機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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オデッサ作戦終了!!


43.Malice of the people

 砂漠のど真ん中を超巨大な質量の塊が爆走する。

 

 超高速で回転する履帯に車体を分厚い装甲で覆い、過剰とも言えるほどの武装が取り付けられたその物体は遠目から見れば戦車といえるだろう。

 しかし、近くで見たらその大きさに圧倒されるはずだ。全高は優に20メートルを超え、全長もそれに準じていた。

 

 さらに目を引くのはその兵器の中央に包まれるように配置された蒼いモビルスーツの姿だった。

 

 そう、モビルスーツだ。つまりはこの超巨大重戦車はモビルスーツのオプションといえるのだ。

 

 見た目とは裏腹にジオンの最新型モビルスーツ『ドム』の最高速度を優に超える速度で爆走する兵器は徐に全身の兵装の銃口が動く。

 

 その進路の先にはジオンのモビルスーツのザクやドム、グフの他に地上兵器がたむろしており、単騎で向かってくる存在に気がついたのかその銃口を向けた。

 

 そして、重戦車の上部砲塔に取り付けられた連装式の砲門からピンクの光条が放たれる。

 戦艦もかくやと言わんばかりのエネルギーの砲弾は容易くジオンのモビルスーツたちを飲み込み、爆散させた。

 

 余りの威力にモビルスーツたちはたじろぐが、動きを止めたところにマシンガンと見間違うほどのグレネードたちが突き刺さり、爆散。

 

 漸く事態を認識出来たのか、ドムは即座にその加速性能を活かして突撃。挟撃しようと挟み込んだ瞬間、その装甲に無数の弾丸が突き刺さりコクピットを蜂の巣にされたドムはそのまま横転していった。

 

『ば、化け物っ……!』

 

 ザクのパイロットが一言だけ残し、その機体は圧倒的質量によって挽き潰され地面のシミへと変わる。

 

 

 

「狙いが甘いッ!!」

 

 増設したアームに固定されたノートPCのキーボードを叩いて即座に火器管制システムを修正しながらアリアは叫んだ。

 

『警告:ロックオンを確認』

 

「わかってます!」

 

 COMからの報告に叫び返し、上空からドップによる機銃やミサイル攻撃をクイックブーストで強引に進路をずらすことで躱せば速度も相まって通り過ぎた位置で爆発が連続する。

 お返しとばかりに機体砲塔の後部コンテナのハッチが開かれ、そこから無数のAS弾頭ミサイルが発射。加えて双頭砲塔下面のガトリングキャノンを乱射した。

 

 本来、ミノフスキー粒子下では誘導ミサイルは機能しない。しかし、この機体に装備されているミサイルは弾頭部分にカメラが内蔵してあり、逐一ターゲットを補足することでミサイル側が軌道を操作して狙い撃つことが出来るのだ。

 

 そして、無数のミサイルとガトリングの弾幕は避け損なったドップ達へ突き刺さり、空に爆炎の華を咲かすが対してアリアは不満げだった。

 

「チッ、集弾効率が悪すぎます。口径が大きいせいで反動も同様ですし! オマケに───」

 

 フットペダルを踏み込み、操縦桿を勢いよく押し込めば進路上にいたグフを跳ね飛ばし上空へ飛んだところで砲塔中央部の主砲からビームを放てば容易くグフを飲み込みこの世から消し飛ばす。

 

「ビーム砲の出力調整ができないせいで過剰威力すぎます!! 一瞬パワーダウンしますし! というかなんで軍艦の主砲をそのまま移植したんですかね!?」

 

 アリアの操るジェネリックカタフラクトは本物の特務機体カタフラクトを再現した機体なのだが、突貫で建造したのに加えて主砲たる可変式多機能レーザーキャノンを再現できず、止むを得ずにサラミスの主砲を切り詰め、双頭砲塔の中央部へ装備。

 

 お陰で威力だけは1級品なのだが、前述したとおりに突貫で仕上げた為に出力調整することが出来ず、使えば一瞬。本当に一瞬だけ機体がパワーダウンを起こしてしまう。

 

 それ以外にも各種システムが最適化しきれておらずにアリアは操縦しながら次々発生するエラーを逐一修正するという曲芸まがいなことをしていた。

 

「あぁ、もう! 操縦桿が重いッ!! 重心制御に不具合ですか!?」

 

 カタフラクトが横滑りし、たまたま進路上にいたザクが挽き潰されるがそれに目も向けず強引にブースターを吹かすことで無理やり軌道を修正。

 

 この機体、何故か真っ直ぐ走ろうとしてもすぐに向きがズレてしまい、そのせいで無駄にクイックブーストを吹かすことが頻発しているのだ。

 

「連邦の技術者もきちんと問題点を修正してから渡して欲しいものですね!!」

 

 アリアはこう言うが、ジャブローでもきちんと動作テストは行った。行いはしたが、テストパイロットの殆どがアリアほどまともに動かすことが出来ず問題点もろくに洗い出すことが出来なかったのだ。

 そのせいで困り果てた技術者たちは『もともとこの機体データを組んだやつに動かさせて問題点洗い出させりゃいいじゃん』と思い、COMの開発者であるアリアのいるホワイトベースへぶん投げる事態となる。

 

 本来なら別にそれでも構わないのだが、よりにもよって届いた時がアリアが誘拐されてしまっていた時で肝心の彼女がおらず、一緒に届いたガンダムの強化パーツの『Gファイター』の方は航空機だった為にコア・ファイターの延長戦でホワイトベースのクルーで操縦できる人物が複数いたのに対して、操作感が全く違うのに加えて他の機体とも足並みを揃えることが出来なかった為に態々カタフラクトを使う理由がなかったのだ。

 

 結局カタフラクト本体はホワイトベースの格納庫の奥深くへ何時かのブルーディスティニーの如く放置されたまま、オデッサ攻略戦が開始。

 

 そのまま出番の無いままこの戦いが終わるかと思ったところで、アリアが帰還。彼女からの報告でオデッサ基地内の水爆を確保ないし破壊のために遅まきながら重装騎兵(カタフラクト)の出番となる。

 

 アリアは文句タラタラに扱ってはいるが、彼女の卓越した技術とカタフラクト本体のデタラメな性能のおかげで迎え撃つジオン軍を相手に単身でまさに無双というべき活躍をしながら進軍を続けていたら。

 

『オデッサ作戦の総司令官レビル将軍、聞こえるか? 私はオデッサ基地司令マ・クベである。ここで手を引かねば我々は水素爆弾を使う用意がある。

 南極条約に違反するが、我々も負けたくないのでな。貴殿が賢明な判断をすることを願う』

 

「ッ! 邪魔です、どきなさい!!」

 

 マ・クベからの広域放送によってタイムリミットが迫っていることを察してアリアは行く手を阻むジオンのモビルスーツに向けて再びビームを叩き込んで叫ぶ。

 

 目指すはミサイルサイロ。しかし、それを阻むように幾重にも厳重な防衛線が敷かれており、幾らカタフラクトといえど進むのに煩わしさがあった。

 

 遠隔発射は出来なくしてはいるが、手動操作によって発射されてしまえば終わりでありマ・クベが気づいていない保証などない。

 

「ミサイル!」

 

『承諾:ASミサイル、発射』

 

「フルウェポン、フルバースト!!」

 

 本来、カタフラクトはミサイルコンテナは双頭砲塔の右側にあるのだが主砲のビーム砲の配置の関係上、砲塔後部へ移設したお陰ででスペースに余裕が出来おり元となったカタフラクトよりも大量のミサイルを装備できていた。

 それにより、無数のミサイルが白煙をあげて空を舞う中で主砲のビーム、ガトリングキャノン、ガトリンググレネードが唸りを上げて火を噴く。

 

「私の前に出るということは死と考えなさい!」

 

 行く手を阻む敵たちは皆、その火線によって薙ぎ払われ作られた屍山血河をカタフラクトの履帯が残骸諸共踏みしめ、遂に水爆の収められたミサイルサイロのある鉱山都市へたどり着いた。

 

 

 

 

「なにっ!? レビルの軍は前進を辞めないのか!?」

 

「は、ハッ……! 最終防衛戦を突破されつつあります……ぬぐぅ……」

 

 脂汗をダラダラと流し、辛そうな顔の副官ウラガンからの報告にマ・クベは苛立たしげに舌を打つ。

 

「仕方あるまい……あの小娘がどういう手段で脱走し、ミサイルの発射システムに小細工をしたかは分からぬがレビルには選択の報いを受けてもらうとしよう」

 

 マ・クベはそう言うと座っていた座席のアームレストに備え付けられていた受話器を手に取り、短く告げた。

 

「ミサイルを発射させろ!」

 

 そして、マ・クベ達の乗艦するザンジバルのモニターへ手動操作によって起動した核ミサイルが発射するまでのカウントダウンが表示される。

 

「ふんっ、あの忌々しい小娘の死に目を見れないのが残念だ」

 

 だが、この埃っぽい空気からおさらば出来ることにマ・クベは僅かに溜飲が下がる思いであった。

 

「では、御機嫌よう愚かな連邦軍の諸君」

 

 

 

 

「マ・クベめ、そこまで愚かとはな!」

 

 ランバ・ラルは歯噛みする。己の浅慮によって小さな少女を囚われの身としたことに、そしてその少女が今命の危機に瀕していることに。

 

『ラルさん、僕らで核ミサイルを止めるんです!』

 

「しかし、アムロ君。我々はミサイルの場所など分からぬのだぞ!?」

 

『いいえ、僕には分かります。恐らく、そこにアリアもいる!!』

 

「アリア嬢が!?」

 

『ランバ、アムロの勘はよく当たるわ。きっとそこにアリアちゃんと核ミサイルがあるハズよ』

 

「姫さま……わかりました。コズン、ギーン、ステッチ! 姫さまたちに続け!!」

 

『『『応!!』』』

 

 アムロの駆るガンダムとアルテイシアもとい、本来の忠誠を誓った姫君アルテイシアのGファイターの跡をラルの乗機である青いドムと部下たちのドムと高機動型ザクが続く。

 

 そして、鉱山都市へ侵入すればすぐ近くの別方面から盛大に爆発が発生すれば建物をなぎ倒して巨大な物体が姿を現した。

 

「ッ、なんだ!?」

 

 ラルは突如として現れた存在に思わず、ジャイアントバズを向けそうになったがそれに待ったをかける声が響く。

 

『アリア!!』

 

『兄さん!!』

 

「ッ、アリア嬢がその兵器に乗っているのか!?」

 

 スピーカーに響く声を聞き、ラルは驚愕の声を上げた。

 

『この声、ランバ・ラル?』

 

「っ、すまないアリア嬢! 私が愚かであったばかりにッ!!」

 

 すぐにラルは深く頭を下げ、謝罪の言葉を向けるが対してアリアは僅かに微笑んで答える。

 

『貴方は貴方の最善策をしただけです。違いますか?』

 

「……すまない、そしてどの面が言うかと思うだろうが我々を共に戦わせて欲しい!」

 

『構いませんよ。早く核ミサイルを始末しましょう』

 

「了解した。聞こえたなお前たち! 今こそ意地を見せろ!」

 

 部下たちの返答は心強い声であり、アリアの駆るカタフラクトが先導しそれにアムロたちが続いた。

 当然、その進行を阻むためにジオンの兵器群が現れるが今ばかりは相手が悪いとしかいいようがない。

 

「そこっ!」

 

「邪魔!!」

 

「どけぇ!!」

 

 ガンダム(アムロ)カタフラクト及びブルーディスティニー(アリア)ドム(ラル)の3人によってジオンの兵器全ては蹴散らされ逆に被害を大きくさせていく。

 

 都市の奥深くへ食い込み、望遠モニターによって捉えたのは既に点火しサイロから飛び立とうとしているミサイルの姿が。

 

「ッ、間に合いますか!?」

 

『報告:演算結果により、現在の進行速度ではミサイルが射程圏外に逃れる可能性が高い』

 

「クッ……!!」

 

 既にカタフラクトは全速力であり、COMの無情な報告にアリアは歯噛みしたところで未だカタフラクトは、ブルーディスティニーには奥の手があることを思い出す。

 

「起きなさい、ブルー!」

 

 

 

EXAM SYSTEM STANDBY

 

 

 

 故に、出し惜しみはしない。ブルーディスティニーのEXAMシステムを介してアリアの意識がカタフラクトへ繋がった。

 

「グッ!?」

 

 途端にフィードバックによる負荷によって脳髄を蹂躙する激痛に悲鳴をあげそうになるが、アリアはそれを無理やり黙らせ隅々まで広がる知覚に従い今まで強引に手綱を握り、操っていた動きに対して有機的なモノへと変化する。

 

「兄さん!!」

 

 アリアは頭に浮かんが考えとともにアムロへと語りかけた。

 

『ッ! わかった!! セイラさん!』

 

『全速力で行けばいいのね? 良くってよ!!』

 

 ブースターから膨大な噴煙が放たれ、履帯から悲鳴染みた嘶きと共に地面を削りアリアは最大望遠でカメラに捉えた小さな影を睨みつける。

 

「当たりなさい!!」

 

 砲塔中央部の主砲の砲門から膨大なエネルギーの束が放たれ、飛散した粒子が空気を焼いて突き進んだ。

 今まで散々酷使した主砲は既に限界を迎えており、サブモニターにはエラーしか表示されない。

 

『警告:許容負荷の限界を確認』

 

 COMの声と共に遂に主砲は限界を迎え、ビームの熱量に耐えきれず砲身が赤熱化し融解。その役目を終えた。

 

 しかし、放たれたビームは寸分違わずミサイルの推進機関を飲み込み消し飛ばせば大きく失速し、空中で軌道を大きく逸らす。

 

「ぉぉおおおおおおおおっ!!!!」

 

 叫び、アムロはガンダムの全推力を解放し空へと昇る流星となってミサイルへ突き進んだ。そして、ミサイルと交差した瞬間ビームサーベルを抜刀。

 

「せやぁぁぁあっっ!!!」

 

 

 

 

 裂帛一閃! 

 

 

 

 

 盛大に土煙を上げ、ガンダムは地面を削って着地。そして、ミサイルはその背後で本体から弾頭が分離し墜落した。

 地響きと共に横たわる2つは爆発することなく、ただ静寂が場を支配する。

 

「…………終わった」

 

 ゆっくりと肩の力を抜き、最大の脅威が去ったことをアムロは確信し疲れたように微笑めばすぐ側に至る所に傷を作り、主砲が半ばから吹き飛んだボロボロな姿のカタフラクトがやってきた。

 

『お疲れ様です兄さん』

 

「あぁ、そっちこそ。それと……」

 

 アムロは朗らかに笑い、ブルーディスティニー(アリア)へガンダムの拳を向ける。

 

「おかえり、アリア」

 

『……はいっ、ただいま戻りました兄さんっ!』

 

 その拳へ同じように拳をぶつけ、アリアは笑顔をこぼして答えるのだった。




このカタフラクトの突貫のせいで今回の酷使によってメタクソになったのでこれ以降この機体は(出番)ないです

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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