機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
寝耳に水すぎる情報に頭を痛めつつもアリアはフィクサーたちと合流し、倒したゲルググと捕虜の対処を頼みホワイトベースへブルーを走らせる。
「邪魔っ!!」
進路上にいたいつかのズゴックに似た機体を両断し、僚機らしき肩パッドが大きな腕部が異様に長い水陸両用機のコクピットへ爪先を叩き込んだ。
そして道中に遭遇した敵を程々に蹴散らしつつ、アリアは未だホワイトベースが改修作業中のドックに入って開口一番に叫ぶ。
「補給頼みます!」
「ンクッンクッンクッ…………ぷはっ……えーと、つまりはこうですか? レビル派閥に強引に接収された私のガンダムをジオンの奴らに破壊される前に回収しようと、保管されたハンガーに行けば、そこは既にもぬけの殻で代わりに少し離れたところにはズタボロなシャア・アズナブルの専用機らしき赤いゲルググが乗り捨ててあって……慌てて監視カメラを確認すればシャア・アズナブルが乗り込んでいるのが記録されていた、と……?」
「そういうことになりますね。全く、レビル派閥も警備がザルすぎますよ。まさかあの機体を調整段階のまま放置していたとは思いもしませんでした」
「あぁ、そういえば調整しに向かおうとした時に私をホワイトベースから下ろす話が出たんでしたね。そこからは向かう暇もありませんでしたし」
「はい。元々プロトNT-1にはブルーディスティニーから各種システムを直接移植する予定だったのですが、オーガスタでの稼働実験のデータ取りに入れたままだったCOMがそのままだったのに加えて、ロックもせずに放置していたせいで簡単に奪われたというわけです」
栄養バー片手にスポーツ飲料をコクピットの中で飲むアリアとタブレット片手に話すケイト。
その澄まし顔には動揺もないように見えるが、何となくアリアは彼女のタブレットを保持する手を盗み見た。
(……めちゃくちゃ震えてますね)
訂正、顔には出てないが滅茶苦茶動揺してるらしい。
「…………えぇ、いったいどうしましょうか。まさかこうなるなんて……クリス絶対怒りますよね……私の予定ではこんなはずでは……」
しかも小声でなにかぶつくさ言っており、アリアはそっと彼女に同情の視線を向ける。
幾ら内輪揉めでドタバタしてたとしても、まさか自分たちの本拠地で火事場泥棒をするなんて予測する方が無理だ。
加えて現在、ジャブローは攻め込まれており第6ブロックのスペースポートを守るためにアリアはマルコシアス隊を撃破した後に後続の味方が来るまで単騎で侵入してきたジオンのモビルスーツを食い止める。
援軍が来れば彼らに任してアリアは一旦ホワイトベースまで補給のために帰還し、現在は消費した推進剤や弾薬の補充していた。
その作業中、アリアは先のゴップの説明だけでは理解できず作業員に指示を出していたケイトを捕まえて説明を求める。
そしてケイトから分かりやすく掻い摘んで一連の流れを聞いた瞬間、アリアはどうしてそうなるんだ? と困惑を隠せなかった。
「とりあえず、私のガンダムの所在は掴めてるのですか?」
「クリスのアイアンクローって痛いんですよね……あー、どうしましょう。自信満々に彼女に『クリスのような凡才は大人しくしていてください』と言った手前、頼るのも……あぁ、はい。プロトNT-1の所在ですね。今現在監視網の情報を精査したところ、地上のこの地点に目撃情報があるようです。
加えて、行動パターンを予測して……可能性が高いのはここのエリア半径500メートルの範囲ですね」
「……わかりました。COM、ケイトさんの言った情報をマップ情報にマーキングを」
『了解:該当ポイントにマーキングをセット』
補給作業完了のサインを確認し、アリアはゴミを少し離れた位置にあるゴミ箱にスローイングシュートを行えばブルーのコクピットハッチを閉じる。
『アリア・レイ、一応プロトNT-1の機体情報をアップロードしておいたので確認の程を。
陸戦型ガンダムのような粗悪品で出来たブルーディスティニーと違い、プロトNT-1は現行の最新技術を存分に注ぎ込んだ正真正銘のガンダムの名に相応しい性能を誇っています。戦うのなら撃墜を視野に入れてください』
「宜しいのですか? 貴方も開発に携わったと思われる機体ですが……」
『そうも言ってられないことは貴方も理解していらっしゃるでしょう?
それに、あのモビルスーツは連邦がニュータイプとやらをよく分からないまま何となくで作れと言われたので作っただけの機体です。
こう言ってはなんですが、私の趣味ではないのですよね。大して愛着もありませんし。どうせならぶっ壊してくれた方が新しい機体を開発する予算が降りるので是非やってください。そうすれば新機軸の技術を盛り込むことができるので』
「(まじかこいつという顔)」
自己中すぎる発言にアリアはドン引きした。しかし、開発者から直々に破壊許可が降りたのなら手加減する必要はないとプラスに考えて地上へ繋がるエレベーターへ乗り込んだ。
地上を目指す間、アリアはケイトからアップロードされたプロトNT-1のカタログスペックへ目を通して開口一番呟く。
「なんですかこの化け物」
ガンダムらしく高パフォーマンスに纏まっているが、推力の桁がおかしい。桁が1つ2つ間違っていやしないか?
確かにこれはブルーディスティニーを粗悪品と呼ぶのも納得である。納得ではあるが……
「腹たちますよね」
何だかんだでアリアはこれまで戦ってきた機体にはそれなりに愛着と呼べるものが湧いており、ペイルライダーのパイロットやケイトが言ったような評価は間違っては無いが、それはそれとして腹が立つものだあった。
「ブルー、お前はまぁ……欠陥品のどうしようも無い奴ですけどあそこまで言われるとお前もムカつくだろう?」
誰に言うでもなくアリアは語りかけるが、ただの機械のブルーディスティニーはそれには答えない。
こういう時にいつも会話をしてくれた
「さて、火事場泥棒をとっ捕まえに行きますかね」
ゲートか解放されると同時にペダルを蹴り飛ばし、ブースターによる加速を伴って前方にいたドム目掛けて突撃。
ドムは反応すらできずに前腕から展開したサーベルによって斜めに両断される。
『なっ!? 青い死神!!?』
『クソッ、なんでこんなところに!!』
「こんにちはジオン。そしてさようなら」
グフとザクのコクピットにビームライフルの引き金を引き、避けるまもなく撃ち抜かれた2機はそのまま沈黙。
それらを跨ぎ、アリアはジャブローのジャングルへ足を踏み出した。
ジオンの赤い彗星シャア・アズナブルは胃から迫り上がるモノを必死に飲み込みながら操縦桿やフットペダルを動かし続ける。
今まで慣れたような力加減で動かせば、即座にジャングルの染みになりかねないプレッシャーに思わず叫んだ。
「えぇい、連邦のモビルスーツは化け物かっ!!?」
『ケッ、下手くそが。もっとまともに操縦できねぇのかテメェ? ぶつかるぞマヌケ!』
「それくらい私もわかっている!! あとお前口悪くないか!?」
機体に備え付けられた補助システムらしき音声に叫び返し、力んでしまったせいで大きく姿勢が崩れたために慌ててシャアは操縦に意識を集中させる。
何故こうなったかの経緯は、シャアは特殊部隊の先導のもとキャリフォルニアベースからの大規模攻勢に乗じてジャブロー地下へ侵入。
侵入した後、破壊工作をしつつ深部へ侵攻をしていれば怨敵でもあるガンダムと遭遇。
戦闘へ突入したが、ガンダムは急いでいたのか片手間に乗機のゲルググを大破させられた挙句僚機を殆ど撃墜される。
まともな戦闘にすらならなかったことにシャアは内心打ちのめされた心情ではあったが、ここで果てる訳にはいかないと判断しゲルググを乗り捨てた。
幸いにも事前に特殊部隊がスペースポートゲートを解放したことでジオンの部隊がそこから雪崩込んだことと、守備隊のモビルスーツが格納されたハンガーを破壊したことによって騒然となっており、目立つ赤い軍服のシャアは連邦兵にバレることはなく散策ができた。
一先ずシャアは友軍と合流しようと基地内を走り待っていた時、たまたま入り込んだハンガーの中で何故かコクピットハッチを開放されたまま放置されていた新型のガンダム……本来アリアへ渡されるはずだったプロトNT-1を発見。
脱出しようにも生身ではあまりに危険が高すぎたのでこれ幸いと、それに丁度機体の塗装も赤かったので彼は拝借するためにコクピットへと乗り込む。
コクピットはジオンのものとはレイアウトが違かったので多少手間どったが起動することに成功し、全天周囲モニターであることに驚きつつもシャアは脱出を開始した。
しかし、この強奪した機体のプロトNT-1はとんでもないジャジャ馬だったのである。
ほんの少しだけ操縦桿を動かしたり、ペダルを踏み込んだだけで想像以上に四肢が動くので歩行させるだけでも一苦労なのだ。
加えて……
『おい、道間違えてるぞ。マップもまともに見れねぇのか?』
『おーおー、随分と愉快なあんよだな? 赤ん坊の方がまだ上手く歩けるぞ』
『ハッ! 素人以下だぞお前? エネルギー管理すらまともに出来ねぇのか』
補助システムが滅茶苦茶口が悪い。シャアが四苦八苦する度に神経を苛立たせる声色で罵倒してきて流石のシャアも青筋を額に浮かべまくってしまう。
それでも何とか地上へ上がり、シャアは友軍に攻撃されないように広域回線を開いた。
「こちらシャア・アズナブル! 周囲の友軍に告げる、新型ガンダムを強奪した!!
赤いカラーリングのガンダムがそうだ!」
返答は期待しない。シャアは密林を駆け抜け、戦域を離脱しようとしたところで不意に背筋に悪寒が走る。
『ロックオンされてるぞ。そら、背中だ。避けろよ』
「ッ!」
咄嗟にペダルを踏み込み、ブースターを稼働させて跳躍。先程までいた場所にビームが突き刺さり、シャアは側転を行い向きなおれば視点を上げた。
「蒼い死神ッ……!!」
そこにはコクピットを焼かれた友軍のゲルググの頭を引きずりながらこちらにビームライフルの銃口を向ける憎き怨敵……ブルーディスティニーの姿が。
シャアは膨れ上がる怒りを胸に抱き、犬歯を剥き出しにして吠える。
それの返答はビームとゲルググの投擲だった。
シャアはそれを避け、ビームライフルを構えようとし────たのをやめてビームサーベルを展開。突っ込んできた蒼い死神、ブルーディスティニーの斬撃を受け止める。
ビームの刃が互いのIフィールドによって反発しあうことで粒子が飛び散り、木々の葉に引火して密林を即座に火の海へと変える中でシャアは叫んだ。
「よくもガルマを!! お前をここで討たせてもらうぞ!」
『────』
返答は顔面を打つ拳であり、避ける間もなく打ち据えられたことによりプロトNT-1が吹っ飛ぶ。
「ぐぅうっ!!?」
『チッ、まともに受け身も取れねぇのか?』
オートバランサーが作動し、姿勢を整えて着地すればシャアはビームライフルを構え引き金を引いた。
ビームがブルーディスティニーへ放たれるが、狙いの甘いそれは身を捩る程度でかわされ、ホバーによって高速移動をしながらブルーはプロトNT-1を周るようにビームを撃つ。
「チィッ!」
鋭敏すぎる操縦性のせいで大袈裟に避ける羽目になり、シャアは直ぐにこのまま戦うことは不利だと察した。
しかし、相手は見逃す理由もないのに加えて先程から攻撃は全て撃墜を目的にしたもので明らかに加減を感じられない。
「奪われるくらいなら破壊した方がマシということか……!」
機体に振り回されている現状、余りに不利すぎることにシャアは汗を拭う暇もない。
ブルーディスティニーがすれ違いざまに放つ斬撃を紙一重で避けながらシャアは必死に思考をめぐらせる。
このまま時間稼ぎをしても遠くない未来、シャアは自分が倒されるのは確実。せめて、なにか1つブルーディスティニーの意識を遮らせることできれば、この機体のデタラメな機動力で離脱することが出来る。せめて、なにか────
不意にシャアの鼓膜は異音を捉えた。周音センサーから響く、ジェット機が飛行する時に聞こえるような空気を引き裂く音が段々と近づいてくることに気がついたのだ。
『死ネェェエェッ!!』
「『─────ッ!!?』」
等々に響き渡る声、咄嗟にプロトNT-1とブルーディスティニーは跳躍すると2機がいた場所に砲弾が突き刺さり土砂の柱が生み出される。
「えぇい、一体何事だ!?」
叫び、視線をあげれば片腕のないモビルスーツらしきものが巨大な背負いものがブースターでカッ飛ぶ姿を見てシャアは絶句するのだった。
「ッ、バルテウス!? 連邦はあんなものまで作ったのですか……!」
『ァアァァアッ!!』
「チッ!!」
飛んできたマシンガンの弾をかわし、アリアはビームライフルを連射。しかし、放たれたビームはバルテウスの表面から離れた箇所で弾ける。
「パルスアーマ……? いや、違う!」
『報告:ビーム着弾時の痕跡から、目標はIフィールドを使用しているのを確認』
「Iフィールド……?」
COMから聞かされた名称にアリアは眉を寄せれば、彼女にCOMが説明をした。
『解説:Iフィールドとはメガ粒子などのビーム兵器に対して機能するバリア機構。対処法は実弾兵器などの攻撃』
「なら、私の知っているバルテウスよりも対処は楽ですね……!」
とっくの昔にシャアは逃げ出しており、アリアは舌を打ちながら自分を狙いを定めたバルテウス……ユニットを装備したペイルライダーへ心底面倒くさそうにしながら吐き捨てる。
「いい加減、お前の顔は見飽きました。キツいの行きますから覚悟しなさい」
パルスアーマーは流石に無法すぎますからねIフィールドで我慢してくだしあ
後継機
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既存機体を魔改造
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オリジナル機体