイ准尉及びガンダムの捜索と回収をしてもらうのが作戦の概要だ」

 

 モニターに映るのはコア・ファイター後方に大型複合強化ユニットを接続した姿『コア・ブースター』を見ながらテムがアリアへ説明する。

 

 ブリッジにはアリア他にテムを加えた先の救助隊のメンバーがおり、今回集まったわけはアムロの救出作戦のブリーフィングだ。

 

「……この間は俺たちの力不足でアムロをみすみす置いて行くことになってすまないアリア。俺たちに挽回する機会をくれないか?」

 

「リュウさん……」

 

「俺からも頼むぜおチビ、軟弱もんの俺でも流石に今回は申し訳ねぇからな」

 

「うん、僕も同じ気持ちだよ」

 

「カイさんにハヤトさんも……」

 

「僕だっているよ。アムロくんには世話になってるからね」

 

「ジョブさん」

 

 アリアに向けて真剣な声で語りかける彼らに対してアリアは頭を下げる。

 

「…………あの時は申し訳ありませんでした、皆さん。どうか力を貸してください」

 

『おう!』

 

「話は纏まったな? では、各員は準備が出来次第に機体へ登場! アムロを迎えに行くぞ!!」

 

『了解!』

 

 ブライトの言葉に全員は力強く頷いた。

 

 

 

「いてて……お前、中々いいアッパー打つな……」

 

「アリア……妹のパンチをよく見てたからね。それの真似をしただけだよ」

 

 岩地を歩くアムロとドアンの家族の少年マルコスは顔にアザをつくっており、互いに痛みに呻きながら灯台への帰路を急ぐ。

 アムロがドアンとその子供たちと共に過ごして数日、ガンダムの捜索のために島を散策していると、最初にドアンのザクと戦闘を繰り広げた崖を発見。ロープを借りて崖下へと降りる。

 そのまま海岸を巡っていれば不自然な横穴をみつけ、そこに入って奥へ進めばジオンのものらしきなにかの施設を発見。

 

 そしてそこにはドアンがなにかの作業をしており、加えてドアンの子供の1人のマルコスもいた。

 そこでマルコスと何故か喧嘩することになり、最初はアムロがボコられたがアリアに比べたら下手くそもいいところで早々に見切ってカウンターでアリアのアッパーを真似てマルコスをノックアウト。

 

 ドアンから施設を追い立てられるようにマルコスと抜け出し、遠雷響く空の下を互いに口撃しながら歩いていたのだ。

 

「お前の妹、おっかないんだな」

 

「……まぁ、ジオンの軍人を不意打ちとはいえ殴り倒すような子だからね」

 

「マジかよ、半端ねぇな」

 

「普段はいい子だよ。怒らせるとめちゃくちゃ怖いけど」

 

「カーラも怒るとめちゃくちゃ怖いんだよな。ドアンですら抵抗できねぇもん」

 

「……女の子ってどこも同じなんだね」

 

「……だな」

 

 最初はアムロのことをやけに敵視してきたマルコスだが、先の殴り合いと互いの経験を話して少しだけ距離が縮まったらしい。

 

 そんなこんなで漸く灯台が見えてくる距離のところで。

 

「ん、なんの音だ?」

 

「……ジェット音?」

 

 空気を引き裂くような音が2人の鼓膜を震わせる。

 

 マルコスとアムロが耳に手を当て、空へ視線をめぐらせていると雲を掻き分けて1機の戦闘機が現れた。

 

「あれは、コア・ブースター?」

 

「知ってるのか?」

 

「うん、僕の船の戦闘機だよ。多分僕を探しに来たんだ」

 

「お前の迎えって訳か…………って、やべぇじゃん!!」

 

「うわっ、いきなり大声出さないでよ……なにがやばいの?」

 

「ドアンだよ! 早く止めないとあの戦闘機撃墜されるぞ!?」

 

「あ、忘れてた!」

 

「早く戻るぞ!!」

 

「うん!」

 

 空を飛ぶコア・ブースターをバックに2人は元来た道を戻ろうとしたところで外装がところどころ欠け、塗装の剥がれた知ってるザクより面長なザクがブースターを吹かして上空へ飛び上がり、コア・ブースターへヒートホークを振り下ろそうと掲げる姿が見えたではないか。

 

「ドアン、ダメだ!!」

 

「やめてくれドアン! それには僕の仲間が!!」

 

 2人がドアンに向けて叫ぶが、止まるはずなくヒートホークが振り下ろされようと─────したところでコア・ブースターの上にいた存在がその横っ面を蹴り飛ばす。

 

 そして、地上へと落下したらザクを追って蒼い機影がコア・ブースターから飛び降りた。

 

 2機のモビルスーツはそのまま地上へと落着し、地響きと共に土煙が舞い上がる。

 そして土煙の奥では残光が瞬き、なにかの弾き合う音と凄まじい轟音が鳴り響いたかと思えば土煙を引き裂いて姿を現した。

 

「な、なんだ!?」

 

「ッ、あの機体は!!」

 

 片方はドアンのザクだが、もう片方の機体をマルコスは知らない。しかし、アムロは知っているその機体の名を。

 

 全身を蒼く染め、ガンダムに似た頭部でありながら角はなくバイザーで双眸を隠したその機体────

 

「ブルーディスティニー!!」

 

 

 

『まさか、蒼い死神がこの島に来るとはな……』

 

「こんなボロボロなザクに兄さんが……?」

 

 ヒートホークを構え、油断なく見据えるザクを前に右手へとビームサーベルを展開したブルーのコクピットでアリアは眉をひそめる。

 

「いえ、今はとにかく後続の安全確保のためにお前は邪魔だ。すぐに終わらせる」

 

『設定:タイマーをセット』

 

「起きろブルーディスティニー、仕事の時間だ」

 

 

 

 

EXAM SYSTEM STANDBY

 

 

 

 

 アリアの命令に従い、ブルーディスティニーの特殊システムが起動。

 全身のセンサーが深紅へ変わり、装甲表面からは血のような妖しいオーラが立ち上る。

 

 サブモニターには限界稼動を示す制限時間が表示され、高速で減り始めた。

 

「ッ!!」

 

 フットペダルを蹴り飛ばし、全てのリミッターが解除されたブルーディスティニーは凄まじい加速をもってドアンのザクへ肉薄する。

 

『速いっ!?』

 

「ハァッ!」

 

『チィッ!』

 

 紅い残光伴う袈裟斬りをドアンは間一髪状態を逸らして交わすが、ブルーは勢いを利用して縦方向に回って回転蹴りを叩き込んだ。

 

 それをドアンは後方へ僅かに跳躍し、代わりにブルーのつま先が地面を砕くに留まる。

 蹴りの勢いを殺すために僅かに屈むと同時に膝を曲げ、ブルー膝の力をバネにして再び直進。

 

 左手を脹脛の装甲へ延ばし、格納されていたグリップを引き抜いて二刀流となったブルーはドアンへ無数の斬撃を放つ。

 

 右手で袈裟斬り、左手で薙ぎ払い。左手のサーベルを逆手に持ち替えて横払う。

 腰を回して勢いに乗って首を刈り取る回し蹴りからのブースターを吹かして後ろ蹴り。

 

『ぐぅぅっ!?』

 

「コイツ、EXAMを起動したブルーに追いついてくる……?」

 

 傍から見ればブルーディスティニーがドアンのザクに対して絶え間ない攻撃を放ち、それに対してザクは防戦一方となって明らかに劣勢に見えよう。

 しかし、ブルーのコクピット内のアリアの表情は微かに驚愕を示していた。

 

 明らかに目の前のザクはろくな整備をされていない。だのに連邦の高性能機でもありEXAMによって全リミッターを解放し、満遍なく全ての性能を解放しているのにこのザクは防戦一方とはいえ倒れることなくこちらの攻撃を捌き続けている。

 

「チッ、なかなかやるっ!」

 

 殺人的なGがその小さな体に牙を向いていると言うのに、アリアの表情は大した負担も見られずにドアンへ更に苛烈となった攻撃が襲いかかった。

 

 

 

「流石は蒼い死神、強いっ……!」

 

 額に滲む汗を拭う暇なく致死の嵐をドアンは操縦桿を動かし続け、乗機の型落ちとも言えるザクの駆動系に悲鳴をあげさせながらも目の前の蒼い死神とジオンの間では呼ばれている強敵の攻撃をいなし続ける。

 

 普通のパイロットなら1秒と持たない攻撃をドアンはいなし、そらし、かわす。

 それが出来るのは一重にドアンという男が類稀な操縦技術があるのに加え、野生の勘ともいえる危機察知能力のおかげだ。

 

 目の前のモビルスーツから露骨なほど殺意が漏れ出ており、ドアンのその鋭い感によって次の攻撃の手を察して致命傷となる一撃以外全てを対応する。

 

 数えるのも億劫なくらいヒートホークとビームサーベルがぶつかり合う。しかし、本来ヒートホークというのは消耗品だ。ルナチタニウムすら溶断する熱をもつが、それを長時間持続しビームとぶつけ合えば加速度的に寿命も減るものだ。

 

 

 

 バキッ! 

 

 

「ッ!?」

 

『殺った……!』

 

 半ばからへし折れたヒートホークの刃は離れた地面へ突き刺さり、唐突すぎる展開にドアンは一瞬だけ硬直する。

 そして、その隙をアリアは見逃さない。

 

 モニター全面に広がるビームサーベルの切っ先を前にドアンは息を飲む。

 

 避ける? どうやって? 迎え撃つ? 武器はない。

 距離をとる? とってもすぐに懐に飛び込まれる。

 

 無数の問答が浮かんでは消え、視界がスローモーションとなっていった。

 

 そして、全ての可能性は帰結する。自分の死という詰みに。

 

(すまない、みんなっ……!)

 

 残して置いていってしまう子供たちにドアンは後悔とともに謝罪し、目を閉ざし─────

 

『アリア、ダメだ!!』

 

『ッ!』

 

 ───自分の体を消し飛ばすはずだったビームの刃はすぐ傍を通り過ぎていった。

 

「フッ!」

 

『あぐっ!?』

 

 持ち直したドアンがブルーの胴体を蹴り飛ばせば、ブルーディスティニーは受け身も取れずに倒れ込む。

 ドアンは倒れたブルーへ跨り、マウントポジションをとって拳を叩き込もうと振り上げ───

 

『ドアン、やめてくれ!!』

 

「マルコス!?」

 

 ───家族の少年、マルコスがブルーを庇うように手を広げて叫んだ。

 

「どけ、マルコス!」

 

『いやだ! とにかく止めてくれよドアン! コイツはアムロを迎えに来ただけなんだ!』

 

『この機体のパイロットは僕の妹なんです! 話せば分かってくれるから!!』

 

 続いてアムロが叫び、ドアンは拳を振り下ろすか逡巡していると。

 

『ザクのパイロット! 死にたくなければ今すぐその子の機体から降りろ!!』

 

「今度はなんだ!?」

 

 オープン回線で響いた声に顔を上げれば、頭上を陣取るようにガンペリーが滞空しており開かれたコンテナからは自分のザクへ狙いを定める連邦のガンキャノン(キャノン付き)の姿が。

 

「…………チッ」

 

 明らかに多勢に無勢、ドアンは舌打ちとともに拳を下ろす。




アリア「おい、早くしろ」
ブルー「ひえっ、EXAMします(殺意マシマシダダ漏れMAX)」
ドアン「(こいつやけに攻撃分かりやすいな)」

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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