機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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ククルス・ドアンの島編終了!


31.The smell of war

「…………何のつもりですかククルス・ドアン?」

 

『これは俺の因縁だ。厚かましいかもしれないが、ここで差し違えてでも清算しなければならない』

 

「…………はぁ、別に構いませんけど。ですが、死ぬことは許しません」

 

 アリアはチラリと灯台の方へ視線を向ける。そこにはドアンのザクを不安げに見つめる子供たちの姿が。

 

「貴方が死ねば、誰があの人たちを養うというのですか?」

 

『ッ、そうだな。すまない……また俺は短絡的なことをするところだった』

 

「勝手に謝るのもいいですが、来ますよ!」

 

『俺の前で何を話しているドアンッ!!』

 

 突っ込んできた長剣型ヒートソードの隊長機、エグバは叫びながらドアンへと斬りかかる。

 ヒートホークで受止めたことにより接触回線によってスピーカーから聞こえてきた声にドアンは即座に正体を言い当てた。

 

『エグバかっ!!』

 

『ドアンッ!!』

 

 機体性能によって鍔迫り合いを不利と察したドアンは両手で持っていたヒートホークの力のベクトルを上方向にズラし、エグバのヒートソードをかち上げ上体がモロだしとなった腹部へキックをかます。

 

『ぐぁ!?』

 

『アムロ君の妹、そいつらを頼む!』

 

「いわれなくても!」

 

アリアはフットペダルを蹴り飛ばし、ブースターを稼働させて残りのセルマとダナンの2人へと突貫。

 

『あぁん!? 折角ククルス・ドアンが出てきたってのにお前なんかとやってる暇じゃないんだよ!』

 

『どきなさい蒼い死神! 私はドアンに用があるの!!』

 

「(こいつらどんだけあの男が好きなんですか……?)行きたければ私を落としてみなさい。まぁ、貴方方程度では無理ですがね」

 

『『抜かせ!』』

 

 ダナンは残った腕でヒートホークを構え、セルマはヒートダガーとバズーカという異種二刀流でブルーへ切りかかった。

 

「ッ!」

 

 まずはダナンの斬撃をビームサーベルで数度切り結び、一際大きく踏み込んだ所を僅かに機体を逸らすことでつんのめさせる。

 手首を掴みあげ、斬りかかるがザクは軽く飛ぶことで交わされた。

 

『ハハハッ、ぶねぇ!!』

 

『ダナン、邪魔よ!』

 

 セルマが射線を塞ぐ位置にいるダナンにむけて叫ぶが、アリアはわざとそうするように位置取りをしているのだ。

 

 焦れたようにセルマはヒートダガーで斬りかかってきたところにダナンのザクを膂力に任せて振り回し、勢いを乗せてセルマへとぶん投げる。

 

『うぉおおぉ!!?』

 

『チッ!』

 

 上体をそらし、イナバウアーと呼ばれるような姿勢でダナンを避けたセルマはブルーへダガーを逆手に持ち替えて振り回した。

 

『お前、なんかに、邪魔を、されるわけには、行かないのよ!!』

 

「随分と焦ってますね? あぁ、ひょっとしてあの男に会いたいんですか? 

 ……もしかして捨てられましたァ? ハハハ!」

 

『ッ、小娘!!』

 

「図星ですかぁ?! ハハッ、逃げられた男を忘れられずに態々こんな辺鄙なところに来るなんて随分と罪作りな男なんですねぇ! 

 女作っておいてこんな所で家族ごっこしてるアイツは貴方のことなんて忘れてるんじゃないんですか? 

 でなけりゃ、こんなところ居ないんですから!」

 

『黙れェ!』

 

「ハハハ、更年期ですかおばさん! そんなヒステリックなところがあったから逃げられたんじゃないんですかァ!?」

 

 激昂し、荒くなった剣筋にアリアはワザと煽った甲斐があったと嘲笑う。

 大きく振りかぶったところで胸部と頭部バルカンを撃ち放ち、セルマのザクの表面を盛大に撃ち据えた。

 

『ぐぅ!?』

 

 堪らず距離をとったところでアリアは直進。右拳を握りしめ、勢いよくその顔面を殴る。

 

『きゃあ!?』

 

「ハァッ!」

 

 左手のサーベルを振るいダガーの持った右手を切り飛ばせば、右脹脛から引き抜いたサーベルでコクピットを貫こうと───

 

『俺を忘れてんじゃねぇ!!』

 

「チィッ!」

 

 斬りかかってきたダナンの一撃をサーベルを交差させ受け止め、そのがら空きの脇腹へ爪先が突き刺さった。

 

『うぉあ!?』

 

「世紀末に帰りなさい!」

 

 姿勢が崩れたところにアリアは胸部へヤクザキックを放ち、バックステップで距離を取り、アリアは叫ぶ。

 

「ミサイル!」

 

『承諾:有線操作ミサイル起動』

 

 ブルーの腹部から2つの有線で繋がれたミサイルが2機へと放たれる。それはCOMの操作で有機的な動きを持ってセルマとダナンへ。

 

『甘いんだよ!』

 

『その程度で!』

 

 しかし、早々に動きを見切られ僅かに上体を逸らすか屈めることですぐ真上をミサイルが通り過ぎていってしまう。

 

「馬鹿が。ミサイルを直撃させなくてもダメージを与えられるんですよ知恵足らず」

 

『了解:ミサイルを爆破』

 

 有線ミサイルは機体側から機動を操作することが出来る他に爆破のタイミングも操作が可能だ。故にCOMがミサイル内の信管の爆破設定を接触爆破から即座に近接爆破へ変更。

 セルマとダナンの背後で通り過ぎてしまう前に爆発。モロに爆風を2機のザクの背中を撫で、破片がランドセル他ホバー機構へも突き刺さる。

 

 モビルスーツというのは頑丈だ。しかし、それは前面にあたる部分がという但し書きがつく。

 故に推進機関などが集中する背面はどうしても装甲を薄くせざるを得ず、サザンクロス隊が運用する高機動型ザクは地上で性能を発揮するためにホバー機構を導入した為、他のザクよりもその弱点は顕著となっていた。

 

 では、その背面にダメージを受けたらどうする? 答えは簡単。

 

『なっ!?』

 

『キャァ!?』

 

 小規模な爆発がランドセルと脚部から発生し、2機のザクは姿勢を崩してホバー移動にも不具合が生じる。

 機体のシステムは即座に不安定となったホバー機構が動作を停止さ せたが、それによりザクは速度を保ったまま地面へ接触。もんどり打って顔面をすりおろして地面をころがった。

 

 なにかの部品や破片を撒き散らしながらブルーのすぐ側を通り過ぎ、それにビームが突き刺さる。

 動力炉を撃ち抜かれ、ダナンのザクは爆散。

 

『へっ、流石に動かなけりゃ当てられるわけよ』

 

「私としては動いてても当てて欲しいのですがね?」

 

 離れた場所にいたガンキャノンの銃口からは煙が上がり、転倒したザクを撃ち抜いたことを示していた。

 カイの得意げな声にアリアは皮肉を送りつつ、もう1機のヨロヨロと立ち上がったザク。セルマ機を見据える。

 

「まだやりますか? こちらとしては投降することをオススメしますが……」

 

『ぐっ……ふざけ、ないで。私、は……あの人、に……』

 

「はぁ、あの男も随分と思われてるみたいですね」

 

 盛大に頭を打ったらしく意識が朦朧としているセルマを見てアリアは気怠げに息を吐いた。

 しかしここで見過ごせば何があるか分からない。抵抗の意志を見せた為にアリアはビームライフルを構え、狙いを定める。

 

『ドアン……どう、して……私、を……』

 

「さようなら、今度は兵士にならないことを願いなさい」

 

『つれて、いって……』

 

 ヒートダガーを赤熱化させ、ブルーへ切りかかろうとしたところでアリアは躊躇なく引き金を引いた。

 銃口からビームが放たれ、真っ直ぐに飛んで行った光条はザクのコクピットを貫く。

 

『……別にトドメを刺さなくても良かったんじゃないか?』

 

「武装解除すれば考えましたよ。ですが、しないということは死ぬまで戦うことを選んだということです。

 それが回り回って自分の首を絞めるのならここで消した方が後々のためになるでしょう」

 

『…………戦争ってのは嫌なもんだね』

 

「殺されるよりは殺す方がマシでしょう?」

 

 膝を折り、地面へ倒れたザクを見つめアリアは言う。その言葉に反応は返されなかった。

 

 

 

 

 海面を突き破り、島へと着地する2つの影。

 

『クソッ、どこ行きやがった白いヤツ!!』

 

『落ち着けサンホ軍曹、にしても本当なのか? パイロットも居ないであの白いヤツが動いてたってのは?』

 

『じゃなきゃ俺のザクは誰に殴られたっていうんですか!?』

 

 特殊任務を終わらせ、カウントダウンで発射されるのを待つだけとったウォルドとユンは部隊との合流のため島へと上陸する。

 途中、ハプニングが発生した為にユンが目を血走らせて周囲を索敵しており、その隣でウォルドはあまりの怒りように軽く引いていた。

 

『いや、だってなぁ……無人でモビルスーツが動くなんて聞いたこともないし。本国でも無人操作できるモビルスーツの話なんて聞いたこともないし、連邦も戦線じゃそんなの出てきてないだろう?』

 

 ユンが言っていた連邦の白いモビルスーツ、ガンダムはどう行ったわけか分からないがミサイルサイロ内の格納庫にいた。

 そこはまぁ良いとして、問題なのはガンダムのコクピットハッチは解放されており、殴られる直前にユンが見たらしいがその中は無人だったらしい。

 

 それを聞いた時ウォルドはユンが錯乱してるのか? と思ったが、言動を聞いてる限り意識がはっきりしている。

 しかし、余りにも現実離れしたことにイマイチ半信半疑だった。

 

 一応敵はいるので警戒はしておくが、ウォルドは主目的を既に終わらせたのでさっさと合流してこんな湿気た島からオサラバしたいので話半分に聞き流しながら島の中を走らせていると。

 

『ッ、居たァ!』

 

『チッ、面倒な』

 

 そこには屈んでいたガンダムがおり、怨敵を見つけたユンは喜色の叫びを上げてウォルドは顔を顰めた。

 

 面倒事はやりたくないが、敵と遭遇したなら戦わなければならない。武装のセーフティを解除。

 

 それと同時にガンダムは立ち上がり、徐にユンとウォルドへと向き直った。

 

「まさか無人で動くなんてな……これがアリアの言ってたオートパイロットか」

 

『肯定:パイロット不在時に代わって操縦可能』

 

「お前はすごいやつだよ!」

 

 ガンダムのコクピットでアムロは驚愕しながらも妹の組んだシステムへ称賛の言葉を送りながらサーベルを引き抜いた。

 

「行くぞジオン!!」

 

 ブースターを吹かし、こちらへ向かってくる敵へアムロは突撃する。

 

『死ねぇ!』

 

『前に出すぎだバカ!』

 

頭に血が登っているユンはバカ正直にヒートダガーで斬りかかり、ウォルドが叫ぶが聞く耳を持たずアムロはそんなザクに向けて左手を向けた。

 

「デコイ!」

 

『了解:バルーンを射出』

 

 指先が開き、そこからはガンダムを模したバルーンが射出。それはユンの進路上に放たれるが、構わずにユンはそのバルーンを切り裂く。

 

『邪魔なんだよ!』

 

 切り裂かれたバルーンはその断面から白い煙を吐き出し、周囲を覆い隠した。

 

『くそ、これじゃ狙えん!』

 

 ウォルドは視界が阻まれ、ユンを援護したくとも出来ないことに狙撃ライフルの銃口を上へと向ける。

 

『くそ、どこだ!』

 

 煙幕の中でユンは立ち止まり、ダガーを振るう。しかし形のない煙幕を切り裂いても意味はなく逆に位置を相手に知らせていることにユンは気が付かない。

 そして、ユンの前に陰が現れた。

 

『そこかぁ!』

 

 勢いよく踏み込み、ユンはその影を切り裂く。だが、それの手応えは軽く良く見ればバルーンだった。

 加えて、そのバルーンは切り裂かれた瞬間にユンのザクを巻き込んで爆発を起こす。

 

『うぉあ!?』

 

 機雷を内蔵したバルーンによって装甲を炙られ、すぐ目の前に爆炎が上がり堪らずユンは悲鳴をあげる。

 そして集音センサーが爆炎により役割を果たさず、その背後から迫る影に気が付かないのは仕方ないとも言えた。

 

「はぁあっ!」

 

 がら空きの背中へアムロは勢いを乗せてビームサーベルの切っ先を押し込んだ。

 

『えぁ?』

 

 ビームによってコクピットを消し飛ばされ、ザクは力をなくし倒れ込む。

 

「次!」

 

 アムロはそれを一瞥すらせず、もう1機へと迫った。

 

『サンホ軍曹! おい、返事をしろ! 軍曹!!』

 

 煙幕の外でウォルドは回線を開いて叫ぶが、返事は無い。そうしていると、煙幕の内側から影が滲みウォルドは目を細めれば。

 

「ぉおおおおお!!」

 

『ッ!?』

 

 凄まじい速度で迫るガンダムが煙幕を切り裂いて現れ、ウォルドは目を見開いて咄嗟に距離を取ろうとペダルを踏み込む。

 しかし、既に速度を乗せられたガンダムを前に余りにも初速が足りなかった。

 

「でやぁあっ!!」

 

 二刀のサーベルを振りかぶり、ガンダムはザクを×字に切り裂く。

 

『ぎゃぁあっ!!?』

 

「ッ!」

 

 爆発に巻き込まれないためにバックブーストを行い、距離を取ればザクは爆発四散し空高く黒煙が立ち昇った。

 

 

 

 

『ドアン!』

 

「エグバ、俺はお前たちと戦いたくはない! ここから去れ!!」

 

『抜かせ! この手で殺してやるぞ裏切り者!』

 

「くっ!?」

 

 ヒートソードとダガーの乱撃を捌きながらドアンは歯噛みする。かつての仲間であり、友でもあるエグバを撃墜するのは未だに躊躇いがあるからだ。

 しかし、相手はそんなことな関係ないとばかりに殺意を乗せて武器を振るう。

 

「(まだ迷っているのかドアン! お前は子供たちを守るためにジオンを抜けただろう!?)」

 

 ヒートホークで斬撃を受止め、爪先で岩を蹴り飛ばし礫となってエグバのザクへ降り注ぐ。

 

『この程度で止まるかぁ!』

 

 しかし、ただの礫ではザクの装甲にはシャワーにしかならない。

 

 空は既に星が瞬き、太陽は地平線へと沈んでいた。

 

 ドアンはエグバの猛攻を交わし、防ぎ続けていたが限度はある。先のブルーディスティニーとの戦闘で駆動系には限界が来ており、機体コンディションは既にレッドアラートが鳴り響いている。

 

 幾らドアンが精鋭とも呼べる人物であっても、機体が限界を迎えていれば無理があった。

 

『ぉおおっ!!』

 

 島の中央の巨大なクレーターの中で高機動型ザクはその性能を遺憾無く発揮し、ホバーによって勢いをのせた斬撃はついにドアンのザクの片腕を切り裂く。

 

「っ!?」

 

 ヒートホークごと宙を舞い、エグバはその場でターンを行いヒートソードの切っ先を突き入れた。

 

「ぐぅ!?」

 

 しかしドアンは咄嗟に機体をひねらせ、致命傷を避ける。

 ヒートソードは脇腹をかするに留めたが、それが限界となったかついにドアンとザクは膝を折った。

 

『ハッ、無様だなドアン!』

 

「がぁ……!?」

 

 顔面を蹴り飛ばし、宙を舞うドアン。既に勝敗は決し、エグバは余裕綽々といった様子でゆっくりとドアンへ迫る。

 

『今際の際だ、ドアン。なぜジオンを……サザンクロスを去った!』

 

 首筋へヒートソードを添え、エグバは叫んだ。

 

「…………俺は」

 

『俺はお前を友と言ったお前もだ!! あの日、俺とお前は弾丸を交換して誓っただろう!? いつか自分か互いの命のために使おうと!!」

 

「ッ!」

 

 ドアンはその言葉に沈痛な面持ちで顔を僅かに伏せる。

 

「……俺は、ジオンがスペースノイドの為だと。正義だと思っていた。だからコロニー落としも必要なんだと自分を納得させた」

 

 だが、とドアンの脳裏によぎるのは重力戦線で戦いに巻き込まれ戦場で泣き叫ぶ子どもの姿を。

 自分たちのせいで家族を失った子どもの悲痛な泣き声を。

 

「そんなものは欺瞞だった! スペースノイドもアースノイドもなんの違いがある!? 同じ人間を、なんの罪もない人々を戦いに巻き込んで何が正義だ!? 

 お前も見ただろう! 瓦礫に潰された自分の親を何度も揺すって名を呼ぶ子どもの姿を!!」

 

「俺はもうあれを見て戦うことなど出来なかった! だから、俺はジオンをサザンクロスを抜けたんだエグバ!!」

 

『だったら!!』

 

「ッ!」

 

『だったら、なんでそれを俺たちに言わない!? 仲間だろう!』

 

「だからこそだ! 俺のエゴにお前を、お前たちを巻き込みたくなかったんだ……!」

 

『ッ〜!!! ふざけるなよ、そんなに頼りないのか!? 俺らはそんなに力になれないと思ったのか!?』

 

『一言、俺たちに一言言ってくれればよかったんだ!! 一緒に来てくれと!』

 

「エグバ…………」

 

 その叫びにドアンは呆気に取られたように名を呟く。しかし、既に選択する場面は通り過ぎてしまっている。

 もう、有り得た可能性はないのだ。ドアンは選択し、エグバは選ばれなかった。話は、もうこれで終わりなのだから。

 

『……さらばだ、友よ』

 

 エグバは絞り出すように言い、ヒートソードを構える。

 その刃をドアンは目を閉じ、振り下ろされるのを待った。

 

『ドアンッ!!!!』

 

 しかし、その叫びを聞いた瞬間に反射的に操縦桿を動かす。

 

『なぁ!?』

 

「ぉおおおお!!」

 

 満身創痍だったザクにドアンは叫ぶ。

 

「俺はまだ、死ねない!! 付き合ってくれ!!」

 

 モノアイが強く光り、ザクのタックルがエグバのザクへと突き刺さった。

 

『往生際がぁ!』

 

 タックルによりダガーは吹き飛んだが、ヒートソードを握りしめてエグバは激昂する。

 

『ドアン!!』

 

「エグバァ!!」

 

 クレーターの縁に立ち、両者は進む。

 

『死ねぇ!!』

 

「おおぉお!!」

 

 ドアンは子供たちの想いを乗せた拳を、エグバは殺意と哀愁をのせた刃を。

 

「『ぉおおおおおおおおおおっ!!!!』」

 

 そして、両者は交差する。

 

『…………ドアン』

 

「……なんだ」

 

『…………守り、きれよ』

 

「ああ」

 

 互いに背を向け、停止するザク。徐に緑のザクは膝を折ったが倒れず、代わりに褐色のザクは背中から爆炎が上がり、ゆっくりと倒れ込んだ。

 

 戦場に静寂が訪れる。

 

『ククルス・ドアン、終わりましたか?』

 

『ふぅ、なんとか勝ったかな?』

 

 そして別々の方向からブルーディスティニーとガンダムが現れ、ドアンのもとへと歩み寄った。

 

「……すまないな、俺の因縁に君たちを巻き込んで」

 

『いい迷惑でしたよ。本当に』

 

『あはは、まぁ仕方ないですよ。ドアンもここをジオンにも連邦にも渡す訳にはいかないんですから』

 

 会話をしていると徐にクレーターに振動が走る。

 

『? なんですか、これ』

 

『いや、分からないけど……』

 

「っ、まさか!?」

 

『ククルス・ドアン、何か知ってい─────

 

 アリアが聞こうとした瞬間、クレーターの真ん中が崩れたかと思えばそこから1発のミサイルが顔を覗かせた。

 

『なんだ!?』

 

『ミサイル!?』

 

 アムロとアリアが呆気にとられ、ミサイルは構わずに空高く昇る。ほんの数秒でミサイルは手の届かない高度へ上がり、撃ち落とすのは不可能と判断した。

 

 そして、ミサイルは外殻を外し宇宙空間で格納していた6発の弾道ミサイルを設定された地点へ向かおうと────した瞬間に宇宙で爆発する。

 

 空高く6つの美しい華を咲かし、その光景を見てドアンの子供たちは惚けたように呟いた。

 

「綺麗……」

 

「すげー……」

 

「ドアン、これが貴方の仕事なのね……」

 

 彼ら彼女たちに隠してドアンがしていたことを知り、子供の1人のカーラは目を潤ませて言う。

 

『えーと、ひとまずは安心ってことでいいんですかね?』

 

『……多分?』

 

 イマイチ事情の呑み込めないアリアはアムロへ尋ねると、同じような顔でアムロはドアンへ視線を向ければザクのコクピットから出てきた彼は空を見上げ、肩の荷が降りたとばかりに笑うのだった。

 

 

 

 

「とりあえず、ミサイルサイロのことはゴップ大将へ伝えてある。

 あの方なら君たちのことを邪険には扱わないだろう」

 

「何から何まですみませんテム大尉」

 

「おっと、私はただ人として正しいことをした現地協力者に手を貸しただけだぞ?」

 

「……ハハ、そういうことにしておきましょう」

 

 あの日から数日経った。ホワイトベースは島へ上陸し、少しの間だけドアンとその子供たちと交流を深めた。

 その間にテムはゴップへ一連のことを報告し、即座に彼は連邦の部隊を島へ派遣しミサイルサイロをジオンの手に渡らないようにする。

 

「えぇー、アムロもう行っちゃうのー?」

 

「アハハ、これでも忙しいからね。戦争が終わったらまた来るよ」

 

「約束だぜー!」

 

「すっかり人気者ですね兄さん」

 

「そういうアリアだって仲良さそうだけど?」

 

「鬱陶しいだけですよ」

 

 男の子たち数人からやけに熱っぽい視線を向けられ、面倒くさそうな顔をするアリア。

 アムロは笑いながらテムと話すドアンへ視線を向ける。

 

 そこにはすっかり険の取れた顔のドアンがおり、テムとこれからのはなしをしていたようだ。

 

 アムロの手によってザクを海中へ捨てたことにより、ドアンの身体に染み付いた戦争の臭いというやつは消えたらしく、すっかり気のいいあんちゃんになったドアンはホワイトベース隊と協力によって島の設備の復旧を手伝った。

 

 そしてゴップの手配した部隊が来る為に、今日はそのお別れなのだ。

 

「進路を中央アジアへ! 発進!!」

 

 ブリッジでブライトが号令を行い、ホワイトベースは空へ上がる。

 

「エグバ、調子はどうだ?」

 

「……死んだと思ったのに生きてて恥ずか死にそうだ」

 

 ドアンの隣には松葉杖のついたエグバがおり、なんとも言えない顔で空の彼方へ飛んでいく白亜の天馬を見送る。

 

「はぁ、今帰ってもマ・クベ大佐に殺されるよなぁ……」

 

「互いにジオンを追われた身だな、これで」

 

「誰のせいだと…………はぁ、どうするかこれから」

 

「……存分に悩めよ。人生は長いんだ」

 

 男二人は見上げ、どこまでも澄んだ空は何も言わなかった。しかし、何だかそれが可笑しくやがてふたつの笑い声が響くのだった。




コクピットを潰されただけの高機動型ザクたちはアリアが火事場泥棒的な感じで鹵獲してたりしてます。

エグバ生存はなんとなくです。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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