機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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感想はきちんと読ませてもらっておりますのよ!


60.Black Dog Unit

「…………くそ、無理をさせすぎた」

 

『警告:駆動系に深刻なエラーを確認。ジェネレータ出力低下率60パーセント。

 報告:機体コンディション厳重注意(レッドゾーン)

 

 エラーが大量に浮かんでは消えていくモニターを見ながらアリアは呟く。

 現在ジャブローの一角にブルーが背中から、そしてその上には首から上が無いペイルライダーが重なるように落着していた。

 

 地面へ墜落した時の衝撃でブルーのシステムにダメージが入ったのか操縦桿を動かしても四肢が微かに動くのみ。

 ペイルライダーのパイロット、クロエは気を失っているのか語りかけても反応はなくコクピットハッチを開こうにも、ペイルライダーが重石となって動かない。

 

 本来ならアリアはペイルライダーを撃墜するつもりだったし、寸前までそう思っていた。

 だが、クロエの叫びと感情をアリアが感応してしまい彼女の記憶を追体験してしまったことで躊躇ってしまい、本体からHADESを切り離すに留め、地面に激突する時にはペイルライダーのクッションとなる。

 

「……私も優しくなったものですね」

 

 目の前に立った敵は必ず殺していたのに、あの時は青ざめた機体のパイロットの少女に同情してしまったのだ。

 自嘲するように呟くが、その内心はそこまで後悔はしていない。

 彼女はすぐに仕舞われていたキーボードを取り出し、手早くシステムの復旧を行い始める。

 

 なぜ大人しくアリアは救助を待たないわけはふたつある。ひとつはここが戦場のど真ん中だということ。もうひとつはアリアの直感が戦いはまだこれで終わりではないと示していたからだ。

 事実、アリアの直感は正しい。何故なら現在彼女の元に急速で接近する漆黒の機影が複数あり、それらの機体の肩には黒い犬のマーキングがされている。

 

 奴らの名は『ブラックドッグ』連邦軍の中で素行や性格に問題のある軍人とは呼べないようなゴロツキ連中で構成されたモビルスーツ部隊だ。

 そして、アリアとクロエを消すためにグレイヴがけしかけた刺客でもある。

 

「さーて、目標のかわい子ちゃんはどこかねぇー?」

 

 モビルスーツ達を先導するように進むのはガンダムタイプのモビルスーツ……に見えるが、ツインアイをジムと同じようにバイザーで覆うが両端の上下方向に切込みが入っており、どことなく悪人面の印象を抱かせたモビルスーツ、そのコクピットで軽薄な声が響いた。

 伸ばされた髪をバンドでオールバックにした男の名前は『レナート・ジェルミ』

 ブラックドッグ隊の隊長であり、その性格は例えるならカスのドブ煮込みといえよう。

 

 グレイヴというカスが刺客として仕向けるのだから当然だが、例に漏れずこの男が過去にやってきた所業は己の戦闘衝動、破壊欲求を満たす為だけにイデオロギーに寄生し、目的成就や障害、果ては保身のために平然と味方殺し……

 

 本来ならこんな犯罪者を軍に置いておくメリットなど無いのだが、軍上層部……グレイヴはこの男の操縦技能の高さは勿論、ルールの隙を突く卑劣な計略の立案もできる地頭を併せ持つため、レイスとは別にグレイヴはこの部隊を重用しているのだ。

 

 現在、こいつらはグレイヴの命令の元、奴の証拠隠滅のためにクロエとペイルライダーの排除のため行動しており、もしアリアとブルーディスティニーもいれば生け捕りと鹵獲をするようにも言いつけられている。

 

「はー、やれやれ全く閣下も人使い荒いねぇ。まぁ目的子はかわい子ちゃんだから楽しめそうだから良いがね!」

 

『隊長、俺らの分も残してくださいよー?』

 

『俺、アリアってガキをつまみたいんすけどいいすかね?』

 

『ほんとお前ってロリコンだよなぁ〜。あんな肉付きの悪いガキのどこがいいんだよ? ほぼとりがらだぞ』

 

『ばぁーか、そんな小さい穴に俺のマゼラン級をぶち込んで泣きわめいてるところを綺麗な顔や腹を殴るのが興奮するんだよ!』

 

「ギャハハハハ! お前らほんと救いようがねぇクズだなぁ〜。まぁ、閣下は殺さないなら好きにしていいって言ってたから殺さない程度に好きにしていいぞー。実験体の方は好きに回せばいいかね」

 

『よっしゃ! お前ら傷つけんなよ!! 綺麗なまま汚したいんだからな!』

 

 レナートの許可がおりたことで部下がゲスな喜びの声を上げ、残りの面々は品性のない下卑た笑いが重なった。

 

「お、実験体に埋め込んだっつうビーコンの反応が────

 

 不意にサブモニターに目的の存在の反応を示す信号が表示され、そちらへ進路を取ろうとした瞬間レナートは近くにいた部下の機体の頭部を掴んで前方へ投げ飛ばす。

 

 遠方から微かな瞬きと共に飛来していたビームがその部下の機体を撃ち抜いた。

 

『うぉ!!?』

 

「ヒュー! あの距離から当てるかぁ!!」

 

 コクピットを消し飛ばされ、物言わぬガラクタに変わった部下の機体を蹴飛ばしてレナートは感心したように叫べば立て続けにビームが飛来し、その狙撃は次々ブラックドッグ隊の数を減らす。

 

「チッ、動きがいいのがいるな」

 

 伏せた体勢からブルーを立たせ、アリアはエネルギーの切れたライフルを投げ捨てればブルパップマシンガンを装備し、険しい視線で接近してくる存在を睨んだ。

 どうにか操縦系のシステムを復旧させ、どうにかペイルライダーを抱えて移動しようとしたところに邪気と言うべき不快な気配を認識したアリアはペイルライダーを適当な林の中に押し込んで隠し、落ちてたのを拾った連邦のビームライフルを装備して潜伏。

 

 少しして何故か隠したはずのペイルライダーへ向けて進路をとった複数の機影を確認。加えて途轍もない不快感を感じたので反射的に引き金を引いてしまう。

 

 先頭にいた機体の直撃コースだったのだが、勘がいいのかその機体が後ろにいた機体を投げることでビームの射線に入り込ませて盾としたことに僅かに目を見開くが、撃ってしまったのは仕方ないと判断。そのまま狙撃を続行。

 

 狙いを取らせないようにランダム走行を開始するが、アムロ程でなくともかなりの精度を誇るアリアの射撃は容易く動きの甘い奴から撃ち抜く。

 

 ある程度まで数を減らしたが、動きのいい奴らはアリアの狙撃をかわし逆にアリアに向けて銃口を向けた。

 

「こちとら片足ないのですがね……!」

 

 加えて関節に変な負荷がかかっているせいで数瞬のレスポンスの遅れが発生しており、首の駆動系にも不具合があり頭部を動かそうとしたら軋む嫌な音を立てた。

 

『ハハハハ! ひでぇなぁ! 俺の部下みんな殺っちまうなんてさぁ!!』

 

 ガンダムフェイスの黒い機体が右前腕から2本のサーベルを展開し何が面白いのか笑い声とともに斬りかかってくるが、アリアは左腕のサーベルを一瞬だけ展開。

 レナートの斬撃を受け流し、左腕をコクピットへ突きつけてサーベルを展開しようと───

 

「ッ!」

 

 ───した瞬間にバックブースト。先程までいた場所に真横から赤熱した実体剣を構えた白い機体が突撃してきた。

 

「こ、のっ……!」

 

 白い機体にブルパップマシンガンの引き金を引こうとしたが、背筋に悪寒が走り反射的にサーベルで斬りかかる。

 すると、背後の空間から滲み出るように現れた漆黒の機体がヒートナイフを交差させて斬撃を受止めた。

 

「ステルス機か……!」

 

『よそ見してる場合かぁ!?』

 

 レナートの『ジムスパルタン』のみが装備したショートビームライフルから飛んできたビームを跳躍してかわせば、漆黒の機体のバズーカ、白い機体が装備した大型兵器が射撃を開始。

 

「チッ!!」

 

 クイックブーストで弾丸をかわし、片足だけでバランスをとりながらバックステップを繰り返してブルパップマシンガンの引き金を引く。

 

『当たらねぇなぁ! おら、てめぇらもさっさと攻めろ!!』

 

 レナートの命令で白い機体……『ホワイトライダー』の特徴的な試作複合武装システム『試作型シェキナー』が唸りを上げて弾丸を吐き出し、漆黒の機体『ブラックライダー』の姿が再び掻き消えた。

 

「バレバレなんだよオマエ!」

 

 しかし、ホワイトライダーの銃撃をかわしつつアリアはクイックブーストで接近。姿が見えないはずのブラックライダーを補足し、サーベルで斬りかかる。

 

『!?』

 

 光学迷彩によって周囲の景色と同化していたはずの己の位置を容易く看破されるとは思っていなかったのか、ブラックライダーは慌てて姿を現してヒートナイフを構えた。

 

 数合切り結んだところでブルーによって下からナイフをカチ上げられ、ブラックライダーは胴体を大きく晒す。

 その横腹に左足のキックが突き刺さり、真横へ勢いよく吹き飛んだ。

 

『使えねー!』

 

 レナートが叫び、肩のユニットからミサイルを飛ばすが胸部バルカンで迎撃。爆風が吹き荒れ、それを突破ってホワイトライダーがヒートレイピアで斬りかかる。

 

「見え見えすぎなんですよね」

 

 しかし、僅かに姿勢を逸らすだけで躱され逆に胴体を蹴り上げで機体が僅かに浮き上がったところ、王冠のように配置されたアンテナのある頭部を掴まれた。

 そのまま顔面へ膝を叩き込めばマスク部分がひしゃげ、アンテナがへし折れブラックライダーへ投げ飛ばす。

 勢いよく飛んで行ったホワイトライダーはブラックライダーと激突し、宙を舞って木々を巻き込んで盛大に転がった。

 

『おいおいなんてざまだよ。相手はたった一機でしかもオンボロだってのに……閣下もつかえねーのを寄越しやがってさぁ〜』

 

「そういうお前は見てるだけの木偶のようですね」

 

『ア"? はい、殺すー。グレイヴが生け捕りとか何とか言ってたけどやめだやめ。抵抗激しくて加減できませんでしたって言えばどうにか─────

 

「ごちゃごちゃうるさいですね。雑魚が何言っても喧しいだけですよ」

 

『ぶっ殺す!!』

 

「沸点低ッ……瞬間湯沸かし器かよ」

 

 激昂して突撃してきたレナートのジムスパルタンの動きを冷静に見切り、僅かに踏み込んで側面へ跳躍。右足を一気に振り上げれば、破断した右足の鋭利なフレームがその腹部を抉る。

 

『このガキっ……! テメェら!! さっさとシステム使え!! このガキを殺せ!!!! じゃねぇと自爆させるぞ!!』

 

「うるさ……」

 

『ぐぁっ!!?』

 

 右腕を肘部分からかかと落としのようにして右足で切り落とし、掴んだままだったショートビームライフルのバレルを握りしめて勢いよくフルスイング。

 ジムスパルタンの顔面へぶち当たり、ライフルが衝撃によって砕け散り内部の部品はバラバラに飛び散りアンテナがへし折れる。

 

 ベクトルによってジムスパルタンの上体が跳ね上がり、サーベルで上半身と下半身をぶったぎろうとしたところで赤い残光がふたつある視界の隅で捉えたことで中断。

 

 跳躍してジムスパルタンを飛び超えれば、背後から強襲してきたブラックライダーとホワイトライダーがそれぞれの近接武器を振りかぶってきた。

 

 両腕のサーベルを展開し、2機の斬撃を受止める。

 

「……お前らもシステム機か」

 

 モニターに映る2機はペイルライダー同様にセンサーを赤く染め、全身に妖しいオーラを漂わせていた。

 

 ホワイトライダーとブラックライダーはどちはもペイルライダー計画の試作機の1号機、3号機であり、ホワイトライダーはHADESのプロトタイプのシステムの試験とペイルライダーの量産検討モデル『ペイルライダー・キャバルリー』の主兵装『シェキナー』の運用試験を目的とし、ブラックライダーは試験的な兵装と簡易版HADESのプロトタイプの試験目的のための機体である。

 

 グレイヴが必要の無くなったこの2機を処分目的でブラックドッグ隊へ配備したものでおり、レナートも使い潰すつもりで今回の作戦に投入したのだ。

 

『はぁっ!? なんでそんな状態で持ちこたえられてんだよお前!!』

 

 しかし、システムを発動させた2機と合わせたレナートの猛攻を前に、アリアはEXAMを発動すらせずに全て冷静に対処する。

 

「確かに今のブルーはズタボロです」

 

 ブラックライダーの切り上げを関節部に手刀を叩き込み、強制的に中断させれば手首を掴みあげて顔面へ肘打ち。姿勢が崩れたところでコクピットへビームサーベルを1突き。

 反対の位置から突いてきたホワイトライダーだが、ヒートレイピアの側面へ手の甲の装甲を添えて僅かに押すことで軌道がズレ、ブルーの頭部の側面に切っ先が通過。懐に飛び込んで背負い投げを行いあらぬ方向へとぶん投げ、胸部ミサイルを発射。無防備な背中へ突き刺さり爆散。

 

 ジムスパルタンはヒートナイフを装備して斬りかかってきたが、アムロに比べたらとろすぎる動きを鼻で笑い、逆にサーベルで残った腕を切り落とす。

 

「だけど、別にお前たちが強くなったわけではないでしょう?」

 

『────クソがぁぁあっっ!!!』

 

「ゴミは焼却処分です」

 

 喧しいゴミを頭部から真っ直ぐにサーベルを振り下ろして両断。後方へ跳躍すると爆炎の華を咲かすのだった。




はい、ブルー無双です。スクラップにするつもりで酷使させてます。というかほぼスクラップ状態です。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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