機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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2人以外なナレ死で。


46.Competitive

 アリアとアムロは今までも度々NESTを用いて模擬戦をしてきた。その度に少しづつ、少しづつアムロの技量は洗練されていき、アリアへとゆっくりとその牙を近づかせていく。

 

 しかし、それでも尚アリアのC4-621の技量との溝は隔絶したものがある。いや、あった。

 

「ッ、少しの間離れていただけで……!」

 

『当たれッ!』

 

「チッ!」

 

 放たれたビームをクイックブーストで強引に交わし、お返しとばかりにビームライフルの引き金を引く。

 それをガンダム(アムロ)はブーストによる前進中にほんの僅かな四肢を動かしたことによる重心移動のみで交わし、減速すらしないでビームサーベルを抜刀し勢いを乗せた突きを放った。

 

「クッ……!」

 

 瞬時に左前腕に配置されたサーベルを展開、形成されたビーム刃をアムロのビーム刃へ添えるように配置して激突。

 肩口のすぐ真上をビームが通過し、互いにぶつかり合ってブルーとガンダムの額がぶつかりあった。

 

『今日こそ本気で勝たせてもらうからなアリア!!』

 

「随分と気合いが入ってますね、兄さん……! 連敗記録を更新させてあげますよッ……!」

 

 モニターに表示されるアムロに向けて不敵に微笑みながらアリアは右前腕のサーベルを展開、その切っ先でガラ空きとなっている胴体を貫こうと───したのをガンダムの左手が上腕を掴むことで抑える。

 

 ギチギチと互いの膂力が拮抗していることで機体全体が軋む中でアリアは右腕のビーム刃を消し去り、機械であることを活かして手首の向きを180度回転。逆にガンダムの左手を掴んだ。

 

「シッ!」

 

『うわっ!?』

 

 左のサーベルを滑らし、強引にアムロのサーベルごと外へ大きく動かすことでクイックブーストを行使。

 ブルーの右手で掴んだガンダムの左手を勢いよく振り回した。

 

 ガンダムの躯体が宙を舞うが、それでもブルーはガンダムの腕を上げ離さず胸部から有線ミサイルを打ち出す。

 

『ッ!』

 

 超至近距離からのミサイル攻撃にアムロは息を飲むが、しかし冷静に全身の姿勢制御の小型ブースターと四肢を稼働させることでミサイルとミサイルの間の僅かな隙間を縫うようにして回避。

 すぐ側をミサイルが通り過ぎていき、今度はアムロがガンダムの肩部サブアームへ懸架されたビームライフルをキャノンのようにブルーへ向けて置き、銃口が淡く光る。

 

「チッ!」

 

 その瞬間にアリアは即座にガンダムを放り投げ、宙へ投げ出されたと同時にビームが放たれた。

 しかし射撃と同時に宙へ投げ飛ばされたことであらぬ方向へとビームは飛んでいき、そして有線によって繋がったミサイルが弧を描いてガンダムへ迫る。

 

『撃ち抜くっ!』

 

 腰部へマウントしていたビームライフルを引き抜き、有機的な動きをしているミサイルを一発で撃ち抜いた。

 しかし、撃ち抜かれたミサイルの爆炎を2発目のミサイルが貫き現れる。

 

 そのミサイルを撃ち抜こうと引き金を引こうとした瞬間に、ミサイルは自ら起爆。内部から無数のニードルが全方位へ放たれたではないか。

 

『なにっ……!?』

 

 ガンダムの装甲をルナチタニウム合金で出来ており、細いニードルではダメージはない。しかしセンサーやカメラは? 

 しかも、アムロは更に驚きを表すこととなる。

 

「ッ……!」

 

 ブルーがそのニードルと共に左腕のサーベルを展開し、ビームライフルを右腕で構えてガンダムへ向かってきたのだ。

 

『そうか、バイザー……!』

 

「Exactlyッ……!」

 

 ガンダムと違い、ブルーディスティニーには新しく増設された装甲型のバイザーがある。それを下げることで脆弱なカメラアイと頭部センサーを守ることで自身は気にすることなくカンダムへ突撃することが出来る。

 

『なかなかやるっ!!』

 

 仕方なくアムロはシールドを構え、ニードルの雨を防ぐ傘とした。それと同時にニードルがシールドの表面へ突き刺さり、ビームがぶち当たりルナチタニウムで出来たシールドはビームに数秒耐えるが容易く溶解、穴が空いた。

 

 そして、ブースターによる加速を乗せた斬撃がシールドを切り裂くが即座にクイックブーストで移動と同時にホバーとの併用でターン回頭。

 ジグザクに移動すると飛来してきたビームが間一髪地面を溶かした。

 

『やっぱり騙されないか!!』

 

「ブレード攻撃でその場に留まるのは間抜けがすることですからね……!」

 

 シールドを敢えて両断させることで行う視線誘導に引っかからないアリアにアムロは知っていたと言わんばかりに別のアームに懸架していたバズーカを放つ。

 

「その程度の弾速で……いや、違うッ!」

 

 アリアはバズーカの弾頭をクイックブーストでかわそうとしたが、直ぐに中断させて上方向へ跳躍すれば弾頭が独りでに爆発。

 内部から散弾が放たれ、地面を細かく砕くのを見てアリアは己の直感が正しかったことを悟りながらも飛んできたビームを瞬時にサーベルを展開し切り払いガンダムへと迫る。

 

「兄さんの精度を前に撃ち合いは不利ッ!」

 

『アリアは射撃戦を嫌って格闘戦に持ち込むはず!』

 

「『近づけさせない(近づく!!)!!』」

 

「起きなさい、ブルー!」

 

『報告:EXAMシステムの起動を検知、最大稼働可能時間を表示』

 

『来るかッ!!』

 

 

 

EXAM SYSTEM STANDBY

 

 

 

 ブルーディスティニーの肩部装甲とバックパック、膝の一部が展開し全身のセンサーが鮮血のごとく深紅の輝きを灯らせる。

 ブルーディスティニーに掛けられていたリミッターが全て解き放たれ、アリアの意識がブルーを掌握し人間のような有機的な動きを伴ってガンダムへと肉薄した。

 

 ホバーユニットによる最大速度は優にアムロのガンダムの速度を超え、更にEXAMシステムの恩恵によってリミッターが解除されたことにより更にその速度は向上する。

 アムロは即座に引き撃ちに徹するのは不可能と判断するが、ブルーが格闘の間合いに入るまでまだ少しの猶予があることから進路を誘導するように狙いを置いてビームを連射。

 

「はぁっ!」

 

 細かくクイックブーストを併用してビームを躱わし、あと少しの距離のところでガンダムは指先をブルーへ向けると進路上に3つの塊が吐き出され、それらは瞬時に膨らみガンダムを大雑把に模したバルーンが現れる。

 

「ダミーッ……!」

 

 見たことの無い武装を前にアリアは構わずに突撃をしようとして────背筋を這う悪寒に従って即座に脚部と背部のブースターの向きを調整。

 斜めに上昇し、バルーンを通過した瞬間にバルーンが起爆した。

 

「機雷ですか……!」

 

『お前には見せてなかったんだけどな……!!』

 

「見ない間に狡っ辛い手を使うようになりましたね!!」

 

『作戦と言って欲しいな!』

 

 危うく突っ込めば爆発に巻き込まれていことは想像に容易く、そして爆炎を貫いてビームの一撃がブルーの左腕を肘から先の部分を消し飛ばす。

 

「ッ! このくらいで!!」

 

『なにっ!?』

 

 宙を舞うブルーの左腕からサーベルを遠隔信号でパージさせ、その柄頭を爪先で蹴りつけると遠隔操作でサーベルを展開し、真っ直ぐにガンダムへと回転しながら飛んでいったかと思えば、アリアはそのサーベルに向けて右腕に握っていたビームライフルの引き金を引いた。

 

 ここでビームサーベルの原理を大まかに説明しよう。ビームサーベルはグリップ内部に内蔵されたエネルギーCAPから放出したメガ粒子をIフィールドによって棒状に押し固めることで刀身を形成する。

 加えて、刀身を形成するIフィールドは機体側からエネルギーを供給することで発生させるが、ブルーのサーベルはビームサーベル内部にコンデンサーを内蔵しているタイプで、機体から離れていても一定時間サーベルを形成することが可能だ。

 

 そして、形成強度に劣るビームライフルのメガ粒子ビームがビームサーベルに当たればどうなるか? 

 

 答えは簡単、予測不可能の方向へビームが四散してしまうのだ。

 

『うわっ!?』

 

 飛散したメガ粒子は簡単にガンダムの頭部のメインカメラやセンサーを破壊し、コクピットのモニターが置物へと変える。

 

「このまま終わらせる!!」

 

『まだだ、たかがメインカメラくらいっ!』

 

「なっ!?」

 

 瞬間、ガンダムが構えたビームライフルによって放たれたビームがブルーのライフルを撫で、エネルギーCAP付近が損傷させられアリアは即座にライフルを投げ捨てサーベルを展開。

 そのまま落下の勢いを乗せてガンダムへと切りかかった。

 

「フッ……!」

 

『ぐぅ!?』

 

 視界を奪われたことにより、避けきれずにライフルを握る右腕を肩口から断ち切られガンダムは踏鞴を踏みながらもランドセルからサーベルを引き抜き、サーベルを展開させる。

 

「『はぁぁあっ!!』」

 

 互いに片腕でありながらも切り結び、ぶつかる度にメガ粒子の飛沫が宙を舞い蒼と白の装甲を照らした。

 

 袈裟斬りは上半身を逸らし、突きは下からサーベルを当てられ軌道が逸れ、回転蹴りを同じように蹴りで相殺。

 

 ぶつかりあった衝撃を利用して互いに距離をとったことで、不意にアリアは違和感を覚える。

 

「バズーカが、無い……!?」

 

 呟いた瞬間にガンダムの後ろから飛んできた弾頭が跳躍中のブルーの右足へ直撃した。

 

「きゃっ!?」

 

 膝から下の部分に直撃したことで装甲が吹き飛び、内部へ大きくダメージが入るがブースターによってバランスを整えて何とか着地したところでガンダムが肉薄。

 

『でやぁぁあっ!!』

 

「チィッ!」

 

 ホバーユニットが片方破損したことにより、もう片方のホバーユニットを停止し脚部を接地させガンダムの斬撃を受け止めれば、衝撃によって辛うじて形を保っていた右足が破断、バランスが崩れる。

 

『せやぁっ!』

 

「ハハッ……!」

 

 その隙を逃さなかったアムロのサーベルの横凪によってブルーの胸部が浅く切り裂かれ、胸部バルカンの銃口が破損。

 

『ッ!』

 

 頬を伝う焦燥による汗と緊迫感によるヒリついた高揚感がアリアの口角を引き上げ、ガンダムの斬撃を無事な脚でバランスを取り瞬時のクイックブーストで脇下を潜りぬければ両足はガンダムの頭部を絡め、一気に引き抜いた。

 

 バキバキバキッ!!! 

 

 粉砕する音と共にガンダムの頭部が首の可動部から強引に引きちぎられ、次いでとばかりにアームを懸架されているビームライフルごと切り飛ばす。

 

『でやぁ!』

 

「流石は兄さんッ……!! ですが、折れたフレームは武器にもなるんですよ!」

 

 しかし、やられてばかりでは無い。アムロが回り込んだブルーディスティニーの軌道上にサーベルの切っ先を置いていたことで、自分から突っ込む形でブルーの頭部が貫かれた。だが、ブルーも強引に脚部を振りまわし、破断した右足の鋭く尖った部位でガンダムの胸部を抉った。

 

 互いに視界が失われても冴え渡る感覚によって互いの位置を把握し、無数に切り結ぶ。

 

『ッ、反応が遅いッ……!』

 

「稼働率が低下してる……!?」

 

『警告:駆動系への過剰な負荷を確認』

 

『警告:操作系への過剰な負荷を確認』

 

 しかし、どちらもトドメへ今ひとつ届かない時にほぼ同時にCOMの警告が響くが無視して構わず乗機を酷使させ続ける。

 

「ハァァアアッ!!」

 

『ぉおおおおっ!!』

 

『『警告:システムに深刻なダメージを確認、中止を推奨。繰り返す、システムに深刻なダメージを確認、中止を推奨』』

 

 交差は一瞬、そして…………

 

 

 

 

「引き分けだな。それにしてもシミュレーションとはいえ機体を自壊させる寸前まで動かすとななぁ」

 

「いいえ、私が勝ちました」

 

「いいや、僕が勝ったね」

 

「……往生際が悪いですね兄さん。明らかに最後は私が先に届いてましたよ」

 

「アリアこそ素直に認めなよ。最後は僕が先だったね」

 

「「(絶対自分が勝ってたという顔)」」

 

 テムの言葉にほぼ同時に言い出す2人。その近くでは2人が戦う最中に巻き込まれて途中離脱した4人がなんとも言えない顔でいた。

 

「うぅむ、アムロ君もアリア嬢も強いことは知っていたが、これほどとはな……」

 

「いやぁ、前まではあんなんじゃなかったんですけどね。観戦してましたけどヤバすぎですねあの二人」

 

「モビルスーツってあんな動きできたんだなぁ……知らなかったぜ」

 

「あれはあの二人がおかしいだけですよコズンさん」

 

「あ、やっぱり?」

 

 外部からシミュレーションの戦闘を観戦できるモニターにはブルーディスティニーとガンダムが互いにコクピットを貫いた姿勢で硬直している場面で止まっており、明らかにどちらも撃墜判定で相打ちである。

 

 じゃれ合う息子と娘を横目にテムは重々しく溜息を履いた。

 

「2人とも、いいか?」

 

「はい、なんですか?」

 

「ぎ、ぎぶぎぶ……何、父さん?」

 

 アリアが関節技をキメ、タップするアムロはじゃれ合うのをやめて呼び寄せたテムが差し出したタブレットを覗く。

 それに表示されたログを見て、直ぐに2人は顔を顰めた。

 

「僕の反応にガンダムが追いつけてない…………?」

 

「私の動きにブルーが耐えられてないですね……」

 

 2人の本気の操縦にどちらの機体もシステムとハードが耐えられないことを示すことにテムは深くため息を吐く。

 

「現状、ガンダム及びブルーディスティニーは限界までチューニングを施している。だが、お前たちにこの2機はついて来れないとなると……うぅむ」

 

 ガンダムとブルーディスティニーは連邦でも最高峰の機体だ。しかし、2人の全力について来れないとなると心底困ったことになる。

 

「大尉、少々よろしいですか?」

 

 3人が頭を悩ませていると、そんな声が響き視線を向ければそこにはいつかのアリアがテムと共に助けた技術士官がそこにいた。

 

「おぉ、君か。どうしたね?」

 

「はい、テム大尉。ベルファスト基地にはゴップ大将がお待ちですしお願いをしてみてはどうでしょう? 

 ここにはCOMを作ったアリアちゃんもいるんですし、無下にはしないはずです」

 

「そういえば、レビル将軍の代わりにゴップ大将が訓示をするんだったな……うむ、ありがとう」

 

「いえ、それとモスク・ハン博士に連絡を取るのもどうでしょう。あの人の開発したマグネットコーティング技術なら一応、2人の現状の問題もどうにかなるでしょうし」

 

「モスク・ハン……あぁ、彼か」

 

「? どんな人なの父さん」

 

「ガンダムの開発で少しだけ話した程度だがな。そういえば彼は磁気技術の専門家だったな……後で彼の論文を見ておくとするか」

 

「取り敢えずベルファストに着いてからですかね?」

 

「だな。まったく、何が訓示だバカバカしい。そんなのよりトンチンカンな兵器よりも人を寄越せという話だ」

 

「カタフラクトは酷いものでしたね」

 

「僕からしたらあんなデカブツをよく1人で動かせたと思うよ」

 

「まぁ、私は兄さんより強いですからね」

 

「それは聞き捨てならないなアリア。さっきのだってボクが勝ってたんだからな?」

 

「負け犬の遠吠えですか兄さん? さっきの勝敗が不満ならもう一度やりましょうか」

 

「いいじゃないか。今度は完膚なきまでに叩きのめされて泣かないでくれよ?」

 

「言いましたね? 吠え面かかせてあげます」

 

 火花を散らしながら2人がそれぞれの機体へ向かうのをテムを見送り、なんとも言えない顔でつぶやく。

 

「機械が人間に追いつけないなどというのを目にするとはなぁ……喜ぶべきかなんというか……それをしたのが自分の子供だと言うのが複雑なもんだ」




おっちゃん「ぐわぁぁぁあっっっ!!?」
BD「ぎゃぁぁぁぁあっっ!!?」

アムロは原作通り反応速度にガンダムが追いつかず、ブルーは戦闘機動の負荷に耐えきれず自壊寸前でした。
シャア、頑張れよッ!

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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