機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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マッドアングラー隊と書いて出オチと読む


51.Sink to the bottom of the water.

「ふむ、事前に伝えられた編成と違うようだが……?」

 

「ハッ、少佐がお越しになる前に木馬へ調査のために襲撃をかけ、損失した次第であります」

 

「そうか」

 

 着任早々の独断専行によって戦力をいたずらに消費したと聞かされ、ジオンの赤い彗星ことシャア・アズナブルは頭痛を堪えるようにこめかみへ指を当てる。

 

 内心としては『何勝手にやってくれてんだボケ』であり、多少は悪びれる様子を見せれば小言程度で済ませるつもりであったが、目の前のフラナガン・ブーンは淡々と告げ澄ました顔をしており、その顎を割ってやろうかとシャアは胸の内で唾を吐いた。

 

「……木馬への攻撃は控えてもらう。奴らにはモグラ共の巣穴の入口までの道案内してもらいたいからな」

 

「ですが、奴らはガルマ様の仇です」

 

「────それでも、だ」

 

 我ながら自制が出来たと自慢したいほどだった。そんなことは分かっている、わかっているからこそ今がその時ではないとシャアは理解している。

 

 蒼い死神へ憎しみを抱いているのは自分も同じだし、それどころか同じ戦場にいたのだ。

 

 胸に湧いた激情を務めて冷静に鎮火させながらシャアは言葉を選んで部下へ諭す。

 

「順序を間違えるなブーン大尉。確かに仇討ちは大切だが、その前に我々は軍人だ。

 目の前の小事に目を取られ、後々の大事を見過ごすなどあってはならん。加えて、ジャブローを見つければ奴らを沈める機会は幾らでもある。

 逆に言えばここで沈めてしまえば、仇討ちどころかジオンが独立する絶好の機会が遠ざかる事など議論の余地が無いほどに明確だが?」

 

「しかし、既に潜り込ませたスパイからの情報を受け取った遭難者に見せ掛けた飛行機が戻ってきます」

 

 その言葉を聞いた瞬間、シャアはフラナガン・ブーンの頬を撃ち抜いた。

 

「馬鹿がッ!! 総員第一種戦闘配置! 奴らが来るぞ!!」

 

「は、はっ!?」

 

「2度も言わせるな!! スパイはとっくの昔にバレているだろうし、その飛行機はつけられていると言ったんだ!!」

 

 シャアが叫んだ瞬間、マッドアングラー内にけたたましくサイレンが鳴り響く。

 

「そ、ソナーに機影を検知! この信号は……蒼い死神ですッ!!」

 

「チッ、遅かったか……!」

 

 

 

「……おや、バレましたか?」

 

『警告:魚雷の発射を確認、回避を推奨』

 

 海中を進むブルーディスティニーのコクピットでモニターに映る進路上にいた潜水艇が慌ただしく回頭するのと同時に放たれた魚雷を見て即座に機体の出力を上げた。

 途端に各部のブースターが唸りをあげ、暗かったコクピットが明るくなる。

 

 ミハルがホワイトベースに協力し、素直に全てを話してから数日経った。その間にホワイトベースは修理を済ませオデッサから派遣されたモスク・ハン博士によってブルーディスティニー及びガンダムはマグネットコーティングを施される。

 

 そして、ホワイトベースはミハル二等兵とその家族である弟と妹を乗せて出港。

 ミハルからの情報提供で定期連絡のための日時を知っていたホワイトベースの上層部は怪しい遭難機が着艦してきた為、即座にソレがジオンの扮したものだと看破した。

 

 わざとその遭難機を修復し、燃料補給させた後に奴等の母艦を所在を明らかにするため機内に発信機を仕込んで泳がせる。

 

 出力を落としたブルーディスティニーが追跡のため海に潜り、遭難機は見事に罠にかかって己の母艦まで案内してくれたのだ。

 

 アリアは海中を進んでくる魚雷をブルーに増設されたランドセルと肩部水中用ハイドロジェットと両腕に装備したシールドハイドロジェットによる推力を落とさず、そのまま直進。魚雷同士の隙間を僅かな身体の捻りによる回避で通り過ぎる。

 

 背後で目標を失った魚雷が爆発し、多量の気泡と爆風による華が咲き直上の水面が荒だった。

 

「さて、やりますか」

 

『報告:全兵装ロック解除。

 システム 戦闘モード、起動』

 

 両腕に装備したシールドハイドロジェットのハッチが解放し、内部から小型のミサイルが放出。

 それら全ては狙い通りに潜水艇へ進んでいき、迎撃のための機銃が放たれたが殆ど奇襲同然の攻撃だった為に弾幕も疎らで容易くミサイルたちはその船体へと突き刺さる。

 

 一つ一つの威力は小さいが、複数も当たれば脆い潜水艇など容易く穴を生み出しダメ押しとばかりにそこへ大型の魚雷がぶち込まれ爆発。

 

 半ばからへし折れ、海中に一際大きな華が咲いた。

 

「まずはひとつ」

 

 3つある潜水艇のうち1つを撃沈し、アリアは次の獲物に狙いを定めようとしてブルーの軌道を逸らせば先程までいた場所をビームが通過する。

 

「まぁ、そりゃ出ますよね?」

 

 水中に漂うジオンの水陸両用機(ビックリドッキリメカたち)を前にしてもアリアの表情は変わらず凪いでおり、特に脅威とも感じていないようにも見えた。

 

「さて、モスク・ハン博士は存分に動かしてくれって言ってましたし遠慮なく行きますか」

 

 彼女にとってこの戦闘は強化されたブルーの試運転に過ぎず、目の前に広がる敵たちもただの訓練用の的でしかない存在に脅威など抱くか? 答えは否。

 

「さっさと終わらせて帰りますかね」

 

『報告:今夜の食堂の献立はバターチキンカレーの模様』

 

「それはいいですね。付け合せは?」

 

『補足:チーズナンとシーザーサラダ』

 

「ご機嫌なやつですね。テンション上がります」

 

 目を僅かに輝かせ、アリアはフットペダルを蹴り飛ばせば一瞬で加速しその速度は全開となって突撃する。

 個性豊かなジオンのモビルスーツたちは突き進んでくるブルーに向けて腕部メガ粒子砲や頭部の魚雷をばら撒くことで落とそうとした。しかし、それらは全て施されたことによって精密なコントロールを可能としたマグネットコーティングのお陰で両腕や肩部のハイドロジェットや四肢の微細な動きによってかわされてしまう。

 

『な、なんで当たらないんだ!?』

 

『あんな速度で動いて中のパイロットは無事なのか!!?』

 

『水中は俺らの独壇場だぞ!!』

 

『アースノイド風情が!』

 

「スペースノイドなのになんでそんなに海に拘るんですかね? あと、生まれは地球ですが物心ついた時から私はコロニーキッズです」

 

 適当な位置にいる敵に狙いを定め、すれ違いざまに前腕のビームサーベルを展開。蟹のようなモビルスーツ『ズゴック』はその速度に対応できずに下半身と上半身を分かたれた。

 爆散したズゴックを置き去りにブルーは次の獲物のゴッグへ飛びかかる。

 

『ぉおおっ!!』

 

「ヅゥッッ!」

 

 腕部のハードポイントの接続部がぐるりと回転し、シールドハイドロジェットの推進部の方向が横向きから下向きへ変わることでゴッグの鉤爪(アイアンネイル)の攻撃を下降することで躱し、再び接続部が回ることで推進部が上向きとなることで鋭角上昇。

 ゴッグの背面へと回り、脆弱な背面ブースターへ左腕のシールドハイドロジェットの先端部を叩き込む。

 

 接触すると同時にシールド内部に格納されていた射突式ブレード、パイルバンカーが凄まじい勢いでゴッグを背中からぶち抜いた。

 

 杭によってコクピットをぶち抜かれたゴッグを蹴りつけ、強引に杭を引き抜いて右腕と肩部のハイドロジェットを稼働させて離脱すれば脱力したゴッグにビームが突き刺さり爆発。

 

「仲間相手に酷い奴らですね。人の心はないのでしょうか?」

 

『警告:ロックオンを確認、迎撃を開始』

 

 進行方向とは真逆の位置に配置された内蔵砲から弾丸が放たれ、ブルーを追っていた魚雷やミサイルを撃ち抜き水中に幾つもの爆炎が発生。それを切り裂いてズゴックと水中でのドッグファイトを繰り広げる。

 

『どうした! 愉快にケツ振りやがって誘ってんのかぁ!?』

 

「必死に追いかけてきてるのに良く吠えますね」

 

 ひとつでさえ過剰な程のシールドハイドロジェットを両腕に装備し、肩部のハイドロジェットも稼働させている現在のブルーの速度はかなりのもので、恐らくだが現状の水中機では最速だと思わせるほどといえ、現に背後を取っているはずのズゴックは追っても逆に引き離されているほどだ。

 

 シールドハイドロジェットの進路方向をそのままに接続部を回転させ、ブルーの向きだけを変更させアリアは両手に握った水中用偏向ビーム・ライフルの引き金を引く。

 

『ぎゃぁあっ!!?』

 

 ブルーを追うことに意識を割かれていたズゴッグは撃たれていることに気が付かず、ビームによって風穴を作られ頭部の魚雷に誘爆、上半身が消し飛ぶがそれを突破っていつかのデカブツ……ゾックが現れた。

 

「はぁ……面倒ですね」

 

 気だるげに呟きつつもシールドハイドロジェットを反転、ゾックヘ突撃を敢行する。

 当然ゾックは4問のメガ粒子砲で迎撃を選択したが、減速することなくアリアは腕を動かすことでバレルロールでビームを回避しながらミサイルをゾック目掛けて一斉射。

 

 多少はビームで撃ち落とされたことによってゾックの視界が爆炎に阻まれ、ゾックは不意打ちを警戒し全方位へビームを放つ。

 

 しかし、次の瞬間にはゾックの足元から急襲したブルーによって股間部へパイルバンカーが炸裂し、ぶち抜かれて頭頂部が衝撃によって吹き飛んだ。

 

「くたばりなさい」

 

 内部をぐしゃぐしゃに破壊されたゾックへトドメとばかりに杭を引き抜いて出来た大穴にビームライフルをねじ込み3連射。

 内部から火を噴いたゾックを蹴りつけ、距離を取れば自重によって落下していき動力炉に引火した瞬間爆散。

 

「さて、次は────っと」

 

 既に数える程しかいない敵たちを見やり、アリアは呟いた瞬間に後ろへ移動。

 先程までいた場所に魚雷やミサイルが登っていき、下を見遣れば褐色の大型の機影がこちら目掛けて直進してくるのが見えた。

 

「……モビルアーマーというやつですかね」

 

 その姿を見てアリアはジオンの新しいカテゴリーの兵器であると看破し、ビームライフルとミサイルを発射。

 しかし、飛んで行ったそれらは巨体の割に俊敏な動きでかわされ逆に倍以上の魚雷とミサイルを放ってきたではないか。

 

「チッ!」

 

『良くもやってくれたな蒼い死神! このグラブロでお前を沈めた後に木馬も海の藻屑にしてやる!!』

 

 即座にシールドハイドロジェットによって上昇を開始。当然、モビルアーマー『グラブロ』もその大推力によって追撃を行うために急速上昇。

 アリアは上昇しながら下面へビームと機関砲を放つが、グラブロはビームのみを避け弾丸はその分厚い装甲で受け止めブルーと距離を詰める。

 

 太陽の光によって明るくなってきた水中でグラブロは格納していたクローを展開し、ついに追いついたブルーの脚部へその爪を食い込ませた。

 

『ハハハッ、捕まえたぞ蒼い死神ィ!』

 

「このっ……! ロブスター擬き風情が、この間車検通したばかりなんですよ!!」

 

『警告:脚部推進機関にダメージを確認』

 

『このまま引きずり込んで水圧で潰してやる!』

 

 シールドハイドロジェットの出力を最大にしてもグラブロの力によってジリジリと引きずり込まれていく。

 おまけに脚部に爪がくい込んでいき一際大きく食い込んだ瞬間、一筋の閃光がグラブロのクローアームを半ばから貫いた。

 

『な、なんだぁ!?』

 

「ッ! くたばれ、ロブスター擬き!!」

 

 拘束がなくなり、接続部を回転させアリアはグラブロへ突撃。無事な方のクローアームでグラブロは殴り掛かるが、その側面の際を回るように直進回避してその顔面目掛けて勢いを乗せた左腕のパイルバンカーを叩きつける。

 

 

 ガシュンッッ!!! 

 

 

『ぐぁあぁぁぁあっっっ!!!?』

 

 

 運動エネルギーが伝達し、その鋭い杭の先端がグラブロの分厚い装甲をぶち抜いてコクピットを粉砕。立て続けに強引に引き抜いて右腕のシールドハイドロジェットをねじ込み、大型の魚雷を発射と同時にパージして急速離脱。

 

 沈んでいくグラブロは内部から膨れ上がり、海中に爆発の華を咲かすのであった。

 

「はぁ……助かりましたカイさん」

 

『おう、力になったなら何よりだぜアリア』

 

 水面にあがれば上空にはコア・ブースターの背に乗るガンキャノンが水中に向けてビームスナイパーライフルの銃口を向ける姿が見え、先の一撃を彼がやったのだとアリアは理解する。

 

「とりあえず、ジオンも手を出してこないでしょうね」

 

 今回の戦闘でモビルスーツ多数に潜水艇一隻、そして虎の子であろうモビルアーマーというかなりの戦力を削ったことにより、襲撃をかける余裕は無いはずだ。

 

 つまり、あとはジャブローを目指すだけであり長かった航海も終わりが近い。

 

 

 

「……そうか、ブーン大尉は失敗したか」

 

 意気揚々とグラブロに乗り込み、あっという間に落とされた男を一言で済ませるとシャアは副官となった少尉へ指示を送る。

 

「残ったユーコンは木馬の追跡をさせろ。マッドアングラーは補給をした後、アマゾン流域に入りジャブローへの侵入口を探す」

 

 ホワイトベースが素直にジャブローに向かうのもよし、追跡を振り切るために迂回すれば先回りができる。

 運が良ければそれ以外の連邦の艦がジャブローの入口へ入るところに遭遇できるだろうとシャアは判断し、副官の少尉は無言で敬礼を返すのであった。




実際、上官の指示もなしに勝手に襲撃かけて返り討ちにあってるのアホですよね。
武人はいても軍人はいないって言われるわけです。

あと、ここまでに出てきてた機体の情報っていりますかね?大雑把でも。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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