機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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ブルーの出番終わり!


61.End of a long day

 ブラックドッグ隊を返り討ちにし、アリアはペイルライダーを引きずりながら近くのエレベーターへ向かう。

 

『総員に告ぐ! ジオンは撤退を開始した!! 追撃戦に移行せよ! 

 繰り返す、ジオンは撤退を開始した!! 追撃戦に移行せよ!』

 

 空に上がる複数の撤退を表わす信号弾と連邦の広域通信内容からジオンによるジャブロー攻略は失敗したらしい。

 遠目から見えるジオンのモビルスーツたちは懸命に戦場から逃げようと走っており、その背を連邦のモビルスーツが無慈悲に銃弾を打ち込む光景があった。

 

 アリアは通信回線を開く。

 

「こちらアリアです。ゴップ閣下、聞こえますか?」

 

『うん、聞こえているよアリア君。…………君の顔を見る限り、ガンダムは奪われたようだね』

 

「ええはい。それと、ペイルライダーとそのパイロットを確保しました」

 

『それは上々。……しかし、それだけでは無いのだろう?』

 

「ええ、はい。先ほどグレイヴの手の者に襲撃をかけられてしまいました。幸いにも全て撃墜できました。連中は肩に黒い犬のマーキングをしたモビルスーツに乗っており、加えてペイルライダーの系列機もいましたね」

 

『黒い犬のマーキング…………ブラックドッグ隊か。いい噂を聞かない連中だったが、やはりグレイヴの手の者だったようだね。君は無事かね?』

 

「何とか。ですがブルーの損傷が激しく、もしまた戦闘になるというのなら厳しいですね」

 

 先の戦闘はどうにかなったが、それの負荷で既に満身創痍だったブルーをさらに酷使したせいで最早歩くことでも精一杯でザクにすら殺られかねない。

 ゴップはすぐにアリアの状況を認識すると口を開く。

 

『了解した。君のいる地点にすぐに護衛の部隊を送ろう。必ず生きて帰るように』

 

「言われなくても帰りますよ。早くシャワー浴びたいですし」

 

 通信を終えてアリアはマップを確認すれば歩き出し、少し離れた場所に見えたゲートを見て肩の荷が下りたとばかりに表情を僅かに緩めた。

 

 瞬間、背筋に悪寒が走る。

 

「ッ!」

 

 咄嗟にペイルライダーを投げ飛ばし、ブルーのブースターによるバックジャンプ。先程までいた場所へ盛大に土砂の柱が形成される。

 

「砲撃……? 一体どこから…………!」

 

 着地の衝撃をショックアブソーバーが殺し切れず、膝を折りながらもアリアは視線を配らせれば遠方からこちら主砲を向けこちらに進軍する連邦の陸戦艇ビッグトレーの姿が。

 

『レイス共を出してペイルライダーとクロエ・クローチェを何としても消せ!』

 

『で、ですが研究所のデータは既に抑えられていますが……』

 

『現物さえなければ幾らでももいいわけができる! お前たちもこのままでは絞首台送りだぞ!? 

 いいから黙って砲撃を続けろ、あの邪魔者のガキ諸共消し飛ばせ!! 

 クソがっ! あのゴミ共、ホワイトライダーとブラックライダーをくれてやったのに失敗しやがって!!』

 

 そして混線してるのかブルーのスピーカーから漏れ聞こえる焦った声。アリアは録音ができてるのを確認した後、この声の主がグレイヴだと即座に判断、瞳に殺意が宿る。

 

「起きろ、ブルー。最後の大仕事だ」

 

 ここまで酷使してきた機体へ最後の命令を下せば、それに何も言わずブルーディスティニーは双眸を赤く染めあげた。

 

 

 

EXAM SYSTEM STANDBY

 

 

 

 機体各部から深刻なエラーを吐き出し、悲鳴をあげるジェネレーターから過剰供給されたエネルギーによって至る箇所から火花が吹き出した。

 排熱ダクトが赤熱化するほどの熱を帯び、ブルーディスティニーは僅かに身を沈ませる。

 

 ビッグトレーからはモビルスーツが吐き出され、地上に降りった機体の数は15機ほどでその内の5機は地下の研究所にいたペイルライダーの同型機『ペイルライダー・キャバルリー』

 

 その双眸は赤く染っており、HADESが起動している証拠だ。

 

「ッ!」

 

 溜めていた力を解放、獣のごとく身を屈ませていたブルーは凄まじい勢いで直進。

 敵たちは迎撃を選択し、各々ライフルの引き金を引いた。

 

 弾丸やビームが確実に自分の命を狩り取ろうとする閃光となって迫るが、それを前にしてもアリアの顔に恐怖はない。ブルーと繋がった思考はその四肢を思い通りに動かし、弾丸とビームの隙間を縫うように回避。

 

 適当なジムへ飛びかかり、そのコクピットへ勢いを乗せた破断した右足の鋭利な部分を突き刺す。

 そのまま着地した左足を軸にジムごと右足を掲げて振り回せば、遠心力によって外れたジムが別のジムへと激突。

 

「ッ!」

 

『ぎゃっ!?』

 

 コクピットを串刺ししたジムのランドセルへ胸部バルカンを叩き込めば内部へ引火し、動力炉へ引火してぶつかったジムを巻き込んで爆発。

 煙を引き裂いて2機のキャバルリーがビームジャベリンを構えて突撃してくる姿が見えた。

 

「いい、加減に……うざい!」

 

 キャバルリーたちの背後からの援護射撃をステップでかわしつつ、ジャベリンの突きを僅かに身を捩り、脇下を通過するとキャバルリーの顔面を殴りつける。

 打ち据えられ上体が仰け反ったところでジャベリンの柄を握りしめ、ビームジャベリンを奪い取ると投擲。

 

 避けるまもなく飛んできたジャベリンはコクピットをぶち抜き、その近くにいたジムを巻き込んで誘爆。

 

 それに視線を向けることなくもう1機のキャバルリーがブルーに向けてジャベリンを振り下ろし、それを避けようとしたアリアだったが。

 

『警告:左膝関節に致命的なダメージが発生』

 

「こんな時に……!?」

 

 COMからの報告とともに突然機体を支えていた唯一の左足の膝関節から力が抜け、姿勢を崩すブルー。キャバルリーの攻撃を避け損ない左腕を二の腕から焼き切られる。

 

「チッ!!」

 

 なんとか姿勢を持ち直し、切り上げを回避するが立て続けに聞きたくない報告が耳に入った。

 

『警告:ジェネレーター出力低下、機体モーメントに不具合を検知。

 報告:エネルギー伝達経路断裂、動力不足により機体稼働率が低下』

 

「他エネルギーバイパスを迂回しなさい!」

 

 なんとか踏ん張り、地面に落ちた左腕を掴んで遠隔起動でサーベルを展開。

 内部コンデンサーで短時間だけ展開可能なサーベルと左腕を掴んだ分だけ射程が延長したことで振り回し、距離感の掴めなかったキャバルリーの胴体を浅く切り裂く。

 

 そこでサーベルのエネルギーが切れ、ブルーディスティニーに敵の弾丸が突き刺さり弾丸の1つがマニュピレーターを砕いたことで掴んでいた左腕が宙を舞い地面へ落ちれば、そこにキャバルリーの蹴りが突き刺さりブルーの蒼い躯体が宙を舞った。

 

「ぐぅぅっっ……!」

 

『ハハハ! そんな機体で勝てるものか!! ここで死ね!』

 

「後ろからぺちゃくちゃと……!」

 

 グレイヴの喧しい声にアリアは苛立たしげにするが、立つことすらままならないブルーを前に数を多少減らしたが敵はまだ沢山いる。

 絶体絶命の状況にアリアは歯噛みするが、諦めることはせずブルーも全身を軋ませながら立ち上がった。

 

 左腕はなく、右腕はマニュピレーターが砕け、左足は負荷によって辛うじて機体を支えている。

 右足は半ばから破断しており、頭部のバイザーもどこかへ消え側頭部のアンテナはひしゃげていた。

 

「踏ん張りなさいブルー、お前もここで終わりたくはないでしょう?」

 

 アリアはここまで共に戦ってきた機体へ言葉を投げかける。その瞳は未だ戦う意思を宿していた。

 

 しかし、無慈悲にグレイヴはアリアとブルーへビッグトレーの主砲を向ける。

 

『死ね!!』

 

「ッ……!」

 

 砲弾が放たれ────ようとした瞬間、どこかともなく飛来してきたビームが主砲を貫いた。

 

「ッ何事ですか!?」

 

『な、何事だァ!?』

 

 内部の弾薬に引火し、誘爆によって揺れる艦内、突然の攻撃に動揺しながらグレイヴは叫べばブリッジのクルーが報告する。

 

『こ、攻撃です!! 十時の方向より……この識別信号は『ガンダム6号機』です! 』

 

 そして、アリアのブルーを追い抜くようにして1機のモビルスーツが現れた。

 特徴的なのは両肩に背負った大口径のキャノンであり、胴体を蒼く染めたガンダムはホバーによる高機動で構えたビームライフルを連射し次々とビッグトレーの武装を破壊。

 

『こちら第11独立機械化混成部隊所属、ガンダム6号機『マドロック』パイロットの『ユウ・カジマ』中尉だ。よく頑張ったブルーディスティニーのパイロット、あとは任せてくれ』

 

 その叫びと同時に不意に展開していたジムが爆散し、それを切り裂いてまた別のモビルスーツが不自然な起動を描いて舞いながら現れる。

 それは同じくガンダムタイプではあるが、マドロックという名の機体と違い細身なシルエットで片手にはビームダガーを握っていた。

 

『同じく独立機械化混成部隊所属、『ガンダムピクシー』のパイロット『シイコ・ハセガワ』少尉よ。

 お疲れ様蒼い死神さん、悪い奴らは私たちがやっつけるわ!』

 

『も、モルモット隊だとぉ!!?』

 

 2機のガンダムが乱入したことにより、敵たちは動揺したように動きが乱れればまた別方向から飛んできたビームがジムを貫く。

 

 そこに視線を向ければ、灰色に塗装されたガンキャノンと2機のガンダムたちが。

 

『よぉ、グレイヴ! お礼参りに来てやったぜ!!』

 

『スレイヴ・レイス……生きていたのかお前ら!』

 

『生憎様、どこぞの狸親父に拾われたんでな!!』

 

『熨斗つけて退職届ぶち込んでやるよクソ野郎!!』

 

 その聞き覚えのある声にアリアは声を上げる。

 

「フィクサーさんにリッパーさん……?」

 

『すまねぇ嬢ちゃん遅くなった!!』

 

『転がってたペイルライダーは回収しといたからな!』

 

『話はあと、さっさと突っ込みなさいよ2人とも!』

 

『『了解!』』

 

 会話を遮るようにガンキャノンから女の声が響けば、フィクサーとリッパーも戦場に乱入。

 

『人の妹を良くも殺そうとしやがったなお前ら!!』

 

 そんな叫びとともに空から降ってきた白い流星がキャバルリーを両断、煙を引き裂いてジムに襲いかかるガンダムの姿が。

 

「兄さん!」

 

『すまないアリア! ジオンのヤツらの迎撃をしてたら遅くなった!!』

 

「……はいっ、遅すぎますね」

 

 続々と戦場に現れた味方は次々と敵を撃破し、後から合流したECOASが手早くグレイヴのビッグトレーを制圧する。

 そして、甲板には艦の人員全員が縛られた状態で転がされておりその場に集まった面々は殺意の込めた目で連中を睨んでいた。

 

「くそ、くそくそくそ!! この害獣のクソガキが! お前のせいで全部パーだ!! 私の栄達が!」

 

 人相の悪い男が吠えるのを冷めた目で見つめていたアリアが不意に通信機を取りだし、回線を開く。

 

「閣下、このゲスってどれくらいやってもいいですか?」

 

『死なない程度なら痛めつけて構わないとも。好きにやりなさい』

 

「わかりました」

 

 許可を貰い、アリアはいまだ喧しく喚いているグレイヴ(カス)の顎を蹴り上げた。

 

「げひっ!?」

 

「…………!!!」

 

「ごっ!? えげっ!? ぎゃぱ!!? や、やめ!! ごぁ!!!?」

 

 顎が跳ね上がった勢いでグレイブの体が宙を舞い、仰向けになれば股間目掛けて何度も何度も何度も爪先を叩き込む。

 グレイヴも最初は叫んでいたが、何かが潰れる感触がしてから何も言わずにただ口から泡を吹き出して痙攣するのみ。

 

「ふー…………スッキリしました」

 

「…………生きてるかソイツ?」

 

「一応。まぁ、主砲は二度と使えねぇだろうな」

 

「……えげつねぇ。流石にこれだけは同情するぜ」

 

 フィクサーが聞けばリッパーが自分の股間を抑えながらドン引きしたように答え、その場にいた男性陣と拘束されたクルー含めて全員顔を青く染める。

 

 そしてジャブローのジャングルの中心で、蒼い死神はその双眸から光が完全に消え去り、朝日がその姿を照らしたことで長い一日がようやく終わるのだった。




ブルー「燃え尽きたぜ・・・真っ白にな」
ガンダム「まぁ、何だかんだでなかなか頑張ったと思うでお前さん」


後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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