機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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黒い三連星と書いて出オチと読む。


40.Black Tri-Stars

 この機体を見つけたのはたまたまだった。水爆の発射システムに小細工をした後、脱出のための足を見つけるために某蛇の如くスニーキングミッションをしていた所、アリアの手によって脱走した捕虜たちが反乱を起こしているどさくさに紛れて忍び込んだ格納庫の奥に隠されるように置かれていた北米で遭遇したやつと似た姿の本機を発見。

 

 周囲には書類やら工具が散らばっており、恐らく捕虜たちが逃げ出した情報を聞いて慌てて格納庫にいた作業員たちが逃げ出したと予測。

 

 これ幸いとアリアは待機状態だった本機のコクピットへ入れば何故か中に放置してあったマニュアルを流し読み、その中でこの機体『イフリート・ナハト』の名を知る。

 

「ふむ、北米でのEXAMを搭載したやつはオリジナルのイフリートの改修機でしたか。このイフリートは夜間戦闘を得意とした改修が施されているようですね」

 

 連邦のレイアウトとは違う内装に手間取りながらも機体のシステムを立ち上げていき、コクピットの一部のハッチをこじ開ければオデッサへ忍ばせていたCOMを回収したUSBメモリを端子へ差し込む。

 

 数秒でダウンロードを終え、アリアはコクピット内に持ち込んでいた格納庫内に放置されてたノートPCを接続し、イフリート・ナハトのシステムとCOMの調整を始めた。

 

「前々から思ってましたけど、ジオンってOSの共通化もしてないんですかね? 

 機種ごとに操作感変わりすぎでしょう。国力に劣ってるのに何故共通規格化しないのか不思議です」

 

『推測:ジオンは連邦へモビルスーツの情報漏洩を防ぐために敢えて共通規格をしなかったと予測する』

 

「すでにモビルスーツのアドバンテージなんて無くなっているようなものでしょうに、間抜けですね。……よし、こんなものでしょう」

 

 ノートPCを閉じ、近くの収納ボックスへ仕舞い込みアリアはシートの位置を調節してシートベルトで体を固定。

 

「さて、起きなさい。仕事の時間ですよ」

 

『システム 戦闘モード、起動』

 

「アリア・レイはイフリート・ナハトで出ます!」

 

 そして、本来なら目覚める時ではなかった夜闇に紛れる炎の精霊が鴉の手によって仲間たちへ牙を剥く。

 

 

 

『クソッ、一体どうやって捕虜の連中が逃げたんだ!?』

 

 ザクのパイロットは基地内にいた捕虜たちが脱走し、反乱を起こした為に鎮圧のために駆り出された。

 本来ならこんなことをしている暇は無いというのにと思いながらレーダーを見やると。

 

『な、なんだ!? 何も映らないぞ!?』

 

 ソナー、熱源、その他のセンサー全てに砂嵐が走り殆どが意味を成さずパイロットは動揺した。

 そんな中で周音センサーが不意に奇妙な音を拾い、コクピットへ響かせる。

 

『なんだ……?』

 

 そちらへザクの頭部を向けさせれば、見えたのは格納庫だった。どうやら友軍らしくホッと一息ついたところで…………格納庫のシャッターをぶち破り中から紫のナニかとピンクの人魂が見えたとこから二度とザクのパイロットは意識を浮上させることはなかった。

 

「勢い余ってやってしまいましたね。まぁ、遅かれ早かれというやつです」

 

 ザクのコクピットから刀型の実体剣『コールドブレード』を引き抜き、アリアは刀身にこびり付いた物体を払う。

 

「さて、とっととズラかりたいところですが────」

 

 アリアが言い終えぬうちにその場から飛び跳ねれば、先程までいた場所にバズーカの弾頭が突き刺さった。

 

「当然、見つかりますよね?」

 

『チッ、マ・クベのやつ機体を盗まれやがって!』

 

『逸るなよオルテガ。相手は1機だぜ?』

 

『幾ら高性能といっても、所詮はグフとドムの中間の機体だ。さっさと終わらせるぞ!』

 

『『応ッ!』』

 

 視線の先には遠くから砂埃を上げて接近してくるいつかの重モビルスーツ『ドム』が3機。先程の攻撃も奴らだとアリアは理解する。

 

「はー、面倒ですね。多分ジオンのエースですかね?」

 

『肯定:目標はジオンのエース小隊『黒い三連星』』

 

 COMの報告にアリアは片眉を上げた。

 

「3対1……いつかのことを思い出しますね」

 

 ルビコンでかつて戦った傭兵たちを思い出し、軽く死んだ目をしつつもアリアは気を取り直してゆっくりと息を吐いて吸う。

 

「あの時は後から2機、突然来ましたが今回のは最初から来てる分マシですね。

 それに、全員同じ武器ですから対処もしやすい」

 

 その顔に絶望はなく、日常と変わらないと言わんばかりの無表情。

 

「来なさいニュービー共。機動兵器に関しては私の方が先達であることを教えてあげます」

 

 不敵な微笑みと共に鴉は星を堕とす為に、その黒い翼を広げる。

 

 

 楽な仕事だと、黒い三連星のリーダーでもある男『ミゲル・ガイア』は思っていた。当時のジオンにおいて最新鋭ともいえ陸戦重モビルスーツ『ドム』を任され、オデッサにて存分にその性能を発揮しルウム戦役でかつて捕虜として捕らえたレビルの息の根を今度こそ止めてみせると。

 

『ぐぅ!? コイツ、ドムに付いてくるだと!!?』

 

『オルテガ! 射線が被ってるぞ!?』

 

『クソッ、こいつさっきからワザと被せるように────がァ!!? ぃ、岩だとォ!?』

 

 相対してる敵モビルスーツはイフリートというグフの格闘戦能力にドムのような機動性を追加した言わばグフとドムの中間のような性能のモビルスーツだ。

 そして、目の前のイフリート・ナハトは原型たるイフリートに高度なステルス性能と強力なジャミング能力を付与したという機体……確かに強力だろう。

 

 だが、自分含むドム3機が集まれば容易く屠れるとタカをくくって居たはずがどうだ? 

 

 ホバーによる機動力を用いても翻弄するどころか逆にホバーの弱点をつかれ、進行方向に置くように投擲された物理兵器『コールドクナイ』や左腕のガトリングによって早々にオルテガが主兵装たる『ジャイアントバズ』を潰され、接近戦を挑めば緩急をつけたホバー移動と瞬間的に最大出力でブースターを吹かすという身体にとてつもない負担がかかるであろう方法でマッシュや自分の射線にオルテガを被せるように移動。

 

 イフリート・ナハトが右腕を伸ばし、なにか引き寄せるような動作をすればドムが何かに引き寄せられるように動きがズレたかと思えば、どこからともなく岩が飛来しぶつけられ体勢が崩れる。

 

 そしてジャミングやステルスを用いて物陰に隠れ、闇夜に紛れて装備した実体剣によって足を緩めたところをすれ違いざまに切りかかられた。

 

「なかなかやる!!」

 

 所詮はドムの下位互換であると見下していたが、環境を味方につけ遺憾無く性能を発揮させられるとこれほど厄介だとは思っていなかったガイアはコクピットの中で獰猛に笑う。

 獲物はやはり手強くなければ狩ごたえがない。久方ぶりの強敵を前に戦士としての血が騒ぎ、ガイアは2人へ指示を送った。

 

「オルテガ、マッシュ! こいつにジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!」

 

『『了解!!』』

 

 黒い三連星は必殺の攻撃を叩きつけ、真正面からねじ伏せる。

 

 

 

「なにか来ますね」

 

『警告:エース小隊、黒い三連星のコンビネーション攻撃『ジェットストリームアタック』の予兆を確認』

 

「なんですかそのダサいネーミング?」

 

 突然ドム3機が離れたかと思えば、1列に並びだしこちら目掛けて突撃してくるのを警戒してればCOMからの報告に思わぬ声を漏らした。

 

『説明:ジェットストリームアタックとは、1機目が対象に攻撃を加えてすぐに列から離れ、直後に2機目が同様の箇所に攻撃を加える。これを3機目まで実行し、対象へ深手を負わせる攻撃』

 

「……え、それだけ?」

 

 なんでわざわざ一直線に並んで律儀に順番に攻撃してくるのだ? わざわざ枚数有利を捨てて擬似タイマンみたいなことを? 

 

 脳内に? が埋め尽くしたが、操作に淀みなくアリアはイフリート・ナハトのコールドブレードを勢いよくドム、ガイア機へ投げつける。

 

「フンッ!」

 

 真っ直ぐに飛んでいったコールドブレードは棒状の近接武器のヒートサーベルによって切り払われ、あらぬ方向へ飛んで行ってしまった。

 

『馬鹿め! 自分から近接武器を捨てるなんてな!!』

 

『このまま落としてやるよ!』

 

『まずいっぱぁつ!!』

 

「学習しない単細胞ですねコイツら」

 

 嘆息し、アリアは吐き捨てる。

 ガイア機が踏み込み、イフリート・ナハトへ切りかかった瞬間にアリアはブースターを一瞬だけ出力を全開にし前へクイックブーストを使用した。

 

『なぁ!?』

 

「ッ!!」

 

 その瞬間、凄まじい速度でイフリート・ナハトが前進しまさか自分から進んでくるとは思っていなかったガイア機が目に見えて動揺するが、彼もエースの1人。

 ヒートサーベルを振り下ろそうとするが、既に懐に飛び込まれていた事により物理的に刃が届かず、逆に勢いを利用されイフリート・ナハトが握っていたコールドクナイの切っ先へ自ら突っ込むのだった。

 

『が、ガイアッ!!?』

 

『馬鹿、マッシュ! 止まるんじゃねぇ!!』

 

「ハァ!!」

 

 コクピットを潰されたガイアのドムを盾にして全力でブースターで前進し、そのまま2番目のドム、マッシュ機へぶつかる。

 ドムはホバーの特性上1度進行方向へ進めば、止まるのは容易ではない。

 

 そして、進路上に障害物があればどうなる? 答えは簡単だ。自分から突っ込み、玉突き事故を引き起こすのだ。

 

 2機のドムはぶつかり合い、姿勢が崩れる瞬間にアリアは瞬時に横方向へクイックブーストをし巻き込まれる前に退避。

 

『『ぬぉおおおおおっ!!?』』

 

 すぐ側をもつれあった3機のドムが転がっていくのを横目にアリアは左腕の銃口を向け、内部の弾丸全てを吐き出した。

 

 凄まじい炸薬の光と音を響かせ、ドムの装甲を叩くがその重装甲によって本体に大したダメージはないが武装は違う。

 

 ジャイアントバズへ弾丸が突き刺さり、内部の弾頭へ誘爆した瞬間にドムたちが盛大に爆発したではないか。

 

「わーお……」

 

『驚愕:驚愕』

 

 アリア自身狙ったつもりは無いのだが、実はドムの主兵装のジャイアントバズはその弾頭を撃ち出すのに本体の手の部分からパイプを通して送られる液体燃料を装薬として射出され、直後にロケット・モーターに点火して増速するという仕組みなのだ。

 つまり、ジャイアントバズを持ったまま弾頭に引火すれば、腕のパイプを伝ってダイレクトに内部へ火が通ってしまい、答えは……ご覧の通り綺麗な花火という有様。

 

 まさかの事態に目を瞬かせ、アリアは呆気にとられたがすぐに持ち直してコールドブレードを回収しその場からイフリート・ナハトを走らせる。

 

 一瞥すらされず、その場には3つの残骸が転がっているだけという、黒い三連星の末路は実に呆気ないものであった。




実際、ジェットストリームアタックって重力下のような2次元下でやるような技じゃないしわざわざ枚数有利を捨てて擬似タイにするっていう本末転倒技じゃないですかね?
まぁ、結局格下相手の初見見殺し技ですね。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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