機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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コズンさんスゲー大ブーイングですね。まぁ、あれだけ言っておいてやらかしてますからな。でも軍人として汚い手を使おうが情報を持ち帰るのは大事ですから仕方ないネ


36.Giant stars and Ravens

「それで? こんないたいけな少女を人質にしてどうする気ですか? 5秒待ってください」

 

「すまないな。俺はどうしても情報を持ち帰らないとならないんだ。よし、行ったな」

 

「格納庫であれだけ言っておいて人質なんて恥ずかしくないのですか? 壁に背を預けて歩いてください」

 

「…………ロクデナシの誹りは甘んじて受けるさ。なんでカメラの死角を知ってるんだ?」

 

 銃を突きつけられ、憮然とした顔で前を歩くアリアとその後ろに続くコズン。

 現在ホワイトベース内では薮をつついたような大騒ぎとなっている。理由は後ろにいる男のせいで、歯に隠し持っていた爆薬で独房の鍵を破壊、脱走。

 

 艦内を彷徨いていたところを眠ろうと自室に向かっていたアリアを見つけ、彼女を人質にとって脱出のために案内をさせていたのだ。

 

 アリアからの痛烈な皮肉を沈痛な面持ちで受け止めるコズンを横目で見ながらアリアはどうしたもんかと考える。

 こっちは丸腰に対して向こうは銃を持って挙句には自分の背後を取っており、体格差も含めて無茶無謀もいいところだ。

 

 幸いにもこちらが子供だからか、人質にとることが本意ではないらしく盾にするとかいう乱雑な扱いをしてこない為に命の危険はない。といっても、ホワイトベースのクルーからの流れ弾が飛んできたらその限りでは無いが。

 

(はぁ、全くもってついてませんね。下手にクルーを刺激したら素人ばかりですし勢い余って発砲されかねません)

 

 ホワイトベースのクルーが殆ど民間人か新兵のために、警告もなしにアリア諸共撃ってきそうだから下手にわざと道を間違える訳にも、カメラにも映る訳にもいなかい。

 敵の弾ではなく、味方からの誤射で死ぬなどたまったもんじゃない。故にアリアは素直にコズンを案内をする。流石に自分の命は惜しいのだ。

 

「狭い……」

 

「文句言わないでくれます?」

 

 通気口の中で窮屈そうにしてるコズンへアリアは言いながら匍匐前進で進んでいく。

 

 

 

「まだ見つからんのか!?」

 

「は、はい! 艦内をくまなく探しているのに見つからないんです!」

 

 ブリッジではブライトが逃げ出したコズンが見つからないことに声を荒らげているが、それは無理からぬことだ。

 艦内の監視カメラはもちろん、クルーたちを総動員して捜索しているのに発見報告のひとつも無い。

 

 明らかに痕跡はあるのに、目的の人物は見つからないという。まるで狐につままれたような事態にブライト含めてオペレーターも頭を悩ませる。

 

 しかし、まさかコズンの逃亡にアリアが力を貸しているなど予想できるわけもなかった。

 進行方向に人がいれば別の通路を迂回し、カメラの死角を通って他には通気口などを用いてショートカットという、お前はどこのスニーキングミッションの達人だと言わんばかりにクルーたちを翻弄している。

 

 そして、更にブライトが驚愕する報告が入ってきた。

 

「か、格納庫で鹵獲した高機動型ザクが起動してます!?」

 

「どうしてそうなる!? 誰が乗っているんだ!!!」

 

「わ、わかりません!!」

 

 何かに使えるかもしれないと、過去に鹵獲していたザク等のパーツを用いて修復したサザンクロス隊の高機動型ザクが格納庫の中を歩いている映像がモニターに映し出される。

 

『よぉ、木馬の艦長さん。悪いこと言わないからハッチを開けた方がいいぜ?』

 

「っ! 誰が開けるか!! 作業員にも通達しておけ!」

 

 そのコクピットにはコズンが乗っており、彼からの要求にブライトは毅然と返すが次の瞬間に彼は頭を掻きむしりたい衝動へ陥ることになる。

 

『開けてくれないなら、お嬢さんが酷い目にあうぞ?』

 

『狭いんですけど?』

 

 コズンの足の間に座らされ、不満げに感想を零すアリアの姿が映し出された。

 

「なんで、お前が、そこに、いるんだよ!!! (心からのシャウト)」

 

『ボディチェックを隅々までしなかった人が悪いと思います。私は悪くないです。文句なら担当した人に言って下さい』

 

「ッッッッ!!!!」←言い返してやりたいが、アリアの言っていることが正しいので言葉を必死に飲み込んでいる様子

 

『まぁ、アンタらのザルさのお陰でお嬢さんが快く協力してくれて楽に辿り着けたから感謝しているくらいだ』

 

『現在進行形で銃口当てて言うことですか?』

 

「見つからなかったのお前が原因か!?」

 

『逆に聞きますけど、ろくに訓練もしてないような人達が人質をとった捕虜を人質を傷つけずに解放できます? 私は無理だと思いますけど』

 

「ぐぬぅ……!」

 

 アリアの言葉にブライトは苦虫をダース単位で噛み潰したような苦悶の表情を浮かべて押し黙る。彼女の言うとおり、ホワイトベースのクルーは人質の救出なんて訓練を積んでるわけもないため出会い頭に発砲しかねない。

 

『と、いうわけさ。素直に言うことを聞かないとこのお嬢さん『アリアという父さんがつけてくれた立派な名があります』……アリアちゃんの綺麗な顔に傷がついちまうぞ?』

 

『だ、そうです。腹たちますよねこの人』

 

『……俺が言うのもなんだが少しは怖がったらどうだ?』

 

『キャ-、タスケテ-』

 

『すっげぇ棒読みだな……』

 

「コントを、してる、場合かッ!!!」

 

 目の前で繰り広げられている緊張感のない会話にとうとうブライトは叫び、その言葉にクルーたちは同意する。

 

『……ブライト君、行かせてやれ』

 

「テム大尉!? ですが!」

 

『ここで、暴れられたら余計な被害が出る! 君もわかっているだろう!? 

 今は艦長としての責務を果たせ!!』

 

 すると、格納庫からのテムの通信にブライトは泡を食ったように叫んだ。しかし、テムの次の言葉にブライトは反論できなかった。

 実際、格納庫の中で暴れられたらひとたまりもなく余計な被害を出さないためならそれが最善と言える。

 

 幸いにも奪われた機体は鹵獲したザクであるため、ホワイトベースの戦力自体が減る訳でもない。加えて、現在は人質をとっているがコズンの人間性は善性寄りのためアリアを傷つけることはしない……はず。

 

 だが、テムの表情を見ればわかる。本当なら今すぐにでも実の娘を助けに行ってやりたいだろう本心を軍人として必死に押し殺していた。

 

「…………カタパルトハッチ、開け」

 

 ぽつりとブライトはフラウへ命令する。それを聞いた瞬間、フラウが悲鳴じみた叫びを上げてブライトを見返す。

 

「ブライトさん!?」

 

「いいから、黙って開けろ!! それともお前はこの状況を切り抜けられるようなアイディアがあるのか!?」

 

「それ、は……」

 

 アームレストへ拳を叩きつけてブライトが問えば、その剣幕にたじろぎフラウは視線を俯かせた。ブリッジに重々しい沈黙が訪れ、クルーたちが苦悶の表情を浮かべるが凛とした声が響いた。

 

『ご安心を、直ぐに戻ります』

 

「ッ……すまない、アリア」

 

「アリアちゃん、ごめんなさいッ……!!」

 

 そして、カタパルトハッチが開かれる。

 

『…………恨んでくれてもいいぜ』

 

 コズンは最後にそう言い残すとカタパルトを作動させ、夜の闇へと消えていく。

 

「……くそ、畜生!!!」

 

 遠くなっていく光点をブリッジから見送るしかできないことにブライトは叫び、何度も拳をたたきつけるのだった。

 

 

 

 

 

「ラル大尉! コズンから通信です!!」

 

「なにっ!?」

 

 アリア駆るブルーによって損傷したギャロップとグフ・カスタムの修復作業中、ハモンと共にラルがこれからの作戦を練っていたところ副官のクランプが慌てた様子で通信機片手に部屋に入ってきた。

 ラルは声を張ってハモンと共に通信室へ入ると耳へヘッドホンを当てた声を上げる。

 

「こちらランバ・ラル。コズン!」

 

『はい、こちらコズン・グラハムです大尉! 木馬から脱走してきましたよ!』

 

「そうか! 合流ポイントは覚えているな?」

 

『ばっちりと! それと木馬から逃げる際に人質をとったのですが────

 

『あぁ、もう操縦が雑すぎます! ホバー初心者ですか!?』

 

 コズンの言葉を遮るように透き通る少女の声がラルの鼓膜を震わせ、その聞いたことのある声にラルは目を見開いた。

 

『うぉ!? 暴れるなお嬢さん!? と、とにかく木馬のどれかのモビルスーツのパイロットらしき女の子を人質として確保しました!! 

 一応、拘束する準備をしておいてください! あと、今まで乗ってきた機体は二本足で歩くやつだったのにいきなりホバーで移動する機体を丁寧に扱えるわけないだろ!?』

 

『フンッ!』

 

『おごぉ!? お、俺のグワジン級に後頭部を叩きつけるのはやめなさい!』

 

『なにがグワジンですか。あなたのなんかコムサイ程度でしょう?』

 

『なんてことを言うのかねこの子は!? 俺の主砲がどれだけでかいか見せてやってもいいんだぞ!?』

 

『変なもの見せないでくれます? それと加齢臭が凄いので離れてください』

 

『か、か、か、加齢臭ちゃうわ! きちんと体臭には気を使ってるわ! …………ほんとに臭くないよな?』

 

『…………』

 

『あ、おい! 黙り込むんじゃない!! ラル大尉!? 俺臭くないですよね!? ちょっと!? ねぇ────

 

 ラルは通信を切断し、重々しくため息をこぼす。断じて部下が捕虜の少女と馬鹿みたいな会話をしているのをこれ以上聞きたくないから切ったわけではない。ないったらない。

 

 とにかく、ラルはクランプへコズンの受け入れの準備をしておく指示を出せばハモンを連れて自室へと戻る。

 

「あなた、どうしましたか?」

 

 ハモンは自分の愛する男が苦悶の表情を浮かべていることが気になり、尋ねた。理由はわかっている。コズンと共にいる捕虜のことだろうと。

 しかし、それだけではラルがここまで悩んでいることに説明がつかない。

 

 そっと、彼女はラルの無骨な戦士らしいゴツゴツとした手へと己の手を重ねる。長年寄り添った仲らしく、ハモンは何も言わずジッと待った。

 

 そして、ラルは重々しく口を開く。

 

「…………ハモン、コズンの連れてくる少女の事だが」

 

「はい、流石にあのような幼い声の子がモビルスーツに乗っておるのは驚きました」

 

「……あぁ。実はその少女の乗っている機体を私は知っている」

 

 ラルはそこで区切り、ハモンの手を握りしめた。

 

「恐らく、あの少女が蒼い死神のパイロットだ」

 

「ッ! それ、は……」

 

 予想だにしない答えにハモンは絶句する。ガルマ・ザビを討ち取り、懸賞金をかけられた正真正銘ジオンのお尋ね者。

 

 前に立ち塞がる敵をことごとく討ち取り、例外なく仕留めて来た異名通りの死神の正体がまさか、あのような少女とは。

 

 ドズルから直々に蒼い死神を討ち取る命令を出されているラルは苦悩する。部下のために愛する伴侶のために己はジオンでのし上がらねばならない。

 

 その為なら例え政敵であり、怨敵でもあるザビ家に尻尾を振る事も辞さない覚悟だ。しかし、しかしだ。

 

「私は、あのような幼子を……!」

 

 軍人として上からの命令は絶対だ。けれど、それでも人として踏み外してはならない線引きというものがある。

 

「あなた……」

 

 武人として、軍人として常に威風堂々としていた男がここまで思い悩むことにハモンは心を痛めた。

 故に彼女は何も言わず、ただラルを抱きしめる。ラルもまたハモンを抱きしめ互いに心臓の鼓動を感じ、体温を交換する。

 

 それが数分続き、落ち着いたのかラルは表情を僅かに緩ませてハモンの唇と己の唇を重ねた。

 

「…………とりあえずは私は少女と話してみよう。場合によってはどうにかなるやもしれん」

 

「…………はい、私はあなたの選択に従います」

 

 

 

 

「貴方があの人の上官ですか?」

 

「あぁ、私がコズン・グラハムの上官でありこの部隊の隊長のランバ・ラルだ。

 宜しく頼むぞ、木馬の麗しき小さな戦士よ」

 

「・・・・・アリア・レイです。宜しくしなくていいですよグフ・カスタムのパイロットの人」

 

 そして、青い巨星と蒼い死神を駆る鴉は邂逅する。




クッソどうでもいいけどテムパパはサラミス級とアリアの談とだけ。

ラルさんとハモンさん好きだからどうしようっか・・・・?

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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