機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
「アリアッ!!」
「わぷ……はい、ただいま戻りました父さん」
数日離れただけで酷く懐かしさを感じるホワイトベースの格納庫、イフリート・ナハトから下りれば集まってきた整備員たちをかき分けたテムから抱擁されアリアは驚きに目を開いたが、すぐに父の大きな背中を抱きしめる。
「心配したんだぞバカもんッ!」
「ふふっ、はい。ご心配をおかけしました」
父からの震えた怒りの声にアリアは何故か嬉しく思い、目に見えてわかるくらいに頬を緩ませた。
そのまま数分ほどの抱擁を続けた後、ようやく愛娘が帰ってきたのだと実感したテムが目元を赤くしながらもアリアを離し盛大にその頭を撫でる。
「わぁ、髪が崩れてしまいます」
「親元を許可なく離れたんだ。これくらい甘んじて受けなさい!」
「は〜い」
久方ぶりのテムのスキンシップにされるがままとなり、申し訳なさそうな顔をしてブライトからの連絡があることを整備員が伝えてくるまで続いた。
「えー、それで? ハモン女史を逃がしたあとは彼女に渡したオリジナルのCOMのコピーデータをオデッサ基地内のシステムへ忍ばせ、連邦軍が攻勢をしかけたどさくさに紛れ、COMのハッキング能力で独房から脱出した後に捕虜たちも逃がして反乱を発生させ基地内を機能不全にさせたところでジオンの機体、イフリート・ナハトを鹵獲して道中破壊工作やモビルスーツを撃破して帰還した……と?」
「(背景に宇宙を背負った顔)」
ブライトは思った。何処の世界一不幸な男だと。あれは映画だから納得できるのであって、現実で11歳のジュニアスクールに通っているような少女がやってのけるなんて予測できるか。
実際、同席したテムの背中に宇宙が見えるし。
ジオンのモビルスーツが単騎でホワイトベースに近づいてきたとかいう報告を聞いた時、ブライトは即座に迎撃を命令せようとしたが、そのモビルスーツから光信号で『愉快な遠足から帰還しました by アリア』とふざけた内容を送ってきたと戸惑い混じりのフラウから聞いて思わず主砲をぶち込みたいと思ったが鋼の意思でねじ伏せ、すぐに回収を指示。
そして無事に帰ってきたアリアを迎え入れ、テムとの抱擁もそこそこにひて一先ず事情聴取としゃれこみ彼女から一連の流れを聞いたわけだ。
「はい。いやー、捕虜って扱い悪いと思ってましたけどコース料理を出されるなんて思っても見ませんでした。まぁ、味はそこそこでしたけどね」
椅子に座り、プラプラと床に届かない足を揺らしながら
こちとら誘拐されてからのホワイトベースの空気は地獄だったんだが?
「それで、兄さんやハモンさんたちはどこに?」
「……アムロは絶賛前線で戦闘中だ。ハモン女史はたどり着いてすぐに我々に事情を説明した後に倒れてしまったから療養中だ」
「ふむ、ランバ・ラルやその部下の方々は?」
「彼らは訳あってジオンを亡命、我々の指揮下に入りアムロと共に作戦行動中だ。……テム大尉、ご説明しても? テム大尉ッ!」
「はっ!? あぁ、問題ないとも。このことはアリアも知っておいた方がいいことだからな」
ブライトは未だ宇宙を背負ってるテムへ声をかけ、反応がなかったので語気を強めると戻ってきた。
というわけで、ブライトはアリアが誘拐されてから何があったかを彼女へ説明するのだった。それはもう臨場感たっぷりに。
「…………えーと、兄さんが私を助け出すためにジオンの採掘基地を3つ、4つ単騎で更地にした後にソドンという街で私とハモンさんをオデッサへ送った後のランバ・ラルの部隊と遭遇。
生身で大乱闘をした後に兄さんを探しに行ったフラウさんとセイラさん……というよりセイラさんを見てランバ・ラルがセイラさんの本当の正体、ジオン・ズム・ダイクンの遺児『アルテイシア・ソム・ダイクン』に気づいて、そこからセイラさんが兄さんとランバ・ラルにビンタをして黙らせた後になんやかんやあってホワイトベースへ連れていくことになる。
そして、そこから色々と事情を互いに話した後にハモンさんが合流して私の身元がマ・クベにバレてたことが明るみに出て、ブチ切れたランバ・ラルがジオンを裏切ってホワイトベースに着いて、私の救出のためにオデッサへ突撃してる……と。なるほど……」
アリアは思った。わけわかんねー、と。
単騎で敵の拠点を複数更地にするとか流石は兄さん、でもそれはそうと無理しすぎでは?
あと、正規の軍人たち相手に生身で殴り合うとか何してるんだ? いや、それはべつにいい。問題なのはセイラさんの本当の名前だ。
まさかのアレだけこき下ろしたジオン・ズム・ダイクンの実の娘なんて予測できるか。というかなんでジオンの娘が連邦に?
今度はアリアの背に宇宙が浮かび上がる番だったが、とりあえず言えることは。
「まぁ、無事ならいいですね」
皆が無事ならそれでいいとぶん投げることにした。
一先ず現状確認ができたところでアリアはあっ、と思い出したように口元へ手を当てる。
「どうした、まだなにかあるの!?」
ブライトがお腹に手を当てながら叫び、頼むから何も起きないでくれと祈る。祈るが……
「実はオデッサには水爆があって、発射システムを弄って遠隔から発射できないようにしましたが直接手動で操作されたら発射されてしまいます。
あと、逃げてる最中に連邦のEXAMらしきシステムを搭載したモビルスーツに襲われましたね」
残念、爆弾がエントリーだ。
それを聞かされたらブライトは…………?
「( ᐛ )パァ」
「ブライト君!? 戻ってこいブライト君!! 私を置いて行くな!! ブライト君っっっ!!!」
襟を掴んでガクガクと揺さぶるテム。娘が帰ってきたのは踊り出すくらい嬉しいが、それと一緒に厄介事も持ってくるのはやめて欲しい。
オマケにジオンが水爆を持ち出すのはまだいいとして、連邦軍何しとんねんとも。
往復ビンタを数発やって漸く戻ってきたブライトはお腹を擦りながらアリアへ尋ねた。
「それで、その水爆の在り処はわかっているのか?」
「はい。実際にミサイルサイロに忍び込んでますから」
「……もう突っ込まんからな。アリア、疲れているだろうがお前に頼みたいことがある」
「構いませんよ」
「即答か……」
「今現在、ホワイトベース内の戦力は出張っているのでしょう? なら、私以外にやれる人はいませんからね。父さん、ブルーはどうですか?」
「……きちんと整備はしておいた。ホバーユニットも補給によって連邦軍規格のユニットが届いたから、それに交換したお陰でビーム兵器も使えるぞ」
「それは僥倖。すぐに準備をお願いします」
アリアは微笑み、2人は重々しく溜息をこぼす。
「ブライト君、ついでだしあのデカブツも付けるか? 規格はあってるし」
「……念の為に装備させましょう。アリアなら使いこなせるでしょうし」
「だな。アリア、来なさい。お前に見せるものがある」
「? はい」
テムに言われ、席を立つと彼に案内されアリアは跡をついていく。
「実は前回の補給でGアーマーというガンダムの強化パーツとは別のオプション兵装が渡されたんだが……これが曲者でな」
やってきた格納庫の奥深く、そこにはスペースの大部分を占領する超巨大な物体が鎮座していた。
「単純にデカすぎる」
「これは……まさか、カタフラクト?」
「『RX-COM-SW 002 CATAPHRACT[
その中にあった兵器を現在の連邦の技術力で再現できそうなものを作り上げたものだ。
最初見た時はこんなものどう使うんだ? とも思ったし、ジャブローでもテストパイロットの殆どがその複雑すぎる火器管制とえげつないGでまともに扱えるものがいなかった。
だが、上はどうしてもこの性能が魅力的に映ったのだろう。どうせならシステム開発者のお前に使わせてみて、それからデチューンすればいいと判断して持ってきたらしい」
「わーお」
「5分でブルーに装備させる。アリア、お前に言うのも無駄だと思うが、マニュアルを見ておきなさい」
「分厚い……」
渡された紙束を見て、アリアは僅かに口角が引き攣る。
オフザケの隠し要素をまさか現実に持ってくるとは思わず、アリアは連邦の技術者も頭おかしいなと思ったがマニュアルへ目を通し始めるのだった。
さすがに原作カタフラクトより幾らか劣化してます。まぁ、強さは誤差の範囲ですけど。
後継機
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既存機体を魔改造
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オリジナル機体